名古屋市立大学 2011年度 数学 過去問解説|藤原進之介先生と一緒に完全攻略!

皆さん、こんにちは!数強塾日本数学塾講師の藤原進之介です。

今回は、名古屋市立大学 2011年度(平成23年度)の数学入試問題を徹底的に解説していきます。名古屋市立大学は、医学部・薬学部・経済学部・芸術工学部など多様な学部を擁する公立大学で、特に医学部は全国的にも高い人気を誇ります。

この記事では、2011年度に出題された各大問について、問題の背景から解法のポイント、そして受験生がつまずきやすいポイントまで、丁寧に解説していきます。「なぜこの解法を使うのか」「どのような思考プロセスで問題に取り組むべきか」を重視した解説を心がけていますので、ぜひ最後までお読みください。

試験概要・難易度

2011年度(平成23年度)入試の概要

名古屋市立大学の2011年度入試における数学の試験形式は以下の通りでした:

項目 医学部・薬学部(理系) 経済学部(文系)
試験時間 120分 90分
大問数 4題 3〜4題
出題範囲 数学Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・A・B・C 数学Ⅰ・Ⅱ・A・B
解答形式 全問記述式 全問記述式
配点 300点(医)/ 200点(薬) 200点

2011年度の全体講評

2011年度の名古屋市立大学数学は、「標準〜やや難」レベルの問題構成でした。特徴的だったのは以下の点です:

  • 計算量がやや多め:特に積分計算や行列計算で、正確さと処理速度が求められました
  • 典型問題の応用:教科書レベルの知識を土台に、一歩踏み込んだ思考力を問う出題
  • 図形的な考察:座標平面上での図形問題や、空間図形の問題が出題され、図示する力が重要でした
  • 証明問題の存在:論理的な記述力を問う証明問題も含まれていました

全体的な難易度としては、医学部志望者にとっては確実に高得点を狙いたい標準的なセットでしたが、計算ミスをすると大きく失点する危険性のある問題構成でした。時間配分と計算の正確さが合否を分けた年度と言えるでしょう。

大問1:座標平面における図形の移動と軌跡

問題

【問題1】

座標平面上で、点P(x, y)を原点Oから距離1だけ遠ざける移動を考える。すなわち、点Pが原点Oと異なる点であるとき、点Pを半直線OP上で、OPの長さが1だけ増加する点P'に移す移動である。

(1) 点P(3, 4)に対応する点P'の座標を求めよ。

(2) 点P(a, b)(ただし(a, b) ≠ (0, 0))に対応する点P'の座標を a, b を用いて表せ。

(3) 直線 y = x + 1 上の各点Pに対応する点P'の軌跡を求めよ。

解説・解法のポイント

この問題は、「原点から距離1だけ遠ざける」という変換を正しく理解することがカギです。一見すると難しそうに見えますが、ベクトルの考え方を使うと非常にすっきりと解けます。

【(1)の解答】

点P(3, 4)について考えます。

Step 1:原点Oから点Pまでの距離を求める

OP = √(3² + 4²) = √(9 + 16) = √25 = 5

Step 2:単位ベクトルを求める

原点から点Pへの方向の単位ベクトル(長さ1のベクトル)は:

e = (3/5, 4/5)

Step 3:点P'の座標を求める

点P'は、点Pから単位ベクトルの方向にさらに距離1進んだ点なので:

P' = P + e = (3, 4) + (3/5, 4/5) = (3 + 3/5, 4 + 4/5) = (18/5, 24/5)

別の考え方として、OP' = OP + 1 = 5 + 1 = 6 であり、P'は半直線OP上にあるので:

P' = (6/5) × (3, 4) = (18/5, 24/5)

【答え】 P'(18/5, 24/5) または P'(3.6, 4.8)

【(2)の解答】

点P(a, b)((a, b) ≠ (0, 0))について一般化します。

Step 1:原点Oから点Pまでの距離

OP = √(a² + b²)

Step 2:単位ベクトル

e = (a/√(a² + b²), b/√(a² + b²))

Step 3:点P'の座標

P' = P + e より:

P' = (a + a/√(a² + b²), b + b/√(a² + b²))

これを整理すると:

P' = (a(1 + 1/√(a² + b²)), b(1 + 1/√(a² + b²)))

あるいは、√(a² + b²) = r とおくと:

P' = (a(r + 1)/r, b(r + 1)/r)

【答え】 P'の座標は

(a + a/√(a² + b²), b + b/√(a² + b²))

または、r = √(a² + b²) として (a(r+1)/r, b(r+1)/r)

【(3)の解答】

直線 y = x + 1 上の点P(t, t + 1)(t は実数、ただし t ≠ 0 または t + 1 ≠ 0、すなわち (t, t+1) ≠ (0, 0))を考えます。

Step 1:P'の座標を t で表す

r = √(t² + (t+1)²) = √(2t² + 2t + 1) とおくと、(2)の結果より:

P' = (t(r+1)/r, (t+1)(r+1)/r)

P' = (X, Y) とおくと:

X = t(r+1)/r = t + t/r

Y = (t+1)(r+1)/r = (t+1) + (t+1)/r

Step 2:Y - X の関係を調べる

Y - X = (t + 1 + (t+1)/r) - (t + t/r)

= 1 + (t + 1 - t)/r

= 1 + 1/r

Step 3:軌跡の方程式を求める

r = √(2t² + 2t + 1) において、t が実数全体を動くとき、r の最小値を考えます。

2t² + 2t + 1 = 2(t + 1/2)² + 1/2 ≥ 1/2

したがって、r ≥ √(1/2) = 1/√2 であり、r は 1/√2 以上の任意の値をとりえます。

このとき、1/r は 0 < 1/r ≤ √2 の範囲を動きます。

よって、Y - X = 1 + 1/r は 1 < Y - X ≤ 1 + √2 の範囲を動きます。

Step 4:さらに詳しく調べる

原点O(0, 0)は直線 y = x + 1 上にないので、すべての点Pに対してP'が定義されます。

原点からの距離の関係と、P'の軌跡が描く曲線を考えると、これは直線 y = x + 1 を原点から1だけ外側に移動した曲線になります。

【答え】 点P'の軌跡は、直線 y = x + 1 の各点を原点から1だけ遠ざけた曲線であり、原点を中心とし、原点から直線 y = x + 1 への距離に1を加えた距離を持つ点の集合として表される。

具体的には、原点から直線 y = x + 1 への距離は 1/√2 なので、この曲線は原点を中心とする半径 1/√2 + 1 の円に漸近する曲線となる。

別解・発展

【極座標を用いた別解】

この問題は極座標を用いるとより見通しよく解けます。

点P(r, θ)(極座標)に対し、P' = (r + 1, θ) となります。

直線 y = x + 1 の極座標表示は r sin θ = r cos θ + 1、すなわち r = 1/(sin θ - cos θ) です。

したがって、P'の軌跡は r' = r + 1 = 1/(sin θ - cos θ) + 1 となります。

【発展:この変換の幾何学的意味】

「原点から距離1だけ遠ざける」という変換は、放射状の拡大の一種ですが、通常の相似変換とは異なり、「加法的」な性質を持っています。この変換は、レンズの光学系や、地図投影法などで現れる変換と類似した構造を持っています。

大問2:行列と確率

問題

【問題2】

2×2行列の各成分を、0または1からなる2つの値から等確率で独立に選んで定める。このとき、

(1) この行列が逆行列を持つ確率を求めよ。

(2) この行列が正則である(逆行列を持つ)条件のもとで、その行列が直交行列である確率を求めよ。

解説・解法のポイント

この問題は、行列の性質確率を融合した良問です。まず行列の条件を整理し、それを満たす場合を数え上げます。

【(1)の解答】

Step 1:問題設定の確認

2×2行列 A = ⎛a b⎞
⎝c d⎠
において、各成分 a, b, c, d は独立に0または1の値をとり、それぞれの確率は1/2です。

すべての場合の数は 2⁴ = 16 通りです。

Step 2:逆行列を持つ条件

行列Aが逆行列を持つ ⟺ det(A) = ad - bc ≠ 0

a, b, c, d ∈ {0, 1} のとき、ad と bc はそれぞれ 0 または 1 です。

したがって、ad - bc は -1, 0, 1 のいずれかの値をとります。

Step 3:det(A) = 0 となる場合を数える

ad - bc = 0、すなわち ad = bc となる場合を考えます。

Case 1: ad = 0 かつ bc = 0 の場合

ad = 0 ⟺ a = 0 または d = 0

bc = 0 ⟺ b = 0 または c = 0

ad = 0 となるのは:(a, d) = (0, 0), (0, 1), (1, 0) の3通り

bc = 0 となるのは:(b, c) = (0, 0), (0, 1), (1, 0) の3通り

よって、ad = 0 かつ bc = 0 となるのは 3 × 3 = 9 通り

Case 2: ad = 1 かつ bc = 1 の場合

ad = 1 ⟺ a = 1 かつ d = 1

bc = 1 ⟺ b = 1 かつ c = 1

よって、(a, b, c, d) = (1, 1, 1, 1) の1通り

合計で、det(A) = 0 となるのは 9 + 1 = 10 通り

Step 4:確率の計算

det(A) ≠ 0 となるのは 16 - 10 = 6 通り

求める確率は 6/16 = 3/8

【答え】 3/8

【(2)の解答】

Step 1:直交行列の条件

行列Aが直交行列 ⟺ ATA = E(単位行列)

A = ⎛a b⎞
⎝c d⎠
のとき、

ATA = ⎛a c⎞
⎝b d⎠
⎛a b⎞
⎝c d⎠
= ⎛a²+c² ab+cd⎞
⎝ab+cd b²+d²⎠

これが単位行列と等しいための条件は:

  • a² + c² = 1
  • b² + d² = 1
  • ab + cd = 0

Step 2:条件を満たす (a, b, c, d) を探す

a, b, c, d ∈ {0, 1} のとき:

a² + c² = 1 となるのは (a, c) = (1, 0) または (0, 1)

b² + d² = 1 となるのは (b, d) = (1, 0) または (0, 1)

これらの組み合わせで ab + cd = 0 を満たすものを探します:

(a, c) (b, d) ab + cd 条件を満たすか
(1, 0) (1, 0) 1×1 + 0×0 = 1 ×
(1, 0) (0, 1) 1×0 + 0×1 = 0
(0, 1) (1, 0) 0×1 + 1×0 = 0
(0, 1) (0, 1) 0×0 + 1×1 = 1 ×

直交行列となる行列は以下の2つ:

⎛1 0⎞
⎝0 1⎠
(単位行列)と ⎛0 1⎞
⎝1 0⎠

Step 3:条件付き確率の計算

正則な行列は6通り、そのうち直交行列は2通り

求める条件付き確率は 2/6 = 1/3

【答え】 1/3

別解・発展

【(1)の別解:直接数え上げ】

det(A) ≠ 0 となる行列を直接列挙することもできます:

det(A) = ad - bc = 1 となるもの(ad = 1, bc = 0):

  • (a,b,c,d) = (1,0,0,1), (1,0,1,1), (1,1,0,1) → 3通り

det(A) = ad - bc = -1 となるもの(ad = 0, bc = 1):

  • (a,b,c,d) = (0,1,1,0), (0,1,1,1), (1,1,1,0) → 3通り

合計6通りで、確率は 6/16 = 3/8

【発展:n×n行列への一般化】

この問題を n×n 行列に一般化すると、0-1行列が正則である確率を求める問題になります。これは組合せ論的に興味深い問題で、n が大きくなると解析が複雑になりますが、漸近的な評価が研究されています。

大問3:微分・積分(数学Ⅲ)

問題

【問題3】

関数 f(x) = xe-x² について、以下の問いに答えよ。

(1) f(x) の増減を調べ、極値を求めよ。また、y = f(x) のグラフの概形を描け。

(2) 曲線 y = f(x) と x軸で囲まれた部分を、x軸の周りに1回転してできる立体の体積を求めよ。

(3) ∫0 x³e-x² dx の値を求めよ。

解説・解法のポイント

この問題は、ガウス関数に関連する積分を扱う典型的な問題です。微分の計算、回転体の体積、広義積分の3つの技術が問われています。

【(1)の解答】

Step 1:導関数を求める

f(x) = xe-x²

積の微分法を用いて:

f'(x) = e-x² + x・(-2x)e-x² = e-x²(1 - 2x²)

Step 2:f'(x) = 0 となる x を求める

e-x² > 0 なので、f'(x) = 0 ⟺ 1 - 2x² = 0 ⟺ x = ±1/√2

Step 3:増減表を作成

x ... -1/√2 ... 0 ... 1/√2 ...
f'(x) - 0 + + + 0 -
f(x) 極小 0 極大

Step 4:極値の計算

x = 1/√2 のとき:f(1/√2) = (1/√2)e-1/2 = 1/(√2e1/2) = 1/√(2e)

x = -1/√2 のとき:f(-1/√2) = (-1/√2)e-1/2 = -1/√(2e)

【答え】

・x = 1/√2 で極大値 1/√(2e)

・x = -1/√2 で極小

・x = -1/√2 で極小値 -1/√(2e)

Step 5:グラフの概形

グラフを描く際のポイント:

  • f(0) = 0(原点を通る)
  • f(-x) = -f(x) より、原点に関して点対称(奇関数)
  • limx→±∞ f(x) = 0(x軸が漸近線)
  • x = 1/√2 ≈ 0.707 で極大、x = -1/√2 で極小

グラフは原点を通り、正の領域では釣鐘型に膨らんで x軸に漸近し、負の領域ではその点対称な形となります。

【(2)の解答】

Step 1:積分区間の確認

f(x) = xe-x² は x ≥ 0 で f(x) ≥ 0、x < 0 で f(x) < 0 です。

曲線と x軸で囲まれる部分は、x ≥ 0 の領域と x ≤ 0 の領域に分かれます。

奇関数の性質より、両方の領域を合わせた回転体を考えます。

Step 2:回転体の体積の公式

x軸周りの回転体の体積は:

V = π∫-∞ {f(x)}² dx = π∫-∞ x²e-2x² dx

被積分関数は偶関数なので:

V = 2π∫0 x²e-2x² dx

Step 3:置換積分

t = √2 x とおくと、x = t/√2、dx = dt/√2

x: 0 → ∞ のとき t: 0 → ∞

V = 2π∫0 (t/√2)² e-t² · (1/√2) dt

= 2π · (1/2√2) ∫0 t² e-t² dt

= (π/√2) ∫0 t² e-t² dt

Step 4:ガウス積分の公式を利用

0 t² e-t² dt を求めます。

部分積分を用います。u = t、dv = te-t² dt とおくと:

du = dt、v = -e-t²/2

0 t² e-t² dt = ∫0 t · (te-t²) dt

= [-t · e-t²/2]0 + (1/2)∫0 e-t² dt

第1項:limt→∞ te-t² = 0(ロピタルの定理より)、t=0 のとき 0

第2項:∫0 e-t² dt = √π/2(ガウス積分)

したがって:

0 t² e-t² dt = 0 + (1/2) · (√π/2) = √π/4

Step 5:体積の計算

V = (π/√2) · (√π/4) = π√π/(4√2) = π3/2/(4√2) = π3/2√2/8

【答え】 V = π3/2√2/8 = (√2/8)π√π

【(3)の解答】

Step 1:置換積分の準備

I = ∫0 x³e-x² dx を求めます。

t = x² とおくと、dt = 2x dx、すなわち x dx = dt/2

また、x² = t より x³ = x · x² = x · t

x: 0 → ∞ のとき t: 0 → ∞

I = ∫0 x² · xe-x² dx = ∫0 t · e-t · (dt/2) = (1/2)∫0 te-t dt

Step 2:部分積分

0 te-t dt を部分積分で計算します。

u = t、dv = e-t dt とおくと、du = dt、v = -e-t

0 te-t dt = [-te-t]0 + ∫0 e-t dt

第1項:limt→∞ te-t = 0、t=0 のとき 0

第2項:[-e-t]0 = 0 - (-1) = 1

したがって:∫0 te-t dt = 0 + 1 = 1

Step 3:最終結果

I = (1/2) × 1 = 1/2

【答え】0 x³e-x² dx = 1/2

別解・発展

【(3)の別解:直接部分積分】

置換せずに直接部分積分することもできます。

∫x³e-x² dx において、x²e-x² · x dx の形で考え:

u = x²、dv = xe-x² dx とおくと、du = 2x dx、v = -e-x²/2

0 x³e-x² dx = [-x²e-x²/2]0 + ∫0 xe-x² dx

= 0 + [-e-x²/2]0 = 0 - (-1/2) = 1/2

【発展:ガンマ関数との関連】

この積分はガンマ関数 Γ(n) = ∫0 tn-1e-t dt と密接に関連しています。

0 x2n+1e-x² dx = (1/2)Γ(n+1) = n!/2

n = 1 のとき、∫0 x³e-x² dx = 1!/2 = 1/2 と一致します。

大問4:数列と漸化式

問題

【問題4】

数列 {an} が次の漸化式を満たしている。

a1 = 1、an+1 = 2an + 3n (n = 1, 2, 3, ...)

(1) bn = an/3n とおくとき、bn+1 を bn を用いて表せ。

(2) 一般項 an を求めよ。

(3) Σk=1n ak を求めよ。

解説・解法のポイント

この問題は、非同次線形漸化式の典型的な解法を問う問題です。変数変換によって扱いやすい形に変形する技術がポイントです。

【(1)の解答】

Step 1:bn の定義を確認

bn = an/3n より、an = bn · 3n

Step 2:漸化式を変形

an+1 = 2an + 3n の両辺を 3n+1 で割ると:

an+1/3n+1 = 2an/3n+1 + 3n/3n+1

bn+1 = (2/3) · (an/3n) + 1/3

bn+1 = (2/3)bn + 1/3

【答え】 bn+1 = (2/3)bn + 1/3

【(2)の解答】

Step 1:漸化式の特性方程式を解く

bn+1 = (2/3)bn + 1/3 の特性方程式は:

α = (2/3)α + 1/3

α - (2/3)α = 1/3

(1/3)α = 1/3

α = 1

Step 2:変形

bn+1 - 1 = (2/3)(bn - 1)

cn = bn - 1 とおくと、cn+1 = (2/3)cn

これは公比 2/3 の等比数列です。

Step 3:初項の確認

b1 = a1/31 = 1/3

c1 = b1 - 1 = 1/3 - 1 = -2/3

Step 4:cn の一般項

cn = c1 · (2/3)n-1 = (-2/3) · (2/3)n-1 = -2n-1/3 · (1/3)n-1 = -2n-1/3n

整理すると:cn = -(2/3)n · (1/2) · 3 = -2n/(2·3n) · 3 = ...

より単純に計算し直します:

cn = (-2/3) · (2/3)n-1 = -(2/3)n · (3/2) = -(2n/3n) · (3/2) = -2n/(2·3n-1)

もう一度整理:

cn = (-2/3) · (2/3)n-1 = (-2/3) · 2n-1/3n-1 = -2n/(3 · 3n-1) = -2n/3n

Step 5:bn と an を求める

bn = cn + 1 = 1 - 2n/3n = 1 - (2/3)n

an = bn · 3n = (1 - (2/3)n) · 3n = 3n - 2n

検算:

  • a1 = 31 - 21 = 3 - 2 = 1 ✓
  • a2 = 2a1 + 31 = 2·1 + 3 = 5
  • 公式より a2 = 3² - 2² = 9 - 4 = 5 ✓

【答え】 an = 3n - 2n

【(3)の解答】

Step 1:和の計算

Sn = Σk=1n ak = Σk=1n (3k - 2k)

= Σk=1n 3k - Σk=1n 2k

Step 2:等比数列の和の公式を適用

Σk=1n 3k = 3(3n - 1)/(3 - 1) = (3n+1 - 3)/2

Σk=1n 2k = 2(2n - 1)/(2 - 1) = 2n+1 - 2

Step 3:最終結果

Sn = (3n+1 - 3)/2 - (2n+1 - 2)

= (3n+1 - 3)/2 - 2n+1 + 2

= (3n+1 - 3 - 2n+2 + 4)/2

= (3n+1 - 2n+2 + 1)/2

【答え】 Σk=1n ak = (3n+1 - 2n+2 + 1)/2

別解・発展

【(2)の別解:特殊解を見つける方法】

漸化式 an+1 = 2an + 3n において、特殊解として an = c · 3n の形を仮定します。

代入すると:c · 3n+1 = 2c · 3n + 3n

3c · 3n = (2c + 1) · 3n

3c = 2c + 1

c = 1

よって特殊解は an = 3n

同次方程式 an+1 = 2an の一般解は an = C · 2n

したがって、元の漸化式の一般解は:an = C · 2n + 3n

初期条件 a1 = 1 より:1 = 2C + 3、C = -1

よって an = -2n + 3n = 3n - 2n

この年度の重要テーマと対策

2011年度に見られた重要テーマ

2011年度の名古屋市立大学数学では、以下のテーマが重点的に出題されました:

1. 座標平面上の図形と変換

点の移動、軌跡の問題は名古屋市立大学で頻出です。特に「原点からの距離」「ベクトルの方向」といった概念を正確に理解し、式で表現する力が求められます。

2. 行列と確率の融合問題

2011年度当時は行列が出題範囲に含まれていました(現在は数学Cから削除)。確率との融合問題は、条件を整理して場合分けする能力が試されます。

3. 微分・積分(特に広義積分)

ガウス関数 e-x² に関連する積分は、名古屋市立大学に限らず多くの大学で出題されます。部分積分、置換積分の技術を確実に身につけておきましょう。

4. 漸化式と数列

非同次線形漸化式の解法は必須です。特性方程式を用いた解法、変数変換による解法の両方をマスターしておくことが重要です。

名古屋市立大学数学の傾向と対策

分野 出題頻度 対策のポイント
微分・積分 ★★★★★ 計算力を磨く。特に置換積分、部分積分は必須。回転体の体積も頻出。
確率・場合の数 ★★★★☆ 条件付き確率、期待値の計算。漏れなく数え上げる力を養う。
数列 ★★★★☆ 漸化式の解法パターンを網羅。和の計算も正確に。
ベクトル・図形 ★★★★☆ 内積、外積の計算。空間図形の体積計算も重要。
複素数平面 ★★★☆☆ 回転、極形式の理解。ド・モアブルの定理の応用。
整数問題 ★★★☆☆ 合同式、素因数分解、ユークリッドの互除法。

効果的な学習法

  1. 基礎の徹底:教科書レベルの公式・定理を完璧に理解する
  2. 計算練習:ミスなく正確に計算できるよう、毎日計算練習を行う
  3. 過去問演習:最低5年分は解き、出題傾向を把握する
  4. 時間配分の練習:本番を想定した時間内での演習を繰り返す
  5. 記述力の向上:答案の書き方、論理の流れを意識した記述練習

類似問題で練習しよう(練習問題3問)

ここでは、2011年度の問題と類似したテーマの練習問題を3問用意しました。ぜひ挑戦してみてください。

練習問題1:座標平面上の点の移動

【問題】

座標平面上で、点P(x, y)を原点Oを中心として反時計回りに角度θだけ回転し、さらに原点から距離2だけ遠ざける変換を T とする。

(1) 点A(1, 0)に対する変換Tによる像の座標を θ を用いて表せ。

(2) θ = π/4 のとき、円 x² + y² = 1 上の各点Pに対する変換Tによる像全体が描く図形を求めよ。

【解答・解説】

(1)の解答:

点A(1, 0)を原点中心にθ回転すると、(cos θ, sin θ)となります。

この点は原点からの距離が1なので、さらに2だけ遠ざけると、原点からの距離は3になります。

方向は変わらないので、像は:(3cos θ, 3sin θ)

(2)の解答:

円 x² + y² = 1

円 x² + y² = 1 上の点は P(cos φ, sin φ)(0 ≤ φ < 2π)と表せます。

Step 1: θ = π/4 だけ回転すると:

P' = (cos(φ + π/4), sin(φ + π/4))

Step 2: 原点から距離2だけ遠ざける

P'は原点からの距離が1なので、遠ざけた後の距離は1 + 2 = 3

T(P) = (3cos(φ + π/4), 3sin(φ + π/4))

φが0から2πまで動くとき、φ + π/4も0 + π/4から2π + π/4まで動きます。

したがって、像全体は原点を中心とする半径3の円となります。

【答え】

(1) (3cos θ, 3sin θ)

(2) 原点を中心とする半径3の円:x² + y² = 9

練習問題2:確率と漸化式

【問題】

袋の中に赤玉2個と白玉1個が入っている。袋から玉を1個取り出し、色を確認してから袋に戻す操作を繰り返す。n回目の操作後に、直前の2回の操作で取り出した玉がともに赤である確率を pn とする(n ≥ 2)。

(1) p2 を求めよ。

(2) pn+1 を pn を用いて表せ。

(3) limn→∞ pn を求めよ。

【解答・解説】

(1)の解答:

2回連続で赤玉を取り出す確率は:

p2 = (2/3) × (2/3) = 4/9

(2)の解答:

「直前2回がともに赤」という状態を考えます。

n+1回目の操作後に「直前2回がともに赤」となるのは:

  • n回目終了時点で「直前2回がともに赤」であり、n+1回目も赤を引く場合
  • n回目終了時点で「直前2回がともに赤ではない」が、n回目が赤で、n+1回目も赤を引く場合

しかし、より正確に考えると:

pn+1 = P(n回目が赤 かつ n+1回目が赤)

= P(n回目が赤) × P(n+1回目が赤)

= (2/3) × (2/3) = 4/9

実は、各試行は独立なので、直前2回がともに赤である確率は常に 4/9 となります。

したがって:pn+1 = 4/9(pnによらない)

(3)の解答:

pn = 4/9(n ≥ 2 で一定)なので:

limn→∞ pn = 4/9

【答え】

(1) 4/9

(2) pn+1 = 4/9

(3) 4/9

【補足】この問題は、各試行が独立であるため、「直前2回」という条件が実質的に意味を持たなくなる例です。もし「玉を戻さない」という条件であれば、より複雑な漸化式が現れます。

練習問題3:積分と極限

【問題】

n を正の整数とする。In = ∫01 xnex dx とおくとき、以下の問いに答えよ。

(1) In+1 を In を用いて表せ。

(2) I1 の値を求めよ。

(3) I3 の値を求めよ。

(4) limn→∞ In/n! を求めよ。

【解答・解説】

(1)の解答:

部分積分を用います。u = xn+1、dv = exdx とおくと、du = (n+1)xndx、v = ex

In+1 = ∫01 xn+1ex dx = [xn+1ex]01 - (n+1)∫01 xnex dx

= e - 0 - (n+1)In

= e - (n+1)In

(2)の解答:

I1 = ∫01 xex dx

部分積分:u = x、dv = exdx

I1 = [xex]01 - ∫01 ex dx = e - [ex]01 = e - (e - 1) = 1

(3)の解答:

(1)の漸化式を用いて計算します。

I2 = e - 2I1 = e - 2·1 = e - 2

I3 = e - 3I2 = e - 3(e - 2) = e - 3e + 6 = 6 - 2e

(4)の解答:

漸化式 In+1 = e - (n+1)In を変形します。

両辺を (n+1)! で割ると:

In+1/(n+1)! = e/(n+1)! - In/n!

an = In/n! とおくと:

an+1 = e/(n+1)! - an

a1 = I1/1! = 1

a2 = e/2! - a1 = e/2 - 1

a3 = e/3! - a2 = e/6 - (e/2 - 1) = e/6 - e/2 + 1 = -e/3 + 1

漸化式を展開すると:

an = (-1)n-1a1 + Σk=2n (-1)n-k · e/k!

n → ∞ のとき、e/k! → 0(k → ∞)であり、交代級数の性質から:

limn→∞ an = e · Σk=0 (-1)k/k! = e · e-1 = 1

(ここで Σk=0 (-1)k/k! = e-1 を使用)

【答え】

(1) In+1 = e - (n+1)In

(2) I1 = 1

(3) I3 = 6 - 2e

(4) limn→∞ In/n! = 1

名古屋市立大学合格に向けた学習戦略

時期別学習プラン

【高2の3月〜高3の6月】基礎固め期

  • 教科書の例題・章末問題を完璧に解けるようにする
  • 青チャートまたはFocus Goldの例題を周回
  • 計算力の強化(毎日15分の計算練習)

【高3の7月〜9月】応用力養成期

  • 標準〜やや難レベルの問題集(1対1対応の演習など)に取り組む
  • 分野別の弱点を洗い出し、重点的に補強
  • 模試の復習を徹底する

【高3の10月〜12月】実戦演習期

  • 名古屋市立大学の過去問を5〜10年分解く
  • 類似レベルの他大学(広島大学、岡山大学など)の過去問も活用
  • 時間を計って本番形式で演習

【高3の1月〜入試直前】仕上げ期

  • 共通テスト対策と二次試験対策のバランスを取る
  • 過去問の2周目で定着度を確認
  • 計算ミス防止の最終チェック

おすすめ参考書・問題集

段階 参考書・問題集 使い方のポイント
基礎 青チャート / Focus Gold 例題を3周。解法パターンを身体に染み込ませる
標準 1対1対応の演習 各単元20題程度を厳選。解説をしっかり読む
応用 プラチカ / やさしい理系数学 入試レベルの思考力を養成
実戦 赤本(過去問) 時間配分を意識。復習ノートを作成

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皆さんの名古屋市立大学合格を心より応援しています!

数強塾・日本数学塾 講師
藤原進之介


※本記事で扱った問題は、2011年度名古屋市立大学入試問題の傾向に基づいて作成した類似問題を含みます。実際の入試問題とは異なる場合がありますので、正確な過去問は大学公式サイトや赤本等でご確認ください。
※記事内の解答・解説は一例です。別解が存在する場合もあります。

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