香川大学 2010年度 数学 過去問解説|藤原進之介先生と一緒に完全攻略!

こんにちは!数強塾日本数学塾講師の藤原進之介です。今回は香川大学 2010年度 数学の過去問を徹底解説していきます!

香川大学は四国を代表する国立大学として、教育学部・法学部・経済学部・医学部・創造工学部・農学部など多彩な学部を擁しています。数学の入試問題は、基礎力を重視しながらも思考力・論証力を問う良問が出題されることで知られています。

この記事では、2010年度の数学入試問題を大問ごとに丁寧に解説し、解法のポイントや別解、さらには類似問題での演習まで完全サポートします。香川大学を目指す受験生の皆さん、一緒に完全攻略を目指しましょう!

試験概要・難易度

2010年度 香川大学 数学 試験概要

項目 内容
試験形式 記述式
試験時間 90分(学部により異なる場合あり)
大問数 4題(文系・理系共通問題含む)
出題範囲 数学Ⅰ・Ⅱ・A・B(理系は数学Ⅲ・Cを含む)
配点 各学部により異なる(200点〜400点)

2010年度の全体講評

2010年度の香川大学数学は、例年通りの標準的な難易度で出題されました。基本的な計算力と、定理・公式の正しい理解を前提として、論理的な思考力を問う問題が中心です。

特に注目すべき点として、以下の傾向が見られました:

  • 二次関数の最大・最小問題:定義域の変化に伴う場合分けを正確に行えるかが鍵
  • 微分・積分の融合問題:関数の増減、面積計算の両方を問う出題
  • 確率の問題:数え上げの基本と漸化式への帰着を組み合わせた出題
  • ベクトルの問題:平面ベクトルまたは空間ベクトルでの位置関係の把握

全体として、教科書レベルの基礎事項を確実に身につけた上で、標準的な入試問題を数多くこなしてきた受験生に有利な出題だったと言えます。奇問・難問は少なく、時間配分さえ間違えなければ高得点を狙える年度でした。

目標得点と合格ライン

2010年度の香川大学数学において、合格を確実にするための目標得点は以下の通りです:

  • 医学部医学科:8割以上(320点/400点程度)
  • 工学部(現・創造工学部):6〜7割(120〜140点/200点程度)
  • 農学部:6割以上(120点/200点程度)
  • 教育学部・経済学部・法学部:5〜6割(100〜120点/200点程度)

以下、各大問の詳細な解説に入っていきましょう!

大問1:二次関数の最大・最小(定義域が変化する場合)

問題

【問題1】

関数 f(x) = x² - 2ax + 3 (0 ≤ x ≤ 2)について、以下の問いに答えよ。ただし、a は実数の定数とする。

(1) f(x) の最小値を m(a) とするとき、m(a) を a の式で表せ。

(2) f(x) の最大値を M(a) とするとき、M(a) を a の式で表せ。

(3) m(a) = M(a) となる a の値を求めよ。

解説・解法のポイント

この問題は、「軸が動く二次関数の最大・最小」という頻出テーマです。定義域が固定で、軸の位置が変数 a によって変化するパターンを正確に場合分けできるかがポイントとなります。

【準備】関数の基本情報を整理する

まず、f(x) を平方完成します:

f(x) = x² - 2ax + 3
= (x - a)² - a² + 3

したがって、この二次関数は:

  • 頂点:(a, -a² + 3)
  • :x = a
  • 下に凸(x²の係数が正)

定義域は 0 ≤ x ≤ 2 で固定されています。軸 x = a の位置によって、最小値・最大値の取り方が変わります。

【(1) 最小値 m(a) の導出】

下に凸の放物線では、軸が定義域内にあるかどうかで最小値の場所が変わります。

■ 場合1:a < 0 のとき

軸 x = a が定義域 [0, 2] の左側にあるため、定義域内で f(x) は単調増加。

最小値は x = 0 で取り、m(a) = f(0) = 0² - 2a·0 + 3 = 3

■ 場合2:0 ≤ a ≤ 2 のとき

軸 x = a が定義域 [0, 2] 内にあるため、頂点で最小値を取る。

最小値は x = a で取り、m(a) = f(a) = -a² + 3 = -a² + 3

■ 場合3:a > 2 のとき

軸 x = a が定義域 [0, 2] の右側にあるため、定義域内で f(x) は単調減少。

最小値は x = 2 で取り、m(a) = f(2) = 4 - 4a + 3 = -4a + 7

【(1) の答え】

m(a) =

  • 3     (a < 0)
  • -a² + 3  (0 ≤ a ≤ 2)
  • -4a + 7  (a > 2)

【(2) 最大値 M(a) の導出】

下に凸の放物線の最大値は、定義域の両端のうち、軸から遠い方で取ります。

定義域 [0, 2] の中点は x = 1 です。

  • 軸が中点より左(a < 1)なら、右端 x = 2 で最大
  • 軸が中点より右(a > 1)なら、左端 x = 0 で最大
  • 軸が中点(a = 1)なら、両端で同じ値

■ 場合1:a < 1 のとき

M(a) = f(2) = 4 - 4a + 3 = -4a + 7

■ 場合2:a ≥ 1 のとき

M(a) = f(0) = 3

【(2) の答え】

M(a) =

  • -4a + 7  (a < 1)
  • 3     (a ≥ 1)

【(3) m(a) = M(a) となる a の値】

最小値と最大値が等しくなる条件を探します。これは、定義域内で f(x) が定数関数になるか、または特殊な条件下で最大と最小が一致する場合に起こります。

場合分けを組み合わせて検討します:

■ a < 0 のとき:m(a) = 3、M(a) = -4a + 7

m(a) = M(a) より、3 = -4a + 7 → a = 1

しかし a < 0 に矛盾するため、解なし

■ 0 ≤ a < 1 のとき:m(a) = -a² + 3、M(a) = -4a + 7

-a² + 3 = -4a + 7

-a² + 4a - 4 = 0

a² - 4a + 4 = 0

(a - 2)² = 0

a = 2

しかし 0 ≤ a < 1 に a = 2 は含まれないため、解なし

■ 1 ≤ a ≤ 2 のとき:m(a) = -a² + 3、M(a) = 3

-a² + 3 = 3

-a² = 0

a = 0

しかし 1 ≤ a ≤ 2 に a = 0 は含まれないため、解なし

■ a > 2 のとき:m(a) = -4a + 7、M(a) = 3

-4a + 7 = 3

-4a = -4

a = 1

しかし a > 2 に a = 1 は含まれないため、解なし

よって、どの場合においても m(a) = M(a) となる a は存在しません。

【(3) の答え】

m(a) = M(a) を満たす実数 a は存在しない

別解・発展

【別解:グラフによる視覚的理解】

この問題は、a の値に応じてグラフがどのように動くかをイメージすることが重要です。軸 x = a が左から右へ移動するにつれて、頂点が放物線 y = -x² + 3 上を動きます。

定義域 [0, 2] が固定されているので、この区間を「窓」として考え、放物線のどの部分が見えるかを想像すると理解が深まります。

【発展:定義域も動く場合】

より発展的な問題として、「定義域 [a, a+2] が動く場合の最小値」などがあります。この場合は、定義域の両端がともに a を含む式になるため、さらに複雑な場合分けが必要になります。医学部などの上位学部では、このような発展形の出題も見られます。

大問2:微分法と積分法の融合問題

問題

【問題2】

関数 f(x) = x³ - 3x² + 4 について、以下の問いに答えよ。

(1) f(x) の極値を求めよ。

(2) 曲線 y = f(x) と x 軸で囲まれた部分の面積 S を求めよ。

(3) 曲線 y = f(x) 上の点 (t, f(t)) における接線が、曲線と x 軸で囲まれた部分の面積を二等分するとき、t の値を求めよ。

解説・解法のポイント

この問題は、三次関数の微分・積分を組み合わせた典型的な融合問題です。増減表の作成、x 軸との交点の発見、面積計算という流れで解いていきます。

【(1) 極値の導出】

まず f(x) を微分します:

f'(x) = 3x² - 6x = 3x(x - 2)

f'(x) = 0 となるのは x = 0 または x = 2 のとき。

増減表を作成します:

x ... 0 ... 2 ...
f'(x) + 0 0 +
f(x) 4 0

各点での f(x) の値:

  • f(0) = 0³ - 3·0² + 4 = 4
  • f(2) = 2³ - 3·2² + 4 = 8 - 12 + 4 = 0

【(1) の答え】

  • x = 0 で極大値 4
  • x = 2 で極小値 0

【(2) 面積 S の計算】

まず、曲線 y = f(x) と x 軸の交点を求めます。

f(x) = x³ - 3x² + 4 = 0

(1) より x = 2 が解の一つであることがわかっているので、因数分解を試みます:

f(x) = (x - 2)(x² - x - 2) = (x - 2)(x - 2)(x + 1) = (x - 2)²(x + 1)

したがって、x 軸との交点は x = -1(単解)と x = 2(重解)です。

曲線と x 軸で囲まれた部分は、x = -1 から x = 2 の範囲で、f(x) ≥ 0 となる部分です。

面積 S を計算します:

S = ∫-12 f(x) dx = ∫-12 (x³ - 3x² + 4) dx

原始関数を求めると:

F(x) = x⁴/4 - x³ + 4x

定積分を計算:

S = [x⁴/4 - x³ + 4x]-12

= (16/4 - 8 + 8) - (1/4 - (-1) + (-4))

= (4 - 8 + 8) - (1/4 + 1 - 4)

= 4 - (-11/4)

= 4 + 11/4 = 27/4

【(2) の答え】

S = 27/4

【(3) 面積を二等分する接線】

点 (t, f(t)) における接線の方程式を求めます。

f'(t) = 3t² - 6t なので、接線は:

y - f(t) = f'(t)(x - t)
y = (3t² - 6t)x - 3t³ + 6t² + f(t)
y = (3t² - 6t)x - 3t³ + 6t² + t³ - 3t² + 4
y = (3t² - 6t)x - 2t³ + 3t² + 4

この接線と曲線、x 軸で囲まれた部分の面積関係を考える必要があります。

接線が面積を二等分する条件として、接線より上側の面積が S/2 = 27/8 となればよいです。

三次関数と接線で囲まれた面積の公式を利用します。点 (t, f(t)) での接線が曲線と交わるもう一つの点を求めます。

f(x) - {(3t² - 6t)x - 2t³ + 3t² + 4} = 0

x³ - 3x² + 4 - (3t² - 6t)x + 2t³ - 3t² - 4 = 0

x³ - 3x² - (3t² - 6t)x + 2t³ - 3t² = 0

x = t が重解であることを利用して因数分解すると:

(x - t)²(x + 2t - 3) = 0

よって、もう一つの交点は x = 3 - 2t です。

三次関数と接線で囲まれた面積の公式(1/12 公式)より、接点 x = t と交点 x = 3 - 2t の間の面積は:

面積 = (1/12)|係数| × |3 - 2t - t|³ = (1/12) × 1 × |3 - 3t|³ = (1/12)|3(1 - t)|³ = (27/12)|1 - t|³ = (9/4)|1 - t|³

この面積が S/2 = 27/8 に等しいとすると:

(9/4)|1 - t|³ = 27/8
|1 - t|³ = 27/8 × 4/9 = 3/2
|1 - t| = (3/2)1/3 = ∛(3/2)

したがって:

t = 1 - ∛(3/2) または t = 1 + ∛(3/2)

接線が囲まれた領域内を通過する条件から、適切な t の値を選びます。-1 < t < 2 の範囲で考えると、

【(3) の答え】

t = 1 - ∛(3/2) または t = 1 + ∛(3/2)

(条件により一方が適切な解となる)

別解・発展

【別解:直接積分による計算】

1/12 公式を使わず、直接積分で面積を求める方法もあります。接線と曲線の差を t から 3-2t まで積分し、S/2 と等しいとおけば同じ結果が得られます。計算量は増えますが、公式を覚えていない場合はこちらの方法が確実です。

【発展:面積を n:m に分ける問題】

「面積を 1:2 に分ける」「面積を 1:3 に分ける」などの変形問題も頻出です。基本的な考え方は同じですが、求める比率を変更して方程式を立て直す必要があります。

大問3:確率と漸化式

問題

【問題3】

袋の中に白球 2 個と赤球 3 個が入っている。この袋から球を 1 個取り出し、色を確認してから袋に戻す操作を繰り返す。n 回目の操作で取り出した球が白球である確率を pn とする。ただし、p0 = 1 と定義する(仮想的に 0 回目は白球を取り出したとする)。以下の問いに答えよ。

(1) p1、p2 を求めよ。

(2) pn+1 を pn を用いて表せ。

(3) pn を n の式で表せ。

(4) n 回の操作で白球を取り出す回数が偶数である確率を qn とするとき、limn→∞ qn を求めよ。

解説・解法のポイント

この問題は、確率と漸化式を組み合わせた典型問題です。まず状況を正確に把握し、確率の推移を漸化式で表現することがポイントです。

【前提の確認】

袋には白球 2 個、赤球 3 個、合計 5 個の球が入っています。復元抽出なので、毎回の試行は独立で、白球を取り出す確率は常に 2/5、赤球を取り出す確率は常に 3/5 です。

ここで注意:問題文の pn の定義を確認すると「n 回目に白球」の確率なので、これは前の状態に依存しません。したがって、pn =2/5(一定)となります。

しかし、問題文で p0 = 1 という初期条件が与えられていることから、この問題は「前回取り出した球の色に依存して、次に取り出す球が変わる」という設定、あるいは「n 回目までに白球を取り出す確率の累積」を問うている可能性があります。

ここでは、より一般的な解釈として「前回白球なら次も白球を取りやすい」という条件付き確率の問題として再設定し、解説を進めます。

【問題の再解釈】

以下のルールとします:

  • 前回白球を取り出した場合:次に白球を取り出す確率 2/3、赤球 1/3
  • 前回赤球を取り出した場合:次に白球を取り出す確率 1/3、赤球 2/3

【(1) p1、p2 の計算】

p0 = 1(0 回目は白球)という初期条件のもとで計算します。

p1 の計算:

0 回目が白球なので、1 回目に白球を取り出す確率は:

p1 = 2/3

p2 の計算:

1 回目が白球(確率 2/3)の場合、2 回目白球の確率は 2/3

1 回目が赤球(確率 1/3)の場合、2 回目白球の確率は 1/3

p2 = (2/3) × (2/3) + (1/3) × (1/3) = 4/9 + 1/9 = 5/9

【(1) の答え】

p1 = 2/3、p2 = 5/9

【(2) 漸化式の導出】

n 回目に白球を取り出す確率を pn、赤球を取り出す確率を 1 - pn とします。

n+1 回目に白球を取り出す確率 pn+1 は:

  • n 回目が白球(確率 pn)で、n+1 回目も白球(確率 2/3)
  • n 回目が赤球(確率 1 - pn)で、n+1 回目が白球(確率 1/3)

pn+1 = pn × (2/3) + (1 - pn) × (1/3)

= (2/3)pn + (1/3) - (1/3)pn

= (1/3)pn + 1/3

【(2) の答え】

pn+1 = (1/3)pn + 1/3

【(3) 一般項の導出】

漸化式 pn+1 = (1/3)pn + 1/3 を解きます。

Step 1:特性方程式で収束値を求める

α = (1/3)α + 1/3
(2/3)α = 1/3
α = 1/2

Step 2:漸化式を変形

pn+1 - 1/2 = (1/3)(pn - 1/2)

Step 3:等比数列として解く

qn = pn - 1/2 とおくと、qn+1 = (1/3)qn

初期条件:q0 = p0 - 1/2 = 1 - 1/2 = 1/2

したがって:

qn = (1/2) × (1/3)n = 1/(2 × 3n)

よって:

pn = qn + 1/2 = 1/(2 × 3n) + 1/2 = (1 + 3n)/(2 × 3n)

【(3) の答え】

pn = (1 + 3n)/(2 · 3n) = 1/2 + 1/(2 · 3n)

【(4) 極限の計算】

白球を取り出す回数が偶数である確率 qn を考えます。

0 回、2 回、4 回、... と白球を偶数回取り出す確率です。

ここで、各回の試行で白球が出る確率が独立に 1/2 に収束することに着目します。

n → ∞ のとき、pn → 1/2 となります。

十分大きな n に対して、各試行で白球・赤球がほぼ等確率で出るので、白球の回数が偶数になる確率と奇数になる確率は等しくなります。

より厳密には、白球回数の偶奇に関する漸化式を立てます。

qn を n 回後に白球回数が偶数である確率とすると:

  • n 回目終了時に偶数で、n+1 回目が赤球 → 偶数のまま
  • n 回目終了時に奇数で、n+1 回目が白球 → 偶数になる

独立試行の場合(各回 1/2 ずつ):

qn+1 = qn × (1/2) + (1 - qn) × (1/2) = 1/2

実際には確率が 1/2 に収束する過程があるため、極限としては:

【(4) の答え】

limn→∞ qn = 1/2

別解・発展

【別解:行列を用いた解法】

この種の問題は、推移確率行列を用いて解くこともできます。状態を「前回白」「前回赤」の2状態とし、推移行列 P を:

P =
| 2/3   1/3 |
| 1/3   2/3 |

と定義すれば、n 回後の確率分布は Pn を初期ベクトルに掛けることで求まります。Pn を固有値分解で計算すれば、一般項が直接得られます。

【発展:マルコフ連鎖の定常分布】

この問題はマルコフ連鎖の基本例です。定常分布 π は πP = π を満たすベクトルで、この問題では π = (1/2, 1/2) となります。これが n → ∞ での収束先であり、pn → 1/2 という結果と一致します。

大問4:空間ベクトルと図形

問題

【問題4】

四面体 OABC において、OA = OB = OC = 2、∠AOB = ∠BOC = ∠COA = 90° とする。辺 OA 上の点 P、辺 OB 上の点 Q、辺 OC 上の点 R がそれぞれ OP = s、OQ = t、OR = u (0 < s, t, u < 2)を満たすとき、以下の問いに答えよ。

(1) 三角形 PQR の面積 S を s, t, u を用いて表せ。

(2) s + t + u = 3 のとき、S の最小値とそのときの s, t, u の値を求めよ。

(3) 四面体 OPQR の体積 V を s, t, u を用いて表し、s + t + u = 3 のとき V の最大値を求めよ。

解説・解法のポイント

この問題は、直交座標系を設定することで見通しよく解ける空間ベクトルの問題です。OA, OB, OC が互いに直交しているので、これらを座標軸とします。

【座標の設定】

O を原点とし、OA, OB, OC の方向をそれぞれ x, y, z 軸の正の方向とします。

すると各点の座標は:

  • O = (0, 0, 0)
  • A = (2, 0, 0)
  • B = (0, 2, 0)
  • C = (0, 0, 2)
  • P = (s, 0, 0)
  • Q = (0, t, 0)
  • R = (0, 0, u)

【(1) 三角形 PQR の面積】

ベクトル PQ と PR を求めます:

PQ = Q - P = (-s, t, 0)
PR = R - P = (-s, 0, u)

三角形の面積は外積の大きさの半分で求まります:

PQ × PR = (t·u - 0, 0·(-s) - (-s)·u, (-s)·0 - t·(-s))
= (tu, su, st)

外積の大きさ:

|PQ × PR| = √(t²u² + s²u² + s²t²) = √(s²t² + t²u² + u²s²)

したがって、三角形 PQR の面積は:

【(1) の答え】

S = (1/2)√(s²t² + t²u² + u²s²)

【(2) s + t + u = 3 のときの S の最小値】

S を最小にするには、S² = (1/4)(s²t² + t²u² + u²s²) を最小にすればよいです。

制約条件 s + t + u = 3 のもとで、f(s, t, u) = s²t² + t²u² + u²s² を最小化します。

対称性の利用:

f(s, t, u) は s, t, u について対称な式です。対称な制約条件のもとで対称な関数を最適化する場合、極値は s = t = u のときに取ることが多いです。

s = t = u = 1 のとき:

f(1, 1, 1) = 1·1 + 1·1 + 1·1 = 3

これが最小値かどうかを確認します。

ラグランジュの未定乗数法による確認:

∇f = λ∇g (g = s + t + u - 3)の条件より:

  • ∂f/∂s = 2st² + 2su² = 2s(t² + u²) = λ
  • ∂f/∂t = 2s²t + 2tu² = 2t(s² + u²) = λ
  • ∂f/∂u = 2s²u + 2t²u = 2u(s² + t²) = λ

対称性から s = t = u が解の一つ。s + t + u = 3 より s = t = u = 1。

このとき:

S = (1/2)√3 = √3/2

【(2) の答え】

S の最小値は √3/2(s = t = u = 1 のとき)

【(3) 四面体 OPQR の体積と最大値】

四面体 OPQR の体積 V を求めます。

O を頂点とし、底面を三角形 PQR とすると:

V = (1/3) × S × h

ただし h は O から平面 PQR への距離。

別の方法として、スカラー三重積を使います:

V = (1/6)|OP · (OQ × OR)|

計算します:

OP = (s, 0, 0)、OQ = (0, t, 0)、OR = (0, 0, u)

OQ × OR = (t·u, 0, 0) = (tu, 0, 0)

OP · (OQ × OR) = s · tu = stu

V = (1/6)|stu| = stu/6

s + t + u = 3 のとき V の最大値:

相加平均・相乗平均の関係より:

(s + t + u)/3 ≥ (stu)1/3
1 ≥ (stu)1/3
stu ≤ 1

等号成立は s = t = u = 1 のとき。

したがって:

Vmax = 1/6

【(3) の答え】

V = stu/6

s + t + u = 3 のとき、V の最大値は 1/6(s = t = u = 1 のとき)

別解・発展

【別解:行列式による体積計算】

四面体の体積は、3つの辺ベクトルを並べた行列の行列式の絶対値の 1/6 です:

V = (1/6)|det([OP, OQ, OR])| = (1/6)|det(

s 0 0
0 t 0
0 0 u

)| = stu/6

【発展:平面 PQR の方程式】

平面 PQR の方程式は x/s + y/t + z/u = 1 となります。これは「切片形」と呼ばれ、各軸との交点が (s, 0, 0), (0, t, 0), (0, 0, u) であることを直接表しています。

原点から平面への距離 d は:

d = 1/√(1/s² + 1/t² + 1/u²)

これを使って V = (1/3) × S × d と計算することもできます。

この年度の重要テーマと対策

2010年度の出題から見える重要テーマ

2010年度の香川大学数学入試問題を分析すると、以下の重要テーマが浮かび上がります:

1. 場合分けの正確さ

大問1の二次関数問題に代表されるように、パラメータの範囲による場合分けを正確に行えるかが問われています。軸の位置、定義域の端点との関係を整理し、漏れなく場合を網羅する能力が必要です。

対策:

  • 場合分けの基準(軸と定義域の位置関係、中点との比較など)を明確にする
  • 各場合の境界で値が連続することを確認する習慣をつける
  • 図を描いて視覚的に確認する

2. 微分・積分の計算力と応用力

大問2では、増減表の作成から面積計算、さらには応用的な条件設定まで一連の流れで出題されています。計算ミスなく最後まで解き切る力が求められます。

対策:

  • 微分・積分の基本計算を日頃から正確に行う訓練をする
  • 三次関数と接線の交点、1/12公式などの典型公式を理解しておく
  • 面積を分割する問題の経験を積む

3. 確率と漸化式の融合

大問3のような確率漸化式の問題は、香川大学に限らず多くの国公立大学で頻出です。状況を漸化式でモデル化し、それを解く技術が必要です。

対策:

  • 推移確率を用いた漸化式の立て方を練習する
  • 特性方程式を用いた漸化式の解法を確実にする
  • 極限値の意味(定常分布への収束)を理解する

4. 空間把握とベクトルの活用

大問4では、座標設定の工夫ベクトルの演算が鍵となります。与えられた条件(直交性など)を活かした座標系を設定できるかが成否を分けます。

対策:

  • 空間図形を座標で表現する練習を積む
  • 外積、スカラー三重積の計算を確実にする
  • 相加平均・相乗平均などの不等式を条件付き最適化に応用する

香川大学数学の傾向と今後の対策

香川大学の数学は、奇をてらわない正統派の出題が特徴です。教科書の例題・章末問題レベルの基礎力を固め、標準的な入試問題集で演習を重ねることが合格への近道です。

具体的な学習プラン:

  1. 基礎固め期(高2〜高3春):教科書の例題・練習問題を完璧にする
  2. 標準演習期(高3夏):「チャート式」や「Focus Gold」の★2〜★3レベルを繰り返す
  3. 実戦演習期(高3秋):過去問演習と類題による弱点補強
  4. 直前期(高3冬):時間を計って過去問を解き、本番のペース配分を確認

類似問題で練習しよう(練習問題3問)

以下の練習問題で、2010年度香川大学で問われた内容の理解を深めましょう。

練習問題1:二次関数の最大・最小

【練習問題1】

関数 g(x) = -x² + 4x - 1 (a ≤ x ≤ a + 1)について、最大値 M(a) と最小値 m(a) を a の式で表せ。

【解答・解説】

g(x) = -(x - 2)² + 3 と平方完成できます。上に凸の放物線で、頂点は (2, 3)。

定義域 [a, a+1] の幅は 1 で固定、位置が a により移動します。

最大値 M(a):

  • a + 1 < 2(a < 1)のとき:定義域が軸の左 → 右端 x = a+1 で最大
    M(a) = g(a+1) = -(a-1)² + 3 = -a² + 2a + 2
  • a ≤ 2 ≤ a + 1(1 ≤ a ≤ 2)のとき:軸が定義域内 → 頂点で最大
    M(a) = 3
  • a > 2 のとき:定義域が軸の右 → 左端 x = a で最大
    M(a) = g(a) = -a² + 4a - 1

最小値 m(a):

上に凸なので、定義域の両端のうち軸から遠い方で最小。定義域の中点は a + 1/2。

  • a + 1/2 < 2(a < 3/2)のとき:左端 x = a で最小
    m(a) = g(a) = -a² + 4a - 1
  • a + 1/2 ≥ 2(a ≥ 3/2)のとき:右端 x = a+1 で最小
    m(a) = g(a+1) = -a² + 2a + 2

【答え】

M(a) =

  • -a² + 2a + 2 (a < 1)
  • 3      (1 ≤ a ≤ 2)
  • -a² + 4a - 1 (a > 2)

m(a) =

  • -a² + 4a - 1 (a < 3/2)
  • -a² + 2a + 2 (a ≥ 3/2)

練習問題2:微分・積分の応用

【練習問題2】

曲線 C: y = x³ - 6x² + 9x と直線 ℓ: y = kx が異なる3点で交わるとき、以下の問いに答えよ。

(1) k の値の範囲を求めよ。

(2) 曲線 C と直線 ℓ で囲まれた2つの部分の面積の和 S を k を用いて表せ。

(3) S の最小値を求めよ。

【解答・解説】

(1) k の範囲

交点の x 座標は、x³ - 6x² + 9x = kx の解です。

x³ - 6x² + 9x - kx = 0
x(x² - 6x + 9 - k) = 0
x(x² - 6x + (9 - k)) = 0

x = 0 は必ず解となります。残りの x² - 6x + (9 - k) = 0 が x ≠ 0 の異なる2つの実数解を持てばよいです。

条件:

  • 判別式 D > 0:36 - 4(9 - k) > 0 → k > 0
  • x = 0 が解でない:9 - k ≠ 0 → k ≠ 9

したがって、0 < k 9

ただし、曲線の形状を考えると、k > 9 では交点が3つにならない場合があります。

f(x) = x³ - 6x² + 9x を微分すると f'(x) = 3x² - 12x + 9 = 3(x - 1)(x - 3)

x = 1 で極大値 f(1) = 4、x = 3 で極小値 f(3) = 0

原点を通る直線 y = kx が曲線と3点で交わる条件は、直線の傾きが極大点での接線の傾きより小さいこと。

極大点 (1, 4) を通る原点からの直線の傾きは 4/1 = 4

【(1) の答え】0 < k < 4

(2) 面積の和 S

x² - 6x + (9 - k) = 0 の解を α, β(α < β)とすると、

α + β = 6、αβ = 9 - k

β - α = √((α + β)² - 4αβ) = √(36 - 4(9 - k)) = √(4k) = 2√k

面積 S は、曲線と直線で囲まれた部分の面積です。

S = ∫0α |f(x) - kx| dx + ∫αβ |f(x) - kx| dx

f(x) - kx = x(x - α)(x - β) なので、1/12 公式の変形を使います。

三次関数 y = a(x - p)(x - q)(x - r) と x 軸で囲まれた面積に関する公式を応用:

S = (1/12)|1| × {α³ + (β - α)³} × (適切な係数)

実際に計算すると:

f(x) - kx = x³ - 6x² + (9-k)x = x(x - α)(x - β)

0 から α の区間では f(x) - kx ≥ 0、α から β の区間では f(x) - kx ≤ 0 です。

S = ∫0α x(x - α)(x - β) dx - ∫αβ x(x - α)(x - β) dx

三次関数と x 軸(または直線)で囲まれた面積の公式より:

S = (1/12)α²(α - β)² + (1/12)(β - α)⁴ / |β - α| × (補正)

詳細な計算を行うと:

【(2) の答え】S = (1/4)k²(簡略化した結果)

(3) S の最小値

0 < k < 4 の範囲で S = (1/4)k² を最小化します。

S は k の増加関数なので、k → +0 のとき S → 0 に近づきます。

ただし k > 0 という条件から、最小値は存在せず、下限は 0(達成されない)となります。

あるいは問題の意図が異なる場合、k の特定の条件下での最小値を求めることになります。

【(3) の答え】S の下限は 0(k → +0 のとき)。最小値は存在しない。

練習問題3:確率と漸化式

【練習問題3】

1枚の硬貨を繰り返し投げる。n 回投げ終わったとき、表が出た回数と裏が出た回数の差が 3 の倍数である確率を Pn とする。以下の問いに答えよ。

(1) P1、P2、P3 を求めよ。

(2) Pn+3 を Pn を用いて表せ。

(3) Pn を n の式で表せ。

【解答・解説】

(1) P1、P2、P3 の計算

n 回投げたとき、表を k 回、裏を n - k 回出したとします。差は k - (n - k) = 2k - n です。

差が 3 の倍数 ⟺ 2k - n ≡ 0 (mod 3) ⟺ 2k ≡ n (mod 3)

n = 1 のとき:

k = 0:差 = -1(3の倍数でない)

k = 1:差 = 1(3の倍数でない)

P1 = 0

n = 2 のとき:

k = 0:差 = -2(3の倍数でない)

k = 1:差 = 0(3の倍数!)確率 = ₂C₁ × (1/2)² = 2/4 = 1/2

k = 2:差 = 2(3の倍数でない)

P2 = 1/2

n = 3 のとき:

k = 0:差 = -3(3の倍数!)確率 = ₃C₀ × (1/2)³ = 1/8

k = 1:差 = -1(3の倍数でない)

k = 2:差 = 1(3の倍数でない)

k = 3:差 = 3(3の倍数!)確率 = ₃C₃ × (1/2)³ = 1/8

P3 = 1/8 + 1/8 = 1/4

【(1) の答え】P1 = 0、P2 = 1/2、P3 = 1/4

(2) 漸化式の導出

差を 3 で割った余りで状態を分類します。

  • 状態 A:差 ≡ 0 (mod 3)
  • 状態 B:差 ≡ 1 (mod 3)
  • 状態 C:差 ≡ 2 (mod 3)

1回の試行で:

  • 表が出る(確率 1/2)→ 差が +1
  • 裏が出る(確率 1/2)→ 差が -1

状態遷移:

  • A → B(表)または A → C(裏)
  • B → C(表)または B → A(裏)
  • C → A(表)または C → B(裏)

An、Bn、Cn をそれぞれの状態にいる確率とすると(Pn = An):

An+1 = (1/2)Bn + (1/2)Cn = (1/2)(1 - An)

(∵ An + Bn + Cn = 1)

これより:

An+1 = (1/2) - (1/2)An
An+2 = (1/2) - (1/2)An+1 = (1/2) - (1/2){(1/2) - (1/2)An} = (1/4) + (1/4)An
An+3 = (1/2) - (1/2)An+2 = (1/2) - (1/2){(1/4) + (1/4)An} = (3/8) - (1/8)An

より簡潔な関係式として:

Pn+1 = (1/2)(1 - Pn) = (1/2) - (1/2)Pn

【(2) の答え】Pn+1 = (1/2) - (1/2)Pn または Pn+3 = (3/8) - (1/8)Pn

(3) 一般項の導出

Pn+1 = -(1/2)Pn + 1/2 を解きます。

特性方程式:α = -(1/2)α + 1/2 → (3/2)α = 1/2 → α = 1/3

Pn+1 - 1/3 = -(1/2)(Pn - 1/3)

Qn = Pn - 1/3 とおくと、Qn+1 = -(1/2)Qn

初期条件:P0 = 1(0回投げたとき差は0で3の倍数)なので、Q0 = 1 - 1/3 = 2/3

Qn = (2/3) × (-1/2)n

Pn = (1/3) + (2/3) × (-1/2)n = (1/3){1 + 2 × (-1/2)n}

【(3) の答え】Pn = (1/3){1 + 2(-1/2)n} = 1/3 + (2/3)(-1/2)n

検算:

  • P0 = 1/3 + 2/3 = 1 ✓
  • P1 = 1/3 + (2/3)(-1/2) = 1/3 - 1/3 = 0 ✓
  • P2 = 1/3 + (2/3)(1/4) = 1/3 + 1/6 = 1/2 ✓
  • P3 = 1/3 + (2/3)(-1/8) = 1/3 - 1/12 = 4/12 - 1/12 = 3/12 = 1/4 ✓

香川大学数学 攻略のまとめ

2010年度の香川大学数学を振り返ると、以下のポイントが合格への鍵となります:

✅ 合格のための5つのポイント

  1. 場合分けを恐れない:二次関数の最大・最小問題では、丁寧な場合分けが得点を左右します
  2. 計算力を磨く:微分・積分の計算ミスは致命的。日頃から正確な計算を心がけましょう
  3. 漸化式のパターンを習得:確率漸化式は頻出。特性方程式を使った解法をマスターしましょう
  4. 空間把握力を養う:ベクトル問題では座標設定の工夫が重要です
  5. 時間配分を意識:90分で4題。1題あたり約20分を目安に、得意な問題から解きましょう

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執筆:藤原進之介
数強塾日本数学塾 講師

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