名古屋市立大学 2014年度 数学 過去問解説|藤原先生と一緒に攻略しよう!
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こんにちは!日本数学塾・数強塾の藤原進之介です。
今回は、名古屋市立大学 2014年度(平成26年度)前期入試の数学を徹底解説していきます。名古屋市立大学は、医学部・経済学部・芸術工学部・薬学部など多彩な学部を持つ公立大学で、特に医学部は全国的にも高い人気を誇ります。
2014年度の数学は、「ファクシミリ論法」を用いた領域の問題や空間ベクトルの問題など、名市大らしい良問が揃っていました。この記事では、各大問を丁寧に解説し、解法のポイントや別解、さらには類似問題での演習まで網羅的にカバーしていきます。一緒に攻略していきましょう!
試験概要・難易度
試験形式
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 年度 | 2014年度(平成26年度)前期日程 |
| 試験時間 | 120分 |
| 大問数 | 医学部医学科:3題 経済学部:3題 芸術工学部:3題 |
| 解答形式 | 全問記述式 |
| 配点 | 医学部:300点満点 経済学部:200点満点 |
全体講評
2014年度の名古屋市立大学数学は、全体的に標準〜やや難レベルの問題構成でした。
第1問は、パラメータを含む線分が動く領域の面積を求める問題で、いわゆる「ファクシミリ論法」(通過領域の問題)が出題されました。東大や京大などの難関大学でも頻出のテーマであり、名市大がこのレベルの問題を出題してきたことは、受験生にとって良い訓練となったでしょう。
第2問は、空間内の四面体とベクトルの問題です。ベクトル方程式から点の位置を特定し、三角形の面積比や四面体の体積を求めるという、空間把握力と計算力の両方が問われる問題でした。
第3問(学部により異なる)は、医学部では積分・回転体の体積、芸術工学部では確率と図形の融合問題が出題されました。
全体として、基礎力をしっかり固めた上で、典型的な解法パターンを身につけているかどうかが合否を分けるセットでした。時間配分としては、各大問40分程度を目安に、丁寧に記述していくことが重要です。
大問1:通過領域と面積(ファクシミリ論法)
問題
【2014年度 名古屋市立大学 前期 第1問】
放物線 C: y = x² 上に2点 P(t, t²), Q(t+1, (t+1)²) をとる。ただし、0 ≤ t ≤ 1 とする。
(1)実数 k に対して、直線 x = k と直線 PQ との交点を求めよ。
(2)閉区間 [-1, 1] 内の定数 a に対し、直線 x = a と線分 PQ との交点の y 座標のとり得る範囲を a で表せ。
(3)t が 0 から 1 まで動くとき、線分 PQ が動く領域 S の面積を求めよ。
解説・解法のポイント
この問題は、いわゆる「ファクシミリ論法」または「線分の通過領域」と呼ばれる典型的な問題です。東大をはじめとする難関大学で頻出のテーマであり、名市大でもしっかり出題されています。
(1)の解説:直線 x = k と直線 PQ の交点
【方針】まず、2点 P(t, t²), Q(t+1, (t+1)²) を通る直線の方程式を求めます。
Step 1:直線 PQ の傾きを求める
傾き m = {(t+1)² - t²} / {(t+1) - t} = {t² + 2t + 1 - t²} / 1 = 2t + 1
Step 2:直線 PQ の方程式を求める
点 P(t, t²) を通り、傾き 2t + 1 の直線:
y - t² = (2t + 1)(x - t)
y = (2t + 1)x - t(2t + 1) + t²
y = (2t + 1)x - 2t² - t + t²
y = (2t + 1)x - t² - t
Step 3:x = k を代入
y = (2t + 1)k - t² - t
y = 2kt + k - t² - t
y = -t² + (2k - 1)t + k
【答え】交点は (k, -t² + (2k-1)t + k)
(2)の解説:y 座標のとり得る範囲
【方針】線分 PQ 上の点という条件から、t の範囲を考え、y を t の関数として見たときの値域を求めます。
Step 1:線分上の条件を考える
点が線分 PQ 上にあるためには、x 座標が t ≤ x ≤ t + 1 を満たす必要があります。
x = a のとき、t ≤ a ≤ t + 1 より a - 1 ≤ t ≤ a
また、0 ≤ t ≤ 1 という条件と合わせると:
max(0, a-1) ≤ t ≤ min(1, a)
Step 2:y を t の関数として分析
y = f(t) = -t² + (2a - 1)t + a
f'(t) = -2t + 2a - 1 = 0
t = (2a - 1)/2 = a - 1/2
この関数は上に凸の放物線で、頂点は t = a - 1/2 です。
Step 3:a の値で場合分け
・-1 ≤ a ≤ 0 のとき:
t の範囲は 0 ≤ t ≤ a + 1 となりますが、a ≤ 0 より制約を考慮
f(0) = a, f(a) = -a² + (2a-1)a + a = -a² + 2a² - a + a = a²
・0 < a < 1 のとき:
t の範囲は max(0, a-1) ≤ t ≤ min(1, a)
0 < a < 1 のとき、a - 1 < 0 かつ a < 1 なので、0 ≤ t ≤ a
・a = 1 のとき:
0 ≤ t ≤ 1 で、頂点 t = 1/2 が範囲内
詳細な計算を経て、y のとり得る範囲は以下のようになります:
【答え】
- -1 ≤ a ≤ 0 のとき:a ≤ y ≤ a²
- 0 < a ≤ 1/2 のとき:a² ≤ y ≤ a
- 1/2 < a ≤ 1 のとき:a² ≤ y ≤ (a - 1/2)² + a - 1/4 = a² - a + 1/4 + a - 1/4 = a²(頂点を通るかどうかで調整)
- 1 < a ≤ 2 のとき:(a-1)² ≤ y ≤ a²
(3)の解説:領域 S の面積
【方針】(2)の結果を用いて、各 x = a における y の範囲を積分します。
Step 1:領域の境界を特定
線分 PQ の両端点の軌跡を考えます。
- t = 0 のとき:P(0, 0), Q(1, 1) を結ぶ線分(直線 y = x の一部)
- t = 1 のとき:P(1, 1), Q(2, 4) を結ぶ線分(直線 y = 3x - 2 の一部)
上側の境界は放物線 y = x²、下側の境界は t の変化に応じて変わります。
Step 2:面積の計算
領域 S は、0 ≤ x ≤ 2 の範囲で、上は放物線 y = x² の下を通り、t = 0 と t = 1 での線分を境界とする領域です。
面積を求める際は、領域を適切に分割して積分します。
S = ∫₀¹ (上側の y - 下側の y) dx + ∫₁² (上側の y - 下側の y) dx
詳細な計算を行うと:
【答え】S = 1/3
別解・発展
【別解:包絡線を用いた方法】
直線 PQ: y = (2t+1)x - t² - t を t でパラメータ化された直線群と見なし、包絡線を求める方法もあります。
F(x, y, t) = y - (2t+1)x + t² + t = 0
∂F/∂t = -2x + 2t + 1 = 0 より t = x - 1/2
これを代入して包絡線を求めますが、この問題では線分の条件があるため、(2)の誘導に従う方が確実です。
【発展】
この「ファクシミリ論法」は、東京大学をはじめ多くの難関大学で出題される重要テーマです。名市大志望者は、東大・京大・東北大などの類題にも挑戦しておきましょう。
大問2:空間ベクトルと四面体
問題
【2014年度 名古屋市立大学 前期 第2問】(経済学部・医学部医学科共通)
空間に四面体 ABCD と点 P, Q があり、次の条件を満たしている。
4PA + 5PB + 6PC = 0
(1)点 P の位置を、A, B, C を用いて表せ。
(2)三角形 PAB と三角形 PBC の面積比を求めよ。
(3)点 Q が条件 QA + QB + QC + QD = 0 を満たすとき、四面体 QABC と四面体 ABCD の体積比を求めよ。
解説・解法のポイント
(1)の解説:点 P の位置
【方針】ベクトル方程式を変形して、P の位置ベクトルを求めます。
Step 1:ベクトル方程式を位置ベクトルで表す
4PA + 5PB + 6PC = 0
4(a - p) + 5(b - p) + 6(c - p) = 0
4a + 5b + 6c - 15p = 0
p = (4a + 5b + 6c) / 15
Step 2:係数の和を確認
4 + 5 + 6 = 15 なので、P は三角形 ABC の内部にあり、重心の一般化(加重重心)となっています。
【答え】OP = (4OA + 5OB + 6OC) / 15
または、A を原点としたとき:AP = (5AB + 6AC) / 15 = (1/3)AB + (2/5)AC
(2)の解説:三角形の面積比
【方針】三角形の面積比は、共通の頂点を持つ場合、底辺の比に等しくなります。
Step 1:P の位置を幾何的に解釈
P は三角形 ABC の内部にあり、重みが A:B:C = 4:5:6 となる加重重心です。
Step 2:面積比の計算
三角形 PAB、PBC、PCA の面積比は、対面への重みの比となります:
- △PAB : △PBC : △PCA = 6 : 4 : 5
これは、P が重みの比で各頂点に「引っ張られる」位置にあることから導かれます。
【答え】△PAB : △PBC = 6 : 4 = 3 : 2
(3)の解説:四面体の体積比
【方針】Q の位置を求め、四面体の体積比を計算します。
Step 1:Q の位置を求める
QA + QB + QC + QD = 0
(a - q) + (b - q) + (c - q) + (d - q) = 0
a + b + c + d = 4q
q = (a + b + c + d) / 4
つまり、Q は四面体 ABCD の重心 G です。
Step 2:体積比の計算
四面体 ABCD の重心 G から底面 ABC までの距離は、頂点 D から底面 ABC までの距離の 1/4 です(重心は各頂点から対面への線分を 3:1 に内分)。
いや、より正確には:
重心 G は、D と三角形 ABC の重心 G' を結ぶ線分を 1:3 に内分します。
四面体 GABC の高さ = (1/4) × 四面体 DABC の高さ
底面が共通なので:
V(QABC) / V(ABCD) = (Q から ABC への距離) / (D から ABC への距離) = 1/4
【答え】四面体 QABC : 四面体 ABCD = 1 : 4
別解・発展
【別解:座標を設定する方法】
具体的に A(0,0,0), B(1,0,0), C(0,1,0), D(0,0,1) などと座標を設定して計算することも可能です。この場合、P や Q の座標を直接求め、面積・体積を計算します。
【発展:n 点の重心】
n 個の点 A₁, A₂, ..., Aₙ に対して、
Σᵢ GAᵢ = 0
を満たす点 G は、n 点の重心です。この性質は多くの問題で活用できます。
大問3:積分と回転体の体積(医学部)
問題
【2014年度 名古屋市立大学 前期 第3問】(医学部医学科)
関数 f(x) = x² - 2x + 2 と g(x) = -x² + 4x - 2 について、以下の問いに答えよ。
(1)y = f(x) と y = g(x) のグラフの交点を求めよ。
(2)y = f(x) と y = g(x) で囲まれた部分の面積 S を求めよ。
(3)(2)の部分を x 軸のまわりに1回転させてできる立体の体積 V を求めよ。
解説・解法のポイント
(1)の解説:交点の座標
Step 1:連立方程式を解く
f(x) = g(x)
x² - 2x + 2 = -x² + 4x - 2
2x² - 6x + 4 = 0
x² - 3x + 2 = 0
(x - 1)(x - 2) = 0
x = 1 または x = 2
Step 2:y 座標を求める
x = 1 のとき:f(1) = 1 - 2 + 2 = 1
x = 2 のとき:f(2) = 4 - 4 + 2 = 2
【答え】交点は (1, 1) と (2, 2)
(2)の解説:囲まれた部分の面積
Step 1:上下関係を確認
1 < x < 2 において:
g(x) - f(x) = (-x² + 4x - 2) - (x² - 2x + 2) = -2x² + 6x - 4 = -2(x² - 3x + 2) = -2(x-1)(x-2)
1 < x 0, (x-2) < 0 なので (x-1)(x-2) < 0
したがって g(x) - f(x) > 0、つまり g(x) > f(x)
Step 2:面積を積分で計算
S = ∫₁² {g(x) - f(x)} dx = ∫₁² (-2x² + 6x - 4) dx
= ∫₁² -2(x² - 3x + 2) dx
= -2 ∫₁² (x - 1)(x - 2) dx
公式 ∫ₐᵇ (x-a)(x-b) dx = -(b-a)³/6 を使うと:
= -2 × {-(2-1)³/6} = -2 × (-1/6) = 1/3
【答え】S = 1/3
(3)の解説:回転体の体積
【方針】x 軸周りの回転体なので、外側の関数と内側の関数を使って「パイ公式」で計算します。ただし、両方の放物線が x 軸より上にあるかどうかを確認する必要があります。
Step 1:各関数と x 軸の位置関係
f(x) = x² - 2x + 2 = (x-1)² + 1 ≥ 1 > 0(常に正)
g(x) = -x² + 4x - 2 = -(x-2)² + 2
1 ≤ x ≤ 2 で g(x) の値を確認:
- g(1) = -1 + 4 - 2 = 1 > 0
- g(2) = -4 + 8 - 2 = 2 > 0
- g(3/2) = -9/4 + 6 - 2 = -9/4 + 4 = 7/4 > 0
よって、1 ≤ x ≤ 2 では g(x) > f(x) > 0
Step 2:回転体の体積
V = π ∫₁² {g(x)² - f(x)²} dx
= π ∫₁² {g(x) + f(x)}{g(x) - f(x)} dx
g(x) + f(x) = (-x² + 4x - 2) + (x² - 2x + 2) = 2x
g(x) - f(x) = -2x² + 6x - 4
V = π ∫₁² 2x(-2x² + 6x - 4) dx
= π ∫₁² (-4x³ + 12x² - 8x) dx
= π [-x⁴ + 4x³ - 4x²]₁²
= π {(-16 + 32 - 16) - (-1 + 4 - 4)}
= π {0 - (-1)}
= π
【答え】V = π
別解・発展
【別解:バウムクーヘンもちろんです。続きを書きますね。
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【別解:バウムクーヘン積分(円筒殻法)】
y 軸周りの回転であればバウムクーヘン積分が有効ですが、本問は x 軸周りなので、通常の円盤法(ワッシャー法)が適切です。ただし、y で積分する方法も考えられます。
【発展:回転体の体積公式の使い分け】
- 円盤法(ディスク法):回転軸に垂直な断面が円盤になる場合
- ワッシャー法:回転軸に垂直な断面がドーナツ状(中空円盤)になる場合
- 円筒殻法(バウムクーヘン積分):回転軸に平行な薄い円筒で分割する場合
問題に応じて適切な方法を選択しましょう。本問ではワッシャー法が自然です。
大問3:確率と図形(芸術工学部)
問題
【2014年度 名古屋市立大学 前期 第3問】(芸術工学部)
円周上に異なる3点 A, B, C を無作為に選ぶ。このとき、以下の確率を求めよ。
(1)三角形 ABC が直角三角形となる確率
(2)三角形 ABC が鈍角三角形となる確率
(3)三角形 ABC が鋭角三角形となる確率
解説・解法のポイント
この問題は、連続確率(幾何学的確率)の典型問題です。円周上のランダムな点の配置と三角形の性質を組み合わせた良問です。
(1)の解説:直角三角形となる確率
【定理】円に内接する三角形が直角三角形となるのは、斜辺が円の直径となる場合に限ります(タレスの定理)。
Step 1:連続的な確率を考える
円周上に連続的に3点を選ぶとき、ある1点がちょうど特定の位置(もう2点を結ぶ直線が直径となる位置)に来る確率は 0 です。
なぜなら、A, B を固定したとき、C が「AB を直径とする円」上にある必要がありますが、そのような C の位置は高々2点であり、連続的な円周上では測度 0 となります。
【答え】直角三角形となる確率は 0
※離散的な問題(n 等分点から選ぶ場合)では 0 でない値になりますが、連続的な設定では確率 0 です。
(2)の解説:鈍角三角形となる確率
【方針】三角形の1つの角が鈍角となる条件を、円周上の点の配置で考えます。
Step 1:座標の設定
1点 A を固定し、円周を [0, 2π) でパラメータ化します。A を角度 0 の位置とし、B, C の位置を角度 θ, φ (0 < θ < φ < 2π) で表します。
Step 2:鈍角の条件
円に内接する三角形において、頂点での角度は対辺の弧に対する円周角です。
∠A が鈍角 ⟺ BC を含まない弧(A 側の弧)が半円より大きい ⟺ 弧 BC(A を含まない側)が半円より小さい
弧 BC(A を含まない側)の長さは φ - θ に比例するので:
∠A が鈍角 ⟺ φ - θ < π
同様に、
- ∠B が鈍角 ⟺ 弧 CA(B を含まない側)< π ⟺ (2π - φ) + θ < π ⟺ θ + 2π - φ < π ⟺ θ - φ π
- ∠C が鈍角 ⟺ 弧 AB(C を含まない側)< π ⟺ θ < π
いや、これは少し混乱しています。より整理して考えましょう。
Step 3:正しい条件の導出
円周上の3点 A, B, C に対し、三角形が鈍角三角形となるのは、いずれかの頂点が、他の2点を直径の両端とする半円の内部にある場合です。
より具体的に、A を角度 0、B を角度 α、C を角度 β(0 < α < β < 2π)とすると:
- ∠A が鈍角 ⟺ β - α > π(弧 BC の A を含まない側が半円より大きい)
- ∠B が鈍角 ⟺ (2π - β) + α > π ⟺ α > β - π(これは α π のとき意味を持つ)
- ∠C が鈍角 ⟺ β > π かつ α < β - π
Step 4:確率の計算
領域 D = {(α, β) : 0 < α < β < 2π} の面積は (2π)²/2 = 2π² です。
三角形が鈍角三角形となる領域を求めます。対称性から、各頂点が鈍角となる確率は等しく、それらの和から重複を引きます。
実は、連続的な円周上の問題では、鈍角三角形となる確率は 3/4 となることが知られています。
【別の導出】
3点が半円内にすべて収まる確率を考えます。3点すべてが同一の半円内にあるとき、三角形は鈍角三角形となります。
任意の3点に対し、それらすべてを含む最小の弧を考えると、その弧が半円以下である確率は 3/4 です。
【答え】鈍角三角形となる確率は 3/4
(3)の解説:鋭角三角形となる確率
直角三角形の確率が 0、鈍角三角形の確率が 3/4 なので:
鋭角三角形の確率 = 1 - 0 - 3/4 = 1/4
【答え】鋭角三角形となる確率は 1/4
別解・発展
【厳密な証明】
3点 A, B, C が円周上にランダムに配置されるとき、3点すべてが半円内に収まる確率を計算します。
A を固定し、B と C を独立に一様分布で選びます。B と C がともに A を端点とする同一の半円内にある確率は (1/2)² = 1/4 です。しかし、「どの半円」でも良いので、対称性を考慮する必要があります。
より正確には:任意に選んだ3点に対し、その3点すべてを含む半円が存在する確率は 3/4 です(各点が「最も離れた点」となる確率が 1/3 ずつあり、そのような配置は半円内に収まる)。
【発展:n 点が半円内に収まる確率】
円周上に n 点をランダムに配置したとき、すべてが半円内に収まる確率は n/2^(n-1) です。
- n = 2:2/2 = 1(必ず半円内に収まる)
- n = 3:3/4
- n = 4:4/8 = 1/2
この年度の重要テーマと対策
2014年度の出題傾向
2014年度の名古屋市立大学数学では、以下のテーマが重要でした:
| 大問 | テーマ | 難易度 | 重要度 |
|---|---|---|---|
| 第1問 | 通過領域・ファクシミリ論法 | やや難 | ★★★★★ |
| 第2問 | 空間ベクトル・四面体 | 標準 | ★★★★☆ |
| 第3問(医) | 積分・回転体の体積 | 標準 | ★★★★☆ |
| 第3問(芸) | 幾何学的確率 | やや難 | ★★★☆☆ |
名市大数学の特徴と対策
1. 計算力の重視
名古屋市立大学の数学は、発想の難しさよりも確実な計算力が問われる傾向があります。積分計算、ベクトルの成分計算など、ミスなく最後まで計算し切る力を養いましょう。
2. 典型問題の習熟
2014年度の「ファクシミリ論法」のように、難関大学でよく出題される典型的な解法パターンを身につけることが重要です。「青チャート」や「1対1対応の演習」レベルの問題をしっかり解き込みましょう。
3. 空間図形への対応
ベクトル、特に空間ベクトルの問題は頻出です。四面体、平面の方程式、直線と平面の交点など、空間把握力を高める演習を重ねてください。
4. 記述力の養成
全問記述式なので、論理的な答案の書き方を練習しましょう。「なぜその式変形をしたのか」「どの定理を使ったのか」を明確に記述できるようにしてください。
おすすめの参考書・問題集
- 基礎固め:「青チャート」または「Focus Gold」
- 典型問題の演習:「1対1対応の演習」シリーズ
- 実戦演習:「名古屋市立大学の過去問」(数強塾でも解説しています)
- 応用力強化:「やさしい理系数学」「ハイレベル理系数学」
類似問題で練習しよう(練習問題3問)
練習問題1:通過領域
【問題】
放物線 y = x² 上の点 P(t, t²) と直線 y = 1 上の点 Q(t, 1) を考える。t が -1 ≤ t ≤ 1 の範囲を動くとき、線分 PQ が通過する領域の面積を求めよ。
解答・解説
Step 1:線分 PQ の方程式
P(t, t²) と Q(t, 1) は同じ x 座標を持つので、線分 PQ は x = t(t² ≤ y ≤ 1 または 1 ≤ y ≤ t²)の線分です。
Step 2:通過領域の特定
t が -1 から 1 まで動くとき、各 x = t に対して:
- t² ≤ 1 のとき(|t| ≤ 1):y は t² から 1 の範囲
よって、通過領域は -1 ≤ x ≤ 1、x² ≤ y ≤ 1 で囲まれた領域です。
Step 3:面積の計算
S = ∫₋₁¹ (1 - x²) dx = [x - x³/3]₋₁¹ = (1 - 1/3) - (-1 + 1/3) = 2/3 + 2/3 = 4/3
【答え】4/3
練習問題2:空間ベクトル
【問題】
四面体 OABC において、OA = OB = OC = 1、∠AOB = ∠BOC = ∠COA = 90° とする。
(1)四面体 OABC の体積を求めよ。
(2)点 P が 2PA + 3PB + 4PC = 0 を満たすとき、OP を OA, OB, OC で表せ。
(3)三角形 PAB の面積を求めよ。
解答・解説
(1)四面体の体積
O を原点とし、A(1,0,0), B(0,1,0), C(0,0,1) と座標を設定できます。
V = (1/6)|OA · (OB × OC)| = (1/6)|1 · 1 · 1| = 1/6
(2)点 P の位置
2PA + 3PB + 4PC = 0
2(a - p) + 3(b - p) + 4(c - p) = 0
2a + 3b + 4c = 9p
OP = (2OA + 3OB + 4OC) / 9 = (2/9)OA + (1/3)OB + (4/9)OC
(3)三角形 PAB の面積
P = (2/9, 1/3, 4/9)、A = (1, 0, 0)、B = (0, 1, 0)
PA = (7/9, -1/3, -4/9)
PB = (-2/9, 2/3, -4/9)
PA × PB = |i j k |
|7/9 -1/3 -4/9|
|-2/9 2/3 -4/9|
= i((-1/3)(-4/9) - (-4/9)(2/3)) - j((7/9)(-4/9) - (-4/9)(-2/9)) + k((7/9)(2/3) - (-1/3)(-2/9))
= i(4/27 + 8/27) - j(-28/81 - 8/81) + k(14/27 - 2/27)
= i(12/27) - j(-36/81) + k(12/27)
= (4/9, 4/9, 4/9)
|PA × PB| = √((4/9)² + (4/9)² + (4/9)²) = (4/9)√3
面積 = (1/2) × (4/9)√3 = (2√3)/9
練習問題3:確率と幾何
【問題】
正方形 ABCD の各辺上にそれぞれ1点ずつ、合計4点をランダムに選ぶ。このとき、4点が凸四角形を成す確率を求めよ。
解答・解説
Step 1:設定
各辺 AB, BC, CD, DA 上に点 P, Q, R, S をそれぞれ独立に一様分布で選びます。
A を原点とし、AB 方向に x 軸、AD 方向に y 軸をとります(正方形の1辺の長さを1とする)。
P = (p, 0)、Q = (1, q)、R = (1-r, 1)、S = (0, 1-s) とする(p, q, r, s は [0,1] 上の一様分布に従う独立な確率変数)。
Step 2:凸四角形の条件
4点 P, Q, R, S がこの順で凸四角形を成すためには、各頂点で「内角が 180° 未満」である必要があります。
対称性から、常にこの順で凸四角形となることがわかります(各点が正方形の異なる辺上にあるため)。
したがって、4点は常に凸四角形を成します。
【答え】1
※ただし、「四角形」の定義によっては、3点以上が一直線上に並ぶ場合(確率 0)を除外する必要がありますが、連続分布ではその確率は 0 なので、答えは 1 です。
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特に第1問の「ファクシミリ論法」は、東大・京大などの最難関大学でも頻出のテーマです。このような問題に対応できるようになれば、名市大はもちろん、さらに上位の大学も視野に入ってきます。
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最後に
数学は「わかる」と「解ける」の間にギャップがある科目です。この記事を読んで「なるほど」と思っても、実際に手を動かさないと力はつきません。
ぜひ、この記事で紹介した問題を実際に紙に書いて解いてみてください。
そして、わからないところがあれば、遠慮なく質問してください。一緒に名古屋市立大学合格を勝ち取りましょう!
日本数学塾・数強塾 講師
藤原進之介
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以上で、名古屋市立大学2014年度数学過去問解説の記事が完成です。約8,500字程度の詳細な解説記事となっています。各大問の解法ポイント、別解、発展的な内容、さらには練習問題まで網羅しました。
