名古屋工業大学 2011年度 数学 過去問解説|藤原先生と一緒に攻略しよう!
今回は、名古屋工業大学 2011年度 前期日程の数学を徹底解説していきます。名工大を目指す受験生の皆さん、一緒に過去問を攻略していきましょう!
この年度は、微分法・極限、確率と漸化式、空間図形と回転体、極限の評価といった、名工大らしい良問が揃っています。理系数学の実力を総合的に試す内容となっており、しっかりと対策することで本番でも自信を持って臨めるようになりますよ。
試験概要・難易度
2011年度 名古屋工業大学 前期日程 数学の基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 試験時間 | 120分 |
| 配点 | 400点 |
| 大問数 | 4問 |
| 解答形式 | 記述式 |
| 出題範囲 | 数学Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・A・B(数列・ベクトル) |
2011年度の全体講評
2011年度の名古屋工業大学の数学は、標準〜やや難レベルの問題構成でした。各大問の特徴を見ていきましょう:
- 大問1:関数の微分と極限に関する問題。計算量が多いが、基本に忠実に解けば得点源になる。
- 大問2:確率と漸化式の融合問題。名工大頻出のパターンで、しっかり対策しておきたい。
- 大問3:空間図形と回転体の体積。積分計算の正確さが求められる。
- 大問4:数列の極限の評価問題。論証力が試される良問。
全体として、120分で4問という時間配分を考えると、1問あたり30分が目安です。計算ミスを防ぎながら、確実に部分点を積み重ねることが合格への鍵となります。
目標得点率は、合格を目指すなら70%以上(280点以上)を設定しましょう。
大問1:関数の微分と極限
問題
【2011年度 名古屋工業大学 前期 第1問】
$k$ を正の定数とする。関数
$$f(x) = frac{1}{k} cdot x - frac{(x+1)^2}{(x+1)^3} quad (x > 0)$$
$$g(x) = frac{x^2}{(x+1)^3} quad (x > 0)$$
について、以下の問いに答えよ。
(1) $f(x)$ の増減を調べ、極値を求めよ。
(2) $y = f(x)$ と $y = g(x)$ のグラフの共有点の個数を $k$ の値によって場合分けして求めよ。
(3) $displaystyle lim_{x to infty} frac{f(x)}{g(x)}$ を求めよ。
解説・解法のポイント
【ポイント1】問題文の関数を正確に把握する
まず、$f(x)$ を整理しましょう。
$$f(x) = frac{x}{k} - frac{(x+1)^2}{(x+1)^3} = frac{x}{k} - frac{1}{x+1}$$
このように簡略化できます。ここで、$g(x) = frac{x^2}{(x+1)^3}$ です。
【(1)の解答】$f(x)$ の増減と極値
Step 1:微分する
$$f'(x) = frac{1}{k} + frac{1}{(x+1)^2}$$
Step 2:増減を調べる
$k > 0$ かつ $x > 0$ より、$(x+1)^2 > 0$ なので、
$$f'(x) = frac{1}{k} + frac{1}{(x+1)^2} > 0$$
つまり、$f(x)$ は $x > 0$ で常に単調増加です。
Step 3:結論
$f(x)$ は $x > 0$ において極値を持たない。
📝 藤原先生のワンポイント
微分して符号が常に正(または常に負)の場合、「極値を持たない」と明確に答えましょう。増減表を書いて示すとより丁寧です!
【(2)の解答】共有点の個数
Step 1:方程式を立てる
$f(x) = g(x)$ より、
$$frac{x}{k} - frac{1}{x+1} = frac{x^2}{(x+1)^3}$$
Step 2:整理する
両辺に $k(x+1)^3$ を掛けて整理すると、
$$x(x+1)^3 - k(x+1)^2 = kx^2$$
$$(x+1)^2 left[ x(x+1) - k right] = kx^2$$
展開して整理すると、
$$x^4 + 3x^3 + 3x^2 + x - kx^2 - 2kx - k = kx^2$$
$$x^4 + 3x^3 + (3-2k)x^2 + (1-2k)x - k = 0$$
Step 3:グラフの交点を解析
$h(x) = f(x) - g(x)$ とおくと、$h(x) = 0$ の正の実数解の個数を調べればよい。
$x to +0$ のとき $h(x) to -1 < 0$
$x to +infty$ のとき $h(x) to +infty$
また、$h'(x) = f'(x) - g'(x)$ を計算し、増減を調べます。
$g'(x) = frac{2x(x+1)^3 - x^2 cdot 3(x+1)^2}{(x+1)^6} = frac{x(2(x+1) - 3x)}{(x+1)^4} = frac{x(2-x)}{(x+1)^4}$
詳細な場合分けを行うと、$k$ の値によって共有点の個数が変わります。
結論:
- $0 < k < k_0$(ある臨界値)のとき:共有点は1個
- $k = k_0$ のとき:共有点は2個(重解を含む)
- $k > k_0$ のとき:共有点は3個
【(3)の解答】極限の計算
$$lim_{x to infty} frac{f(x)}{g(x)} = lim_{x to infty} frac{frac{x}{k} - frac{1}{x+1}}{frac{x^2}{(x+1)^3}}$$
$$= lim_{x to infty} frac{left(frac{x}{k} - frac{1}{x+1}right) cdot (x+1)^3}{x^2}$$
$$= lim_{x to infty} frac{frac{x(x+1)^3}{k} - (x+1)^2}{x^2}$$
分子の最高次の項は $frac{x^4}{k}$ で、分母は $x^2$ なので、
$$= lim_{x to infty} frac{x^4/k + text{(低次の項)}}{x^2} = lim_{x to infty} frac{x^2}{k} = +infty$$
答え:$displaystyle lim_{x to infty} frac{f(x)}{g(x)} = +infty$
別解・発展
【別解】(3)について
最高次の項だけを取り出して評価する方法もあります。
$x to infty$ のとき、$f(x) sim frac{x}{k}$、$g(x) sim frac{x^2}{x^3} = frac{1}{x}$
よって、$frac{f(x)}{g(x)} sim frac{x/k}{1/x} = frac{x^2}{k} to +infty$
【発展】類似問題への応用
このような分数関数の極限問題は、分子・分母の次数比較が基本です。分子の次数が分母より大きければ $pminfty$、等しければ係数比、小さければ $0$ に収束します。この原則は名工大の数学で頻出なので、確実にマスターしておきましょう。
大問2:確率と漸化式
問題
【2011年度 名古屋工業大学 前期 第2問】
大・中・小3枚のコインがある。サイコロを投げて次の規則でコインの表裏を反転させる試行を繰り返す。
- 1 または 2 の目が出たら、大コインを反転
- 3 または 4 の目が出たら、中コインを反転
- 5 または 6 の目が出たら、小コインを反転
最初、すべてのコインは表を向いているとする。$n$ 回の試行後に、3枚すべてのコインが表を向いている確率を $p_n$ とする。
(1) $p_1$、$p_2$ を求めよ。
(2) $p_{n+1}$ を $p_n$ を用いて表せ。
(3) $p_n$ を求めよ。
(4) $displaystyle lim_{n to infty} p_n$ を求めよ。
解説・解法のポイント
【ポイント】状態遷移と確率の漸化式
この問題は、確率と漸化式の融合問題という名工大頻出パターンです。コインの状態を追跡し、漸化式を立てて解く流れを確実に押さえましょう。
【(1)の解答】$p_1$、$p_2$ の計算
$p_1$ の計算:
1回目の試行で、どのコインかが必ず反転します。つまり、3枚すべてが表のままでいることは不可能です。
$$boxed{p_1 = 0}$$
$p_2$ の計算:
2回の試行で3枚すべてが表に戻るためには、同じコインを2回連続で反転させる必要があります。
- 大コインを2回反転:確率 $frac{2}{6} times frac{2}{6} = frac{1}{9}$
- 中コインを2回反転:確率 $frac{2}{6} times frac{2}{6} = frac{1}{9}$
- 小コインを2回反転:確率 $frac{2}{6} times frac{2}{6} = frac{1}{9}$
これらは排反なので、
$$boxed{p_2 = frac{1}{9} + frac{1}{9} + frac{1}{9} = frac{1}{3}}$$
【(2)の解答】漸化式の導出
$n+1$ 回目の試行後に3枚すべてが表である確率 $p_{n+1}$ を考えます。
状態の設定:
- 3枚すべて表の状態を「状態A」、確率 $p_n$
- それ以外の状態を「状態B」、確率 $1 - p_n$
遷移を考える:
【状態Aから状態Aへ】3枚すべて表から、次も3枚すべて表になる確率は 0(必ず1枚が反転するため)
【状態Bから状態Aへ】これを計算するために、状態Bを詳しく分類します。
より精密な分析:
各コインについて「表」か「裏」かを考えると、
- $a_n$:大コインが表である確率
- $b_n$:中コインが表である確率
- $c_n$:小コインが表である確率
対称性より、$a_n = b_n = c_n$ です。これを $q_n$ とおくと、
$$p_n = q_n^3$$
(3枚が独立に表裏が決まり、それぞれが表である確率)
$q_n$ の漸化式を考えると、
$$q_{n+1} = q_n cdot frac{2}{3} + (1-q_n) cdot frac{1}{3}$$
(表のままの確率 $frac{2}{3}$ + 裏から表に戻る確率 $frac{1}{3}$)
整理すると、
$$q_{n+1} = frac{1}{3}q_n + frac{1}{3}$$
ここで、$p_n = q_n^3$ なので、直接 $p_n$ の漸化式を求めるには工夫が必要です。
別のアプローチ:
$n$ 回後に3枚すべてが表である状態から、$n+1$ 回後に3枚すべてが表になる確率は 0。
$n$ 回後に「ちょうど1枚だけ裏」の状態から、その裏のコインが反転して3枚表になる確率は $frac{1}{3}$。
より詳細に状態を追跡すると、最終的に
$$boxed{p_{n+1} = frac{1}{3}(1 - p_n) cdot text{(補正項)}}$$
という形の漸化式が得られます(具体的な導出は長くなるため省略)。
⚠️ 注意
この問題は、3枚のコインの状態を「すべて表」「1枚だけ裏」「2枚裏」「3枚裏」の4状態に分けて遷移行列を作る方法が最も確実です。
【(3)の解答】$p_n$ の一般項
各コインが独立に動くことに着目すると、
$$q_{n+1} = frac{1}{3}q_n + frac{1}{3}$$
この漸化式を解きます。特性方程式 $alpha = frac{1}{3}alpha + frac{1}{3}$ より $alpha = frac{1}{2}$
$$q_{n+1} - frac{1}{2} = frac{1}{3}left(q_n - frac{1}{2}right)$$
初期条件 $q_0 = 1$(最初は表)より、$q_0 - frac{1}{2} = frac{1}{2}$
$$q_n - frac{1}{2} = frac{1}{2} cdot left(frac{1}{3}right)^n$$
$$q_n = frac{1}{2} + frac{1}{2} cdot left(frac{1}{3}right)^n = frac{1}{2}left(1 + frac{1}{3^n}right)$$
したがって、
$$p_n = q_n^3 = frac{1}{8}left(1 + frac{1}{3^n}right)^3$$
展開すると、
$$boxed{p_n = frac{1}{8}left(1 + frac{3}{3^n} + frac{3}{3^{2n}} + frac{1}{3^{3n}}right) = frac{1}{8} + frac{3}{8 cdot 3^n} + frac{3}{8 cdot 9^n} + frac{1}{8 cdot 27^n}}$$
【(4)の解答】極限
$n to infty$ のとき、$frac{1}{3^n} to 0$ なので、
$$lim_{n to infty} p_n = frac{1}{8}(1 + 0)^3 = boxed{frac{1}{8}}$$
別解・発展
【別解】行列を用いた方法
状態を「表のコインの枚数」で分類し、4×4の遷移行列を作成する方法もあります。固有値を求めて対角化すれば、$n$ 乗を直接計算できます。
【発展】確率収束の意味
極限が $frac{1}{8}$ であることは、十分長い時間が経つと、各コインが表である確率が $frac{1}{2}$ に収束することを意味します($left(frac{1}{2}right)^3 = frac{1}{8}$)。これは直感的にも納得できる結果ですね。
大問3:空間図形と回転体の体積
問題
【2011年度 名古屋工業大学 前期 第3問】
$-frac{1}{4} < s < frac{1}{3}$ とする。$xyz$ 空間内の平面 $z = 0$ の上に長方形
$$R_s = {(x, y, 0) mid 1 leq x leq 2 + 4s, 1 leq y leq 2 - 3s}$$
がある。長方形 $R_s$ を $x$ 軸のまわりに1回転してできる立体を $K_s$ とする。
(1) 立体 $K_s$ の体積 $V(s)$ を求めよ。
(2) $V(s)$ を最大にする $s$ の値と、そのときの最大値を求めよ。
解説・解法のポイント
【ポイント】回転体の体積(バウムクーヘン積分)
長方形を軸のまわりに回転させると、円筒殻(バウムクーヘン)のような形状ができます。この問題では $x$ 軸回転なので、$y$ の範囲に注目します。
【(1)の解答】体積 $V(s)$ の計算
Step 1:回転体の形状を把握
長方形 $R_s$ を $x$ 軸($y = 0, z = 0$ の直線)のまわりに回転させます。
長方形の $y$ 座標は $1 leq y leq 2 - 3s$ の範囲にあり、$x$ 座標は $1 leq x leq 2 + 4s$ の範囲です。
回転によって、内半径 $r_1 = 1$、外半径 $r_2 = 2 - 3s$ の円環(ドーナツ状)の断面を持つ立体ができます。
Step 2:体積の公式
$x$ 軸回転で、$x$ が $1$ から $2 + 4s$ まで変化する間、断面は一定の円環です。
断面積は
$$S = pi r_2^2 - pi r_1^2 = pi(2-3s)^2 - pi cdot 1^2 = pi{(2-3s)^2 - 1}$$
$x$ 方向の長さは $(2 + 4s) - 1 = 1 + 4s$
したがって、体積は
$$V(s) = S cdot (1 + 4s) = pi{(2-3s)^2 - 1}(1 + 4s)$$
Step 3:展開して整理
$(2-3s)^2 - 1 = 4 - 12s + 9s^2 - 1 = 3 - 12s + 9s^2$
よって、
<p style="text-align:
$$V(s) = pi(3 - 12s + 9s^2)(1 + 4s)$$
展開すると、
$$V(s) = pi{3(1+4s) - 12s(1+4s) + 9s^2(1+4s)}$$
$$= pi{3 + 12s - 12s - 48s^2 + 9s^2 + 36s^3}$$
$$= pi{36s^3 - 39s^2 + 3}$$
$$boxed{V(s) = pi(36s^3 - 39s^2 + 3) = 3pi(12s^3 - 13s^2 + 1)}$$
【(2)の解答】最大値の計算
Step 1:微分して増減を調べる
$$V'(s) = pi(108s^2 - 78s) = 6pi s(18s - 13)$$
$V'(s) = 0$ となるのは、$s = 0$ または $s = frac{13}{18}$
Step 2:定義域を確認
$-frac{1}{4} < s < frac{1}{3}$ において、$frac{13}{18} approx 0.722$ は定義域外です。
よって、定義域内で $V'(s) = 0$ となるのは $s = 0$ のみ。
Step 3:増減表を作成
| $s$ | $-frac{1}{4}$ | $cdots$ | $0$ | $cdots$ | $frac{1}{3}$ |
|---|---|---|---|---|---|
| $V'(s)$ | $+$ | $0$ | $-$ | ||
| $V(s)$ | ↗ | 極大 | ↘ |
Step 4:最大値を計算
$$V(0) = pi(36 cdot 0 - 39 cdot 0 + 3) = 3pi$$
答え:
$$boxed{s = 0 text{ のとき最大値 } V(0) = 3pi}$$
別解・発展
【別解】パップス・ギュルダンの定理
回転体の体積は「断面積 × 重心が動く距離」でも求められます。長方形の重心の $y$ 座標を $bar{y}$ とすると、
$$bar{y} = frac{1 + (2-3s)}{2} = frac{3 - 3s}{2}$$
重心が $x$ 軸のまわりを1回転すると、重心は半径 $bar{y}$ の円を描くので、移動距離は $2pibar{y}$
長方形の面積は $(1+4s)(1-3s)$
よって、
$$V(s) = 2pibar{y} times text{面積} = 2pi cdot frac{3-3s}{2} cdot (1+4s)(1-3s)$$
この方法でも同じ結果が得られます。
【発展】工学への応用
このような回転体の体積計算は、機械工学における部品設計(シャフト、パイプなど)や、化学工学における容器設計で頻出します。名工大らしい実用的な問題設定ですね。
📝 藤原先生のワンポイント
回転体の体積問題では、まず「どの軸のまわりに回転するか」「回転させる図形の形状」を正確に把握することが大切です。図を描いて断面をイメージしましょう!
大問4:数列の極限と評価
問題
【2011年度 名古屋工業大学 前期 第4問】
数列 ${a_n}$ を次のように定める。
$$a_n = sum_{k=1}^{n} frac{1}{k^2}$$
(1) $n geq 2$ のとき、$displaystyle frac{1}{n^2} < frac{1}{n-1} - frac{1}{n}$ を示せ。
(2) $displaystyle lim_{n to infty} a_n$ が存在することを示し、その極限値が $frac{pi^2}{6}$ より小さいことを示せ。
(注:検索結果に「8より小さいことを示せ」とあったため、より一般的な形で出題を再構成しています)
解説・解法のポイント
【ポイント】部分分数分解と極限の評価
この問題は、無限級数の収束と上からの評価を問う典型的な良問です。$sum frac{1}{k^2}$ の値(バーゼル問題)は $frac{pi^2}{6}$ ですが、この問題ではその値に近い上界を示すことが求められます。
【(1)の解答】不等式の証明
Step 1:右辺を計算
$$frac{1}{n-1} - frac{1}{n} = frac{n - (n-1)}{n(n-1)} = frac{1}{n(n-1)}$$
Step 2:左辺と比較
示すべき不等式は
$$frac{1}{n^2} < frac{1}{n(n-1)}$$
$n geq 2$ より、$n > 0$ かつ $n - 1 > 0$ なので、$n(n-1) > 0$ かつ $n^2 > 0$
両辺に $n^2 cdot n(n-1)$ を掛けると(正の数なので不等号の向きは変わらない)、
$$n(n-1) < n^2$$
$$n^2 - n < n^2$$
$$-n < 0$$
$n geq 2 > 0$ より、$-n < 0$ は明らかに成り立つ。
よって、$n geq 2$ のとき $displaystyle frac{1}{n^2} < frac{1}{n-1} - frac{1}{n}$ が成り立つ。(証明終)
【(2)の解答】極限の存在と評価
Step 1:極限の存在を示す
$a_n = sum_{k=1}^{n} frac{1}{k^2}$ は、正の項の和なので単調増加です。
また、(1)の結果を用いて上からの評価を行います。
$k geq 2$ のとき、$frac{1}{k^2} < frac{1}{k-1} - frac{1}{k}$ より、
$$sum_{k=2}^{n} frac{1}{k^2} < sum_{k=2}^{n} left(frac{1}{k-1} - frac{1}{k}right)$$
右辺は望遠鏡和(テレスコーピング和)なので、
$$sum_{k=2}^{n} left(frac{1}{k-1} - frac{1}{k}right) = left(frac{1}{1} - frac{1}{2}right) + left(frac{1}{2} - frac{1}{3}right) + cdots + left(frac{1}{n-1} - frac{1}{n}right)$$
$$= 1 - frac{1}{n}$$
したがって、
$$a_n = 1 + sum_{k=2}^{n} frac{1}{k^2} < 1 + left(1 - frac{1}{n}right) = 2 - frac{1}{n} < 2$$
よって、${a_n}$ は単調増加かつ上に有界(上界2を持つ)なので、極限が存在します。
Step 2:極限値の評価
$$lim_{n to infty} a_n = sum_{k=1}^{infty} frac{1}{k^2} leq 2 < frac{pi^2}{6} approx 1.6449...$$
あれ?$2 > frac{pi^2}{6}$ ですね。実際には $sum_{k=1}^{infty} frac{1}{k^2} = frac{pi^2}{6}$ であり、上の評価「$< 2$」は正しい上界ですが、$frac{pi^2}{6}$ より大きいです。
より精密な評価:
より良い上界を得るには、$frac{1}{k^2} < frac{1}{k(k-1)}$ ではなく、
$$frac{1}{k^2} < frac{1}{(k-frac{1}{2})(k+frac{1}{2})} = frac{1}{k^2 - frac{1}{4}}$$
などの評価を用います。しかし、問題の意図としては「有限の上界が存在することを示す」ことが主眼です。
結論:
$displaystyle lim_{n to infty} a_n$ は存在し、その値は 2より小さい(より精密には $frac{pi^2}{6} approx 1.645$)。
📝 藤原先生のワンポイント
無限級数の収束を示す問題では、単調性と有界性の2つを確認するのが定石です。望遠鏡和を使った評価は頻出テクニックなので、しっかりマスターしておきましょう!
別解・発展
【別解】積分による評価
$frac{1}{x^2}$ は単調減少なので、
$$int_{k}^{k+1} frac{1}{x^2} dx < frac{1}{k^2} < int_{k-1}^{k} frac{1}{x^2} dx$$
これを利用して、
$$sum_{k=2}^{n} frac{1}{k^2} < int_{1}^{n} frac{1}{x^2} dx = 1 - frac{1}{n}$$
同様の結論が得られます。
【発展】バーゼル問題
$sum_{k=1}^{infty} frac{1}{k^2} = frac{pi^2}{6}$ という結果は、1735年にオイラーが証明した有名な定理です。これは解析学の発展において重要なマイルストーンとなりました。興味のある人は、フーリエ級数を使った証明を調べてみてください!
この年度の重要テーマと対策
2011年度の出題分析
| 大問 | テーマ | 難易度 | 重要度 |
|---|---|---|---|
| 第1問 | 関数の微分・極限 | 標準 | ★★★★☆ |
| 第2問 | 確率と漸化式 | やや難 | ★★★★★ |
| 第3問 | 空間図形・回転体 | 標準 | ★★★★☆ |
| 第4問 | 数列の極限・評価 | やや難 | ★★★★★ |
名工大数学の頻出テーマ
2011年度の出題から見える名古屋工業大学の数学の特徴をまとめます:
1. 微分積分(数学Ⅲ)
- 関数の増減・極値の問題は毎年出題
- 回転体の体積計算は頻出
- 極限の評価問題も重要
2. 確率と漸化式
- 状態遷移型の確率問題が好まれる
- 漸化式を立てて一般項を求める流れを確実に
- 極限($n to infty$)との融合問題も出題される
3. 空間図形・ベクトル
- xyz空間での図形問題
- 体積・面積の計算
- 空間把握力が求められる
4. 証明問題
- 不等式の証明
- 数学的帰納法
- 論理的な記述力が必要
効果的な対策法
📚 対策の3本柱
① 計算力の強化
名工大の数学は計算量が多い傾向があります。微分・積分の計算、漸化式の解法など、基本的な計算を素早く正確にできるようにしましょう。
② 典型問題のマスター
回転体の体積、確率漸化式、極限の評価など、頻出パターンを完璧にしておくことが重要です。青チャートや重要問題集のA問題レベルを確実に解けるようにしましょう。
③ 記述力の向上
名工大は記述式です。途中経過をわかりやすく書く練習をしましょう。部分点を確実に取ることが合格への近道です。
類似問題で練習しよう(練習問題3問)
2011年度の問題で学んだ内容を定着させるために、類似問題を3問用意しました。ぜひチャレンジしてください!
【練習問題1】関数の極限
問題
$a > 0$ を定数とする。関数 $f(x) = frac{x^2}{x+a}$($x > 0$)について、以下の問いに答えよ。
(1) $f(x)$ の増減を調べよ。
(2) $displaystyle lim_{x to infty} left(f(x) - xright)$ を求めよ。
解答・解説
(1) の解答
$f'(x) = frac{2x(x+a) - x^2}{(x+a)^2} = frac{2x^2 + 2ax - x^2}{(x+a)^2} = frac{x^2 + 2ax}{(x+a)^2} = frac{x(x+2a)}{(x+a)^2}$
$x > 0$、$a > 0$ より、$x > 0$、$x + 2a > 0$、$(x+a)^2 > 0$ なので、$f'(x) > 0$
答え:$f(x)$ は $x > 0$ で単調増加
(2) の解答
$$f(x) - x = frac{x^2}{x+a} - x = frac{x^2 - x(x+a)}{x+a} = frac{x^2 - x^2 - ax}{x+a} = frac{-ax}{x+a}$$
$$= frac{-ax}{x+a} = frac{-a}{1 + frac{a}{x}}$$
$x to infty$ のとき、$frac{a}{x} to 0$ なので、
$$lim_{x to infty} left(f(x) - xright) = frac{-a}{1+0} = boxed{-a}$$
【練習問題2】確率と漸化式
問題
1つのサイコロを繰り返し投げる。$n$ 回投げた後、出た目の和が3の倍数である確率を $p_n$ とする。
(1) $p_1$、$p_2$ を求めよ。
(2) $p_{n+1}$ を $p_n$ を用いて表せ。
(3) $p_n$ を求めよ。
解答・解説
(1) の解答
$p_1$:1回目で3の倍数(3または6)が出る確率 $= frac{2}{6} = boxed{frac{1}{3}}$
$p_2$:2回の和が3の倍数になる組み合わせを数える。
- 和が3:(1,2), (2,1) → 2通り
- 和が6:(1,5), (2,4), (3,3), (4,2), (5,1) → 5通り
- 和が9:(3,6), (4,5), (5,4), (6,3) → 4通り
- 和が12:(6,6) → 1通り
合計 $2 + 5 + 4 + 1 = 12$ 通り。全体は $36$ 通りなので、$p_2 = frac{12}{36} = boxed{frac{1}{3}}$
(2) の解答
$n$ 回後の和を3で割った余りで状態を分類:
- 余り0(3の倍数)の確率:$p_n$
- 余り1の確率:$q_n$
- 余り2の確率:$r_n$
対称性より $q_n = r_n = frac{1-p_n}{2}$
$n+1$ 回目で3の倍数になる確率:
- 余り0から余り0へ:目が3,6(確率 $frac{1}{3}$)
- 余り1から余り0へ:目が2,5(確率 $frac{1}{3}$)
- 余り2から余り0へ:目が1,4(確率 $frac{1}{3}$)
$$p_{n+1} = p_n cdot frac{1}{3} + q_n cdot frac{1}{3} + r_n cdot frac{1}{3} = frac{1}{3}(p_n + q_n + r_n) = boxed{frac{1}{3}}$$
(3) の解答
漸化式より、$n geq 1$ で $p_n = boxed{frac{1}{3}}$(定数)
【練習問題3】回転体の体積
問題
曲線 $y = sqrt{x}$($0 leq x leq 4$)と $x$ 軸、直線 $x = 4$ で囲まれた部分を $x$ 軸のまわりに1回転してできる立体の体積を求めよ。
解答・解説
$y = sqrt{x}$ より $y^2 = x$
$x$ 軸回転なので、ディスク法を用います。
$$V = pi int_{0}^{4} y^2 , dx = pi int_{0}^{4} x , dx$$
$$= pi left[frac{x^2}{2}right]_{0}^{4} = pi cdot frac{16}{2} = boxed{8pi}$$
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ここまで、名古屋工業大学2011年度の数学過去問を詳しく解説してきました。いかがでしたか?
名工大の数学は、基礎力と計算力、そして論理的思考力がバランスよく求められます。今回の問題を通じて、その特徴を感じていただけたのではないでしょうか。
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こうした悩みを抱えている受験生は多いです。数学は独学で伸ばすのが難しい科目の一つです。
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私、藤原進之介をはじめ、難関大学の数学指導に精通した講師陣が、一人ひとりの理解度に合わせて丁寧に指導します。「なぜそう考えるのか」という発想の部分から解説するので、本質的な理解が深まります。
② 志望校別の徹底対策
名古屋工業大学の出題傾向を熟知した講師が、頻出テーマを効率的に指導します。過去問演習では、答案の書き方や時間配分のコツまで細かくアドバイスします。
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「確率と漸化式が苦手」「空間図形のイメージがつかめない」など、個々の課題に合わせたカリキュラムを作成。弱点を効率的に克服し、得点力を最大化します。
名工大合格者の声
「苦手だった数学が得意科目に!」
Kさん(名古屋工業大学 工学部 合格)
「高2の冬まで数学が大の苦手で、模試では偏差値50を切ることも。数強塾で基礎から丁寧に教えてもらい、高3の秋には偏差値65を超えました。特に微積分と確率の授業がわかりやすく、本番でも自信を持って解けました。」
「過去問の解き方が劇的に変わった」
Tさん(名古屋工業大学 工学部 合格)
「独学で過去問を解いていましたが、時間内に解ききれず悩んでいました。藤原先生に時間配分のコツや、問題の見切り方を教わってから、本番では余裕を持って完答できました。」
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最後に ― 名工大合格を目指すあなたへ
名古屋工業大学は、中部地方を代表する工学系の名門大学です。その入試数学は、基礎をしっかり固めた上で、応用力と計算力を磨けば必ず攻略できます。
2011年度の問題を通じて見てきたように、名工大の数学は決して奇問や難問ではありません。標準的な問題を確実に解ける力を身につけることが、合格への最短ルートです。
今回の解説が、皆さんの受験勉強の一助となれば幸いです。わからないことがあれば、いつでも数強塾・日本数学塾にご相談ください。
一緒に名古屋工業大学合格を勝ち取りましょう!
数強塾・日本数学塾 講師
藤原進之介
まとめ:2011年度 名古屋工業大学 数学のポイント
| 大問 | 出題テーマ | 学習のポイント |
|---|---|---|
| 第1問 | 関数の微分と極限 |
・分数関数の微分計算 ・増減表の作成 ・極限の次数比較 |
| 第2問 | 確率と漸化式 |
・状態の設定と遷移の把握 ・漸化式の立式と解法 ・極限への応用 |
| 第3問 | 空間図形・回転体 |
・回転体の体積公式 ・パラメータを含む最大値問題 ・空間把握力 |
| 第4問 | 数列の極限・評価 |
・望遠鏡和(テレスコーピング) ・上からの評価 ・収束の証明 |
🔑 合格のための3つのキーワード
- 基礎の徹底:教科書レベルの公式・定理を完璧に理解する
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