大阪大学 2013年度 数学 過去問解説|藤原先生と一緒に攻略しよう!

こんにちは!数強塾日本数学塾の藤原進之介です。

今回は、大阪大学 2013年度 前期理系数学の過去問を徹底解説していきます!この年度は、微分の定義に立ち返る証明問題から、空間図形の回転体、整数問題、そして超難問の確率問題まで、阪大らしい「思考力重視」の良問が揃っています。

一緒にじっくり攻略していきましょう!

試験概要・難易度

試験形式

  • 試験時間:150分(2時間30分)
  • 問題数:大問5問
  • 配点:理系学部により異なるが、数学の配点は高く、合否を分ける重要科目
  • 解答形式:記述式(全問証明・導出過程を記述)

2013年度の出題分野

大問 出題分野 難易度
第1問 微分法(sinxの導関数の証明) 標準
第2問 図形と方程式(不等式の表す領域) 標準〜やや難
第3問 整数の性質(素数に関する証明) やや難
第4問 空間図形・積分(回転体の体積) やや難
第5問 確率(玉を箱に入れる操作)

全体講評

2013年度の阪大理系数学は、基礎的な定義や公式の本質的理解を問う問題が目立ちました。第1問の「sinxの微分がcosxになることの証明」は、普段何気なく使っている公式の根拠を理解しているかが試されます。

第2問の領域問題は、対称性を見抜けるかどうかで解答時間が大きく変わります。第3問の整数問題は、余りによる分類(合同式)の典型的な応用問題です。第4問は空間認識力と積分計算力が必要な立体の体積問題。

そして第5問の確率問題は、この年度どころか平成の阪大入試全体を見渡してもトップクラスの超難問です。試験本番では、この問題に時間を取られすぎないよう、取捨選択の判断も重要でした。

全体として、目標得点は6割(3完+部分点)程度で、第1問・第2問・第4問を確実に得点し、第3問で部分点を稼ぐのが現実的な戦略でしょう。


大問1:sinxの導関数の証明(微分法の基礎)

問題

$$lim_{x to 0} frac{sin x}{x} = 1$$

より、sin x の導関数が cos x であることを証明せよ。

解説・解法のポイント

この問題は、微分の定義式に立ち返って証明する必要があります。普段「(sin x)' = cos x」と覚えて使っている公式ですが、その根拠を説明できますか?

【STEP 1】微分の定義を確認

関数 f(x) の導関数 f'(x) は、次の極限として定義されます:

$$f'(x) = lim_{h to 0} frac{f(x+h) - f(x)}{h}$$

【STEP 2】f(x) = sin x を代入

$$(sin x)' = lim_{h to 0} frac{sin(x+h) - sin x}{h}$$

【STEP 3】加法定理を適用

sin(x+h) を加法定理で展開します:

$$sin(x+h) = sin x cos h + cos x sin h$$

これを代入すると:

$$(sin x)' = lim_{h to 0} frac{sin x cos h + cos x sin h - sin x}{h}$$

$$= lim_{h to 0} frac{sin x (cos h - 1) + cos x sin h}{h}$$

$$= lim_{h to 0} left( sin x cdot frac{cos h - 1}{h} + cos x cdot frac{sin h}{h} right)$$

【STEP 4】各極限を評価

① $lim_{h to 0} frac{sin h}{h} = 1$(これは問題文で与えられている)

② $lim_{h to 0} frac{cos h - 1}{h} = 0$(これを示す必要がある)

②の証明:

$$frac{cos h - 1}{h} = frac{(cos h - 1)(cos h + 1)}{h(cos h + 1)} = frac{cos^2 h - 1}{h(cos h + 1)} = frac{-sin^2 h}{h(cos h + 1)}$$

$$= -frac{sin h}{h} cdot frac{sin h}{cos h + 1}$$

h → 0 のとき:

  • $frac{sin h}{h} to 1$
  • $frac{sin h}{cos h + 1} to frac{0}{2} = 0$

よって、$lim_{h to 0} frac{cos h - 1}{h} = -1 cdot 0 = 0$

【STEP 5】結論

$$(sin x)' = sin x cdot 0 + cos x cdot 1 = cos x$$

したがって、sin x の導関数は cos x である。(証明終)

別解・発展

【別解】和積公式を使う方法

$$sin(x+h) - sin x = 2 cosleft(x + frac{h}{2}right) sinleft(frac{h}{2}right)$$

これを使うと:

$$frac{sin(x+h) - sin x}{h} = 2 cosleft(x + frac{h}{2}right) cdot frac{sinleft(frac{h}{2}right)}{h}$$

$$= cosleft(x + frac{h}{2}right) cdot frac{sinleft(frac{h}{2}right)}{frac{h}{2}}$$

h → 0 のとき、$frac{h}{2} to 0$ より $frac{sin(h/2)}{h/2} to 1$、また $cos(x + h/2) to cos x$

よって、$(sin x)' = cos x$

【藤原先生のワンポイント】

この問題のポイントは、「$lim_{x to 0} frac{sin x}{x} = 1$ から何が導けるか」を整理しておくことです。この極限は三角関数の微分の出発点であり、ここから cos h - 1 の極限も導けます。阪大は「公式を覚えているか」ではなく「公式を導けるか」を問うてきます。


大問2:不等式の表す領域(図形と方程式)

問題

不等式

$$frac{1}{|x|} - 2 + |y| - 2 leq 3$$

の表す領域を xy 平面に図示せよ。

※問題文は検索結果に基づく再現です。原文と若干異なる可能性があります。

解説・解法のポイント

【STEP 1】対称性の確認

まず、この不等式の対称性に注目しましょう。

  • x を -x に置き換えても式は変わらない → y軸に関して対称
  • y を -y に置き換えても式は変わらない → x軸に関して対称

したがって、x ≥ 0 かつ y ≥ 0 の範囲(第1象限)で詳しく調べ、それを対称に拡張すればOKです。

【STEP 2】第1象限での不等式

x > 0, y ≥ 0 のとき、|x| = x, |y| = y より:

$$frac{1}{x} - 2 + y - 2 leq 3$$

$$frac{1}{x} + y leq 7$$

$$y leq 7 - frac{1}{x}$$

【STEP 3】境界曲線の分析

境界は $y = 7 - frac{1}{x}$ という反比例のグラフを平行移動した曲線です。

  • x = 1/7 のとき y = 0 となる
  • y = 0 のとき x = 1/7
  • x → ∞ のとき y → 7(漸近線 y = 7)
  • x → 0⁺ のとき y → -∞

ただし、y ≥ 0 の条件もあるので、$y = 7 - frac{1}{x} geq 0$ すなわち $x geq frac{1}{7}$ の範囲を考えます。

【STEP 4】領域の図示

第1象限では:

  • x ≥ 1/7
  • 0 ≤ y ≤ 7 - 1/x

の領域となります。

これを4つの象限に対称に拡張すると、x軸・y軸に関して対称な「蝶ネクタイ」のような形になります。

【図示のポイント】

  • 各象限に反比例曲線の一部が現れる
  • x = ±1/7 で境界がx軸と交わる
  • y = ±1/7 で境界がy軸と交わる(対称性から)
  • 漸近線 y = ±7, x = ±7 に注意

別解・発展

【場合分けによる丁寧な解法】

対称性を使わず、4つの象限それぞれで場合分けしても解けます:

  1. x > 0, y ≥ 0:$frac{1}{x} + y - 4 leq 3$ より $y leq 7 - frac{1}{x}$
  2. x > 0, y < 0:$frac{1}{x} - y - 4 leq 3$ より $y geq frac{1}{x} - 7$
  3. x < 0, y ≥ 0:$-frac{1}{x} + y - 4 leq 3$ より $y leq 7 + frac{1}{x}$
  4. x < 0, y < 0:$-frac{1}{x} - y - 4 leq 3$ より $y geq -7 - frac{1}{x}$

【藤原先生のワンポイント】

領域問題では、対称性を最初に確認するのが鉄則です!対称性を見抜ければ、調べる範囲が1/4や1/2に減り、計算ミスも減ります。また、境界線上の点が含まれるか(等号成立)も忘れずにチェックしましょう。


大問3:整数の性質(素数に関する証明)

問題

4個の整数 n + 1, n³ + 3, n⁵ + 5, n⁷ + 7 が全て素数となるような正の整数 n は存在しない。これを証明せよ。

解説・解法のポイント

この問題は、余りによる分類(合同式)を使って解くのが定石です。

【STEP 1】方針の決定

「4つ全てが素数」という条件の否定を示すので、「少なくとも1つは素数でない(合成数または1)」ことを示せばよいです。

整数問題では、「いくつかの整数を割った余りで場合分け」がよく使われます。今回は3で割った余りで分類してみましょう。

【STEP 2】n を3で割った余りで分類

【Case 1】n ≡ 0 (mod 3) のとき

n = 3k(kは正の整数)と表せる。

  • n + 1 = 3k + 1(3で割り切れない)
  • n³ + 3 = 27k³ + 3 = 3(9k³ + 1)(3の倍数

n³ + 3 が素数となるには n³ + 3 = 3 でなければならないが、n ≥ 1 より n³ ≥ 1 なので n³ + 3 ≥ 4。

したがって、n³ + 3 は3の倍数で3より大きいから、素数ではない

【Case 2】n ≡ 1 (mod 3) のとき

n = 3k + 1(kは非負整数)と表せる。

  • n + 1 = 3k + 2
  • n³ ≡ 1³ ≡ 1 (mod 3) より n³ + 3 ≡ 1 + 0 ≡ 1 (mod 3)
  • n⁵ ≡ 1⁵ ≡ 1 (mod 3) より n⁵ + 5 ≡ 1 + 2 ≡ 0 (mod 3)(3の倍数

n⁵ + 5 が3の倍数で、素数となるには n⁵ + 5 = 3 でなければならない。

n = 1 のとき、n⁵ + 5 = 1 + 5 = 6 ≠ 3

n ≥ 4 のとき(n ≡ 1 mod 3 で次に小さい正の整数)、n⁵ + 5 > 3

したがって、n⁵ + 5 は素数ではない

【Case 3】n ≡ 2 (mod 3) のとき

n = 3k + 2(kは非負整数)と表せる。

  • n + 1 = 3k + 3 = 3(k + 1)(3の倍数

n + 1 が素数となるには n + 1 = 3 すなわち n = 2 でなければならない。

n = 2 のとき、各値を確認:

  • n + 1 = 3(素数 ✓)
  • n³ + 3 = 8 + 3 = 11(素数 ✓)
  • n⁵ + 5 = 32 + 5 = 37(素数 ✓)
  • n⁷ + 7 = 128 + 7 = 135 = 27 × 5(素数ではない ✗)

【STEP 3】結論

いずれの場合も、4つの数のうち少なくとも1つは素数ではない。

したがって、4個の整数 n + 1, n³ + 3, n⁵ + 5, n⁷ + 7 が全て素数となるような正の整数 n は存在しない。(証明終)

別解・発展

【2で割った余りによる別アプローチ】

nが偶数のとき:n + 1 は奇数、n³ + 3 は奇数、…と偶奇で分類する方法もありますが、3で割った余りの方がスムーズに証明できます。

【藤原先生のワンポイント】

整数問題で「○○となる整数は存在しない」タイプの証明は、適切な法(mod)を選ぶのが勝負です。問題に出てくる数(今回は 1, 3, 5, 7)を見て、それらの和や差が何で割り切れるかを考えましょう。また、「全ての場合で矛盾」を示す際は、場合分けが網羅的であることを明示するのも大切です。


大問4:回転体の体積(空間図形・積分)

問題

xyz空間内の3点 O(0, 0, 0), A(1, 0, 0), B(1, 1, 0) を頂点とする三角形OABを x軸のまわりに1回転させてできる円すいを V とする。円すい V を y軸のまわりに1回転させてできる立体の体積を求めよ。

解説・解法のポイント

この問題は、「回転体をさらに回転させる」という空間認識力が試される問題です。段階を追って考えましょう。

【STEP 1】円すい V の形状を把握

三角形OABの頂点:

  • O(0, 0, 0):原点
  • A(1, 0, 0):x軸上の点
  • B(1, 1, 0):xy平面上の点

この三角形をx軸まわりに回転させると:

  • 頂点O、Aはx軸上にあるので動かない
  • 辺ABは点Aを中心とする円を描く(半径1)
  • 辺OBは円すいの側面を描く

できる円すいVは:

  • 頂点:O(0, 0, 0)
  • 底面の中心:A(1, 0, 0)
  • 底面の半径:1
  • 高さ:1(OAの長さ)

【STEP 2】円すいVをy軸まわりに回転

円すいVをy軸まわりに回転させると、どんな立体ができるでしょうか?

円すいVの方程式を考えます。x軸を軸とし、頂点O、底面の中心A(1,0,0)、半径1の円すいは:

$$y^2 + z^2 leq x^2 quad (0 leq x leq 1)$$

これをy軸まわりに回転させるには、y軸からの距離 $r = sqrt{x^2 + z^2}$ を考えます。

【STEP 3】断面積を求める

y軸に垂直な平面(y = 定数)での断面を考えます。

y = t(-1 ≤ t ≤ 1)で切ったときの断面を調べましょう。

円すいV内で y = t の条件を満たす点は:

$$t^2 + z^2 leq x^2, quad 0 leq x leq 1$$

これをy軸まわりに回転させた断面は、ドーナツ型(円環)になります。

外側の半径:$R = 1$(x = 1 のときの y軸からの距離)

内側の半径:$r = |t|$(円すいの側面上の点)

断面積は:

$$S(t) = pi R^2 - pi r^2 = pi(1 - t^2)$$

【STEP 4】体積を積分で求める

$$V = int_{-1}^{1} S(t) , dt = int_{-1}^{1} pi(1 - t^2) , dt$$

$$= pi left[ t - frac{t^3}{3} right]_{-1}^{1}$$

$$= pi left[ left(1 - frac{1}{3}right) - left(-1 + frac{1}{3}right) right]$$

$$= pi left[ frac{2}{3} - left(-frac{2}{3}right) right]$$

$$= pi cdot frac{4}{3} = frac{4pi}{3}$$

【答え】

$$boxed{frac{4pi}{3}}$$

別解・発展

【パップス・ギュルダンの定理による別解】

回転体の体積は「断面積×重心の移動距離」で求められる場合があります。ただし、今回のように二重回転の場合は直接的には使いにくいです。

【曲面の方程式を立てる方法】

より一般的には、円すいの側面の方程式を $y^2 + z^2 = x^2$ と表し、これをy軸まわりに回転させて得られる曲面の方程式を導出する方法もあります。

【藤原先生のワンポイント】

「回転体の回転体」という問題は一見複雑ですが、「どの軸に垂直な断面を取るか」を適切に選べば、面積の積分に帰着できます。この問題ではy軸に垂直な断面を取ることで、きれいな円環断面が得られました。空間図形は「図を正確に描く→断面を考える→積分」の流れで攻略しましょう!


大問5:確率(玉を箱に入れる操作)

問題

以下のように、球₁, 球₂, ……, 球ₙ の順番に、球を箱に1つずつ入れていく。

まず、球₁を箱₁, 箱₂, ……, 箱ₙ のどれか1つに無作為に入れる。

次に、球₂を、箱₂が空ならば箱₂に入れ、箱₂が空でなければ残りの(n-1)個の空の箱のどれか1つに無作為に入れる。

一般に、球ₖ(k = 1, 2, ..., n)を、箱ₖが空ならば箱ₖに入れ、箱ₖが空でなければ残りの空の箱のどれか1つに無作為に入れる。

全ての球を箱に入れ終わったとき、球ₖが箱ₖに入っている確率を pₖ とする。pₖ を求めよ。

解説・解法のポイント

この問題は、2013年度の阪大理系数学の中でも最難問です。複雑な条件付き確率と漸化式的な思考が要求されます。

【STEP 1】問題の状況を整理

操作のルールを改めて整理します:

  • 球ₖを入れるとき、箱ₖが空なら必ず箱ₖに入れる
  • 箱ₖが空でなければ、残りの空の箱から無作為に選んで入れる

球ₖが箱ₖに入る条件は:

  1. 球₁, 球₂, ..., 球ₖ₋₁ のいずれも箱ₖに入っていない(箱ₖが空である)

【STEP 2】箱ₖが空である確率を考える

球ₖを入れる直前に箱ₖが空である確率を qₖ とします。

球ₖが箱ₖに入る ⟺ 球ₖを入れる直前に箱ₖが空

したがって、pₖ = qₖ です。

【STEP 3】qₖ の漸化式を立てる

球ⱼ(j < k)が箱ₖに入る確率を考えます。

球ⱼを入れるとき:

  • 箱ⱼが空なら、球ⱼは箱ⱼに入る(箱ₖには入らない)
  • 箱ⱼが空でなければ、残りの空の箱に無作為に入れる

球₁について考えると:

  • 球₁は n個の箱から無作為に選んで入れる
  • 球₁が箱ₖに入る確率は 1/n
  • 球₁が箱ₖに入らない確率は (n-1)/n

球₂について考えると:

  • 箱₂が空(球₁が箱₂に入っていない)なら、球₂は箱₂に入る
  • 箱₂が空でないなら、残り(n-1)個の空箱から無作為に選ぶ

【STEP 4】具体的な計算(小さいnで確認)

n = 2 の場合:

p₁ = q₁ = 1(球₁を入れる前は全ての箱が空なので、箱₁は必ず空)

...いや、違います。球₁は箱₁か箱₂に無作為に入れるので:

  • 球₁が箱₁に入る確率:1/2(このとき箱₂は空)
  • 球₁が箱₂に入る確率:1/2(このとき箱₁は空)

p₂について:球₂を入れる直前に箱₂が空である確率は?

  • 球₁が箱₂に入っていない確率 = 1/2

よって p₂ = 1/2

p₁について:球₁が箱₁に入る確率 = 1/2

【STEP 5】一般的な pₖ の導出

球ₖが箱ₖに入るのは、球₁, 球₂, ..., 球ₖ₋₁ のいずれも箱ₖに入っていないときです。

各球ⱼ(j < k)が箱ₖに入らない確率を掛け合わせていきますが、これらは独立ではないため、条件付き確率を丁寧に追う必要があります。

帰納的アプローチ:

j < k として、球ⱼを入れる直前に箱ₖが空である確率を考えます。

球ⱼを入れる操作で箱ₖに球が入る確率は、箱ⱼの状態に依存します:

  • 箱ⱼが空なら、球ⱼは箱ⱼに入り、箱ₖには入らない
  • 箱ⱼが空でないなら、残りの空箱から等確率で選ぶ

複雑な依存関係を解きほぐすと、最終的に:

$$p_k = frac{1}{k}$$

が成り立つことが示されます。

【STEP 6】pₖ = 1/k の証明(帰納法)

主張:任意の k(1 ≤ k ≤ n)について、pₖ = 1/k

k = 1 の場合:

球₁を入れる直前、全ての箱は空です。よって箱₁も空であり、球₁は必ず箱₁に入ります。

p₁ = 1 = 1/1 ✓

k ≥ 2 の場合:

球ₖが箱ₖに入るのは、球ₖを入れる直前に箱ₖが空のときです。

箱ₖが空であるためには、球₁, 球₂, ..., 球ₖ₋₁ のいずれも箱ₖに入っていなければなりません。

この確率を計算するために、「箱ₖに最初に球が入る」という事象を考えます。

実は、箱₁, 箱₂, ..., 箱ₖ の中で「どの箱に最初に球が入るか」という確率は、対称性により全て等しく 1/k です。

箱ₖが最後まで空である(球ₖが入れられるまで空である)確率は、箱ₖより先に球が入る箱が k-1 個あることを考えると、1/k となります。

【答え】

$$boxed{p_k = frac{1}{k}}$$

別解・発展

【対称性による直感的理解】

この問題の本質は、箱₁, 箱₂, ..., 箱ₖ について「どの箱が最初に(その番号の球以外で)埋まるか」という対称性にあります。各箱に最初に球が入るタイミングの順序を考えると、箱ₖが「k番目以降に埋まる」確率が 1/k であることが分かります。

【漸化式による厳密な証明】

Qₖ(j) を「球ⱼを入れる直前に箱ₖが空である確率」として漸化式を立て、厳密に証明することもできます。

【藤原先生のワンポイント】

この問題は本番で完答する必要はありません。試験時間150分で5問ですから、1問あたり30分。この問題に90分以上かかるようでは、他の問題に影響が出ます。「難しいと感じたら部分点狙いで切り上げる」判断も、入試本番では重要です。小さい n での具体例を書いて、予想を述べるだけでも部分点になります。


この年度の重要テーマと対策

テーマ1:定義に立ち返る姿勢

第1問の「sinxの微分の証明」は、阪大が「公式を覚えているか」ではなく「公式を導けるか」を重視していることの表れです。微分・積分の定義、三角関数の加法定理の証明、対数法則の導出など、基本公式の「なぜそうなるか」を日頃から意識しましょう。

テーマ2:対称性の活用

第2問の領域問題では、x軸・y軸に関する対称性を見抜くことで、調査範囲を1/4に減らせました。対称性は、領域問題だけでなく、積分計算や確率の問題でも頻出です。式を見たら「何か対称性はないか」と常にチェックしましょう。

テーマ3:余りによる分類(合同式)

第3問の整数問題は、mod 3 での分類が決め手でした。整数問題では、「2で割った余り」「3で割った余り」「特定の数で割った余り」が有力な武器です。素数の問題では、2と3以外の素数は 6k±1 の形であることも役立ちます。

テーマ4:空間図形の断面積

第4問のような回転体の体積は、適切な断面を選ぶことが重要です。どの軸に垂直な断面を取れば計算しやすいかを見極める練習をしましょう。また、図を正確に描く力も大切です。

テーマ5:時間配分と取捨選択

第5問のような超難問は、本番で深追いすると致命傷になります。「分からなければ飛ばして、最後に戻る」「部分点だけ取る」という戦略的判断も、合格のためには必要です。


類似問題で練習しよう(練習問題3問)

練習問題1:微分の定義(第1問類題)

問題:$lim_{x to 0} frac{sin x}{x} = 1$ を用いて、cos x の導関数が -sin x であることを証明せよ。

解答・解説

微分の定義より:

$$(cos x)' = lim_{h to 0} frac{cos(x+h) - cos x}{h}$$

加法定理 cos(x+h) = cos x cos h - sin x sin h を適用:

$$= lim_{h to 0} frac{cos x cos h - sin x sin h - cos x}{h}$$

$$= lim_{h to 0} frac{cos x(cos h - 1) - sin x sin h}{h}$$

$$= cos x cdot lim_{h to 0} frac{cos h - 1}{h} - sin x cdot lim_{h to 0} frac{sin h}{h}$$

第1問で示したように $lim_{h to 0} frac{cos h - 1}{h} = 0$ であり、$lim_{h to 0} frac{sin h}{h} = 1$ より:

$$(cos x)' = cos x cdot 0 - sin x cdot 1 = -sin x$$

答:cos x の導関数は -sin x


練習問題2:整数問題(第3問類題)

問題:n² + n + 1 が3の倍数となるような整数 n は存在しないことを証明せよ。

解答・解説

n を3で割った余りで分類します。

【Case 1】n ≡ 0 (mod 3) のとき

$$n^2 + n + 1 equiv 0 + 0 + 1 equiv 1 pmod{3}$$

【Case 2】n ≡ 1 (mod 3) のとき

$$n^2 + n + 1 equiv 1 + 1 + 1 equiv 3 equiv 0 pmod{3}$$

...あれ?これは3の倍数になりますね。

問題を再確認すると、n = 1 のとき n² + n + 1 = 1 + 1 + 1 = 3 で、確かに3の倍数です。

※問題修正:「n² + n + 1 が3の倍数となるような整数 n を全て求めよ」とすべきでした。

正しい解答:n ≡ 1 (mod 3) のとき、すなわち n = 3k + 1(k は整数)のとき、n² + n + 1 は3の倍数となる。


練習問題3:回転体の体積(第4問類題)

問題:xy平面上で、原点O、点A(2, 0)、点B(2, 1)を頂点とする三角形OABを y軸のまわりに1回転させてできる立体の体積を求めよ。

解答・解説

この三角形をy軸まわりに回転させると、円すいから円すいを引いた形になります。

三角形OABの辺:

  • OA:y = 0, 0 ≤ x ≤ 2(x軸上)
  • AB:x = 2, 0 ≤ y ≤ 1(縦線分)
  • OB:y = x/2, 0 ≤ x ≤ 2(直線)

y軸まわりに回転させると:

  • 外側:x = 2 の回転 → 半径2の円筒の側面
  • 内側:y = x/2 つまり x = 2y の回転 → 円すい

0 ≤ y ≤ 1 の範囲で、y での断面積は:

$$S(y) = pi cdot 2^2 - pi cdot (2y)^2 = 4pi - 4pi y^2 = 4pi(1 - y^2)$$

体積:

$$V = int_0^1 4pi(1 - y^2) , dy = 4pi left[ y - frac{y^3}{3} right]_0^1 = 4pi left( 1 - frac{1}{3} right) = 4pi cdot frac{2}{3} = frac{8pi}{3}$$

答:$dfrac{8pi}{3}$


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ここまで2013年度の大阪大学数学を解説してきましたが、いかがでしたか?

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まとめ:2013年度 大阪大学数学のポイント

大問 テーマ 重要ポイント 目標
第1問 sinxの導関数の証明 微分の定義、極限計算 完答
第2問 不等式の表す領域 対称性の活用、場合分け 完答
第3問 整数(素数の証明) 合同式、余りによる分類 8割
第4問 回転体の体積 断面積、空間認識 完答
第5問 確率(漸化式) 条件付き確率、対称性 部分点

目標得点:6割〜7割(3完+α)

阪大数学は、難問に時間を取られすぎないことが重要です。標準〜やや難の問題を確実に得点し、難問では部分点を狙う戦略で臨みましょう!

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