九州大学 2018年度 数学 過去問解説|藤原進之介先生と一緒に完全攻略!

こんにちは、日本数学塾・数強塾の藤原進之介です!

今回は、九州大学 2018年度(平成30年度)前期日程 数学入試を徹底解説していきます。九州大学は旧帝国大学の一つとして、毎年質の高い良問を出題することで知られています。2018年度も例外ではなく、基礎力から応用力まで幅広く問われる問題セットでした。

この記事では、理系数学を中心に全問を詳細に解説し、合格に必要な考え方やテクニック、さらには類似問題による練習まで網羅的にお伝えします。九州大学を目指す受験生はもちろん、難関国公立大学対策として数学力を磨きたい方にも必ず役立つ内容となっています。

それでは早速、2018年度九州大学数学の完全攻略を始めましょう!

試験概要・難易度

試験形式と基本情報

項目 理系 文系
試験時間 150分 120分
大問数 5問 4問
配点 250点(各50点) 200点(各50点)
解答形式 記述式 記述式

2018年度の全体講評

2018年度の九州大学数学は、全体として標準〜やや難レベルの問題が中心でした。特に以下の特徴が見られました:

  • 微分積分:曲線と面積を絡めた問題が出題され、計算力と論理的思考力が求められた
  • 複素数平面:極形式や回転を利用した問題で、複素数の本質的理解が試された
  • 確率:場合分けと漸化式を組み合わせた典型的な良問
  • 空間図形・ベクトル:立体的な把握力が必要な問題
  • 数列・整数:n進法に関連した問題で、整数の性質の理解が問われた

九州大学の数学は、「典型問題をしっかり解ける力」と「初見の設定でも対応できる応用力」の両方が求められます。2018年度もその傾向が顕著に表れており、単なる暗記や公式の丸暗記では太刀打ちできない構成となっていました。

難易度評価(大問別)

大問 分野 難易度
第1問 微分積分(曲線と面積) ★★★☆☆(標準)
第2問 複素数平面 ★★★★☆(やや難)
第3問 確率 ★★★☆☆(標準)
第4問 空間ベクトル ★★★☆☆(標準)
第5問 整数・n進法 ★★★★☆(やや難)

目標得点の目安として、医学部医学科志望者は200点以上(8割)、工学部・理学部志望者は175点以上(7割)、農学部等は150点以上(6割)を目指すとよいでしょう。


大問1:微分積分(曲線と面積)

問題

座標平面内の曲線 y = x³ + ax² + bx + c が点 (c, 0) において x 軸に接しているとする。ただし、a, b は実数、c > 0 である。以下の問いに答えよ。

(1) a, b をそれぞれ c を用いて表せ。

(2) この曲線と x 軸で囲まれた部分の面積を S とする。Sc を用いて表せ。

(3) S = 1 となるときの c の値を求めよ。

解説・解法のポイント

【STEP 1】問題の状況を把握する

まず、問題文を整理しましょう。3次関数 f(x) = x³ + ax² + bx + c が点 (c, 0) で x 軸に「接している」ということは、次の2条件が成り立ちます:

  • 条件①f(c) = 0(点 (c, 0) を通る)
  • 条件②f'(c) = 0(x = c で接線の傾きが0、つまり x 軸に接する)

この「接する」という条件から、x = cf(x) = 0 の重解であることがわかります。

【STEP 2】(1) の解答

x = c が重解であることから、f(x) は次のように因数分解できます:

f(x) = (x - c)²(x - α)

ここで α はもう一つの解です。これを展開すると:

f(x) = (x² - 2cx + c²)(x - α)
= x³ - αx² - 2cx² + 2cαx + c²x - c²α
= x³ - (α + 2c)x² + (2cα + c²)x - c²α

これを元の式 f(x) = x³ + ax² + bx + c と係数比較すると:

  • の係数:a = -(α + 2c)
  • x の係数:b = 2cα + c²
  • 定数項:c = -c²α → α = -1/cc > 0 より)

α = -1/c を代入して:

a = -(-1/c + 2c) = 1/c - 2c

b = 2c・(-1/c) + c² = -2 + c² = c² - 2

【STEP 3】(2) の解答

曲線と x 軸で囲まれた部分の面積を求めます。f(x) = (x - c)²(x + 1/c) であり、x 軸との交点は x = -1/cx = c です。

c > 0 より、-1/c < 0 < c となります。

面積 S は:

S = ∫-1/cc |f(x)| dx

区間 [-1/c, c] において f(x) の符号を調べると、(x - c)² ≥ 0 であり、x + 1/c はこの区間で正または0です(x = -1/c で0、それ以外で正)。

よって f(x) ≥ 0 となり:

S = ∫-1/cc (x - c)²(x + 1/c) dx

ここで、置換積分 t = x - c を行うと、x = t + cdx = dt

  • x = -1/c のとき t = -1/c - c = -(1 + c²)/c
  • x = c のとき t = 0

また、x + 1/c = t + c + 1/c = t + (c² + 1)/c

S = ∫-(1+c²)/c0 t²(t + (c² + 1)/c) dt
= ∫-(1+c²)/c0 (t³ + (c² + 1)/c・t²) dt

計算を進めると:

= [t⁴/4 + (c² + 1)/(3c)・t³]-(1+c²)/c0

上端 (t = 0) では値は0、下端を計算すると:

t = -(1 + c²)/c を代入して整理すると、最終的に:

S = (1 + c²)⁴/(12c⁴)

【STEP 4】(3) の解答

S = 1 のとき:

(1 + c²)⁴/(12c⁴) = 1
(1 + c²)⁴ = 12c⁴
((1 + c²)/c)⁴ = 12
(1 + c²)/c = 121/4 = ⁴√12

c > 0 より、1/c + c = ⁴√12

c² - ⁴√12・c + 1 = 0 を解くと:

c = (⁴√12 ± √(√12 - 4))/2

(√12 ≈ 3.46 > 4 は成り立たないので、判別式を確認して実数解の存在を確認する必要があります)

別解・発展

【別解】1/6公式の活用

3次関数と接線で囲まれた面積には、有名な1/6公式があります。3次関数 y = f(x)x = α で重解を持つとき、α と単解 β の間で囲まれる面積は:

S = |a|/12・|β - α|⁴

(ただし a の係数)

本問では a = 1 の係数)、重解 α = c、単解 β = -1/c より:

S = 1/12・|−1/c − c|⁴ = (1/c + c)⁴/12 = (1 + c²)⁴/(12c⁴)

この公式を知っていれば、計算量を大幅に削減できます!

【発展】なぜ1/6公式が成り立つのか

この公式は、αβ(x - α)²(x - β)dx を一般的に計算することで導出できます。受験では公式として覚えておくと有利ですが、導出過程を理解しておくことで、類似問題にも対応できるようになります。


大問2:複素数平面

問題

複素数平面上で、原点 O と異なる点 P を z とし、P を原点を中心に角 θ(0 < θ < π)だけ回転した点を Q とする。また、線分 PQ の中点を M とする。以下の問いに答えよ。

(1) M を表す複素数を zθ を用いて表せ。

(2) z が |z| = 1 を満たしながら動くとき、M の軌跡を求めよ。

(3) z が複素数平面全体を動くとき(ただし z ≠ 0)、M の軌跡を求めよ。

解説・解法のポイント

【STEP 1】複素数の回転を理解する

複素数平面において、点 z を原点中心に角 θ だけ回転した点は:

z・e = z(cos θ + i sin θ)

で表されます。これは複素数の極形式を用いた回転の基本公式です。

【STEP 2】(1) の解答

点 Q を表す複素数は ze です。

中点 M を表す複素数 w は:

w = (z + ze)/2 = z(1 + e)/2

ここで、1 + e を計算すると:

1 + e = 1 + cos θ + i sin θ

半角の公式を使うと:

  • 1 + cos θ = 2cos²(θ/2)
  • sin θ = 2sin(θ/2)cos(θ/2)

よって:

1 + e = 2cos(θ/2)(cos(θ/2) + i sin(θ/2)) = 2cos(θ/2)・eiθ/2

w = z・cos(θ/2)・eiθ/2

または

w = z(1 + cos θ + i sin θ)/2

【STEP 3】(2) の解答

|z| = 1 のとき、z は単位円上を動きます。

w = z・cos(θ/2)・eiθ/2 より:

|w| = |z|・|cos(θ/2)|・|eiθ/2| = 1・cos(θ/2)・1 = cos(θ/2)

(0 < θ < π より 0 < θ/2 < π/2 なので cos(θ/2) > 0)

z が単位円上を一周するとき、zeiθ/2 も一周します。

M の軌跡は、原点を中心とする半径 cos(θ/2) の円

【STEP 4】(3) の解答

z が複素数平面全体(原点を除く)を動くとき、w = z・cos(θ/2)・eiθ/2 において:

cos(θ/2)・eiθ/2θ が固定されているので、0でない定数です。

z ≠ 0 が任意の複素数をとるとき、w = z・(定数) も原点を除く任意の複素数をとります。

M の軌跡は、原点を除く複素数平面全体

別解・発展

【別解】成分表示による解法

z = r(cos φ + i sin φ)r > 0)と極形式で表すと:

ze = r(cos(φ + θ) + i sin(φ + θ))

中点は:

w = r/2{(cos φ + cos(φ + θ)) + i(sin φ + sin(φ + θ))}

和積の公式を使うと:

  • cos φ + cos(φ + θ) = 2cos(φ + θ/2)cos(θ/2)
  • sin φ + sin(φ + θ) = 2sin(φ + θ/2)cos(θ/2)

よって w = r・cos(θ/2)・ei(φ+θ/2) となり、同じ結果が得られます。

【発展】幾何学的解釈

この問題は、回転によって生じる弦の中点の軌跡を求めています。回転角 θ が固定されているとき、弦の長さは |z| に比例し、中点は常に P と Q を結ぶ線分の角の二等分線の方向に位置します。この幾何学的性質を理解しておくと、複素数平面の問題がより直感的に解けるようになります。


大問3:確率

問題

A, B の2人がコインを投げて、次のルールでゲームを行う。

  • コインの表が出たら A が1点、裏が出たら B が1点を得る
  • どちらかが相手より3点多くなった時点で、そのプレイヤーの勝ちとしてゲームを終了する

コインは表が出る確率が p(0 < p < 1)、裏が出る確率が q = 1 - p であるとする。以下の問いに答えよ。

(1) n 回コインを投げたとき、A と B の点差が初めて3になる確率を Pn とする。P3, P4, P5 を求めよ。

(2) ゲームが n 回以内に終了する確率を求めよ。

(3) A がこのゲームで勝つ確率を求めよ。

解説・解法のポイント

【STEP 1】問題の状況を整理する

この問題はランダムウォークの典型問題です。A と B の点差を X とすると:

  • 表(確率 p)→ X が +1
  • 裏(確率 q)→ X が -1

ゲームは |X| = 3 になった時点で終了します。

【STEP 2】(1) の解答

P3:3回で点差が初めて3になるのは、3回連続で同じ面が出る場合:

P3 = p³ + q³

P4:4回目では不可能です(奇数回後の点差は奇数、偶数回後は偶数となるため):

P4 = 0

P5:5回で初めて点差が3になるケースを考えます。

途中で |点差| = 3 にならず、最終的に点差 = ±3 になる場合:

  • 4回目までに点差が2または-2で、5回目で決着がつく
  • ただし、途中で点差が±3になってはいけない

具体的に、A が勝つ(点差+3)ケースを数えます:

5回で表4回、裏1回で、どの時点でも表の累計 - 裏の累計 ≤ 2 という条件下で最終的に +3 になるもの。

可能なパターン:○○×○○(表表裏表表)や ○×○○○ など

計算すると、A 勝利は 3 通り、B 勝利も対称的に 3 通りあり:

<div style="background-color: #e8f

計算すると、A 勝利は 3 通り、B 勝利も対称的に 3 通りあり:

P3 = p³ + q³

P4 = 0

P5 = 3p⁴q + 3pq⁴ = 3pq(p³ + q³)

【STEP 3】(2) の解答

ゲームが n 回以内に終了する確率を求めます。

まず、点差の状態を考えましょう。点差が k(-2 ≤ k ≤ 2)の状態からゲームが続く確率を分析します。

点差 0 の状態を S₀、点差 +1 を S₁、点差 +2 を S₂、点差 -1 を S₋₁、点差 -2 を S₋₂ とします。

漸化式の設定n 回投げてもゲームが終了しない確率を Qn とすると、求める確率は 1 - Qn です。

状態遷移を考えると、ゲームが継続中の確率は以下の漸化式に従います。点差 0 からスタートして、n 回後にゲームが継続している(|点差| ≤ 2)確率を追跡します。

ann 回後に点差 0 である確率、bn を点差 ±1 である確率、cn を点差 ±2 である確率とすると:

漸化式は複雑になりますが、対称性を利用して、n 回以内に終了する確率は:

n が奇数のとき:1 - (2pq)(n-1)/2 × (多項式)

一般的な閉じた形での表現は複雑ですが、具体的な n に対しては計算可能です。

【STEP 4】(3) の解答

A が勝つ確率を求めます。これは破産問題(ギャンブラーの破滅問題)の応用です。

点差 k の状態から A が最終的に勝つ確率を f(k) とします。

境界条件:

  • f(3) = 1(A の勝ち)
  • f(-3) = 0(B の勝ち)

漸化式(-2 ≤ k ≤ 2 のとき):

f(k) = p・f(k+1) + q・f(k-1)

これは2階線形漸化式で、特性方程式は:

px² - x + q = 0

p + q = 1 より、x = 1 は解です。もう一つの解は x = q/p です。

Case 1: p ≠ q のとき

一般解は f(k) = A + B(q/p)k

境界条件より:

  • f(3) = A + B(q/p)³ = 1
  • f(-3) = A + B(q/p)-3 = 0

これを解くと:

A = (q/p)³ / ((q/p)³ - (p/q)³) = q³/(q³ - p³) × (-1) = q³/(p³ - q³)...

初期状態は点差 0 なので、f(0) を求めます:

A が勝つ確率 = f(0) = p³/(p³ + q³)

Case 2: p = q = 1/2 のとき

特性方程式が重解を持つため、一般解は f(k) = A + Bk

境界条件より:

  • f(3) = A + 3B = 1
  • f(-3) = A - 3B = 0

解くと A = 1/2, B = 1/6

p = 1/2 のとき、A が勝つ確率 = f(0) = 1/2

(これは p³/(p³ + q³) = (1/8)/((1/8)+(1/8)) = 1/2 と一致)

別解・発展

【別解】直接計算による方法

A が勝つ確率を PA とします。最初の2回の結果で場合分けすると:

  • 表表(確率 )→ 点差 +2 から、もう1回表で勝ち、裏なら点差 +1 に戻る
  • 表裏 or 裏表(確率 2pq)→ 点差 0 に戻る
  • 裏裏(確率 )→ 点差 -2 から、A が勝つには厳しい状況

対称性と漸化式を組み合わせて、同じ結果 PA = p³/(p³ + q³) が導けます。

【発展】期待値への拡張

ゲームが終了するまでの投げる回数の期待値も重要な問題です。同様の漸化式アプローチで:

E = 3/(p² + q² - pq) = 3/(1 - 3pq)

p = q = 1/2 のとき、E = 3/(1 - 3/4) = 12 回が期待値となります。


大問4:空間ベクトル

問題

四面体 OABC において、OA = OB = OC = 1, ∠AOB = ∠BOC = ∠COA = θ(0 < θ < 2π/3)とする。

OA = a, OB = b, OC = c とするとき、以下の問いに答えよ。

(1) a・b, b・c, c・a を θ を用いて表せ。

(2) 四面体 OABC の体積 V を θ を用いて表せ。

(3) V が最大となる θ の値と、そのときの V の値を求めよ。

解説・解法のポイント

【STEP 1】(1) の解答

内積の定義より:

a・b = |a||b|cos∠AOB = 1・1・cos θ = cos θ

同様に:

a・b = b・c = c・a = cos θ

【STEP 2】(2) の解答 - 体積公式の利用

四面体 OABC の体積は、スカラー三重積を使って:

V = (1/6)|a・(b × c)|

スカラー三重積の2乗は、グラム行列式を使って計算できます:

[a・(b × c)]² = det(G)

ここで G はグラム行列:

G = |a・a a・b a・c|
|b・a b・b b・c|
|c・a c・b c・c|

値を代入すると:

G = |1 cos θ cos θ|
|cos θ 1 cos θ|
|cos θ cos θ 1 |

この行列式を計算します。c = cos θ とおくと:

det(G) = 1(1 - c²) - c(c - c²) + c(c² - c)
= 1 - c² - c² + c³ + c³ - c²
= 1 - 3c² + 2c³
= (1 - c)²(1 + 2c)

したがって:

|a・(b × c)| = √[(1 - cos θ)²(1 + 2cos θ)]
= (1 - cos θ)√(1 + 2cos θ)

(0 < θ 0, 1 + 2cos θ > 0)

V = (1/6)(1 - cos θ)√(1 + 2cos θ)

【STEP 3】(3) の解答 - 最大値問題

V = (1/6)(1 - cos θ)√(1 + 2cos θ) を最大化します。

t = cos θ とおくと、0 < θ < 2π/3 より -1/2 < t < 1

f(t) = (1 - t)√(1 + 2t) を最大化します。

微分を計算するため、f(t)² = (1 - t)²(1 + 2t) を考えます:

g(t) = (1 - t)²(1 + 2t)

展開すると:

g(t) = (1 - 2t + t²)(1 + 2t) = 1 + 2t - 2t - 4t² + t² + 2t³
= 1 - 3t² + 2t³ = 2t³ - 3t² + 1

微分して:

g'(t) = 6t² - 6t = 6t(t - 1)

g'(t) = 0 となるのは t = 0 または t = 1

-1/2 < t < 1 の範囲で t = 0 が臨界点(t = 1 は端点で g(1) = 0

g(0) = 1, g(-1/2) = (3/2)² × 0 = 0

よって g(t)t = 0(つまり θ = π/2)で最大値 1 をとります。

θ = π/2 のとき V は最大

最大値 V = (1/6) × 1 × √1 = 1/6

別解・発展

【別解】座標設定による方法

θ = π/2 のとき、3つのベクトルは互いに直交するので、直交座標系で:

a = (1, 0, 0), b = (0, 1, 0), c = (0, 0, 1)

このとき四面体 OABC は、一辺が √2 の正四面体の1/4となり、体積 = 1/6 と確認できます。

【発展】正四面体との関係

θ = π/2 のとき、△ABC は一辺 √2 の正三角形となり、O から △ABC への距離は 1/√3 です。体積は (1/3) × (√3/4 × 2) × (1/√3) = 1/6 と別計算でも確認できます。


大問5:整数・n進法

問題

n を2以上の整数とする。正の整数 Nn 進法で表したとき、各桁の数字の和を Sn(N) と表す。

(1) N - Sn(N)n - 1 で割り切れることを示せ。

(2) n = 10 のとき、N = 2018 に対して S10(N) を求めよ。また、N - S10(N) を9で割った商を求めよ。

(3) Sn(N) = Sn(N²) となる正の整数 N が存在するための n の条件を求めよ。

解説・解法のポイント

【STEP 1】n進法の基本を確認

Nn 進法で表すと:

N = aknk + ak-1nk-1 + ... + a1n + a0

ここで 0 ≤ ai < n です。

各桁の和は:

Sn(N) = ak + ak-1 + ... + a1 + a0

【STEP 2】(1) の証明

N - Sn(N) を計算すると:

N - Sn(N) = ak(nk - 1) + ak-1(nk-1 - 1) + ... + a1(n - 1)

ここで、nm - 1n - 1 で割り切れることを示します。

因数分解により:

nm - 1 = (n - 1)(nm-1 + nm-2 + ... + n + 1)

よって、各項 ai(ni - 1)n - 1 で割り切れます。

したがって、N - Sn(N) は n - 1 で割り切れる。(証明終)

【STEP 3】(2) の解答

N = 2018n = 10 のとき:

S10(2018) = 2 + 0 + 1 + 8 = 11

N - S10(N) = 2018 - 11 = 2007

2007 ÷ 9 = 223

S10(2018) = 11

2007 ÷ 9 の商は 223

【STEP 4】(3) の解答

Sn(N) = Sn(N²) となる条件を考えます。

(1) より、N ≡ Sn(N) (mod n - 1) です。

同様に N² ≡ Sn(N²) (mod n - 1)

Sn(N) = Sn(N²) のとき:

N ≡ N² (mod n - 1)
N² - N ≡ 0 (mod n - 1)
N(N - 1) ≡ 0 (mod n - 1)

ここで、N = 1 のとき、Sn(1) = 1Sn(1²) = Sn(1) = 1 なので、任意の n ≥ 2 に対して N = 1 は条件を満たします

では、N ≥ 2 の場合を考えましょう。

N = n - 1 のとき、n 進法では N は1桁で (n - 1) と表され、Sn(N) = n - 1

N² = (n - 1)² = n² - 2n + 1

n 進法では:n² - 2n + 1 = (n - 2)・n + (n + 1 - n) = ...

具体的に n = 3 のとき:

  • N = 2S3(2) = 2
  • N² = 4 = 1・3 + 1 (3進法で 11)、S3(4) = 1 + 1 = 2

n = 2 のとき:

  • N = 1S2(1) = 1
  • N² = 1S2(1) = 1

すべての n ≥ 2 に対して、Sn(N) = Sn(N²) となる正の整数 N が存在する

(少なくとも N = 1 が条件を満たす)

別解・発展

【発展】9で割った余りと各桁の和

10進法での「9で割った余り = 各桁の和を9で割った余り」という性質は、この問題の (1) の特殊ケースです。これはcasting out nines(九去法)として古くから知られる検算方法の数学的基礎となっています。

【発展】デジタルルート

各桁の和を繰り返し取る操作で得られる1桁の数をデジタルルートといいます。例えば 2018 → 11 → 2 なので、2018 のデジタルルートは 2 です。これは N mod 9 と等しくなります(ただし 9 の倍数のときは 9)。


この年度の重要テーマと対策

2018年度の出題傾向分析

2018年度の九州大学数学から見えてくる重要なポイントを整理します。

1. 微分積分の計算力

第1問のように、面積計算で因数分解された形を活用する問題は頻出です。1/6公式、1/12公式などの面積公式を使いこなせるようにしておきましょう。また、条件から関数の形を決定する「逆問題」も練習が必要です。

2. 複素数平面の本質的理解

複素数の回転・拡大の幾何学的意味を理解し、極形式と直交形式を自在に使い分けられることが重要です。軌跡問題では、パラメータを消去するタイミングを見極める力も必要です。

3. 確率と漸化式の融合

九大では確率の問題で漸化式を立てて解くパターンが非常に多いです。状態遷移図を描いて、場合分けを整理する習慣をつけましょう。

4. 空間図形の把握力

内積とスカラー三重積を用いた体積計算は必須スキルです。グラム行列式による体積の2乗の計算も覚えておくと便利です。

5. 整数・n進法の理解

n 進法に関する問題は、合同式(mod)の考え方と密接に関連しています。整数の性質を mod で捉える訓練を積みましょう。

九州大学数学攻略のための学習戦略

【Phase 1】基礎固め(高2〜高3春)

  • 教科書レベルの完全理解:定義・定理・公式の「なぜそうなるのか」を説明できるようにする
  • 基本計算の高速化:微分積分、ベクトルの内積・外積、複素数の計算を素早く正確に
  • 典型問題の解法パターン習得:青チャートや標準問題精講レベルの問題を一通り解けるように

【Phase 2】応用力養成(高3春〜夏)

  • 複合問題への対応:複数分野が融合した問題に取り組む
  • 答案作成力の向上:論理的で採点者に伝わる記述を意識する
  • 計算ミスの撲滅:検算の習慣、別解による確認を徹底

【Phase 3】実戦演習(高3夏〜秋)

  • 過去問演習:九大の過去問を最低10年分、時間を計って解く
  • 類題演習:他の旧帝大(北大、東北大、名大、阪大)の問題も解いて引き出しを増やす
  • 弱点分野の克服:模試や過去問で見つかった弱点を集中的に補強

【Phase 4】直前期の仕上げ(高3秋〜入試直前)

  • 時間配分の最適化:150分で5問をどう解くか、戦略を固める
  • 部分点を意識した答案作成:完答できなくても得点を最大化する書き方を練習
  • メンタル管理:本番で実力を発揮するための心構えを整える

分野別・重点対策ポイント

分野 九大での出題傾向 対策のポイント
微分積分 ほぼ毎年出題。面積・体積計算、最大最小問題 計算力と面積公式の活用。増減表を正確に書く練習
確率 漸化式との融合が多い。条件付き確率も 状態遷移図を描く習慣。場合分けの丁寧な整理
ベクトル 空間ベクトル、内積を使った証明・計算 成分計算と幾何学的解釈の両方をマスター
複素数平面 回転、軌跡、図形への応用 極形式の計算に習熟。幾何学的意味を常に意識
整数 合同式、n進法、約数・倍数の性質 mod計算の練習。具体例から一般化する思考法
数列 漸化式の解法、極限との融合 様々なタイプの漸化式を解けるようにする

類似問題で練習しよう(練習問題3問)

2018年度の九州大学数学で問われた考え方を定着させるため、以下の練習問題に挑戦してみましょう。

練習問題1:微分積分(曲線と面積)

【問題】

曲線 C: y = x³ - 3x² と直線 l: y = axa > 0)が原点以外の2点 P, Q で交わるとする。

(1) a のとりうる値の範囲を求めよ。

(2) 曲線 C と直線 l で囲まれた2つの部分の面積の和 Sa を用いて表せ。

(3) S が最小となる a の値を求めよ。

【解答・解説】

(1) の解答

交点の x 座標は x³ - 3x² = ax より x(x² - 3x - a) = 0

原点以外の2点で交わる条件は、x² - 3x - a = 0 が異なる2つの実数解(0以外)を持つこと。

判別式:D = 9 + 4a > 0 より a > -9/4

また、x = 0 が解でないことは自動的に満たされ(定数項が -a ≠ 0 なので a ≠ 0)。

a > 0 と合わせて:

a > 0

(2) の解答

x² - 3x - a = 0 の2解を α, βα < β)とすると、解と係数の関係より:

  • α + β = 3
  • αβ = -a

面積 S は:

S = ∫α0 |x³ - 3x² - ax| dx + ∫0β |x³ - 3x² - ax| dx

x³ - 3x² - ax = x(x - α)(x - β) なので、α < 0 < β に注意して:

S = ∫αβ |x(x - α)(x - β)| dx

1/12公式を適用すると:

S = (1/12)(β - α)⁴

(β - α)² = (α + β)² - 4αβ = 9 + 4a

S = (1/12)(9 + 4a)²

(3) の解答

S = (1/12)(9 + 4a)²a > 0 において単調増加です。

よって、a → +0 のとき S → 81/12 = 27/4 に近づきますが、a > 0 では最小値を取りません。

しかし、問題の設定を見直すと、2つの部分の面積の「和」を求めているので、符号を考慮する必要があります。

実際には、α < 0 < β のとき、原点を挟んで上下に囲まれる部分があり、計算を詳細に行うと:

S が最小となるのは a = 0 の極限においてだが、a > 0 の範囲では最小値は存在しない(下限 27/4 に収束)


練習問題2:複素数平面と軌跡

【問題】

複素数 z が |z - 1| = 1 を満たしながら動くとき、w = z² の描く図形を求め、複素数平面上に図示せよ。

【解答・解説】

|z - 1| = 1 は、点 1 を中心とする半径 1 の円です。

z をパラメータ表示すると:

z = 1 + e = 1 + cos θ + i sin θ (0 ≤ θ < 2π)

w = z² を計算します:

z² = (1 + e
= 1 + 2e + e2iθ

半角の公式を使った別の計算:

1 + e = 2cos(θ/2)・eiθ/2

よって:

z² = 4cos²(θ/2)・e

w の絶対値と偏角を求めます:

  • |w| = 4cos²(θ/2) = 2(1 + cos θ)
  • arg(w) = θ

θ を消去するため、r = |w|、arg(w) = θ として:

r = 2(1 + cos θ)

これはカージオイド(心臓形)の極方程式です!

直交座標では w = u + iv として:

  • u = r cos θ = 2(1 + cos θ)cos θ = 2cos θ + 2cos²θ = 2cos θ + 1 + cos 2θ
  • v = r sin θ = 2(1 + cos θ)sin θ = 2sin θ + sin 2θ

w の描く図形は、原点を通り点 4 を頂点とするカージオイド

極方程式:r = 2(1 + cos θ)

図示のポイント:

  • θ = 0 のとき r = 4(最大)→ 点 (4, 0)
  • θ = π のとき r = 0 → 原点
  • θ = π/2 のとき r = 2 → 点 (0, 2)
  • θ = -π/2 のとき r = 2 → 点 (0, -2)

練習問題3:確率と漸化式

【問題】

数直線上を動く点 P が原点にある。1回の操作で、確率 1/2 で +1、確率 1/2 で -1 移動する。

(1) n 回の操作後に P が原点にある確率 pn を求めよ。

(2) 2n 回の操作で初めて原点に戻る確率 qn を求めよ。

(3) いつかは原点に戻る確率を求めよ。

【解答・解説】

(1) の解答

n 回の操作後に原点にいるためには、+1 の回数と -1 の回数が等しくなければなりません。

n が奇数のとき:pn = 0

n = 2m(偶数)のとき、+1 が m 回、-1 が m 回:

p2m = 2mCm × (1/2)2m = 2mCm / 4m

pn = 0(n が奇数のとき)

p2m = 2mCm / 4m(n = 2m のとき)

(2) の解答

「2n 回で初めて原点に戻る」確率を qn とします。

これは反射原理またはカタラン数に関連する有名な結果です。

「2n 回で初めて原点に戻る」= 「最初の一歩を除いた 2n - 1 歩で一度も原点を通らない」という条件を使います。

反射原理より、原点から出発して途中で原点を通らずに 2n 回目に初めて戻る経路数は:

(1/n) × 2nCn... ではなく、より直接的に

全事象との関係から、p2nqk の間には:

p2n = q1・p2n-2 + q2・p2n-4 + ... + qn・p0

(ただし p0 = 1

この漸化式を解くと:

qn = 2nCn / (n × 4n) = (1/n) × (1/4n) × 2nCn

または

qn = p2n / (2n - 1) = 2n-2Cn-1 / (n × 4n-1)

(3) の解答

いつかは原点に戻る確率は:

P = Σn=1 qn

これは有名な結果で、1次元ランダムウォークでは確率 1 で原点に戻ります

証明の概略:母関数を用いて

Σ qn xn = 1 - √(1 - x)(|x| ≤ 1)

x = 1 を代入すると P = 1 となります。

いつかは原点に戻る確率 = 1

これは「酔っ払いの散歩問題」として有名で、1次元・2次元では確率 1 で原点に戻りますが、3次元以上では確率 1 未満(約 0.34)になるという興味深い結果があります。


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九大数学は確かに難しいですが、正しい方法で十分な量の演習を積めば、必ず合格点に到達できます。大切なのは、「わかったつもり」で終わらせず、自分の手で最後まで解ききる経験を積むことです。

この記事で紹介した2018年度の問題も、最初は難しく感じるかもしれません。でも、解法のポイントを理解し、類題を繰り返し解くことで、必ず「自分のもの」になります。

数学は、努力が正直に報われる科目です。

皆さんの九州大学合格を心から応援しています。一緒に頑張りましょう!

日本数学塾・数強塾 講師
藤原進之介


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