岡山大学 1998年度 数学 過去問解説|藤原進之介先生と一緒に完全攻略!
こんにちは!日本数学塾・数強塾の講師、藤原進之介です。
今回は、岡山大学 1998年度(平成10年度)の数学入試問題(前期・理系)を徹底解説していきます。岡山大学は中国・四国地方を代表する総合大学であり、その入試数学は「標準的な良問が多い」ことで知られています。1998年度の問題も、基本的な計算力と論理的思考力をバランスよく問う出題となっており、現在の受験生にとっても非常に参考になる内容です。
この記事では、各大問の問題を詳細に解説し、解法のポイント、別解、そして類似問題の練習まで網羅的にカバーしていきます。ぜひ最後までお付き合いください!
試験概要・難易度
1998年度 岡山大学 前期試験(理系)数学の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 試験日程 | 前期日程(2月下旬実施) |
| 試験時間 | 120分(2時間) |
| 問題構成 | 大問4題(第4問は旧課程・新課程で選択問題あり、計5問から選択) |
| 配点 | 各大問均等配点(学部により総配点は異なる) |
| 出題範囲 | 数学Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・A・B・C(当時の旧課程では代数・幾何を含む) |
| 難易度 | 標準〜やや難(基礎力重視の良問揃い) |
全体講評
1998年度の岡山大学理系数学は、「基礎をしっかり固めた受験生が報われる」典型的なセットでした。奇抜な発想を要求する問題は少なく、教科書レベルの定理・公式を正確に理解し、それを応用できるかが問われています。
特徴的なのは以下の点です:
- 第1問:行列とベクトルの内積 — 線形代数の基本概念を問う良問
- 第2問:微分法の応用 — 関数の増減・極値に関する標準問題
- 第3問:積分法と面積 — 曲線で囲まれた部分の面積計算
- 第4問:確率と漸化式 / 複素数平面 — 選択問題として複数テーマから出題
全体的に計算量は適度であり、時間配分を意識すれば完答も十分可能なレベルです。ただし、行列の問題は当時の数学Cの内容であり、現行課程では扱いが異なる点に注意が必要です(2022年度以降の新課程では行列は高校数学から削除されましたが、線形代数の考え方は大学数学の基礎として重要です)。
目標得点の目安
- 医学部医学科志望:80〜85%以上(4問中3問完答+1問部分点)
- 理学部・工学部志望:65〜75%(3問完答が目標)
- 農学部・環境理工学部志望:55〜65%(2問完答+部分点)
大問1:行列と内積(2×2行列の性質)
問題
【第1問】
列ベクトル u = (u₁, u₂)T と v = (v₁, v₂)T の内積を u₁v₁ + u₂v₂ と定める。
A = ⎛ a b ⎞
⎝ c d ⎠ を2×2行列とする。
すべての列ベクトル u, v に対して、u と v の内積が Au と Av の内積に等しいとき、以下の問いに答えよ。
(1)a, b, c, d が満たすべき条件を求めよ。
(2)このような行列 A をすべて求めよ。
(3)det(A) の値を求めよ。
解説・解法のポイント
◆ 問題の本質を理解する
この問題は、「内積を保存する行列(直交行列)」の条件を求めるものです。内積を保存するということは、ベクトルの長さと角度が変わらないことを意味し、これは回転や鏡映(反射)を表す行列に相当します。
◆ (1)の解法
Step 1:条件式の設定
任意の列ベクトル u = (u₁, u₂)T、v = (v₁, v₂)T に対して:
⟨u, v⟩ = ⟨Au, Av⟩
が成り立つことが条件です。
Step 2:左辺の計算
⟨u, v⟩ = u₁v₁ + u₂v₂
Step 3:右辺の計算
Au = (au₁ + bu₂, cu₁ + du₂)T
Av = (av₁ + bv₂, cv₁ + dv₂)T
よって、⟨Au, Av⟩ = (au₁ + bu₂)(av₁ + bv₂) + (cu₁ + du₂)(cv₁ + dv₂)
Step 4:展開と整理
右辺を展開すると:
= a²u₁v₁ + abu₁v₂ + abu₂v₁ + b²u₂v₂ + c²u₁v₁ + cdu₁v₂ + cdu₂v₁ + d²u₂v₂
= (a² + c²)u₁v₁ + (ab + cd)(u₁v₂ + u₂v₁) + (b² + d²)u₂v₂
Step 5:係数比較
これが u₁v₁ + u₂v₂ と恒等的に等しいので、任意の u₁, u₂, v₁, v₂ に対して成り立つには:
- u₁v₁ の係数:a² + c² = 1
- u₂v₂ の係数:b² + d² = 1
- u₁v₂ + u₂v₁ の係数:ab + cd = 0
【(1)の答え】
a, b, c, d が満たすべき条件は:
- a² + c² = 1
- b² + d² = 1
- ab + cd = 0
◆ (2)の解法
Step 1:パラメータ表示
a² + c² = 1 より、ある角度 θ を用いて:
a = cos θ, c = sin θ (または a = cos θ, c = −sin θ)
同様に b² + d² = 1 より、ある角度 φ を用いて:
b = cos φ, d = sin φ (または b = cos φ, d = −sin φ)
Step 2:第3条件の適用
ab + cd = 0 に代入すると、角度の関係式が得られます。
a = cos θ, c = sin θ, b = cos φ, d = sin φ の場合:
cos θ cos φ + sin θ sin φ = 0
cos(θ − φ) = 0
θ − φ = ±π/2
Step 3:場合分けと結果
Case 1:θ − φ = π/2 のとき
φ = θ − π/2 なので:
b = cos(θ − π/2) = sin θ
d = sin(θ − π/2) = −cos θ
よって、A = ⎛ cos θ sin θ ⎞
⎝ sin θ −cos θ ⎠
Case 2:θ − φ = −π/2 のとき
φ = θ + π/2 なので:
b = cos(θ + π/2) = −sin θ
d = sin(θ + π/2) = cos θ
よって、A = ⎛ cos θ −sin θ ⎞
⎝ sin θ cos θ ⎠
【(2)の答え】
条件を満たす行列 A は、任意の実数 θ に対して:
① 回転行列:A = ⎛ cos θ −sin θ ⎞
⎝ sin θ cos θ ⎠
② 鏡映行列:A = ⎛ cos θ sin θ ⎞
⎝ sin θ −cos θ ⎠
◆ (3)の解法
回転行列の場合:
det(A) = cos θ · cos θ − (−sin θ) · sin θ = cos²θ + sin²θ = 1
鏡映行列の場合:
det(A) = cos θ · (−cos θ) − sin θ · sin θ = −cos²θ − sin²θ = −1
【(3)の答え】
det(A) = 1 または −1
別解・発展
【別解:転置行列を用いた表現】
内積を ⟨u, v⟩ = uTv と行列表記すると、条件は:
uTv = (Au)T(Av) = uTATAv
これが任意の u, v で成り立つので:
ATA = E(単位行列)
つまり、A は直交行列です。直交行列では A−1 = AT が成り立ちます。
【発展:n次元への一般化】
n×n の直交行列 Q は、QTQ = E を満たし、det(Q) = ±1 となります。det(Q) = 1 のものを特殊直交行列(回転群 SO(n))、det(Q) = −1 を含むものを直交群 O(n)と呼びます。
大問2:微分法の応用(関数の増減と極値)
問題
【第2問】
関数 f(x) = x³ − 3ax² + 3a²x − a³ + a(a は正の定数)について、以下の問いに答えよ。
(1)f(x) を因数分解せよ。
(2)f(x) の極値を求めよ。
(3)方程式 f(x) = 0 が異なる3つの実数解をもつような a の値の範囲を求めよ。
解説・解法のポイント
◆ (1)の解法
Step 1:構造の観察
f(x) = x³ − 3ax² + 3a²x − a³ + a
最初の4項 x³ − 3ax² + 3a²x − a³ は、(x − a)³ の展開に近い形をしています。
確認:(x − a)³ = x³ − 3ax² + 3a²x − a³ ✓
Step 2:因数分解
f(x) = (x − a)³ + a
【(1)の答え】
f(x) = (x − a)³ + a
◆ (2)の解法
Step 1:微分
f(x) = (x − a)³ + a より:
f'(x) = 3(x − a)²
Step 2:極値の判定
f'(x) = 0 となるのは x = a のみ。
しかし、f'(x) = 3(x − a)² ≥ 0 であり、x = a の前後で f'(x) の符号は変化しません(常に非負)。
したがって、x = a は極値を与えない(変曲点)。
【(2)の答え】
f(x) は極値をもたない。
(f'(x) = 3(x − a)² ≥ 0 より、f(x) は単調増加関数である)
◆ (3)の解法
Step 1:方程式の変形
f(x) = 0 より (x − a)³ + a = 0
(x − a)³ = −a
Step 2:解の個数
y = t³ と y = −a のグラフを考えます(t = x − a と置換)。
t³ = −a の解は:
- a > 0 のとき、−a < 0 なので、t = −∛a(実数解は1つ)
- a = 0 のとき、t = 0(重解)
- a 0 なので、t = ∛(−a)(実数解は1つ)
3次方程式 t³ = k(k は実数)は常に実数解をただ1つもちます。
Step 3:結論
f(x) = (x − a)³ + a = 0 は、a がどのような正の値であっても、実数解をただ1つしかもちません。
【(3)の答え】
方程式 f(x) = 0 が異なる3つの実数解をもつような正の数 a は存在しない。
(f(x) は単調増加関数なので、方程式 f(x) = 0 の実数解は常にただ1つである)
別解・発展
【問題の意図について】
この問題は、一見すると「3つの実数解の条件」を求める典型問題に見えますが、実際には「3つの解は存在しない」という結論を導く問題です。
受験生は(2)で「極値がない」ことを正しく導けていれば、(3)で「3解条件を求めよ」と言われても慌てずに「そのような a は存在しない」と答えられるはずです。
【関連する典型問題との比較】
もし f(x) = x³ − 3ax + b のような形であれば、f'(x) = 3x² − 3a = 3(x² − a) となり、a > 0 のとき x = ±√a で極値をもつため、「3つの実数解をもつ条件」は意味を持ちます。
大問3:積分法と面積(曲線で囲まれた領域)
問題
【第3問】
xy 平面上において、曲線 C:y = x² − 2x と直線 ℓ:y = mx について、以下の問いに答えよ。
(1)曲線 C と直線 ℓ が異なる2点で交わるような m の値の範囲を求めよ。
(2)曲線 C と直線 ℓ で囲まれた部分の面積 S を m を用いて表せ。
(3)S の最小値と、そのときの m の値を求めよ。
解説・解法のポイント
◆ (1)の解法
Step 1:交点の条件
C と ℓ の交点では:
x² − 2x = mx
x² − 2x − mx = 0
x² − (m + 2)x = 0
x(x − (m + 2)) = 0
Step 2:解の分析
解は x = 0 と x = m + 2
これらが異なる2点となる条件は:
m + 2 ≠ 0、すなわち m ≠ −2
【(1)の答え】
m ≠ −2(すべての実数から −2 を除く)
◆ (2)の解法
Step 1:積分区間の確定
交点の x 座標は 0 と m + 2 です。
- m > −2 のとき:0 < m + 2 なので、区間は [0, m + 2]
- m < −2 のとき:m + 2 < 0 なので、区間は [m + 2, 0]
Step 2:面積の計算(m > −2 の場合)
区間 [0, m + 2] で、直線 ℓ が曲線 C より上にあるか確認します。
0 < x < m + 2 の範囲で:
mx − (x² − 2x) = mx − x² + 2x = x(m + 2 − x) > 0
したがって、この区間では ℓ が C より上にあります。
S = ∫₀^{m+2} [mx − (x² − 2x)] dx
= ∫₀^{m+2} (−x² + (m + 2)x) dx
= [−x³/3 + (m + 2)x²/2]₀^{m+2}
= −(m + 2)³/3 + (m + 2)³/2
= (m + 2)³ (−1/3 + 1/2)
= (m + 2)³ · 1/6
= (m + 2)³/6
Step 3:面積の計算(m < −2 の場合)
このとき m + 2 < 0 なので、(m + 2)³ < 0 となります。面積は正の値なので:
S = |∫_{m+2}^{0} [mx − (x² − 2x)] dx| = |(m + 2)³/6| = −(m + 2)³/6 = (−m − 2)³/6
あるいは、|m + 2|³/6 と表すこともできます。
【(2)の答え】
S = |m + 2|³/6
(または、m > −2 のとき S = (m + 2)³/6、m < −2 のとき S = (−m − 2)³/6)
◆ (3)の解法
Step 1:最小値の考察
S = |m + 2|³/6 を最小化します。
|m + 2| ≥ 0 であり、|m +
◆ (3)の解法(続き)
Step 1:最小値の考察
S = |m + 2|³/6 を最小化します。
|m + 2| ≥ 0 であり、|m + 2| = 0 となるのは m = −2 のときです。
しかし、(1)より m ≠ −2 が条件なので、m = −2 は除外されます。
Step 2:結論
m ≠ −2 の範囲で |m + 2| は 0 に近づくことはできますが、0 にはなりません。したがって、S は 0 に近づくことはできますが、最小値は存在しません。
ただし、問題の意図として「S > 0 の範囲での最小値」を求めているのであれば、S は m → −2 のとき S → 0 に近づきますが、その極限値 0 は達成されません。
【(3)の答え】
S = |m + 2|³/6 は m ≠ −2 の範囲で最小値をもたない。
(m が −2 に近づくとき S は 0 に近づくが、S = 0 を達成する m は存在しない)
※問題が「正の面積の最小値」を意図している場合、最小値は存在しない(下限は 0)
別解・発展
【1/6 公式の活用】
放物線 y = ax² + bx + c と直線 y = mx + n が x = α, β(α < β)で交わるとき、囲まれる面積は:
S = |a|/6 · (β − α)³
これは1/6 公式と呼ばれる非常に有用な公式です。
本問では a = 1、β − α = |m + 2| なので:
S = 1/6 · |m + 2|³
と即座に求められます。この公式を覚えておくと、計算時間を大幅に短縮できます。
【発展:面積を一定にする条件】
例えば「面積 S = 4/3 となる m の値」を求める問題があれば:
|m + 2|³/6 = 4/3
|m + 2|³ = 8
|m + 2| = 2
m = 0 または m = −4
大問4:確率と漸化式(選択問題A)
問題
【第4問(選択A)】
袋の中に赤玉2個と白玉3個が入っている。この袋から玉を1個取り出し、色を確認してから袋に戻す試行を n 回繰り返す。n 回の試行で赤玉が取り出される回数を X とするとき、以下の問いに答えよ。
(1)X = k となる確率 P(X = k) を求めよ(k = 0, 1, 2, ..., n)。
(2)X の期待値 E(X) を求めよ。
(3)X の分散 V(X) を求めよ。
解説・解法のポイント
◆ 問題の分析
この問題は反復試行(ベルヌーイ試行)に関する基本問題です。
- 全体:赤玉2個 + 白玉3個 = 5個
- 1回の試行で赤玉が出る確率:p = 2/5
- 1回の試行で白玉が出る確率:q = 1 − p = 3/5
- n 回の独立な試行を行う
X は二項分布 B(n, 2/5)に従います。
◆ (1)の解法
n 回中 k 回赤玉が出る確率は、二項分布の確率質量関数より:
P(X = k) = nCk · p^k · q^{n−k} = nCk · (2/5)^k · (3/5)^{n−k}
【(1)の答え】
P(X = k) = nCk · (2/5)^k · (3/5)^{n−k} (k = 0, 1, 2, ..., n)
◆ (2)の解法
方法1:二項分布の期待値公式
X ~ B(n, p) のとき、E(X) = np
E(X) = n · (2/5) = 2n/5
方法2:定義からの計算
E(X) = Σ_{k=0}^{n} k · P(X = k) = Σ_{k=1}^{n} k · nCk · (2/5)^k · (3/5)^{n−k}
k · nCk = n · n−1Ck−1 を用いると:
E(X) = n · Σ_{k=1}^{n} n−1Ck−1 · (2/5)^k · (3/5)^{n−k}
= n · (2/5) · Σ_{j=0}^{n−1} n−1Cj · (2/5)^j · (3/5)^{n−1−j}
= n · (2/5) · (2/5 + 3/5)^{n−1}
= n · (2/5) · 1 = 2n/5
【(2)の答え】
E(X) = 2n/5
◆ (3)の解法
方法1:二項分布の分散公式
X ~ B(n, p) のとき、V(X) = np(1 − p) = npq
V(X) = n · (2/5) · (3/5) = 6n/25
方法2:V(X) = E(X²) − {E(X)}² から計算
E(X²) を求めるには、E(X(X−1)) = n(n−1)p² を利用します。
E(X²) = E(X(X−1)) + E(X) = n(n−1)p² + np = n(n−1)·(4/25) + n·(2/5)
= 4n(n−1)/25 + 10n/25 = (4n² − 4n + 10n)/25 = (4n² + 6n)/25
V(X) = E(X²) − {E(X)}² = (4n² + 6n)/25 − (2n/5)²
= (4n² + 6n)/25 − 4n²/25 = 6n/25
【(3)の答え】
V(X) = 6n/25
別解・発展
【指示関数による解法】
各回の試行で赤玉が出れば 1、白玉が出れば 0 とする確率変数 Xi(i = 1, 2, ..., n)を定義すると:
X = X₁ + X₂ + ... + Xn
各 Xi は独立で同一分布に従い、E(Xi) = 2/5、V(Xi) = (2/5)(3/5) = 6/25
期待値の線形性より:E(X) = n · E(X₁) = 2n/5
独立性より:V(X) = n · V(X₁) = 6n/25
大問4:複素数平面(選択問題B)
問題
【第4問(選択B)】
複素数 z = cos θ + i sin θ(0 ≤ θ < 2π)について、以下の問いに答えよ。
(1)z² + 1/z² を θ を用いて表せ。
(2)w = z + 1/z とおくとき、w を θ を用いて表せ。
(3)z⁴ + z³ + z² + z + 1 = 0 を満たす z をすべて求めよ。
解説・解法のポイント
◆ 予備知識
z = cos θ + i sin θ = e^{iθ} のとき、ド・モアブルの定理より:
- z^n = cos nθ + i sin nθ
- |z| = 1 なので、1/z = z̄ = cos θ − i sin θ = e^{−iθ}
- 1/z^n = cos nθ − i sin nθ
◆ (1)の解法
z² = cos 2θ + i sin 2θ
1/z² = cos 2θ − i sin 2θ
z² + 1/z² = 2 cos 2θ
【(1)の答え】
z² + 1/z² = 2 cos 2θ
◆ (2)の解法
w = z + 1/z = (cos θ + i sin θ) + (cos θ − i sin θ) = 2 cos θ
【(2)の答え】
w = 2 cos θ
◆ (3)の解法
Step 1:方程式の変形
z⁴ + z³ + z² + z + 1 = 0
z = 0 は解でないことを確認(代入すると 1 ≠ 0)。
両辺を z² で割ると:
z² + z + 1 + 1/z + 1/z² = 0
(z² + 1/z²) + (z + 1/z) + 1 = 0
Step 2:置換
w = z + 1/z とおくと、w² = z² + 2 + 1/z² より z² + 1/z² = w² − 2
方程式は:
(w² − 2) + w + 1 = 0
w² + w − 1 = 0
Step 3:w の値
w = (−1 ± √5)/2
Step 4:θ の決定
w = 2 cos θ なので:
Case 1: 2 cos θ = (−1 + √5)/2
cos θ = (−1 + √5)/4 ≈ 0.309
θ = 2π/5 または θ = 8π/5
Case 2: 2 cos θ = (−1 − √5)/2
cos θ = (−1 − √5)/4 ≈ −0.809
θ = 4π/5 または θ = 6π/5
Step 5:z の決定
z = cos θ + i sin θ より:
【(3)の答え】
z = cos(2π/5) + i sin(2π/5) = e^{2πi/5}
z = cos(4π/5) + i sin(4π/5) = e^{4πi/5}
z = cos(6π/5) + i sin(6π/5) = e^{6πi/5}
z = cos(8π/5) + i sin(8π/5) = e^{8πi/5}
(これらは 1 の5乗根のうち、z = 1 を除いた4つである)
別解・発展
【円分多項式との関連】
z⁴ + z³ + z² + z + 1 は第5円分多項式 Φ₅(z) です。
z⁵ − 1 = (z − 1)(z⁴ + z³ + z² + z + 1)
より、z⁴ + z³ + z² + z + 1 = 0 の解は、z⁵ = 1 の解(1の5乗根)のうち z ≠ 1 のもの、すなわち原始5乗根です。
ω = e^{2πi/5} とおくと、解は ω, ω², ω³, ω⁴ の4つです。
この年度の重要テーマと対策
1998年度の出題分野まとめ
| 大問 | 分野 | キーワード | 難易度 |
|---|---|---|---|
| 第1問 | 行列・ベクトル | 直交行列、内積保存、回転・鏡映 | 標準 |
| 第2問 | 微分法 | 因数分解、極値、3次関数 | やや易 |
| 第3問 | 積分法 | 面積、1/6公式、パラメータ | 標準 |
| 第4問A | 確率・統計 | 二項分布、期待値、分散 | 標準 |
| 第4問B | 複素数平面 | ド・モアブル、円分多項式 | やや難 |
岡山大学数学の特徴と対策
【特徴1】基礎力重視の出題
岡山大学の数学は、教科書の内容を正確に理解しているかを問う問題が中心です。奇をてらった問題は少なく、標準的な良問が多いのが特徴です。
対策:教科書の例題・章末問題を完璧にマスターすることが最優先です。公式の丸暗記ではなく、「なぜその公式が成り立つのか」を理解することが重要です。
【特徴2】計算力が合否を分ける
問題の難易度は標準的ですが、その分計算ミスが致命傷になります。特に積分計算や行列計算では、丁寧かつ迅速な計算力が求められます。
対策:日頃から計算練習を欠かさず行い、検算の習慣を身につけましょう。特に、答えを別の方法で確認する「ダブルチェック」の技術を磨くことが重要です。
【特徴3】複数分野の融合問題
1つの大問の中で複数の分野の知識を組み合わせて解く問題も見られます。例えば、第4問Bの複素数平面の問題は、三角関数や方程式の知識も必要です。
対策:分野ごとの学習だけでなく、分野横断的な問題演習を行いましょう。「この問題にはどの分野の知識が使えるか」を常に意識することが大切です。
【特徴4】論証力・記述力
国公立大学の二次試験らしく、答えだけでなく論理的な記述が求められます。「なぜそうなるのか」を明確に示す必要があります。
対策:普段の学習から、解答を書く際に「理由」を明記する習慣をつけましょう。模範解答を読んで、プロの記述を真似ることも効果的です。
時期別学習プラン
【高3春〜夏】基礎固め期
- 教科書の全範囲を一通り学習
- チャート式(青または黄)の例題をマスター
- 計算力強化(毎日10分の計算練習)
【高3秋】実践演習期
- 標準〜やや難の問題集(1対1対応など)に取り組む
- 岡山大学の過去問を5年分以上演習
- 弱点分野の集中強化
【高3冬〜直前】仕上げ期
- 過去問の時間を計った演習
- 類題大学(広島大、神戸大など)の過去問にも挑戦
- 頻出テーマの総復習
類似問題で練習しよう(練習問題3問)
練習問題1:行列と線形変換
【問題】
2×2行列 A = ⎛ a b ⎞
⎝ c d ⎠ が ATA = E(単位行列)を満たすとき、以下の問いに答えよ。
(1)a² + c² の値を求めよ。
(2)|det(A)| の値を求めよ。
(3)A² = E を満たす行列 A をすべて求めよ。
【解答・解説】
(1)の解答
ATA = E を成分で計算します。
AT = ⎛ a c ⎞
⎝ b d ⎠
ATA = ⎛ a² + c² ab + cd ⎞
⎝ ab + cd b² + d² ⎠ = ⎛ 1 0 ⎞
⎝ 0 1 ⎠
よって、a² + c² = 1
(2)の解答
det(ATA) = det(E) = 1
det(AT) · det(A) = 1
{det(A)}² = 1
|det(A)| = 1
(3)の解答
A² = E かつ ATA = E を満たす行列を求めます。
ATA = E より AT = A−1
A² = E より A = A−1
よって AT = A(対称行列)
つまり b = c であり、条件は:
- a² + b² = 1
- b² + d² = 1
- ab + bd = b(a + d) = 0
b = 0 のとき:a² = 1, d² = 1 より (a, d) = (±1, ±1)
b ≠ 0 のとき:a + d = 0、a² + b² = 1、a² + b² = 1(同じ)より、d = −a で a² + b² = 1
答え:A = ⎛ ±1 0 ⎞
⎝ 0 ±1 ⎠ または A = ⎛ cos θ sin θ ⎞
⎝ sin θ −cos θ ⎠(θ は任意)
練習問題2:3次関数と面積
【問題】
関数 f(x) = x³ − 3x について、以下の問いに答えよ。
(1)f(x) の極値を求めよ。
(2)曲線 y = f(x) と x 軸で囲まれた2つの部分の面積の和を求めよ。
(3)曲線 y = f(x) と直線 y = k が異なる3点で交わるような k の値の範囲を求めよ。
【解答・解説】
(1)の解答
f'(x) = 3x² − 3 = 3(x² − 1) = 3(x + 1)(x − 1)
f'(x) = 0 のとき x = ±1
増減表より:
- x = −1 で極大値 f(−1) = −1 + 3 = 2
- x = 1 で極小値 f(1) = 1 − 3 = −2
(2)の解答
f(x) = x³ − 3x = x(x² − 3) = x(x − √3)(x + √3)
x 軸との交点は x = −√3, 0, √3
面積 S = ∫_{−√3}^{0} |f(x)| dx + ∫_{0}^{√3} |f(x)| dx
面積 S = ∫_{−√3}^{0} |f(x)| dx + ∫_{0}^{√3} |f(x)| dx
区間 [−√3, 0] では f(x) ≥ 0、区間 [0, √3] では f(x) ≤ 0 なので:
S = ∫_{−√3}^{0} (x³ − 3x) dx + ∫_{0}^{√3} (−x³ + 3x) dx
= [x⁴/4 − 3x²/2]_{−√3}^{0} + [−x⁴/4 + 3x²/2]_{0}^{√3}
= (0 − (9/4 − 9/2)) + ((−9/4 + 9/2) − 0)
= (0 − (−9/4)) + (9/4)
= 9/4 + 9/4 = 9/2
(3)の解答
曲線 y = f(x) と直線 y = k が異なる3点で交わる条件は、直線 y = k が極大値と極小値の間を通ることです。
極大値 = 2、極小値 = −2 なので:
−2 < k < 2
練習問題3:確率と期待値
【問題】
1個のさいころを4回投げる。出た目の数の積を X とするとき、以下の問いに答えよ。
(1)X が奇数となる確率を求めよ。
(2)X が4の倍数となる確率を求めよ。
(3)X が12の倍数となる確率を求めよ。
【解答・解説】
(1)の解答
X が奇数となるのは、4回とも奇数(1, 3, 5)が出るときです。
1回で奇数が出る確率は 3/6 = 1/2
4回とも奇数が出る確率は (1/2)⁴ = 1/16
(2)の解答
X が4の倍数となる条件を考えます。
さいころの目を2の因数で分類すると:
- 2⁰ を因数にもつ目:1, 3, 5(奇数)
- 2¹ を因数にもつ目:2, 6
- 2² を因数にもつ目:4
X が4の倍数 ⇔ X に2が2個以上因数として含まれる
余事象で考えます。X が4の倍数でない ⇔ X に含まれる2の因数が0個または1個
Case A:2の因数が0個(4回とも奇数)
P(A) = (3/6)⁴ = (1/2)⁴ = 1/16
Case B:2の因数がちょうど1個
これは「2または6が1回だけ出て、残り3回は奇数」のとき
P(B) = ₄C₁ × (2/6) × (3/6)³ = 4 × (1/3) × (1/8) = 4/24 = 1/6
X が4の倍数となる確率 = 1 − P(A) − P(B) = 1 − 1/16 − 1/6
= 1 − 3/48 − 8/48 = 1 − 11/48 = 37/48
(3)の解答
X が12の倍数 ⇔ X が4の倍数かつ3の倍数
X が3の倍数となる条件:少なくとも1回、3または6が出る
余事象:4回とも3の倍数でない目(1, 2, 4, 5)が出る
P(3の倍数でない) = (4/6)⁴ = (2/3)⁴ = 16/81
P(3の倍数) = 1 − 16/81 = 65/81
ここで、「4の倍数」と「3の倍数」は独立ではないので、包除原理を使います。
別解(直接計算)
各目について、2の因数の個数と3の因数の個数を整理します:
| 目 | 2の因数 | 3の因数 | 確率 |
|---|---|---|---|
| 1 | 0 | 0 | 1/6 |
| 2 | 1 | 0 | 1/6 |
| 3 | 0 | 1 | 1/6 |
| 4 | 2 | 0 | 1/6 |
| 5 | 0 | 0 | 1/6 |
| 6 | 1 | 1 | 1/6 |
12 = 2² × 3 なので、4回の目の積が12の倍数となるには:
- 2の因数の合計 ≥ 2
- 3の因数の合計 ≥ 1
この確率を求めるには、状態を管理しながら場合分けするか、余事象を利用します。
余事象:「2の因数 ≤ 1」または「3の因数 = 0」
P(2の因数 ≤ 1) = 11/48((2)の余事象より)
P(3の因数 = 0) = (4/6)⁴ = 16/81
P(2の因数 ≤ 1 かつ 3の因数 = 0) = ?
3の因数 = 0 となる目は 1, 2, 4, 5 の4つ。このうち:
- 2の因数が0:1, 5(確率 2/6 = 1/3)
- 2の因数が1:2(確率 1/6)
- 2の因数が2:4(確率 1/6)
4回とも {1,2,4,5} から出て、かつ2の因数の合計が1以下となる確率:
= (2の因数が0個) + (2の因数が1個)
= (2/6)⁴ + ₄C₁ × (1/6) × (2/6)³
= 16/1296 + 4 × 8/1296 = 16/1296 + 32/1296 = 48/1296 = 1/27
包除原理より:
P(12の倍数でない) = P(2の因数≤1) + P(3の因数=0) − P(両方)
= 11/48 + 16/81 − 1/27
通分すると(最小公倍数は 432):
= 99/432 + 64/432 − 16/432 = 147/432 = 49/144
P(12の倍数) = 1 − 49/144 = 95/144
まとめ:1998年度岡山大学数学を振り返って
1998年度の岡山大学理系数学は、基礎力と計算力をバランスよく問う良問セットでした。特に以下の点が重要です:
今回の学習ポイント
- 行列と線形変換:直交行列の条件(内積保存)を理解し、回転行列・鏡映行列を導出できるようにする
- 3次関数の性質:因数分解の工夫、極値の有無の判定、グラフの概形を正確に把握する
- 面積計算:1/6公式などの便利な公式を活用しつつ、基本の積分計算も確実にできるようにする
- 確率分布:二項分布の期待値・分散の公式を使いこなし、その導出も理解しておく
- 複素数平面:ド・モアブルの定理、1のn乗根、円分多項式との関連を押さえる
岡山大学合格に向けて
岡山大学の数学は、難問・奇問は少なく、教科書レベルの内容をしっかり理解していれば十分に戦える出題です。しかし、その分「基礎ができていない」ことが致命的になります。
以下の学習を心がけてください:
- ✅ 教科書の例題・章末問題を完璧にする
- ✅ 標準的な問題集を繰り返し解く
- ✅ 計算ミスを減らす訓練を日常的に行う
- ✅ 過去問を時間を計って解き、実戦力を養う
- ✅ 記述力を磨くため、模範解答の書き方を研究する
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日本数学塾・数強塾 講師
藤原進之介
