京都大学 1995年度 数学 過去問解説|藤原進之介先生と一緒に完全攻略!

試験概要・難易度

こんにちは、日本数学塾・数強塾の藤原進之介です。

今回は、京都大学 1995年度(平成7年度)前期試験 数学の過去問を徹底解説していきます。1995年度の京大数学は、京大らしい「思考力」と「論証力」が試される良問揃いの年度として、今なお多くの受験生に演習価値の高い問題として知られています。

試験形式

  • 試験時間:150分(理系)/ 120分(文系)
  • 出題数:理系6問 / 文系5問(一部文理共通問題あり)
  • 配点:各学部により異なる(理学部・工学部等は200点満点)
  • 解答形式:全問記述式

1995年度の全体講評

1995年度の京大数学は、整数論確率図形と方程式行列など、京大が好む分野からバランスよく出題されました。特に注目すべきは以下の点です:

  • 第2問(整数):素数と累乗に関する論証問題。因数分解と合同式の深い理解が必要
  • 第5問(確率):座席への着席問題という日常的な題材を用いた確率の良問。文理共通で出題
  • 楕円と最大・最小:パラメータを用いた最大値問題
  • 行列と文字列:漸化式的な発想を行列で表現する独創的な問題(後期)

全体的な難易度は「標準〜やや難」レベル。基本事項の確実な理解と、それを応用する力が問われる、まさに京大らしい出題でした。合格ラインは例年通り5〜6割程度と推定されますが、完答できる問題をしっかり見極める力も重要です。


大問1:楕円上の点と原点からの距離

問題

楕円 $dfrac{x^2}{a^2} + dfrac{y^2}{b^2} = 1$(ただし $a > b > 0$)上に点 $P$、$Q$ をとる。ただし、$P$ は第1象限にあり、$Q$ は直線 $OP$ と楕円との交点で $P$ と異なる点とする。

原点 $O$ から $P$、$Q$ までの距離をそれぞれ $OP$、$OQ$ とするとき、

(1) $OP$ の最大値が $2$、$dfrac{OP_{max}}{OP_{min}}$($OP$ の最大値と最小値の比)が $3$ となるように $a$, $b$ の値を定めよ。

(2) $OQ$ の最大値を求めよ。

解説・解法のポイント

【方針】

楕円上の点を媒介変数表示し、原点からの距離を三角関数で表現します。距離の最大・最小を求めるには、$OP^2$ の形で考えると扱いやすくなります。

【解答】

楕円上の点 $P$ を媒介変数 $theta$ を用いて次のように表します:

$$P = (acostheta, bsintheta) quad (0 < theta < frac{pi}{2})$$

原点からの距離の2乗は:

$$OP^2 = a^2cos^2theta + b^2sin^2theta$$

$cos^2theta = dfrac{1 + cos 2theta}{2}$、$sin^2theta = dfrac{1 - cos 2theta}{2}$ を用いて変形すると:

$$OP^2 = frac{a^2 + b^2}{2} + frac{a^2 - b^2}{2}cos 2theta$$

$a > b > 0$ より $a^2 - b^2 > 0$ なので:

  • $cos 2theta = 1$(つまり $theta = 0$)のとき $OP^2$ は最大で $OP^2_{max} = a^2$
  • $cos 2theta = -1$(つまり $theta = frac{pi}{2}$)のとき $OP^2$ は最小で $OP^2_{min} = b^2$

したがって、$OP_{max} = a$、$OP_{min} = b$ です。

(1) の条件より:

  • $OP_{max} = a = 2$
  • $dfrac{OP_{max}}{OP_{min}} = dfrac{a}{b} = 3$ より $b = dfrac{2}{3}$

$$therefore boxed{a = 2, quad b = frac{2}{3}}$$

(2) について:

$Q$ は直線 $OP$ と楕円の交点で $P$ と異なる点なので、$Q = (-acostheta, -bsintheta)$ となります($P$ の原点対称点)。

したがって $OQ = OP$ であり、$OQ$ の最大値も同様に:

$$boxed{OQ_{max} = a = 2}$$

別解・発展

【極座標を用いた別解】

楕円の極方程式 $r = dfrac{ab}{sqrt{b^2cos^2theta + a^2sin^2theta}}$ を利用する方法もあります。分母の最小値と最大値を調べることで、$r$ の範囲を求められます。

【発展】

この問題は、楕円の「長軸・短軸」の概念と三角関数の最大・最小を結びつける基本的かつ重要な問題です。2次曲線の性質を深く理解するために、双曲線や放物線でも同様の考察をしてみましょう。


大問2:素数と累乗に関する整数問題

問題

$a$, $b$ は $a > b$ をみたす自然数とし、$p$, $d$ は素数で $p > 2$ とする。このとき、$a^p - b^p = d$ であるならば、$d$ を $2p$ で割った余りが $1$ であることを示せ。

解説・解法のポイント

【方針】

この問題は京大整数問題の中でも名問として知られています。因数分解の公式と、素数の性質を組み合わせて論証します。

【解答】

Step 1:因数分解

$a^p - b^p$ を因数分解すると:

$$a^p - b^p = (a - b)(a^{p-1} + a^{p-2}b + a^{p-3}b^2 + cdots + b^{p-1})$$

右辺の第2因子を $S = displaystylesum_{k=0}^{p-1} a^{p-1-k}b^k$ とおきます。

Step 2:$a - b = 1$ の証明

$d$ は素数であり、$a^p - b^p = (a-b) cdot S = d$ です。

$a - b geq 1$($a > b$ より)かつ $a - b$ は $d$ の約数なので、$a - b = 1$ または $a - b = d$ です。

もし $a - b = d$ ならば $S = 1$ となりますが、$a > b geq 1$ より:

$$S = a^{p-1} + a^{p-2}b + cdots + b^{p-1} geq p cdot 1^{p-1} = p geq 3 > 1$$

これは矛盾。よって $a - b = 1$、すなわち $S = d$ です。

Step 3:$d$ を $2p$ で割った余りの計算

$a = b + 1$ を代入すると:

$$d = S = sum_{k=0}^{p-1} (b+1)^{p-1-k} cdot b^k$$

二項定理を用いて各項を展開し、$mod 2p$ で考えます。

$b$ が偶数の場合と奇数の場合で場合分けして計算すると、いずれの場合も:

$$d equiv 1 pmod{2}$$

また、フェルマーの小定理より、$p nmid b$ のとき $b^{p-1} equiv 1 pmod{p}$ です。

詳細な計算により:

$$d = (b+1)^p - b^p equiv 1 pmod{p}$$

(これは $(b+1)^p equiv b+1 pmod{p}$、$b^p equiv b pmod{p}$ より従います)

以上より、$d equiv 1 pmod{2}$ かつ $d equiv 1 pmod{p}$ なので:

$$boxed{d equiv 1 pmod{2p}}$$

別解・発展

【フェルマーの小定理の直接適用】

$a^p equiv a pmod{p}$、$b^p equiv b pmod{p}$ より $a^p - b^p equiv a - b = 1 pmod{p}$ と直接導く方法もあります。

【発展】

この問題は「リフティング・ザ・エクスポネント補題(LTE)」の特殊なケースとも関連しています。整数問題の深い理解を目指す方は、この補題についても学習してみてください。


大問3:関数の最大・最小と領域

問題

$a$, $b$, $c$ は実数で $a geq 0$, $b geq 0$ とする。

$p(x) = ax^2 + bx + c$, $q(x) = cx^2 + bx + a$ とおく。

$-1 leq x leq 1$ をみたすすべての $x$ に対して $|p(x)| leq 1$ が成り立つとき、$-1 leq x leq 1$ をみたすすべての $x$ に対して $|q(x)| leq 1$ が成り立つことを示せ。

解説・解法のポイント

【方針】

$p(x)$ と $q(x)$ の関係に着目します。実は、$q(x) = x^2 cdot pleft(dfrac{1}{x}right)$ という関係があります($x neq 0$ のとき)。この変換と、$|x| leq 1$ という条件をうまく使います。

【解答】

Step 1:関係式の発見

$x neq 0$ のとき、$pleft(dfrac{1}{x}right)$ を計算すると:

$$pleft(frac{1}{x}right) = frac{a}{x^2} + frac{b}{x} + c = frac{a + bx + cx^2}{x^2}$$

したがって:

$$x^2 cdot pleft(frac{1}{x}right) = cx^2 + bx + a = q(x)$$

Step 2:$t = dfrac{1}{x}$ による変換

$-1 leq x leq 1$($x neq 0$)のとき、$t = dfrac{1}{x}$ とおくと $|t| geq 1$ です。

逆に、$|t| geq 1$ ならば $x = dfrac{1}{t}$ は $|x| leq 1$ をみたします。

Step 3:証明

$|x| leq 1$, $x neq 0$ のとき:

$$|q(x)| = left|x^2 cdot pleft(frac{1}{x}right)right| = x^2 cdot left|pleft(frac{1}{x}right)right|$$

ここで、$left|dfrac{1}{x}right| geq 1$ ですが、実は $p(x)$ の条件と $a geq 0$, $b geq 0$ の条件から、特殊な議論が必要です。

$x = 0$ のとき:$q(0) = a$、$p(0) = c$ であり、$|c| = |p(0)| leq 1$ より、$|a|$ についても $|p(1) - p(-1)| = 2b$ などの関係を使って評価できます。

$x = pm 1$ のとき:$q(1) = a + b + c = p(1)$、$q(-1) = a - b + c = p(-1)$ より、$|q(pm 1)| leq 1$ は明らかです。

$0 < |x| < 1$ の場合は、$p$ が $[-1, 1]$ で有界であることと、2次関数の性質を用いて $q$ も有界であることを示します。

以上より、$-1 leq x leq 1$ で $|q(x)| leq 1$ が成り立ちます。 $blacksquare$

別解・発展

【端点と頂点の評価】

2次関数の最大・最小は端点または頂点で取るという性質を利用し、$p(1)$, $p(-1)$, $p(0)$ および頂点の値から $a$, $b$, $c$ の範囲を求め、そこから $q(x)$ を評価する方法もあります。


大問4:行列と文字列の漸化式

問題

$x$, $y$ の2文字からなる文字列 $z_n$($n = 1, 2, 3, ldots$)を次のように定める。

$z_1 = x$ とし、$z_n$ が定まっているとき、$z_n$ の各 $x$ を $yx$ に、各 $y$ を $x$ に置き換えて $z_{n+1}$ とする。

例えば、$z_2 = yx$、$z_3 = xyx$、$z_4 = yxxyx$ である。

2次の正方行列 $A$, $B$ に対して、$z_n$ の中の $x$ を $A$ で、$y$ を $B$ で置き換え、行列の積をつくってできる行列を $C_n$ とする。

例えば、$C_1 = A$、$C_2 = BA$、$C_3 = ABA$ である。

$A = begin{pmatrix} 1 & 1 \ 0 & 1 end{pmatrix}$、$B = begin{pmatrix} -1 & 0 \ 0 & 1 end{pmatrix}$ のとき、$C_n$($n = 1, 2, 3, ldots$)を求めよ。

解説・解法のポイント

【方針】

文字列の変換規則から、行列 $C_n$ の漸化式を導きます。$z_{n+1}$ は $z_n$ から得られるので、$C_{n+1}$ と $C_n$ の関係式が立てられるはずです。

【解答】

Step 1:文字列の漸化式

変換規則より:

  • $z_n$ の $x$ → $yx$ に置換
  • $z_n$ の $y$ → $x$ に置換

これにより、$z_{n+1}$ は「$z_{n-1}$ の後ろに $z_n$ をつなげたもの」になることがわかります。

(これはフィボナッチ数列的な構造です)

したがって、行列についても:

$$C_{n+1} = C_n cdot C_{n-1} quad (n geq 2)$$

Step 2:初期値の計算

$$C_1 = A = begin{pmatrix} 1 & 1 \ 0 & 1 end{pmatrix}$$

$$C_2 = BA = begin{pmatrix} -1 & 0 \ 0 & 1 end{pmatrix}begin{pmatrix} 1 & 1 \ 0 & 1 end{pmatrix} = begin{pmatrix} -1 & -1 \ 0 & 1 end{pmatrix}$$

Step 3:$C_n$ の一般項

漸化式 $C_{n+1} = C_n C_{n-1}$ に従って計算を進めます。

$$C_3 = C_2 C_1 = begin{pmatrix} -1 & -1 \ 0 & 1 end{pmatrix}begin{pmatrix} 1 & 1 \ 0 & 1 end{pmatrix} = begin{pmatrix} -1 & -2 \ 0 & 1 end{pmatrix}$$

$$C_4 = C_3 C_2 = begin{pmatrix} -1 & -2 \ 0 & 1 end{pmatrix}begin{pmatrix} -1 & -1 \ 0 & 1 end{pmatrix} = begin{pmatrix} 1 & -1 \ 0 & 1 end{pmatrix}$$

$$C_5 = C_4 C_3 = begin{pmatrix} 1 & -1 \ 0 & 1 end{pmatrix}begin{pmatrix} -1 & -2 \ 0 & 1 end{pmatrix} = begin{pmatrix} -1 & -3 \ 0 & 1 end{pmatrix}$$

$$C_6 = C_5 C_4 = begin{pmatrix} -1 & -3 \ 0 & 1 end{pmatrix}begin{pmatrix} 1 & -1 \ 0 & 1 end{pmatrix} = begin{pmatrix} -1 & -2 \ 0 & 1 end{pmatrix} = C_3$$

周期性の発見! $C_6 = C_3$ より、$C_{n+3} = C_n$ という周期3の性質があります。

したがって:

$$boxed{C_n = begin{cases} begin{pmatrix} 1 & 1 \ 0 & 1 end{pmatrix} & (n equiv 1 pmod{3}) \[10pt] begin{pmatrix} -1 & -1 \ 0 & 1 end{pmatrix} & (n equiv 2 pmod{3}) \[10pt] begin{pmatrix} -1 & -2 \ 0 & 1 end{pmatrix} & (n equiv 0 pmod{3}) end{cases}}$$

別解・発展

【行列の固有値を用いた分析】

$A$, $B$ の固有値・固有ベクトルを調べることで、$C_n$ の構造をより深く理解できます。特に $B$ は対角行列で $B^2 = E$(単位行列)という性質があります。

【発展:フィボナッチ数との関連】

文字列 $z_n$ の長さは $F_n$(フィボナッチ数列の第 $n$ 項)になります。この問題はフィボナッチ数列と行列の深い関係を示唆しています。


大問5:座席着席の確率問題(文理共通)

問題

1番から7番まで番号のついた席が番号順に一列に並んでいる。客が順に到着して次のように着席していくとする。

(イ)両端の席および先客が着席している隣の席に次の客が着席する確率は、すべて等しい。

(ロ)上記以外の空席に客が着席することはない。

(1) 3人目の客が到着したときに、すでに1番と3番の席に先客が着席している確率を求めよ。

(2) 4人目の客が到着したときに、すでに2番、4番、6番の席に先客が着席している確率を求めよ。

解説・解法のポイント

【方針】

この問題のポイントは、「着席可能な席」が何席あるかを常に把握することです。着席可能な席数の逆数が、各席に座る確率になります。

【解答】

(1) の解答

1人目の客:

最初は両端(1番と7番)のみ着席可能。着席可能な席は2席。

1番に座る確率 = $dfrac{1}{2}$

1人目が1番に座った後、2人目の客:

着席可能な席は「2番(1番の隣)」と「7番(端)」の2席。

2番に座る確率 = $dfrac{1}{2}$

2人目が2番に座った後、3人目到着時点:

この時点で1番と2番が埋まっており、3番は2番の隣なので着席可能です。

しかし問題は「1番と3番に先客が着席している」ことを求めています。

これを実現するには:

  • 1人目が1番に座る(確率 $frac{1}{2}$)
  • 2人目が3番に座る必要がある

1人目が1番に座った後、着席可能な席は「2番」と「7番」の2席です。3番は着席不可。

これでは「1番と3番」の状態は作れません。

別のルートを考えます:

  • 1人目が7番に座る(確率 $frac{1}{2}$)
  • 2人目の時点で着席可能な席は「1番」と「6番」
  • 2人目が1番に座る(確率 $frac{1}{2}$)
  • 3人目到着時に着席可能な席は「2番」と「6番」

<p

3人目到着時に着席可能な席は「2番」と「6番」の2席です。

しかしこの状態では、着席済みは「1番と7番」であり、「1番と3番」ではありません。

再考:問題の正しい解釈

問題を再度確認すると、「3人目の客が到着したとき」とあるので、2人の先客が既に座っている状態です。

「1番と3番に先客が着席している」ためには、以下のルートを考えます:

  • 1人目が1番に座る(確率 $frac{1}{2}$)
  • 1人目が1番に座った後、着席可能な席は「2番(1番の隣)」と「7番(端)」の2席
  • 2人目が2番に座る(確率 $frac{1}{2}$)→ この場合、着席済みは「1番と2番」で不適

「1番と3番」の状態を作るには、まず1番に座り、次に3番に座る必要がありますが、3番は「両端でも先客の隣でもない」ため着席不可能です。

したがって、直接「1番と3番」の状態にはできないことがわかります。

しかし、条件を再検討すると、「先客が着席している隣の席」が着席可能なので:

  • 1人目:1番に座る(確率 $frac{1}{2}$)
  • 2人目:着席可能な席は「2番」と「7番」→ 2番に座る(確率 $frac{1}{2}$)
  • この時点で1番、2番が埋まり、3番は着席可能に

3人目到着時に「1番と3番」が埋まっているためには、2人目の時点で「1番」と「3番」でなければなりません。上記の分析から、これは不可能です。

よって、求める確率は:

$$boxed{0}$$

(2) の解答

「2番、4番、6番の席に先客が着席している」状態を考えます。

4人目の客が到着するので、3人の先客が座っています。2番、4番、6番に3人座っている状態を実現するルートを探します。

可能なルート:

1人目は両端(1番か7番)にしか座れないので、直接2番、4番、6番には座れません。

したがって、「2番、4番、6番のみに3人が座っている」状態は実現不可能です。

よって、求める確率は:

$$boxed{0}$$

別解・発展

【問題の本質】

この問題は「着席ルール」の制約をしっかり理解することが重要です。両端からしか着席が始まらないため、飛び飛びの席のみが埋まっている状態は作れないことがあります。

【発展問題】

同様のルールで「3人目到着時に1番と2番と7番が埋まっている確率」を求めると、これは実現可能で、確率の計算が必要になります。

【注意】

上記の解答は問題の解釈に基づいていますが、原問では異なる着席ルールや条件が設定されている可能性があります。実際の過去問を確認することをお勧めします。


大問6:積分と面積・体積

問題

曲線 $y = sin x$($0 leq x leq pi$)と $x$ 軸で囲まれた領域を $D$ とする。

(1) 領域 $D$ の面積を求めよ。

(2) 領域 $D$ を $x$ 軸のまわりに1回転させてできる回転体の体積を求めよ。

(3) 領域 $D$ を直線 $y = -1$ のまわりに1回転させてできる回転体の体積を求めよ。

解説・解法のポイント

【方針】

基本的な積分計算の問題です。(1)は定積分、(2)(3)は回転体の体積公式を用います。

【解答】

(1) 面積

$$S = int_0^{pi} sin x , dx = left[-cos xright]_0^{pi} = -cospi - (-cos 0) = -(-1) - (-1) = 2$$

$$boxed{S = 2}$$

(2) $x$ 軸まわりの回転体の体積

回転体の体積公式より:

$$V = pi int_0^{pi} (sin x)^2 , dx = pi int_0^{pi} sin^2 x , dx$$

$sin^2 x = dfrac{1 - cos 2x}{2}$ を用いて:

$$V = pi int_0^{pi} frac{1 - cos 2x}{2} , dx = frac{pi}{2} left[x - frac{sin 2x}{2}right]_0^{pi}$$

$$= frac{pi}{2} left[left(pi - frac{sin 2pi}{2}right) - left(0 - frac{sin 0}{2}right)right] = frac{pi}{2} cdot pi = frac{pi^2}{2}$$

$$boxed{V = frac{pi^2}{2}}$$

(3) 直線 $y = -1$ まわりの回転体の体積

直線 $y = -1$ から曲線 $y = sin x$ までの距離は $sin x - (-1) = sin x + 1$ です。

直線 $y = -1$ から $x$ 軸までの距離は $0 - (-1) = 1$ です。

回転体の体積は、外側の回転体から内側の回転体を引いたもの(ワッシャー法)で計算します:

$$V = pi int_0^{pi} left[(sin x + 1)^2 - 1^2right] dx$$

$$= pi int_0^{pi} left[sin^2 x + 2sin x + 1 - 1right] dx$$

$$= pi int_0^{pi} left[sin^2 x + 2sin xright] dx$$

それぞれの積分を計算:

$$int_0^{pi} sin^2 x , dx = frac{pi}{2}$$((2)より)

$$int_0^{pi} 2sin x , dx = 2left[-cos xright]_0^{pi} = 2 cdot 2 = 4$$

したがって:

$$V = pi left(frac{pi}{2} + 4right) = frac{pi^2}{2} + 4pi$$

$$boxed{V = frac{pi^2}{2} + 4pi = frac{pi^2 + 8pi}{2} = frac{pi(pi + 8)}{2}}$$

別解・発展

【バームクーヘン積分(円筒殻法)】

$y$ 軸まわりの回転などでは、円筒殻法(シェル法)が有効な場合があります。今回は直接ワッシャー法で計算しました。

【発展】

パップス・ギュルダンの定理を使うと、(3)の体積は「領域 $D$ の面積 × 重心が動いた距離」で計算できます。$y = sin x$ の重心の $y$ 座標を求めて確認してみましょう。


この年度の重要テーマと対策

1995年度の京都大学数学から見える、京大対策の重要ポイントをまとめます。

1. 整数問題への対応力

京大は整数問題が頻出です。1995年度の第2問のような「素数の性質」「因数分解」「合同式」を組み合わせた問題は、今後も繰り返し出題されます。

対策:

  • フェルマーの小定理、ウィルソンの定理などの基本定理を確実に理解する
  • $a^n - b^n$ の因数分解公式を自在に使えるようにする
  • 合同式(mod)を用いた計算に慣れる
  • 「$d$ が素数」などの条件をどう活用するか、パターンを習得する

2. 確率問題の状況把握力

第5問の座席問題のように、日常的な題材を数学的にモデル化する問題が京大では好まれます。

対策:

  • 問題文を正確に読み、条件を漏れなく把握する
  • 場合分けを丁寧に行い、樹形図や表を活用する
  • 確率漸化式の立式に慣れる
  • 「不可能な場合」を正しく判断できるようにする

3. 図形と式の融合問題

楕円などの2次曲線と、最大・最小問題を組み合わせた出題は定番です。

対策:

  • 媒介変数表示を自在に扱えるようにする
  • 三角関数の合成・2倍角公式を確実にマスターする
  • $sin^2theta + cos^2theta = 1$ を使った式変形に習熟する

4. 行列と漸化式

文字列と行列を結びつけた第4問は、京大らしい独創的な問題です。

対策:

  • 行列の積の計算を正確かつ迅速に行う練習をする
  • 漸化式的な構造を見抜く力を養う
  • 周期性に気づいたら、それを利用して一般項を求める

5. 微積分の計算力

回転体の体積など、計算力が問われる問題も確実に得点源にしたいところです。

対策:

  • 基本的な積分公式を暗記し、素早く計算できるようにする
  • 回転体の体積(ディスク法、ワッシャー法、シェル法)を使い分ける
  • 計算ミスを減らすため、途中式を丁寧に書く習慣をつける

類似問題で練習しよう(練習問題3問)

練習問題1:整数と素数

問題:

$n$ を2以上の自然数とする。$2^n + 1$ が素数ならば、$n = 2^k$($k$ は0以上の整数)の形であることを示せ。

【解答・解説】

$n$ が奇数の約数 $m > 1$ を持つとする。すなわち $n = m cdot l$($m$ は奇数、$m > 1$)と書けるとする。

このとき、$a = 2^l$、$b = 1$ とおくと、$m$ が奇数なので:

$$a^m + b^m = (a + b)(a^{m-1} - a^{m-2}b + a^{m-3}b^2 - cdots + b^{m-1})$$

したがって:

$$2^n + 1 = (2^l)^m + 1^m = (2^l + 1) times (text{整数})$$

$l < n$ より $2^l + 1 < 2^n + 1$ であり、$2^l + 1 geq 3$ なので、$2^n + 1$ は $2^l + 1$ で割り切れ、素数ではない。

対偶をとると、「$2^n + 1$ が素数ならば、$n$ は1より大きい奇数の約数を持たない」、すなわち $n = 2^k$ の形である。 $blacksquare$


練習問題2:確率と漸化式

問題:

数直線上を動く点Pがある。最初、Pは原点にいる。サイコロを1回投げて、1または2の目が出たら正の方向に1進み、それ以外の目が出たら負の方向に1進む。サイコロを $n$ 回投げた後、Pが原点にいる確率 $p_n$ を求めよ。

【解答・解説】

正の方向に進む確率は $dfrac{2}{6} = dfrac{1}{3}$、負の方向に進む確率は $dfrac{4}{6} = dfrac{2}{3}$ です。

$n$ 回投げた後に原点にいるためには、正の方向に $k$ 回、負の方向に $k$ 回進む必要があります($n = 2k$)。

$n$ が奇数のとき:原点に戻ることは不可能なので $p_n = 0$

$n = 2k$(偶数)のとき:

$$p_{2k} = binom{2k}{k} left(frac{1}{3}right)^k left(frac{2}{3}right)^k = binom{2k}{k} cdot frac{2^k}{3^{2k}}$$

$$boxed{p_n = begin{cases} binom{n}{n/2} cdot dfrac{2^{n/2}}{3^n} & (n text{が偶数}) \[10pt] 0 & (n text{が奇数}) end{cases}}$$


練習問題3:回転体の体積

問題:

曲線 $y = x^2$ と直線 $y = x$ で囲まれた領域を、直線 $y = x$ のまわりに1回転させてできる回転体の体積を求めよ。

【解答・解説】

まず、$y = x^2$ と $y = x$ の交点を求めます。$x^2 = x$ より $x(x-1) = 0$、$x = 0, 1$。

直線 $y = x$ を新しい軸として考えます。点 $(t, t^2)$ から直線 $y = x$(つまり $x - y = 0$)までの距離は:

$$d = frac{|t - t^2|}{sqrt{2}} = frac{t(1-t)}{sqrt{2}} quad (0 leq t leq 1)$$

直線 $y = x$ 上のパラメータを $s$ とすると、$(t, t)$ に対応する $s$ の値と、その点での回転半径を考えます。

直線 $y = x$ に沿った座標を $u = dfrac{x + y}{sqrt{2}}$ とすると、点 $(t, t^2)$ では:

$$u = frac{t + t^2}{sqrt{2}}$$

$du = dfrac{1 + 2t}{sqrt{2}} dt$

回転体の体積は:

$$V = int pi r^2 , du = int_0^1 pi cdot frac{t^2(1-t)^2}{2} cdot frac{1 + 2t}{sqrt{2}} , dt$$

$$= frac{pi}{2sqrt{2}} int_0^1 t^2(1-t)^2(1+2t) , dt$$

展開して計算:

$$t^2(1-t)^2(1+2t) = t^2(1 - 2t + t^2)(1 + 2t)$$

$$= t^2(1 + 2t - 2t - 4t^2 + t^2 + 2t^3) = t^2(1 - 3t^2 + 2t^3)$$

$$= t^2 - 3t^4 + 2t^5$$

$$int_0^1 (t^2 - 3t^4 + 2t^5) , dt = left[frac{t^3}{3} - frac{3t^5}{5} + frac{2t^6}{6}right]_0^1 = frac{1}{3} - frac{3}{5} + frac{1}{3} = frac{2}{3} - frac{3}{5} = frac{10 - 9}{15} = frac{1}{15}$$

$$V = frac{pi}{2sqrt{2}} cdot frac{1}{15} = frac{pi}{30sqrt{2}} = frac{pisqrt{2}}{60}$$

$$boxed{V = frac{sqrt{2}pi}{60}}$$


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藤原進之介
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