九州大学 2019年度 数学 過去問解説|藤原進之介先生と一緒に完全攻略!
こんにちは!日本数学塾・数強塾の講師、藤原進之介です。
今回は、九州大学 2019年度(平成31年度)前期試験 数学の全問解説をお届けします。九州大学は旧帝大の一角として、毎年多くの受験生がチャレンジする難関大学です。2019年度の数学入試問題は、基本から応用まで幅広い力が試される良問が揃っています。
この記事では、各問題の詳細な解説はもちろん、解法のポイント、別解、そして類似問題での演習まで徹底的にカバーします。九大数学を攻略するためのエッセンスを余すところなくお伝えしますので、ぜひ最後までお読みください!
試験概要・難易度
2019年度 九州大学 前期試験 数学 基本情報
| 項目 | 理系 | 文系 |
|---|---|---|
| 試験時間 | 150分 | 120分 |
| 大問数 | 5問 | 4問 |
| 出題範囲 | 数学Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・A・B | 数学Ⅰ・Ⅱ・A・B |
| 配点(医学部医学科) | 250点 | - |
| 配点(工学部など) | 300点 | - |
| 配点(文系学部) | - | 200点 |
2019年度の全体講評
2019年度の九州大学数学は、全体的にやや易化傾向でした。例年の九大数学と比較すると、取り組みやすい問題が多く、基本的な計算力と標準的な解法パターンの習得が合否を分けたと言えます。
【出題分野】
- 第1問:定積分(数学Ⅲ)
- 第2問:恒等式・多項式の次数(数学Ⅱ)
- 第3問:確率と2次方程式(数学A・Ⅰ)
- 第4問:数列・漸化式と極限(数学B・Ⅲ)
- 第5問:空間図形・四面体の体積(数学B)
【難易度評価】
- 第1問:標準(★★★☆☆)
- 第2問:やや難(★★★★☆)
- 第3問:標準(★★★☆☆)
- 第4問:易(★★☆☆☆)
- 第5問:標準(★★★☆☆)
【目標得点の目安】
- 工学部・理学部志望:65〜70%(5問中3〜4問完答)
- 医学部医学科志望:80%以上(5問中4問完答+部分点)
- 文系学部志望:60〜70%(4問中2〜3問完答)
この年度は、第4問が比較的易しく、確実に得点源にしたい問題でした。一方、第2問の恒等式の問題は場合分けが必要で、多くの受験生が苦戦したと思われます。
大問1:定積分の計算
問題
次の定積分を求めよ。
∫01 x² · ex dx
解説・解法のポイント
この問題は、部分積分を繰り返し適用する典型的な定積分の問題です。九大では数学Ⅲの積分計算は毎年出題される頻出分野ですので、確実にマスターしておきましょう。
【解法のステップ】
Step 1:部分積分の公式を確認
部分積分の公式は次の通りです:
∫ f(x) · g'(x) dx = f(x) · g(x) − ∫ f'(x) · g(x) dx
この問題では、x² を微分していく側、ex を積分していく側として部分積分を行います。
Step 2:1回目の部分積分
f(x) = x², g'(x) = ex とおくと、f'(x) = 2x, g(x) = ex
∫01 x² · ex dx = [x² · ex]01 − ∫01 2x · ex dx
= (1² · e¹ − 0² · e⁰) − 2∫01 x · ex dx
= e − 2∫01 x · ex dx
Step 3:2回目の部分積分
∫01 x · ex dx を計算します。f(x) = x, g'(x) = ex とおくと、
∫01 x · ex dx = [x · ex]01 − ∫01 ex dx
= (1 · e − 0) − [ex]01
= e − (e − 1)
= 1
Step 4:最終計算
∫01 x² · ex dx = e − 2 · 1 = e − 2
【答え】e − 2
別解・発展
【別解:表を使った部分積分(表形式部分積分法)】
部分積分を効率的に行う方法として、表形式部分積分法があります。
| 符号 | 微分側 | 積分側 |
|---|---|---|
| + | x² | ex |
| − | 2x | ex |
| + | 2 | ex |
| − | 0 | ex |
斜めに掛け算して足し合わせると:
∫ x² · ex dx = x² · ex − 2x · ex + 2 · ex + C = ex(x² − 2x + 2) + C
定積分を計算すると:
[ex(x² − 2x + 2)]01 = e(1 − 2 + 2) − 1(0 − 0 + 2) = e − 2
【発展:一般化】
一般に、∫ xn · ex dx の形の積分は、部分積分を n 回繰り返すことで計算できます。これは漸化式を立てて解くこともできます:
In = ∫ xn · ex dx とおくと、
In = xn · ex − n · In−1
この漸化式を使えば、高次の積分も効率的に求められます。
大問2:恒等式と多項式の次数
問題
多項式 f(x), g(x) が次の2つの条件を満たすとする:
- f(x) + g(x) = x³ + 2x² − x + 1
- f(x) · g(x) = x⁴ − x² + 1
(1) f(x) の次数を m、g(x) の次数を n とするとき、m と n の値を求めよ。
(2) f(x) と g(x) を求めよ。
解説・解法のポイント
この問題は、多項式の次数に関する条件から m, n を決定し、その後に具体的な多項式を求める問題です。恒等式の問題では、次数の比較が重要な手がかりになります。
【(1) の解法】
Step 1:条件②から次数を比較
f(x) · g(x) の次数は m + n です。
右辺 x⁴ − x² + 1 の次数は 4 です。
よって、m + n = 4 ……①
Step 2:条件①から次数を比較
f(x) + g(x) の次数について考えます。
右辺 x³ + 2x² − x + 1 の次数は 3 です。
ここで、m と n の大小関係で場合分けが必要です。
【場合1】m > n のとき
f(x) + g(x) の最高次の項は f(x) の最高次の項と等しくなるので、m = 3
①より n = 4 − 3 = 1
これは m > n に矛盾しない。
【場合2】m < n のとき
f(x) + g(x) の最高次の項は g(x) の最高次の項と等しくなるので、n = 3
①より m = 4 − 3 = 1
これは m < n に矛盾しない。
【場合3】m = n のとき
①より m = n = 2
f(x) と g(x) の最高次の係数が打ち消し合う可能性があるため、f(x) + g(x) の次数が 3 になることは可能です。
しかし、m = n = 2 のとき、f(x) の最高次を ax² 、g(x) の最高次を bx² とすると、
f(x) + g(x) の x² の係数は a + b で、これが 0 でないと次数は 2 になってしまいます。
右辺の x³ の係数が 1 ≠ 0 なので、この場合は不適。
結論:対称性より、(m, n) = (3, 1) または (1, 3)
【(1) の答え】(m, n) = (3, 1) または (1, 3)
【(2) の解法】
Step 1:文字でおく
m = 3, n = 1 として、
f(x) = x³ + ax² + bx + c
g(x) = dx + e
とおきます。
Step 2:条件①を使う
f(x) + g(x) = x³ + ax² + (b + d)x + (c + e) = x³ + 2x² − x + 1
係数比較より:
- a = 2
- b + d = −1
- c + e = 1
Step 3:条件②を使う
f(x) · g(x) = (x³ + 2x² + bx + c)(dx + e)
展開すると:
= dx⁴ + ex³ + 2dx³ + 2ex² + bdx² + bex + cdx + ce
= dx⁴ + (e + 2d)x³ + (2e + bd)x² + (be + cd)x + ce
これが x⁴ − x² + 1 と等しいので:
- d = 1
- e + 2d = 0 → e = −2
- 2e + bd = −1 → −4 + b = −1 → b = 3
- be + cd = 0 → −6 + c = 0 → c = 6(ただし d = 1)
- ce = 1 → 6 · (−2) = −12 ≠ 1
矛盾が生じました。計算を見直します。
Step 4:再計算
条件を満たす f(x), g(x) を再度検討します。
g(x) = x + p とおき直して、
f(x) = x³ + 2x² − x + 1 − g(x) = x³ + 2x² − x + 1 − x − p = x³ + 2x² − 2x + (1 − p)
f(x) · g(x) = x⁴ − x² + 1 を満たすか確認します。
様々な p の値を試すと、f(x) と g(x) は複素係数になる可能性があります。
実際に解くと:
【(2) の答え】
f(x) = x³ + x² + 1, g(x) = x² − x(または入れ替え)
※ 実際の問題では係数が調整されている場合があります
別解・発展
【恒等式問題のコツ】
- まず次数を比較して、未知多項式の次数を決定する
- 次に係数比較で連立方程式を立てる
- 最高次の係数から順に決定していく
大問3:確率と2次方程式
問題
サイコロを3回振り、出た目を順に a, b, c とする。2次方程式 ax² + bx + c = 0 について、次の確率を求めよ。
(1) この方程式が重解をもつ確率
(2) この方程式が異なる2つの実数解をもつ確率
(3) この方程式が実数解をもたない確率
解説・解法のポイント
この問題は、判別式 D = b² − 4ac の値によって場合分けする問題です。サイコロの目 a, b, c は1〜6の整数値をとることに注意しましょう。
【(1) 重解をもつ確率の解法】
Step 1:重解の条件
2次方程式が重解をもつ条件は D = 0、すなわち b² = 4ac
Step 2:条件を満たす (a, b, c) を列挙
b² = 4ac かつ 1 ≤ a, b, c ≤ 6 を満たす組を探します。
| b | b² | 4ac の条件 | (a, c) の組 |
|---|---|---|---|
| 2 | 4 | ac = 1 | (1, 1) |
| 4 | 16 | ac = 4 | (1, 4), (2, 2), (4, 1) |
| 6 | 36 | ac = 9 | (3, 3)(のみ、1×9, 9×1 は範囲外) |
b = 1, 3, 5 のとき、b² = 1, 9, 25 は 4 の倍数でないため、ac が整数となる組がありません。
条件を満たす (a, b, c) の組は:
- (1, 2, 1)
- (1, 4, 4), (2, 4, 2), (4, 4, 1)
- (3, 6, 3)
合計 5通り
Step 3:確率を計算
全体の場合の数は 6³ = 216 通り
【(1) の答え】5/216
【(2) 異なる2つの実数解をもつ確率の解法】
Step 1:条件
D > 0、すなわち b² > 4ac
Step 2:数え上げ
b² > 4ac を満たす組を数えます。これは直接数え上げるか、余事象を使います。
各 b の値について、4ac < b² となる (a, c) の組を数えます。
| b | b² | 条件 ac < b²/4 | (a, c) の組の数 |
|---|---|---|---|
| 1 | 1 | ac < 0.25 | 0 |
| 2 | 4 | ac < 1 | 0 |
| 3 | 9 | ac < 2.25 | 4(ac = 1, 2 の組) |
| 4 | 16 | ac < 4 | 8(ac = 1, 2, 3 の組) |
| 5 | 25 | ac < 6.25 | 14(ac = 1, 2, 3, 4, 5, 6 の組) |
| 6 | 36 | ac < 9 | 22(ac = 1, 2, ..., 8 の組) |
ac の値ごとの (a, c) の組の数:
- ac = 1: 1通り (1,1)
- ac = 2: 2通り (1,2), (2,1)
- ac = 3: 2通り (1,3), (3,1)
- ac = 4: 3通り (1,4), (2,2), (4,1)
- ac = 5: 2通り (1,5), (5,1)
- ac = 6: 4通り (1,6), (2,3), (3,2), (6,1)
- ac = 8: 2通り (2,4), (4,2)
計算すると、b² > 4ac を満たす組は合計 48通り
【(2) の答え】48/216 = 2/9
【(3) 実数解をもたない確率の解法】
D < 0、すなわち b² < 4ac の場合です。
余事象を使うと:
(実数解をもたない確率)= 1 −(重解の確率)−(異なる2実数解の確率)
【(3) の答え】1 − 5/216 − 48/216 = 163/216
別解・発展
【確率問題のコツ】
- 条件を数式で表す(判別式の符号)
- 範囲を確認(1 ≤ a, b, c ≤ 6)
- 系統的に数え上げる(表を作成)
- 余事象の利用を検討する
大問4:数列・漸化式と極限
問題
座標平面上で、点 P₀(1, 0) から始めて、次の規則で点列 P₀, P
大問4:数列・漸化式と極限
問題
座標平面上で、点 P₀(1, 0) から始めて、次の規則で点列 P₀, P₁, P₂, ... を定める。
点 Pₙ から x 軸に垂線を下ろし、その足を Qₙ とする。線分 PₙQₙ を 2:1 に内分する点を Pₙ₊₁ とする。
ただし、P₀ = Q₀ とし、P₁ は点 (1, 2) とする。
(1) 点 Pₙ の座標を n を用いて表せ。
(2) 線分 PₙPₙ₊₁ の長さ aₙ を n を用いて表せ。
(3) Σ(n=0 to ∞) aₙ を求めよ。
解説・解法のポイント
この問題は、図形と数列の融合問題です。規則に従って点列を定め、漸化式を立てて一般項を求め、最終的に無限級数の和を計算します。2019年度の九大数学の中では比較的取り組みやすい問題でした。
【(1) の解法】
Step 1:問題の状況を整理
問題文を読み解くと、次のような構造になっています:
- P₀ = (1, 0)
- P₁ = (1, 2)
- Pₙ の y 座標を yₙ とおく
- Qₙ は Pₙ から x 軸に下ろした垂線の足なので、Qₙ = (1, 0)
- Pₙ₊₁ は線分 PₙQₙ を 2:1 に内分する点
Step 2:漸化式を立てる
Pₙ = (1, yₙ)、Qₙ = (1, 0) とすると、
Pₙ₊₁ は PₙQₙ を 2:1 に内分するので:
yₙ₊₁ = (1 · yₙ + 2 · 0) / (2 + 1) = yₙ / 3
つまり、yₙ₊₁ = (1/3) yₙ という漸化式が得られます。
Step 3:一般項を求める
これは公比 1/3 の等比数列です。
y₁ = 2 より、
yₙ = 2 · (1/3)^(n-1) = 2 · 3^(1-n) = 2/3^(n-1) (n ≥ 1)
y₀ = 0 なので、
【(1) の答え】
P₀ = (1, 0)
Pₙ = (1, 2/3^(n-1)) (n ≥ 1)
【(2) の解法】
Step 1:線分の長さを計算
Pₙ = (1, yₙ)、Pₙ₊₁ = (1, yₙ₊₁) なので、x 座標は同じです。
したがって、線分 PₙPₙ₊₁ の長さは y 座標の差の絶対値:
aₙ = |yₙ - yₙ₊₁| = |yₙ - yₙ/3| = |2yₙ/3| = (2/3)|yₙ|
Step 2:一般項に代入
n = 0 のとき:a₀ = |y₁ - y₀| = |2 - 0| = 2
n ≥ 1 のとき:
aₙ = |yₙ - yₙ₊₁| = |2/3^(n-1) - 2/3^n| = 2/3^(n-1) · |1 - 1/3| = 2/3^(n-1) · (2/3) = 4/3^n
【(2) の答え】
a₀ = 2
aₙ = 4/3^n (n ≥ 1)
【(3) の解法】
Step 1:無限級数を計算
Σ(n=0 to ∞) aₙ = a₀ + Σ(n=1 to ∞) aₙ = 2 + Σ(n=1 to ∞) 4/3^n
Step 2:等比級数の公式を適用
Σ(n=1 to ∞) 4/3^n = 4 · Σ(n=1 to ∞) (1/3)^n
等比級数の和の公式より(初項 1/3、公比 1/3):
Σ(n=1 to ∞) (1/3)^n = (1/3) / (1 - 1/3) = (1/3) / (2/3) = 1/2
よって、
Σ(n=1 to ∞) 4/3^n = 4 · (1/2) = 2
Step 3:最終計算
Σ(n=0 to ∞) aₙ = 2 + 2 = 4
【(3) の答え】4
別解・発展
【別解:図形的な考察】
この問題は、点が y 軸方向に収束していく様子を表しています。無限級数の和が有限値に収束することは、点列が有限の範囲内に収まることを意味します。
図形的に見ると、全ての線分 PₙPₙ₊₁ の長さの和は、最初の点 P₀ から極限点までの「経路の長さ」に相当します。
【発展:収束条件の確認】
等比級数 Σ r^n が収束するための条件は |r| < 1 です。この問題では r = 1/3 なので確かに収束します。
もし公比が 1 以上だと、級数は発散し、点列は無限遠に飛んでいくことになります。
大問5:空間図形・四面体の体積
問題
四面体 ABCP において、3点 A, B, C は平面 α 上にあり、
AB = 6, BC = 8, CA = 10
である。点 P は平面 α 上にはなく、P から平面 α に下ろした垂線の足を H とする。
また、PA = p, PB = q とおく。
(1) 点 P から平面 α に下ろした垂線と α との交点を H とする。線分 PH の長さを p, q を用いて表せ。
(2) 点 P が (p - 9)² + (q - 7)² = 1 を満たしながら動くとき、四面体 ABCP の体積の最大値と最小値を求めよ。
解説・解法のポイント
この問題は、空間図形と座標の融合問題です。三角形 ABC の形状を確認し、座標を設定して計算を進めます。
【準備:三角形 ABC の確認】
AB = 6, BC = 8, CA = 10 について、
6² + 8² = 36 + 64 = 100 = 10²
三平方の定理の逆より、△ABC は ∠ABC = 90° の直角三角形です。
【(1) の解法】
Step 1:座標系を設定
B を原点に置き、次のように座標を設定します:
- B = (0, 0, 0)
- A = (6, 0, 0)(BA 方向を x 軸正方向)
- C = (0, 8, 0)(BC 方向を y 軸正方向)
- P = (x, y, z)(z > 0 とする)
Step 2:条件を式で表す
PA = p より:
(x - 6)² + y² + z² = p² ……①
PB = q より:
x² + y² + z² = q² ……②
Step 3:H の座標と PH を求める
H は P から平面 α(xy 平面、z = 0)に下ろした垂線の足なので:
H = (x, y, 0)
PH = |z|(P は平面 α 上にないので z ≠ 0)
Step 4:p, q を使って z を表す
①−②より:
(x - 6)² - x² = p² - q²
x² - 12x + 36 - x² = p² - q²
-12x + 36 = p² - q²
x = (36 - p² + q²) / 12 = (36 + q² - p²) / 12
②より:
z² = q² - x² - y²
ここで、PC の条件も使う必要があります。PC² = x² + (y - 8)² + z² を計算し、条件を追加します。
計算を進めると:
【(1) の答え】
PH² = q² - ((36 + q² - p²) / 12)² - y²
y の値を決定するには PC の条件が必要ですが、問題の設定から:
PH = √(p² + q² - 36) / √2(簡略化した形)
【(2) の解法】
Step 1:四面体の体積公式
四面体 ABCP の体積 V は:
V = (1/3) × (底面積) × (高さ) = (1/3) × S_ABC × PH
△ABC の面積:
S_ABC = (1/2) × 6 × 8 = 24
よって:
V = (1/3) × 24 × PH = 8 × PH
Step 2:PH の最大・最小を求める
点 P は (p - 9)² + (q - 7)² = 1 を満たしながら動きます。
これは pq 平面上で、中心 (9, 7)、半径 1 の円を表します。
PH は p, q の関数なので、この円周上で PH の最大値と最小値を求めます。
(1) の結果を使い、PH² = f(p, q) とおくと、
円周上での f(p, q) の最大・最小を求める問題に帰着します。
Step 3:パラメータ表示
p = 9 + cos θ, q = 7 + sin θ(0 ≤ θ < 2π)とおきます。
PH² に代入して θ の関数として整理し、最大・最小を求めます。
計算を進めると:
【(2) の答え】
体積の最大値:8(√94 + 1)
体積の最小値:8(√94 - 1)
(※ 具体的な数値は (1) の PH の表式に依存します)
別解・発展
【空間図形問題のアプローチ】
- 座標を設定する:特徴的な点(直角の頂点など)を原点に置く
- 条件を式で表す:距離の条件は二乗の形で表す
- 垂線の足を求める:平面の法線ベクトルを利用
- 体積公式を適用:V = (1/3) × 底面積 × 高さ
【発展:ベクトルを使った解法】
空間ベクトルを使うと、点 H の位置ベクトルは次のように求められます:
OH = OP - (OP · n / |n|²) n
ここで n は平面 α の法線ベクトルです。
この年度の重要テーマと対策
2019年度に出題された重要テーマ
| 大問 | テーマ | 重要度 | 対策のポイント |
|---|---|---|---|
| 第1問 | 部分積分 | ★★★★★ | 表形式部分積分法をマスターする |
| 第2問 | 恒等式・次数比較 | ★★★★☆ | 場合分けを丁寧に行う |
| 第3問 | 確率と判別式 | ★★★★☆ | 系統的な数え上げ、余事象の活用 |
| 第4問 | 数列・極限 | ★★★★★ | 等比数列の漸化式、無限級数の収束 |
| 第5問 | 空間図形 | ★★★★☆ | 座標設定、体積公式の活用 |
九州大学数学の傾向と対策
【出題傾向】
- 微分積分:ほぼ毎年出題。定積分の計算、面積・体積、極限が頻出
- 確率:条件付き確率、漸化式を用いた確率が多い
- 数列:漸化式、極限との融合問題
- ベクトル・空間図形:座標を設定して計算する問題が多い
- 整数・論証:時々出題される
【効果的な対策】
1. 計算力の強化
九大数学は計算量が多い問題が出題されます。特に:
- 部分積分、置換積分の計算練習
- 複雑な式の展開・整理
- 連立方程式の解法
2. 典型問題の徹底理解
標準的な問題パターンを確実に解けるようにしましょう:
- 漸化式の解法(等比型、特性方程式型など)
- 確率の計算(場合の数、条件付き確率)
- 空間図形の体積計算
3. 過去問演習
九大の過去問を最低10年分は解きましょう。出題傾向を把握し、時間配分の感覚を身につけることが重要です。
4. 記述力の向上
部分点を確実に取るために、論理的で分かりやすい答案を書く練習をしましょう。
類似問題で練習しよう(練習問題3問)
練習問題1:部分積分
問題
次の定積分を求めよ。
∫0π/2 x² cos x dx
解答・解説
Step 1:部分積分を適用
f(x) = x², g'(x) = cos x とおくと、f'(x) = 2x, g(x) = sin x
∫0π/2 x² cos x dx = [x² sin x]0π/2 - ∫0π/2 2x sin x dx
= (π/2)² · 1 - 0 - 2∫0π/2 x sin x dx
= π²/4 - 2∫0π/2 x sin x dx
Step 2:2回目の部分積分
∫0π/2 x sin x dx を計算します。
f(x) = x, g'(x) = sin x とおくと、f'(x) = 1, g(x) = -cos x
∫0π/2 x sin x dx = [-x cos x]0π/2 + ∫0π/2 cos x dx
= (0 - 0) + [sin x]0π/2 = 1 - 0 = 1
Step 3:最終計算
∫0π/2 x² cos x dx = π²/4 - 2 · 1 = π²/4 - 2
【答え】π²/4 - 2
練習問題2:確率と場合の数
問題
1から6までの目が出るサイコロを2回振る。出た目を順に a, b とするとき、
方程式 x² - ax + b = 0 が少なくとも1つの正の整数解をもつ確率を求めよ。
解答・解説
Step 1:条件を整理
x² - ax + b = 0 が正の整数解 k をもつとすると、
k² - ak + b = 0
よって b = ak - k² = k(a - k)
1 ≤ a, b ≤ 6 かつ k は正の整数という条件の下で、
b = k(a - k) > 0 より a > k が必要。
Step 2:k の値ごとに場合分け
k = 1 のとき:b = a - 1
- a = 2 → b = 1 ✓
- a = 3 → b = 2 ✓
- a = 4 → b = 3 ✓
- a = 5 → b = 4 ✓
- a = 6 → b = 5 ✓
5通り
k = 2 のとき:b = 2(a - 2) = 2a - 4
- a = 3 → b = 2 ✓
- a = 4 → b = 4 ✓
- a = 5 → b = 6 ✓
- a = 6 → b = 8 ✗(範囲外)
3通り
k = 3 のとき:b = 3(a - 3) = 3a - 9
- a = 4 → b = 3 ✓
- a = 5 → b = 6 ✓
- a = 6 → b = 9 ✗(範囲外)
2通り
k = 4 のとき:b = 4(a - 4) = 4a - 16
- a = 5 → b = 4 ✓
- a = 6 → b = 8 ✗(範囲外)
1通り
k = 5 のとき:b = 5(a - 5) = 5a - 25
- a = 6 → b = 5 ✓
1通り
Step 3:重複を除いて数える
上で数えた (a, b) の組を整理すると:
(2,1), (3,2), (4,3), (5,4), (6,5), (4,4), (5,6), (6,6) など
重複を除くと、条件を満たす (a, b) は 11通り
Step 4:確率を計算
全体の場合の数は 6 × 6 = 36 通り
【答え】11/36
練習問題3:数列の極限
問題
数列 {aₙ} が次の漸化式で定義されている。
a₁ = 1, aₙ₊₁ = (2aₙ + 3) / (aₙ + 2)
a₁ = 1, aₙ₊₁ = (2aₙ + 3) / (aₙ + 2)
(1) aₙ > 0 であることを示せ。
(2) bₙ = (aₙ - √3) / (aₙ + √3) とおくとき、bₙ₊₁ を bₙ を用いて表せ。
(3) lim(n→∞) aₙ を求めよ。
解答・解説
【(1) の解法】
数学的帰納法で示します。
【基底】 n = 1 のとき、a₁ = 1 > 0 ✓
【帰納段階】 n = k で aₖ > 0 と仮定する。
aₖ₊₁ = (2aₖ + 3) / (aₖ + 2)
aₖ > 0 より、
- 分子:2aₖ + 3 > 0 + 3 = 3 > 0
- 分母:aₖ + 2 > 0 + 2 = 2 > 0
よって aₖ₊₁ > 0
数学的帰納法により、すべての自然数 n に対して aₙ > 0 が成り立つ。 ■
【(2) の解法】
bₙ₊₁ を計算します。
bₙ₊₁ = (aₙ₊₁ - √3) / (aₙ₊₁ + √3)
aₙ₊₁ = (2aₙ + 3) / (aₙ + 2) を代入:
bₙ₊₁ = ((2aₙ + 3)/(aₙ + 2) - √3) / ((2aₙ + 3)/(aₙ + 2) + √3)
分子と分母に (aₙ + 2) を掛けて整理:
bₙ₊₁ = (2aₙ + 3 - √3(aₙ + 2)) / (2aₙ + 3 + √3(aₙ + 2))
= (2aₙ + 3 - √3aₙ - 2√3) / (2aₙ + 3 + √3aₙ + 2√3)
= ((2 - √3)aₙ + (3 - 2√3)) / ((2 + √3)aₙ + (3 + 2√3))
ここで、3 - 2√3 = √3(√3 - 2) = -√3(2 - √3) および 3 + 2√3 = √3(√3 + 2) に注目します。
分子 = (2 - √3)aₙ - √3(2 - √3) = (2 - √3)(aₙ - √3)
分母 = (2 + √3)aₙ + √3(2 + √3) = (2 + √3)(aₙ + √3)
よって:
bₙ₊₁ = (2 - √3)(aₙ - √3) / ((2 + √3)(aₙ + √3))
= ((2 - √3) / (2 + √3)) · ((aₙ - √3) / (aₙ + √3))
= ((2 - √3) / (2 + √3)) · bₙ
ここで、(2 - √3) / (2 + √3) を有理化すると:
(2 - √3) / (2 + √3) = (2 - √3)² / ((2 + √3)(2 - √3)) = (4 - 4√3 + 3) / (4 - 3) = 7 - 4√3
【(2) の答え】bₙ₊₁ = (7 - 4√3) bₙ
【(3) の解法】
(2) より、{bₙ} は公比 r = 7 - 4√3 の等比数列です。
Step 1:公比の大きさを確認
√3 ≈ 1.732 より、
7 - 4√3 ≈ 7 - 6.928 = 0.072
0 < 7 - 4√3 < 1 なので、|r| < 1
Step 2:b₁ を計算
b₁ = (a₁ - √3) / (a₁ + √3) = (1 - √3) / (1 + √3)
有理化すると:
b₁ = (1 - √3)² / ((1 + √3)(1 - √3)) = (1 - 2√3 + 3) / (1 - 3) = (4 - 2√3) / (-2) = √3 - 2
Step 3:bₙ の一般項
bₙ = b₁ · rⁿ⁻¹ = (√3 - 2)(7 - 4√3)ⁿ⁻¹
Step 4:極限を計算
|r| = |7 - 4√3| < 1 より、
lim(n→∞) bₙ = lim(n→∞) (√3 - 2)(7 - 4√3)ⁿ⁻¹ = 0
Step 5:aₙ の極限を求める
bₙ = (aₙ - √3) / (aₙ + √3) より、
bₙ(aₙ + √3) = aₙ - √3
bₙaₙ + √3bₙ = aₙ - √3
bₙaₙ - aₙ = -√3 - √3bₙ
aₙ(bₙ - 1) = -√3(1 + bₙ)
aₙ = √3(1 + bₙ) / (1 - bₙ)
n → ∞ のとき bₙ → 0 より、
lim(n→∞) aₙ = √3 · (1 + 0) / (1 - 0) = √3
【(3) の答え】lim(n→∞) aₙ = √3
【補足:なぜ √3 を使ったのか?】
漸化式 aₙ₊₁ = (2aₙ + 3) / (aₙ + 2) の不動点(α = (2α + 3) / (α + 2) を満たす α)を求めると:
α(α + 2) = 2α + 3
α² + 2α = 2α + 3
α² = 3
α = ±√3
aₙ > 0 なので、数列は正の不動点 √3 に収束します。
bₙ の変換は、この不動点を利用して漸化式を等比型に変換するテクニックです。
九州大学数学 攻略のための学習ロードマップ
時期別学習計画
【高2冬〜高3春(基礎固め期)】
- 教科書レベルの完全理解:公式の導出、基本例題を繰り返す
- 青チャート or Focus Gold:例題を一通り解く
- 計算力強化:毎日10〜15分の計算練習
【高3春〜夏(標準問題演習期)】
- 入試標準レベルの問題集:1対1対応の演習、標準問題精講など
- 苦手分野の克服:特に微積分、確率、数列は重点的に
- 模試の復習:間違えた問題は必ず解き直す
【高3秋〜冬(実戦演習期)】
- 九大過去問演習:10年分以上、時間を計って解く
- 他の旧帝大の過去問:北大、東北大、名大なども参考になる
- 答案作成の練習:記述力を高める
【直前期】
- 総復習:間違えた問題の解き直し
- 時間配分の最終確認:150分で5問をどう解くか戦略を立てる
- 基本事項の確認:公式、定理の確認
おすすめ参考書・問題集
| レベル | 参考書・問題集 | 特徴 |
|---|---|---|
| 基礎 | 青チャート / Focus Gold | 網羅系。基本パターンの習得に最適 |
| 標準 | 1対1対応の演習 | 入試頻出パターンの習得 |
| 標準〜応用 | 標準問題精講 | 解説が丁寧。独学にも向く |
| 応用 | やさしい理系数学 | 旧帝大レベルの良問揃い |
| 実戦 | 九大の数学15カ年 | 過去問演習の定番 |
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日本数学塾・数強塾 講師
藤原進之介
