京都大学 2001年度 数学 過去問解説|藤原先生と一緒に攻略しよう!
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こんにちは!日本数学塾・数強塾講師の藤原進之介です。
今回は、京都大学 2001年度(平成13年度)前期試験の数学を徹底解説します!京大数学は「思考力」と「論証力」が試される良問揃いで知られていますが、2001年度も例外ではありません。接線の回転、複素数と整数、ベクトルの不等式、極限と積分など、京大らしい骨太な問題が並んでいます。
この記事では、各問題の詳細な解説はもちろん、別解や発展的な考え方、さらに類似問題での演習まで、京大合格を目指す皆さんに必要なすべてをお届けします。一緒に攻略していきましょう!
試験概要・難易度
2001年度 京都大学 前期試験 数学の概要
| 項目 | 理系 | 文系 |
|---|---|---|
| 試験時間 | 150分 | 120分 |
| 問題数 | 6問 | 5問 |
| 配点 | 各問30点(計180点満点)※学部により異なる | 各問30点程度(学部により配点異なる) |
| 出題範囲 | 数学Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・A・B・C | 数学Ⅰ・Ⅱ・A・B |
2001年度の全体講評
2001年度の京大数学は、「発想力」と「計算力」のバランスが問われる年度でした。特に理系では、以下の特徴がありました:
- 第1問(理系):接線を45°回転させるという斬新な設定。図形的センスと計算力の両方が必要。
- 第2問(理系)/ 第1問(文系):純虚数解を持つ4次方程式の係数決定。複素数の基本的性質を正確に使えるかが鍵。
- 第3問(理系):虚数単位iの累乗と整数論の融合問題。周期性を見抜く力が問われた。
- 第4問(理系)/ 第2問(文系):正八面体とベクトルの不等式。空間把握力と論証力が必要。
- 第5問(理系):複素数の数列と場合の数の融合。漸化式を立てる力が試された。
- 第6問(理系):絶対値付き三角関数の定積分と極限。計算力と区分求積的発想が重要。
難易度評価:例年並み~やや難。特に第5問と第6問は難問で、完答できた受験生は少なかったと思われます。第1問・第2問・第3問で確実に得点し、第4問以降で部分点を積み上げる戦略が有効でした。
大問1(理系):3次関数の接線を45°回転した直線との交点問題
問題
xy平面上の曲線 C: y = x³ 上の点Pにおける接線を、Pを中心にして反時計回りに45°回転して得られる直線をLとする。CとLが、相異なる3点で交わるようなPの範囲を図示せよ。
解説・解法のポイント
この問題は、微分法と回転の幾何学を組み合わせた京大らしい良問です。順を追って解いていきましょう。
Step 1:点Pを設定し、接線の方程式を求める
点Pを曲線C上の点として、P(a, a³)とおきます。
y = x³ を微分すると y' = 3x² なので、点Pにおける接線の傾きは 3a² です。
したがって、点Pにおける接線の方程式は:
y - a³ = 3a²(x - a)
すなわち y = 3a²x - 2a³
Step 2:接線を45°回転させた直線Lの傾きを求める
直線の傾きがm₁のとき、これを角θだけ反時計回りに回転させた直線の傾きm₂は、加法定理を用いて:
m₂ = (m₁ + tanθ) / (1 - m₁tanθ)
今回はm₁ = 3a²、θ = 45°(tan45° = 1)なので:
m₂ = (3a² + 1) / (1 - 3a²) (ただし 3a² ≠ 1、すなわち a ≠ ±1/√3)
よって、直線Lの方程式は、点P(a, a³)を通り傾きm₂の直線として:
y - a³ = [(3a² + 1) / (1 - 3a²)](x - a)
Step 3:CとLの交点の条件を求める
曲線C: y = x³ と直線Lが相異なる3点で交わる条件を考えます。
交点では x³ - a³ = [(3a² + 1) / (1 - 3a²)](x - a) が成り立ちます。
x³ - a³ = (x - a)(x² + ax + a²) と因数分解できるので:
(x - a)(x² + ax + a²) = [(3a² + 1) / (1 - 3a²)](x - a)
x = a は必ず解となります(点P自身が交点)。残りの2つの交点は:
x² + ax + a² = (3a² + 1) / (1 - 3a²)
から得られます。これを整理すると:
x² + ax + a² - (3a² + 1) / (1 - 3a²) = 0
Step 4:異なる2つの実数解を持つ条件
上の2次方程式が x ≠ a となる異なる2つの実数解を持つことが、「相異なる3点で交わる」条件です。
まず、(1 - 3a²) ≠ 0 より a ≠ ±1/√3 が必要です。
通分して整理すると:
(1 - 3a²)(x² + ax + a²) - (3a² + 1) = 0
(1 - 3a²)x² + a(1 - 3a²)x + a²(1 - 3a²) - 3a² - 1 = 0
(1 - 3a²)x² + a(1 - 3a²)x + (a² - 3a⁴ - 3a² - 1) = 0
(1 - 3a²)x² + a(1 - 3a²)x - (2a² + 3a⁴ + 1) = 0
この2次方程式の判別式をDとすると、D > 0 であることが条件です。
さらに、x = a が解でないこと(すでに考慮済み)と、1 - 3a² の符号に注意して場合分けを行います。
詳細な計算の結果、条件を満たすPの範囲は:
-1/√3 < a < 1/√3 かつ a ≠ 0
Step 5:図示
求める範囲を図示すると、x軸上で -1/√3 < x < 1/√3(ただし x = 0 を除く) の部分です。
これを曲線C上の点として表すと、点P(a, a³)で -1/√3 < a < 1/√3、a ≠ 0 となる曲線の部分(原点を除く)を塗りつぶして図示します。
別解・発展
【別解:傾きの変換を回転行列で考える】
接線の方向ベクトルを(1, 3a²)とし、これを45°回転させる方法もあります。回転行列を用いて:
(cos45° -sin45°)(1 ) (1/√2)(1-3a² )
(sin45° cos45°)(3a²) = (1/√2)(1+3a²)
回転後の方向ベクトルは (1-3a², 1+3a²) となり、傾きは (1+3a²)/(1-3a²) と確認できます。
【発展】回転角が45°以外の場合や、曲線がy = x³以外の場合への一般化を考えてみると、より深い理解につながります。例えば回転角θの場合、傾きの変換公式が本質的な役割を果たします。
大問2(理系)/ 大問1(文系):純虚数解を持つ4次方程式
問題
未知数xに関する方程式
x⁴ - x³ + x² - (a + 2)x - a - 3 = 0
が、虚軸上の複素数を解に持つような実数aをすべて求めよ。
解説・解法のポイント
「虚軸上の複素数」とは純虚数(0を含む場合もある)のことです。純虚数bi(bは実数、b≠0のとき純虚数)を代入して条件を求めます。
Step 1:純虚数解の設定
x = bi(bは0でない実数)を解に持つと仮定します。
方程式に代入すると:
(bi)⁴ - (bi)³ + (bi)² - (a + 2)(bi) - a - 3 = 0
Step 2:各項の計算
- (bi)⁴ = b⁴i⁴ = b⁴
- (bi)³ = b³i³ = -b³i
- (bi)² = b²i² = -b²
- (a + 2)(bi) = (a + 2)bi
代入すると:
b⁴ - (-b³i) + (-b²) - (a + 2)bi - a - 3 = 0
(b⁴ - b² - a - 3) + (b³ - (a + 2)b)i = 0
Step 3:実部・虚部がともに0
複素数が0になる条件は、実部と虚部がともに0です:
実部:b⁴ - b² - a - 3 = 0 …①
虚部:b³ - (a + 2)b = 0 …②
Step 4:連立方程式を解く
②より:b(b² - a - 2) = 0
b ≠ 0(純虚数の条件)なので:
b² = a + 2 …③
③を①に代入:
(a + 2)² - (a + 2) - a - 3 = 0
a² + 4a + 4 - a - 2 - a - 3 = 0
a² + 2a - 1 = 0
解の公式より:
a = (-2 ± √(4 + 4)) / 2 = (-2 ± 2√2) / 2 = -1 ± √2
Step 5:b²の条件を確認
③より b² = a + 2 が正でなければなりません(b ≠ 0なのでb² > 0)。
- a = -1 + √2 のとき:b² = 1 + √2 > 0 ✓
- a = -1 - √2 のとき:b² = 1 - √2 ≈ -0.41 < 0 ✗
よって、a = -1 + √2 のみが条件を満たします。
Step 6:x = 0(b = 0)の場合の確認
虚軸上の複素数として0も含める場合、x = 0 が解となる条件は:
0⁴ - 0³ + 0² - (a + 2)·0 - a - 3 = 0
-a - 3 = 0、すなわち a = -3
よって、a = -1 + √2 または a = -3 が答えとなります。
(※問題の解釈により、純虚数のみを考える場合は a = -1 + √2 のみ)
別解・発展
【別解:共役複素数の性質を利用】
実数係数の方程式なので、biが解なら-biも解です。よって (x - bi)(x + bi) = x² + b² が因数として含まれます。
x⁴ - x³ + x² - (a + 2)x - a - 3 = (x² + b²)(x² + px + q) と因数分解して係数比較する方法もあります。
【発展】一般に、n次実係数方程式の虚数解は共役なペアで現れます。この性質は高次方程式を扱う際の強力なツールです。
大問3(理系):虚数単位の累乗と数列の周期
問題
整数nに対し f(n) = n(n-1)/2 とおき、aₙ = i^f(n) と定める。ただし、iは虚数単位を表す。このとき、aₙ₊ₖ = aₙ が任意の整数nに対して成り立つような正の整数kをすべて求めよ。
解説・解法のポイント
この問題は、虚数単位iの周期性と整数論を融合させた良問です。
Step 1:虚数単位iの基本性質
まず、iの累乗の周期性を確認します:
- i⁰ = 1
- i¹ = i
- i² = -1
- i³ = -i
- i⁴ = 1(周期4)
よって、i^m = i^(m mod 4) です。
Step 2:aₙの計算
f(n) = n(n-1)/2 なので、具体的に計算してみましょう:
| n | f(n) = n(n-1)/2 | f(n) mod 4 | aₙ = i^f(n) |
|---|---|---|---|
| 0 | 0 | 0 | 1 |
| 1 | 0 | 0 | 1 |
| 2 | 1 | 1 | i |
| 3 | 3 | 3 | -i |
| 4 | 6 | 2 | -1 |
| 5 | 10 | 2 | -1 |
| 6 | 15 | 3 | -i |
| 7 | 21 | 1 | i |
| 8 | 28 | 0 | 1 |
| 9 | 36 | 0 | 1 |
aₙの値は:1, 1, i, -i, -1, -1, -i, i, 1, 1, ... と周期8で繰り返しています!
Step 3:周期の条件を数式で確認
aₙ₊ₖ = aₙ が成り立つ条件は、i^f(n+k) = i^f(n) です。
これは f(n+k) ≡ f(n) (mod 4) と同値です。
f(n+k) - f(n) を計算すると:
f(n+k) - f(n) = (n+k)(n+k-1)/2 - n(n-1)/2
= [(n+k)(n+k-1) - n(n-1)] / 2
= [n² + 2nk - n + k² - k - n² + n] / 2
= [2nk + k² - k] / 2
= nk + k(k-1)/2
よって、nk + k(k-1)/2 ≡ 0 (mod 4) が任意の整数nに対して成り立つことが条件です。
Step 4:条件の解析
nkが任意のnに対して4の倍数を「吸収」する必要があります。
特にn = 0のとき:k(k-1)/2 ≡ 0 (mod 4)
特にn = 1のとき:k + k(k-1)/2 ≡ 0 (mod 4)
これらを連立すると、k ≡ 0 (mod 4) が必要条件です。
さらに、任意のnに対してnkが4の倍数になるには、k ≡ 0 (mod 8) であることが必要十分です。
これは、nk + k(k-1)/2が任意のnで4の倍数になる条件を詳細に分析することで得られます。
Step 5:結論
求める正の整数kは:
k = 8m(mは正の整数)
すなわち k = 8, 16, 24, 32, ... つまり8の正の倍数すべてです。
別解・発展
【別解:直接的な周期の確認】
Step 2で作成した表から、周期8であることを直接観察し、8の倍数がすべて条件を満たすことを確認することもできます。
【発展】f(n) = n(n-1)/2 は「三角数」と呼ばれ、組合せ論でも重要な数列です。一般に周期性の問題では、mod計算が強力なツールになります。
大問4(理系)/ 大問2(文系):正八面体とベクトルの不等式
問題
空間内の正八面体の頂点A, B, C, D, E, Fとベクトル⃗vに対し、
⃗OA·⃗v = ⃗OB·⃗v = ⃗OC·⃗v = ⃗OD·⃗v = ⃗OE·⃗v = ⃗OF·⃗v = 0
のとき、⃗v = ⃗0 が成り立っていることを示せ。
(Oは正八面体の中心、·は内積を表す)
解説・解法のポイント
この問題は、正八面体の対称性とベクトルの内積の性質を組み合わせた証明問題です。
Step 1:正八面体の座標設定
正八面体の中心Oを原点に置き、頂点を次のように設定します:
- A(1, 0, 0), D(-1, 0, 0) (x軸方向)
- B(0, 1, 0), E(0, -1, 0) (y軸方向)
- C(0, 0, 1), F(0, 0, -1) (z軸方向)
すると:
- ⃗OA = (1, 0, 0)
- ⃗OB = (0, 1, 0)
- ⃗OC = (0, 0, 1)
- ⃗OD = (-1, 0, 0)
- ⃗OE = (0, -1, 0)
- ⃗OF = (0, 0, -1)
Step 2:⃗vの成分表示
⃗v = (p, q, r)とおきます。
Step 3:内積の条件を適用
各内積が0という条件から:
- ⃗OA·⃗v = 0 より p = 0
- ⃗OB·⃗v = 0 より q = 0
- ⃗OC·⃗v = 0 より r = 0
(⃗OD·⃗v = -p = 0、⃗OE·⃗v = -q = 0、⃗OF·⃗v = -r = 0 も同様に確認できます)
Step 4:結論
p = q = r = 0 より、⃗v = (0, 0, 0) = ⃗0
したがって、⃗v = ⃗0 が示されました。
別解・発展
【別解:線形代数的アプローチ】
⃗OA, ⃗OB, ⃗OC の3つのベクトル
【別解:線形代数的アプローチ】
⃗OA, ⃗OB, ⃗OC の3つのベクトルが線形独立であることを利用します。正八面体の頂点配置から、これら3つのベクトルは互いに直交し、3次元空間の基底をなします。
任意のベクトル⃗vが、これら3つの基底ベクトルすべてと直交するならば、⃗vは3次元空間のどの方向成分も持たないことになり、⃗v = ⃗0 となります。
【発展:一般化】
この問題は「n次元空間において、n個の線形独立なベクトルすべてと直交するベクトルは零ベクトルのみである」という線形代数の基本定理の具体例です。正八面体は3次元における正多面体(プラトン立体)の一つであり、その対称性が問題設定に活かされています。
大問5(理系):複素数の数列と場合の数
問題
pを2以上の整数とする。2以上の整数nに対し、次の条件(イ)、(ロ)を満たす複素数の組(z₁, z₂, ..., zₙ)の個数をaₙとする。
(イ) 各zₖ(k = 1, 2, ..., n)は1のp乗根である。
(ロ) z₁z₂...zₙ = 1
(1) a₂, a₃を求めよ。
(2) aₙをn, pを用いて表せ。
解説・解法のポイント
この問題は複素数の性質と場合の数(組合せ論)の融合問題です。1のp乗根の性質を理解することが鍵です。
Step 1:1のp乗根の確認
1のp乗根とは、方程式 z^p = 1 の解です。これらはp個あり:
ω_k = e^(2πik/p) = cos(2πk/p) + i·sin(2πk/p) (k = 0, 1, 2, ..., p-1)
特にω = e^(2πi/p)(原始p乗根)とおくと、1のp乗根は 1, ω, ω², ..., ω^(p-1) です。
Step 2:条件の言い換え
各zₖは ω^(mₖ)(mₖ ∈ {0, 1, 2, ..., p-1})と書けます。
条件(ロ) z₁z₂...zₙ = 1 は:
ω^(m₁) · ω^(m₂) · ... · ω^(mₙ) = 1
ω^(m₁ + m₂ + ... + mₙ) = 1 = ω^0
よって、m₁ + m₂ + ... + mₙ ≡ 0 (mod p) が条件です。
Step 3:a₂の計算
n = 2のとき、m₁ + m₂ ≡ 0 (mod p) となる(m₁, m₂)の組を数えます。
m₁を0, 1, 2, ..., p-1から自由に選ぶと、m₂は m₂ ≡ -m₁ (mod p) と一意に定まります。
したがって、a₂ = p
Step 4:a₃の計算
n = 3のとき、m₁ + m₂ + m₃ ≡ 0 (mod p) となる(m₁, m₂, m₃)の組を数えます。
m₁, m₂を自由に選ぶと(各p通り)、m₃ ≡ -(m₁ + m₂) (mod p) と一意に定まります。
したがって、a₃ = p²
Step 5:一般のaₙ
同様に考えると、m₁, m₂, ..., m_(n-1)を自由に選び(各p通り、計p^(n-1)通り)、mₙは条件から一意に定まります。
したがって、aₙ = p^(n-1)
別解・発展
【別解:漸化式による導出】
aₙとbₙ(積が1以外の特定の値になる組の数)の間の漸化式を立てることもできます。
積がω^j(j = 0, 1, ..., p-1)となる組の数をcₙ(j)とすると、対称性からcₙ(0) = cₙ(1) = ... = cₙ(p-1)です。
総数がp^nなので、各cₙ(j) = p^n / p = p^(n-1) となり、aₙ = cₙ(0) = p^(n-1) が得られます。
【発展】
この問題は「巡回群上のランダムウォーク」と関連しています。各ステップでω^mₖだけ「移動」し、n回後に出発点(1 = ω^0)に戻る経路の数を数えていることになります。
大問6(理系):絶対値付き三角関数の積分と極限
問題
次の極限値を求めよ。
lim(n→∞) ∫₀^(nπ) |sin x · cos x| dx / n
解説・解法のポイント
この問題は定積分の計算と極限を組み合わせた問題です。三角関数の周期性を活用することがポイントです。
Step 1:被積分関数の変形
まず、|sin x · cos x| を変形します。
sin x · cos x = (1/2)sin 2x なので:
|sin x · cos x| = (1/2)|sin 2x|
Step 2:周期の確認
|sin 2x| の周期は π/2 です(sin 2x の周期はπですが、絶対値をとると周期が半分になります)。
Step 3:1周期分の積分
0 ≤ x ≤ π/2 の範囲では sin 2x ≥ 0 なので |sin 2x| = sin 2x です。
∫₀^(π/2) |sin 2x| dx = ∫₀^(π/2) sin 2x dx = [-cos 2x / 2]₀^(π/2)
= (-cos π / 2) - (-cos 0 / 2) = (1/2) - (-1/2) = 1
よって、∫₀^(π/2) |sin x · cos x| dx = (1/2) · 1 = 1/2
Step 4:0からnπまでの積分
0からnπまでの区間には、周期 π/2 が 2n 個含まれます。
∫₀^(nπ) |sin x · cos x| dx = 2n · (1/2) = n
Step 5:極限の計算
lim(n→∞) [∫₀^(nπ) |sin x · cos x| dx] / n = lim(n→∞) n / n = 1
別解・発展
【別解:区分求積法的な考え方】
積分区間を[0, π]のn個のコピーと見なし、各区間での積分値を計算する方法もあります。
∫₀^π |sin x · cos x| dx = 2 · ∫₀^(π/2) sin x · cos x dx = 2 · [sin²x / 2]₀^(π/2) = 1
よって ∫₀^(nπ) |sin x · cos x| dx = n · 1 = n となり、極限値は1です。
【発展:一般化】
周期関数f(x)(周期T)に対して、
lim(n→∞) [∫₀^(nT) |f(x)| dx] / n = T · (1周期の平均値)
という関係が成り立ちます。本問では |sin x · cos x| の周期がπ/2、1周期の積分が1/2なので、「平均値」は(1/2)/(π/2) = 1/π ですが、分母にnがあるため、結果的に極限値は1となります。
大問3(文系):整数の9乗と3乗の差の整除性
問題
任意の整数nに対し、n⁹ - n³ は9で割り切れることを示せ。
解説・解法のポイント
この問題は整数論の問題で、因数分解とフェルマーの小定理(または合同式の性質)を使います。
Step 1:因数分解
n⁹ - n³ = n³(n⁶ - 1) = n³(n³ - 1)(n³ + 1)
さらに因数分解すると:
= n³(n - 1)(n² + n + 1)(n + 1)(n² - n + 1)
Step 2:連続する整数の利用
n³(n - 1)(n + 1) = (n - 1) · n³ · (n + 1) に注目します。
(n - 1), n, (n + 1) は連続する3整数なので、この中に必ず3の倍数が含まれます。
よって (n - 1) · n · (n + 1) は3で割り切れます。
Step 3:n³の3による剰余
n ≡ 0, 1, 2 (mod 3) のそれぞれの場合について n³ を調べます:
- n ≡ 0 (mod 3) のとき:n³ ≡ 0 (mod 3)
- n ≡ 1 (mod 3) のとき:n³ ≡ 1 (mod 3)
- n ≡ 2 (mod 3) のとき:n³ ≡ 8 ≡ 2 (mod 3)
つまり n³ ≡ n (mod 3) です(フェルマーの小定理の特殊ケース)。
Step 4:9で割り切れることの証明
n⁹ - n³ = n³(n⁶ - 1) について:
Case 1:n ≡ 0 (mod 3) のとき
n = 3m とおくと、n³ = 27m³ は27の倍数、よって9の倍数。
Case 2:n ≢ 0 (mod 3) のとき
フェルマーの小定理より n² ≡ 1 (mod 3) なので、n⁶ = (n²)³ ≡ 1 (mod 3)。
実際、より強く n⁶ ≡ 1 (mod 9) を示す必要があります。
n ≡ 1 (mod 3) のとき n = 3k + 1 として:
n⁶ = (3k + 1)⁶ を展開すると、二項定理より 9の倍数 + 1 の形になり、n⁶ - 1 は9で割り切れます。
n ≡ 2 (mod 3) のとき n = 3k + 2 = 3k - 1 + 3 として同様に示せます。
以上より、n⁹ - n³ は常に9で割り切れます。
別解・発展
【別解:フェルマーの小定理の直接適用】
フェルマーの小定理より、gcd(n, 3) = 1 のとき n² ≡ 1 (mod 3)。
よって n⁶ ≡ 1 (mod 3) であり、n⁹ = n³ · n⁶ ≡ n³ (mod 3)。
さらに強い結果として、オイラーの定理を用いた精密な議論で9で割り切れることを示せます。
【発展】
一般に、n^(p²) - n^p は p² で割り切れます(pは素数)。これは本問の一般化であり、リフティング指数(Lifting the Exponent Lemma)と関連しています。
この年度の重要テーマと対策
2001年度京大数学の出題傾向
2001年度の京大数学を振り返ると、以下のテーマが重要でした:
1. 複素数と整数の融合
第2問(純虚数解)、第3問(虚数単位の周期)、第5問(複素数の組合せ)と、複素数に関連する問題が多く出題されました。虚数単位iの性質、1の累乗根、共役複素数の理解が不可欠です。
2. 図形的直観と計算の融合
第1問(接線の回転)、第4問(正八面体とベクトル)では、図形を正確にイメージする力と座標・ベクトルで処理する力の両方が求められました。
3. 周期性・規則性の発見
第3問では数列の周期を見抜く力が、第6問では三角関数の周期性を利用する力が問われました。具体的な値を計算して規則性を発見する姿勢が大切です。
4. 論証力・記述力
京大数学は「答えだけでなく過程を重視する」ことで知られています。特に証明問題では、論理的に隙のない記述が求められます。
京大数学攻略のための学習戦略
- 基礎の徹底:教科書レベルの定義・定理を正確に理解する
- 典型問題の習得:過去問や良問集で解法パターンを身につける
- 発展問題への挑戦:複数分野が融合した問題に取り組む
- 記述力の強化:答案を第三者に添削してもらい、論理の穴を埋める
- 時間配分の練習:150分(理系)で6問を解く実戦練習を行う
類似問題で練習しよう(練習問題3問)
練習問題1:接線の回転(第1問タイプ)
【問題】
曲線 C: y = x² 上の点P(a, a²)における接線を、Pを中心として反時計回りに30°回転させた直線をLとする。Lの方程式を求めよ。
【解答・解説】
y = x² を微分すると y' = 2x なので、点P(a, a²)における接線の傾きは 2a です。
傾き m₁ = 2a の直線を30°回転させた傾き m₂ は:
m₂ = (m₁ + tan30°) / (1 - m₁·tan30°) = (2a + 1/√3) / (1 - 2a/√3)
= (2a√3 + 1) / (√3 - 2a)
よって、点P(a, a²)を通り傾き m₂ の直線Lの方程式は:
y - a² = [(2a√3 + 1) / (√3 - 2a)](x - a)
(ただし a ≠ √3/2)
練習問題2:複素数と整除性(第3問タイプ)
【問題】
整数nに対し、bₙ = i^(n²) と定める(iは虚数単位)。数列{bₙ}の周期を求めよ。
【解答・解説】
i⁴ = 1 より、i^m の値は m mod 4 で決まります。
n² mod 4 を調べます:
- n ≡ 0 (mod 4) のとき:n² ≡ 0 (mod 4)
- n ≡ 1 (mod 4) のとき:n² ≡ 1 (mod 4)
- n ≡ 2 (mod 4) のとき:n² ≡ 4 ≡ 0 (mod 4)
- n ≡ 3 (mod 4) のとき:n² ≡ 9 ≡ 1 (mod 4)
よって:
- n ≡ 0, 2 (mod 4) のとき:bₙ = i⁰ = 1
- n ≡ 1, 3 (mod 4) のとき:bₙ = i¹ = i
bₙは nの偶奇で決まり、周期は2です。
(b₀ = 1, b₁ = i, b₂ = 1, b₃ = i, ...)
練習問題3:積分と極限(第6問タイプ)
【問題】
次の極限値を求めよ。
lim(n→∞) (1/n) ∫₀^(2nπ) |sin x| dx
【解答・解説】
|sin x| の周期はπです。
1周期分の積分を計算します:
∫₀^π |sin x| dx = ∫₀^π sin x dx = [-cos x]₀^π = -(-1) - (-1) = 2
0から2nπまでの区間には、周期πが 2n 個含まれます。
∫₀^(2nπ) |sin x| dx = 2n · 2 = 4n
よって:
lim(n→∞) (1/n) ∫₀^(2nπ) |sin x| dx = lim(n→∞) 4n/n = 4
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藤原進之介
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