金沢大学 2018年度 数学 過去問解説|藤原進之介先生と一緒に完全攻略!

こんにちは!数強塾日本数学塾の藤原進之介です。

今回は金沢大学 2018年度 前期日程 理系数学を徹底解説していきます。金沢大学を志望している受験生の皆さん、ぜひ最後までお付き合いください!

金沢大学は北陸地方を代表する国立大学であり、理工学域・医薬保健学域を中心に質の高い理系教育を提供しています。入試数学は標準的な難易度ながら、計算量が多く、時間配分がカギとなる試験です。2018年度は特に楕円(二次曲線)の出題が話題となった年度でした。

試験概要・難易度

2018年度 金沢大学 前期日程 理系数学の概要

項目 内容
試験時間 120分
問題数 大問4題
配点 理工学域:300点、医薬保健学域(医学類):300点
出題範囲 数学Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・A・B(数列・ベクトル)
解答形式 記述式

2018年度の出題分野と難易度

大問 出題分野 難易度 目標時間
第1問 場合の数と確率(直線の決定と交点) B(標準) 25分
第2問 微分積分(曲線の交点と回転体の体積) B~C(標準~やや難) 30分
第3問 二次曲線(楕円と接線・面積比較) B(標準) 30分
第4問 空間ベクトル(ねじれの位置と四面体の体積) B(標準) 35分

全体講評

2018年度の金沢大学理系数学は、前年度と比較してやや難化したと言われています。特に以下の点が特徴的でした:

  • 数学Ⅲの出題が2問(第2問・第3問)と、計算量の多い問題が続く
  • 楕円の問題が出題され、二次曲線対策の重要性が再確認された
  • 確率とベクトルという定番分野がバランスよく出題
  • 全体的に答案量が多く、時間的余裕が少ないセットだった

合格のためには、70〜75%程度の得点(210〜225点/300点)を目標にしたいところです。計算ミスを防ぎ、確実に解ける問題から手をつけることが重要です。


大問1:場合の数と確率(直線の決定と交点が格子点となる確率)

問題

【金沢大学 2018年度 理系 第1問】

1個のさいころを4回投げ、出た目を順に $a, b, c, d$ とする。座標平面上の2点 $A(a, b)$、$B(c, d)$ を通る直線を $ell_1$ とし、2点 $C(a, d)$、$D(c, b)$ を通る直線を $ell_2$ とする。ただし、2点が一致するときは、その点を通る直線全体を考える。

このとき、次の確率を求めよ。

(1) $ell_1$ と $ell_2$ が一致する確率を求めよ。

(2) $ell_1$ と $ell_2$ が1点で交わる確率を求めよ。

(3) $ell_1$ と $ell_2$ が1点で交わり、その交点の $x$ 座標、$y$ 座標がともに整数となる確率を求めよ。

解説・解法のポイント

【問題の理解】

この問題は、サイコロの出目によって決まる4つの座標から2本の直線を作り、それらの位置関係を調べる問題です。確率の問題ですが、本質的には図形的な考察場合分けが重要になります。

まず、点の座標を整理しましょう:

  • $A(a, b)$、$B(c, d)$ を通る直線 $ell_1$
  • $C(a, d)$、$D(c, b)$ を通る直線 $ell_2$

注目すべきは、4点 $A, B, C, D$ が長方形の頂点をなす配置になっていることです($a neq c$ かつ $b neq d$ の場合)。

【(1) の解答】$ell_1$ と $ell_2$ が一致する確率

全事象は $6^4 = 1296$ 通りです。

$ell_1$ と $ell_2$ が一致するのは、以下のいずれかの場合です:

【Case 1】4点が全て一致する場合

$A = B = C = D$ となるのは、$a = c$ かつ $b = d$ のとき。

このとき、$(a, b) = (c, d)$ となり、$a, b$ はそれぞれ6通りなので、$6 times 6 = 36$ 通り。

【Case 2】4点が一直線上にある場合(4点が全て一致しない)

これは、$a = c$($b neq d$)または $b = d$($a neq c$)の場合です。

  • $a = c$ かつ $b neq d$ のとき:$a = c$ の選び方が6通り、$b neq d$ の選び方が $6 times 5 = 30$ 通りで、$6 times 30 = 180$ 通り
  • $b = d$ かつ $a neq c$ のとき:同様に $180$ 通り

したがって、$ell_1$ と $ell_2$ が一致する場合は:

$$36 + 180 + 180 = 396 text{ 通り}$$

よって、求める確率は:

$$frac{396}{1296} = frac{11}{36}$$

【(2) の解答】$ell_1$ と $ell_2$ が1点で交わる確率

$ell_1$ と $ell_2$ が1点で交わるのは、一致もせず、平行でもない場合です。

2直線の位置関係は:

  • 一致する
  • 平行である(一致しない)
  • 1点で交わる

のいずれかです。まず、平行になる場合を考えます。

$ell_1$ と $ell_2$ が平行になる条件:

$A neq B$ かつ $C neq D$ のとき、$ell_1$ の傾きは $frac{d-b}{c-a}$、$ell_2$ の傾きは $frac{b-d}{c-a} = -frac{d-b}{c-a}$

これらが等しくなるのは $frac{d-b}{c-a} = -frac{d-b}{c-a}$、つまり $d = b$ のときですが、これは一致する場合に含まれます。

実際に詳しく調べると、$a neq c$ かつ $b neq d$ の場合、$ell_1$ と $ell_2$ は必ず1点で交わります(傾きが正負逆)。

$a neq c$ かつ $b neq d$ となる場合の数は:

$$6 times 5 times 6 times 5 = 900 text{ 通り}$$

よって、1点で交わる確率は:

$$frac{900}{1296} = frac{25}{36}$$

【検算】 $frac{11}{36} + frac{25}{36} = 1$ となり、確率の総和が1になることを確認できます。

【(3) の解答】交点の座標がともに整数となる確率

$a neq c$ かつ $b neq d$ のとき、$ell_1$ と $ell_2$ の交点を求めます。

$ell_1$ の方程式:点 $A(a, b)$ を通り傾き $frac{d-b}{c-a}$ なので

$$y - b = frac{d-b}{c-a}(x - a)$$

$ell_2$ の方程式:点 $C(a, d)$ を通り傾き $frac{b-d}{c-a}$ なので

$$y - d = frac{b-d}{c-a}(x - a)$$

これらを連立して解くと、交点は:

$$left( frac{a+c}{2}, frac{b+d}{2} right)$$

交点の座標がともに整数となる条件は:

  • $a + c$ が偶数($a$ と $c$ の偶奇が一致)
  • $b + d$ が偶数($b$ と $d$ の偶奇が一致)

サイコロの目 $1, 2, 3, 4, 5, 6$ のうち、偶数は $2, 4, 6$ の3個、奇数は $1, 3, 5$ の3個です。

$a$ と $c$ の偶奇が一致し、かつ $a neq c$ となる場合の数:

  • ともに偶数:$3 times 2 = 6$ 通り
  • ともに奇数:$3 times 2 = 6$ 通り

合計 $12$ 通り

$b$ と $d$ の偶奇が一致し、かつ $b neq d$ となる場合の数:

同様に $12$ 通り

したがって、交点が格子点となる場合の数は:

$$12 times 12 = 144 text{ 通り}$$

よって、求める確率は:

$$frac{144}{1296} = frac{1}{9}$$

別解・発展

【別解:対称性を利用】

(3) について、$a$ と $c$ の偶奇が一致する確率は $frac{1}{2}$、$a neq c$ である確率は $frac{5}{6}$ と考えることもできます。しかし、これらは独立ではないので、直接計算する方が確実です。

【発展】

この問題は、4点 $A, B, C, D$ が作る四角形の対角線の交点を求める問題と解釈できます。$a neq c$、$b neq d$ のとき、4点は長方形の頂点となり、対角線 $AC$(つまり $ell_2$)と $BD$(つまり $ell_1$)の交点は長方形の中心 $left(frac{a+c}{2}, frac{b+d}{2}right)$ になります。


大問2:微分積分(曲線の交点と回転体の体積)

問題

【金沢大学 2018年度 理系 第2問】

$a$ を正の定数とする。曲線 $C_1: y = e^x$ と曲線 $C_2: y = e^{2a-x}$ について、以下の問いに答えよ。

(1) $C_1$ と $C_2$ の交点の座標を求めよ。

(2) $C_1$ と $C_2$ および $y$ 軸で囲まれた図形を $y$ 軸のまわりに1回転してできる回転体の体積 $V$ を求めよ。

(3) $displaystylelim_{a to infty} frac{V}{a}$ を求めよ。

解説・解法のポイント

【問題の理解】

指数関数を含む2曲線と $y$ 軸で囲まれた図形の回転体の体積を求める、典型的な数学Ⅲの問題です。$y$ 軸まわりの回転なので、バームクーヘン積分または$x$ と $y$ を入れ替えて考える方法が有効です。

【(1) の解答】交点の座標

$C_1: y = e^x$ と $C_2: y = e^{2a-x}$ の交点では:

$$e^x = e^{2a-x}$$

両辺の指数を比較して:

$$x = 2a - x$$

$$2x = 2a$$

$$x = a$$

このとき $y = e^a$ なので、交点の座標は:

$$(a, e^a)$$

【(2) の解答】回転体の体積

$C_1$、$C_2$、$y$ 軸で囲まれた図形を把握しましょう。

  • $C_1: y = e^x$ は点 $(0, 1)$ を通り、$x$ が増加すると $y$ も増加
  • $C_2: y = e^{2a-x}$ は点 $(0, e^{2a})$ を通り、$x$ が増加すると $y$ は減少
  • 交点は $(a, e^a)$

$y$ 軸まわりの回転体の体積は、バームクーヘン積分(円筒殻法)を用います。

$0 leq x leq a$ の範囲で、高さは $e^{2a-x} - e^x$($C_2$ が $C_1$ より上にある)なので:

$$V = 2pi int_0^a x(e^{2a-x} - e^x) , dx$$

$$= 2pi int_0^a (xe^{2a-x} - xe^x) , dx$$

$$= 2pi left[ int_0^a xe^{2a-x} , dx - int_0^a xe^x , dx right]$$

第1項の計算: $displaystyleint_0^a xe^{2a-x} , dx$

部分積分を用います。$u = x$、$dv = e^{2a-x}dx$ とおくと、$du = dx$、$v = -e^{2a-x}$

$$int xe^{2a-x} , dx = -xe^{2a-x} + int e^{2a-x} , dx = -xe^{2a-x} - e^{2a-x} + C$$

$$int_0^a xe^{2a-x} , dx = left[-xe^{2a-x} - e^{2a-x}right]_0^a$$

$$= (-ae^a - e^a) - (0 - e^{2a}) = e^{2a} - (a+1)e^a$$

第2項の計算: $displaystyleint_0^a xe^x , dx$

部分積分で、$u = x$、$dv = e^x dx$ とおくと:

$$int xe^x , dx = xe^x - e^x + C$$

$$int_0^a xe^x , dx = left[xe^x - e^xright]_0^a = (ae^a - e^a) - (0 - 1) = (a-1)e^a + 1$$

体積の計算:

$$V = 2pi left[ (e^{2a} - (a+1)e^a) - ((a-1)e^a + 1) right]$$

$$= 2pi left[ e^{2a} - (a+1)e^a - (a-1)e^a - 1 right]$$

$$= 2pi left[ e^{2a} - 2ae^a - 1 right]$$

$$V = 2pi (e^{2a} - 2ae^a - 1)$$

【(3) の解答】極限の計算

$$lim_{a to infty} frac{V}{a} = lim_{a to infty} frac{2pi(e^{2a} - 2ae^a - 1)}{a}$$

$$= 2pi lim_{a to infty} left( frac{e^{2a}}{a} - 2e^a - frac{1}{a} right)$$

ここで、$displaystylelim_{a to infty} frac{e^{2a}}{a} = infty$、$displaystylelim_{a to infty} 2e^a = infty$、$displaystylelim_{a to infty} frac{1}{a} = 0$ です。

$frac{e^{2a}}{a}$ と $2e^a$ の大小関係を調べます。$a to infty$ のとき:

$$frac{e^{2a}/a}{e^a} = frac{e^a}{a} to infty$$

したがって、$frac{e^{2a}}{a}$ が支配的で:

$$lim_{a to infty} frac{V}{a} = infty$$

(または、「発散する」と答える)

別解・発展

【別解:置換積分】

$int xe^{2a-x} dx$ において、$t = 2a - x$ と置換すると $x = 2a - t$、$dx = -dt$ となり:

$$int xe^{2a-x} dx = -int (2a-t)e^t dt = -left[(2a-t)e^t - int (-1)e^t dtright]$$

$$= -(2a-t)e^t - e^t + C = (t - 2a - 1)e^t + C = (2a - x - 2a - 1)e^{2a-x} + C$$

$$= -(x+1)e^{2a-x} + C$$

【発展:体積の意味】

体積 $V = 2pi(e^{2a} - 2ae^a - 1)$ は、$a$ が大きくなると $e^{2a}$ の項が支配的になります。これは、曲線 $C_2: y = e^{2a-x}$ が $y$ 軸上で非常に高い位置 $(0, e^{2a})$ から始まることに対応しています。


大問3:二次曲線(楕円と接線・面積比較)

問題

【金沢大学 2018年度 理系 第3問】

$a, b, c$ を正の数とする。楕円 $C: displaystylefrac{x^2}{a^2} + frac{y^2}{b^2} = 1$ が、4点 $(c, 0), (0, c), (-c, 0), (0, -c)$ を頂点とする正方形の各辺に接しているとする。4つの接点を頂点とする四角形の面積を $S$、楕円 $C$ で囲まれる図形の面積を $T$ とする。

このとき、不等式 $displaystylefrac{2}{pi} < frac{S}{T} < 1$ を示せ。

解説・解法のポイント

【問題の理解】

この問題は、楕円と正方形の関係を利用して面積比を評価する問題です。楕円の接線の公式と、面積計算が必要になります。

【Step 1】正方形と楕円の関係を把握する

正方形の頂点は $(c, 0), (0, c), (-c, 0), (0, -c)$ です。

正方形の各辺は:

  • $x + y = c$(第1象限側)
  • $-x + y = c$(第2象限側)
  • $-x - y = c$(第3象限側)
  • $x - y = c$(第4象限側)

楕円 $frac{x^2}{a^2} + frac{y^2}{b^2} = 1$ 上の点 $(acostheta, bsintheta)$ における接線は:

$$frac{xcostheta}{a} + frac{ysintheta}{b} = 1$$

【Step 2】接線の条件から $a, b, c$ の関係を求める

第1象限側の辺 $x + y = c$ が楕円の接線となる条件を考えます。

楕円の接線 $frac{xcostheta}{a} + frac{ysintheta}{b} = 1$ が $x + y = c$ と一致するとき:

$$frac{costheta}{a} : frac{sintheta}{b} : 1 = 1 : 1 : c$$

よって:

$$frac{cos

よって:

$$frac{costheta}{a} = frac{sintheta}{b} = frac{1}{c}$$

これより:

$$costheta = frac{a}{c}, quad sintheta = frac{b}{c}$$

$cos^2theta + sin^2theta = 1$ より:

$$frac{a^2}{c^2} + frac{b^2}{c^2} = 1$$

$$a^2 + b^2 = c^2 quad cdots (*)$$

【Step 3】接点の座標を求める

第1象限における接点は $(acostheta, bsintheta) = left(frac{a^2}{c}, frac{b^2}{c}right)$ です。

対称性により、4つの接点は:

  • $P_1 = left(frac{a^2}{c}, frac{b^2}{c}right)$(第1象限)
  • $P_2 = left(-frac{a^2}{c}, frac{b^2}{c}right)$(第2象限)
  • $P_3 = left(-frac{a^2}{c}, -frac{b^2}{c}right)$(第3象限)
  • $P_4 = left(frac{a^2}{c}, -frac{b^2}{c}right)$(第4象限)

【Step 4】四角形の面積 $S$ を求める

4つの接点を頂点とする四角形は、対角線の長さが $frac{2a^2}{c}$(横)と $frac{2b^2}{c}$(縦)の長方形です。

$$S = frac{2a^2}{c} times frac{2b^2}{c} = frac{4a^2b^2}{c^2}$$

【Step 5】楕円の面積 $T$ を求める

楕円 $frac{x^2}{a^2} + frac{y^2}{b^2} = 1$ の面積は:

$$T = pi ab$$

【Step 6】面積比 $frac{S}{T}$ を計算する

$$frac{S}{T} = frac{4a^2b^2/c^2}{pi ab} = frac{4ab}{pi c^2}$$

$(*)$ より $c^2 = a^2 + b^2$ なので:

$$frac{S}{T} = frac{4ab}{pi(a^2 + b^2)}$$

【Step 7】不等式の証明

$t = frac{a}{b} > 0$ とおくと:

$$frac{S}{T} = frac{4ab}{pi(a^2 + b^2)} = frac{4t}{pi(t^2 + 1)}$$

$f(t) = frac{4t}{pi(t^2 + 1)}$ とおいて、この関数の最大値と範囲を調べます。

【上界の証明】$frac{S}{T} < 1$

相加相乗平均の不等式より、$t > 0$ のとき:

$$t^2 + 1 geq 2t$$

等号成立は $t = 1$ のとき。よって:

$$frac{4t}{pi(t^2 + 1)} leq frac{4t}{pi cdot 2t} = frac{2}{pi} < 1$$

したがって:

$$frac{S}{T} leq frac{2}{pi} < 1$$

これで $frac{S}{T} < 1$ が示されました。

【下界の証明】$frac{2}{pi} > frac{S}{T}$ ではなく、$frac{S}{T}$ の下限を調べる

問題文をよく見ると、$frac{2}{pi} < frac{S}{T} < 1$ を示せとあります。

$f(t) = frac{4t}{pi(t^2 + 1)}$ の最大値を求めます。

$$f'(t) = frac{4(t^2 + 1) - 4t cdot 2t}{pi(t^2 + 1)^2} = frac{4(1 - t^2)}{pi(t^2 + 1)^2}$$

$f'(t) = 0$ となるのは $t = 1$ のとき。$t 0$、$t > 1$ で $f'(t) < 0$ なので、$t = 1$ で最大値をとります。

$$f(1) = frac{4 cdot 1}{pi(1 + 1)} = frac{4}{2pi} = frac{2}{pi}$$

また、$t to 0^+$ または $t to infty$ のとき $f(t) to 0$ です。

したがって、$0 < frac{S}{T} leq frac{2}{pi}$ となりますが、等号は $t = 1$(つまり $a = b$、楕円が円)のときのみ成立します。

【問題の再解釈】

問題文の不等式 $frac{2}{pi} < frac{S}{T} < 1$ について再考すると、おそらく問題の設定に追加条件があるか、または不等式の向きが逆である可能性があります。

標準的な解釈では:

$$0 < frac{S}{T} leq frac{2}{pi} < 1$$

が成り立ち、$a = b$(楕円が円)のとき $frac{S}{T} = frac{2}{pi}$ で最大値をとる。

別解・発展

【別解:パラメータを用いない方法】

楕円に外接する正方形の辺が傾き $pm 1$ の直線であることを利用し、楕円の接線の公式 $y = mx pm sqrt{a^2m^2 + b^2}$ を用いる方法もあります。

傾き $-1$ の接線は $y = -x pm sqrt{a^2 + b^2}$ となり、これが $y = -x + c$ と一致することから $c = sqrt{a^2 + b^2}$ が得られます。

【発展:等周問題との関連】

この問題は、与えられた正方形に内接する楕円のうち、どのような楕円が面積最大になるかという問題と関連しています。$a = b$ のとき(内接円のとき)、$frac{S}{T}$ が最大になるという結果は、円が最も「効率的」な図形であることを示唆しています。


大問4:空間ベクトル(ねじれの位置にある2直線と四面体の体積)

問題

【金沢大学 2018年度 理系 第4問】

空間において、ねじれの位置にある2直線 $ell_1$, $ell_2$ がある。$ell_1$ 上に2点 $A$, $B$ を、$ell_2$ 上に2点 $C$, $D$ をとり、四面体 $ABCD$ を考える。

$overrightarrow{AB} = vec{b}$, $overrightarrow{AC} = vec{c}$, $overrightarrow{AD} = vec{d}$ とおく。$ell_1$ と $ell_2$ の両方に垂直な単位ベクトルの1つを $vec{n}$ とするとき、以下の問いに答えよ。

(1) $vec{d} - vec{c}$ は $vec{b}$ と平行であるか、$vec{n}$ と垂直であるか、どちらかを示せ。

(2) 四面体 $ABCD$ の体積 $V$ を $|vec{b}|$, $|vec{c} cdot vec{n}|$, $|(vec{d} - vec{c}) times vec{b}|$ を用いて表せ。(ただし、$times$ は外積を表す)

(3) $|vec{b}| = 2$, $|vec{c}| = 3$, $|vec{d}| = 4$, $vec{b} cdot vec{c} = 1$, $vec{b} cdot vec{d} = 2$, $vec{c} cdot vec{d} = 5$ のとき、四面体 $ABCD$ の体積を求めよ。

解説・解法のポイント

【問題の理解】

ねじれの位置にある2直線上に4点をとって四面体を作る問題です。空間ベクトルの内積・外積、および四面体の体積公式を使いこなす必要があります。

【(1) の解答】

$C$, $D$ はともに直線 $ell_2$ 上の点なので、$overrightarrow{CD}$ は $ell_2$ の方向ベクトルと平行です。

$$overrightarrow{CD} = overrightarrow{AD} - overrightarrow{AC} = vec{d} - vec{c}$$

$vec{n}$ は $ell_1$ と $ell_2$ の両方に垂直なベクトルなので、$ell_2$ の方向ベクトルである $vec{d} - vec{c}$ とも垂直です。

答:$vec{d} - vec{c}$ は $vec{n}$ と垂直である。

【証明】

$vec{n} perp ell_2$ より、$ell_2$ の方向ベクトル $vec{d} - vec{c}$ に対して:

$$vec{n} cdot (vec{d} - vec{c}) = 0$$

よって、$vec{d} - vec{c}$ は $vec{n}$ と垂直である。

【(2) の解答】

四面体 $ABCD$ の体積は:

$$V = frac{1}{6}|vec{b} cdot (vec{c} times vec{d})|$$

これをスカラー三重積を用いて変形します。

$$vec{b} cdot (vec{c} times vec{d}) = vec{c} cdot (vec{d} times vec{b}) = vec{d} cdot (vec{b} times vec{c})$$

ここで、$vec{n}$ は $vec{b}$ と $vec{d} - vec{c}$ の両方に垂直なので、$vec{n}$ は $vec{b} times (vec{d} - vec{c})$ と平行です。

四面体の体積を底面と高さで表すと:

$$V = frac{1}{3} times (text{底面積}) times (text{高さ})$$

底面を三角形 $ABC$ とすると、高さは点 $D$ から平面 $ABC$ への距離です。

別のアプローチとして、2直線間の距離を利用します。

直線 $ell_1$ と $ell_2$ の間の距離は $|vec{c} cdot vec{n}|$(または $|vec{d} cdot vec{n}|$、これらは等しい)です。

四面体の体積は:

$$V = frac{1}{6}|vec{b}| cdot |(vec{d} - vec{c}) times vec{b}|^{-1} cdot |vec{b}| cdot |vec{c} cdot vec{n}| cdot |(vec{d}-vec{c})|$$

(この表現は問題の指定に従って整理する必要があります)

【(3) の解答】

与えられた条件:

  • $|vec{b}| = 2$, $|vec{c}| = 3$, $|vec{d}| = 4$
  • $vec{b} cdot vec{c} = 1$, $vec{b} cdot vec{d} = 2$, $vec{c} cdot vec{d} = 5$

四面体の体積公式:

$$V = frac{1}{6}sqrt{|vec{b}|^2|vec{c}|^2|vec{d}|^2 + 2(vec{b}cdotvec{c})(vec{c}cdotvec{d})(vec{d}cdotvec{b}) - |vec{b}|^2(vec{c}cdotvec{d})^2 - |vec{c}|^2(vec{d}cdotvec{b})^2 - |vec{d}|^2(vec{b}cdotvec{c})^2}$$

これは、グラム行列式を用いた公式です:

$$36V^2 = begin{vmatrix} |vec{b}|^2 & vec{b}cdotvec{c} & vec{b}cdotvec{d} \ vec{c}cdotvec{b} & |vec{c}|^2 & vec{c}cdotvec{d} \ vec{d}cdotvec{b} & vec{d}cdotvec{c} & |vec{d}|^2 end{vmatrix}$$

代入すると:

$$36V^2 = begin{vmatrix} 4 & 1 & 2 \ 1 & 9 & 5 \ 2 & 5 & 16 end{vmatrix}$$

行列式を計算:

$$= 4(9 times 16 - 5 times 5) - 1(1 times 16 - 5 times 2) + 2(1 times 5 - 9 times 2)$$

$$= 4(144 - 25) - 1(16 - 10) + 2(5 - 18)$$

$$= 4 times 119 - 6 + 2 times (-13)$$

$$= 476 - 6 - 26 = 444$$

$$V^2 = frac{444}{36} = frac{37}{3}$$

$$V = sqrt{frac{37}{3}} = frac{sqrt{111}}{3}$$

$$V = frac{sqrt{111}}{3}$$

別解・発展

【別解:座標を設定する方法】

$A$ を原点にとり、$vec{b}$, $vec{c}$, $vec{d}$ を座標で表す方法もあります。例えば:

  • $A = (0, 0, 0)$
  • $B = (2, 0, 0)$($vec{b} = (2, 0, 0)$)
  • $vec{c} = (c_1, c_2, c_3)$:条件 $|vec{c}| = 3$, $vec{b} cdot vec{c} = 1$ から $c_1 = frac{1}{2}$, $c_2^2 + c_3^2 = 9 - frac{1}{4} = frac{35}{4}$

この方法は計算が複雑になりがちですが、確実に答えを得ることができます。

【発展:ねじれの位置の活用】

ねじれの位置にある2直線の性質を使うと、四面体の体積を「2直線間の距離」×「底面積」の形で表すことができます。これは、空間図形の直感的理解を深めるのに役立ちます。


この年度の重要テーマと対策

2018年度の出題傾向まとめ

2018年度の金沢大学理系数学では、以下のテーマが出題されました:

分野 出題テーマ 重要度
場合の数・確率 図形と確率の融合、格子点 ★★★★★
微分積分(数Ⅲ) 回転体の体積、部分積分、極限 ★★★★★
二次曲線 楕円の接線、面積比較、不等式の証明 ★★★★☆
空間ベクトル 四面体の体積、ねじれの位置 ★★★★★

金沢大学数学の特徴と対策

1. 計算量への対応

金沢大学の数学は、標準的な難易度ながら計算量が多いのが特徴です。特に数学Ⅲの積分計算や、空間ベクトルの成分計算では、ミスなく正確に計算を進める力が求められます。

対策:

  • 日頃から計算練習を欠かさない
  • 部分積分、置換積分のパターンを体に染み込ませる
  • 検算の習慣をつける

2. 二次曲線(楕円・双曲線・放物線)の対策

金沢大学では二次曲線が頻出です。2018年度も楕円の問題が出題されました。

対策:

  • 楕円・双曲線・放物線の基本公式を暗記
  • 接線の公式(点を通る接線、傾きが与えられた接線)を使いこなす
  • 面積計算との融合問題に慣れる

3. 確率の問題

確率は毎年出題される最重要分野です。2018年度は図形(直線の交点)と確率の融合問題でした。

対策:

  • 場合分けを丁寧に行う習慣をつける
  • 図形的な考察と確率計算を組み合わせる練習
  • 「余事象」「排反」などの基本概念を確実に

4. 空間ベクトル

空間ベクトルは計算量が多くなりがちですが、確実に得点できる分野でもあります。

対策:

  • 四面体の体積公式(スカラー三重積)を使いこなす
  • 内積・外積の計算を素早く正確に
  • 座標設定の工夫で計算を簡略化する技術

時間配分の目安

120分で4問を解くため、1問あたり約30分が目安です。しかし、難易度に応じて配分を調整しましょう。

  • 最初の5分:全問を見渡し、解きやすい問題を見極める
  • 確率(第1問):25〜30分(丁寧な場合分けが必要)
  • 微積分(第2問):30〜35分(計算量が多い)
  • 二次曲線(第3問):25〜30分
  • 空間ベクトル(第4問):30〜35分
  • 最後の5〜10分:見直し・検算

類似問題で練習しよう(練習問題3問)

練習問題1:確率(直線と格子点)

【問題】

1個のさいころを2回投げ、出た目を順に $a$, $b$ とする。原点 $O$ と点 $P(a, b)$ を通る直線を $ell$ とするとき、直線 $ell$ が点 $(3, 2)$ を通る確率を求めよ。

【解答・解説】

直線 $ell$ が原点 $O(0, 0)$ と点 $P(a, b)$ を通るとき、直線の方程式は $bx - ay = 0$(ただし $(a, b) neq (0, 0)$ だが、サイコロの目は1以上なので問題なし)。

この直線が点 $(3, 2)$ を通る条件は:

$$2 cdot 3 - a cdot 2 = 0 Leftrightarrow 3b = 2a Leftrightarrow frac{a}{b} = frac{3}{2}$$

$a, b in {1, 2, 3, 4, 5, 6}$ で $frac{a}{b} = frac{3}{2}$ となるのは:

  • $(a, b) = (3, 2)$
  • $(a, b) = (6, 4)$

全事象は $6 times 6 = 36$ 通り、該当するのは2通り。

答:$displaystylefrac{2}{36} = frac{1}{18}$


練習問題2:微分積分(回転体の体積)

【問題】

曲線 $y = ln x$($1 leq x leq e$)と $x$ 軸および直線 $x = e$ で囲まれた図形を $y$ 軸のまわりに1回転してできる回転体の体積を求めよ。

【解答・解説】

バームクーヘン積分(円筒殻法)を使います。

$$V = 2pi int_1^e x cdot ln x , dx$$

$int x ln x , dx$ を部分積分で計算します。$u = ln x$, $dv = x , dx$ とおくと:

$$int x ln x , dx = frac{x^2}{2} ln x - int frac{x^2}{2} cdot frac{1}{x} , dx = frac{x^2}{2} ln x - frac{x^2}{4} + C$$

$$V = 2pi left[ frac{x^2}{2} ln x - frac{x^2}{4} right]_1^e$$

$$= 2pi left[ left( frac{e^2}{2} cdot 1 - frac{e^2}{4} right) - left( frac{1}{2} cdot 0 - frac{1}{4} right) right]$$

$$= 2pi left[ frac{e^2}{4} + frac{1}{4} right] = frac{pi(e^2 + 1)

$$= 2pi left[ frac{e^2}{4} + frac{1}{4} right] = frac{pi(e^2 + 1)}{2}$$

答:$displaystyle V = frac{pi(e^2 + 1)}{2}$


練習問題3:空間ベクトル(四面体の体積)

【問題】

四面体 $OABC$ において、$overrightarrow{OA} = vec{a}$, $overrightarrow{OB} = vec{b}$, $overrightarrow{OC} = vec{c}$ とする。$|vec{a}| = 3$, $|vec{b}| = 4$, $|vec{c}| = 5$, $vec{a} cdot vec{b} = 6$, $vec{b} cdot vec{c} = 10$, $vec{c} cdot vec{a} = 0$ のとき、四面体 $OABC$ の体積を求めよ。

【解答・解説】

四面体の体積公式(グラム行列式)を使います。

$$36V^2 = begin{vmatrix} |vec{a}|^2 & vec{a}cdotvec{b} & vec{a}cdotvec{c} \ vec{b}cdotvec{a} & |vec{b}|^2 & vec{b}cdotvec{c} \ vec{c}cdotvec{a} & vec{c}cdotvec{b} & |vec{c}|^2 end{vmatrix}$$

与えられた値を代入:

$$36V^2 = begin{vmatrix} 9 & 6 & 0 \ 6 & 16 & 10 \ 0 & 10 & 25 end{vmatrix}$$

第1行で展開:

$$= 9 begin{vmatrix} 16 & 10 \ 10 & 25 end{vmatrix} - 6 begin{vmatrix} 6 & 10 \ 0 & 25 end{vmatrix} + 0$$

$$= 9(16 times 25 - 10 times 10) - 6(6 times 25 - 10 times 0)$$

$$= 9(400 - 100) - 6(150 - 0)$$

$$= 9 times 300 - 6 times 150$$

$$= 2700 - 900 = 1800$$

$$V^2 = frac{1800}{36} = 50$$

$$V = sqrt{50} = 5sqrt{2}$$

答:$V = 5sqrt{2}$


金沢大学合格に向けた学習アドバイス

分野別の重要度と対策優先順位

金沢大学理系数学で合格点を取るために、以下の優先順位で学習を進めることをお勧めします。

優先度 分野 学習のポイント
最優先 微分積分(数Ⅲ) 毎年出題。部分積分・置換積分・回転体の体積を完璧に
最優先 確率 場合分けの力と、図形との融合問題への対応力
空間ベクトル 四面体の体積、内積計算、座標設定の工夫
二次曲線 楕円・双曲線の接線、面積計算
複素数平面 回転・拡大、図形への応用
数列・極限 漸化式、はさみうちの原理

おすすめの問題集と参考書

基礎固め(偏差値50〜55)

  • 青チャート:金沢大学レベルには青チャートで十分。例題を完璧にすることが第一歩
  • 基礎問題精講:効率よく基礎を固めたい人向け

実力養成(偏差値55〜65)

  • 標準問題精講:金沢大学の標準〜やや難レベルに対応
  • 1対1対応の演習:典型問題の解法を身につける
  • 理系数学の良問プラチカ:実戦的な演習に最適

仕上げ(偏差値65以上・医学部志望)

  • 過去問演習:最低10年分は解きたい
  • 他大学の過去問:新潟大学、富山大学など同レベルの国立大学の問題も練習に

年間学習スケジュールの目安

高3・4月〜7月(基礎完成期)

  • 青チャートまたは基礎問題精講を周回
  • 数学Ⅲの計算力を徹底的に鍛える
  • 苦手分野の克服

高3・8月〜10月(実力養成期)

  • 標準問題精講、1対1対応で応用力をつける
  • 模試の復習を徹底
  • 金沢大学の過去問に少しずつ触れ始める

高3・11月〜1月(実戦演習期)

  • 過去問を本番形式で演習(時間を計って)
  • 弱点分野の集中補強
  • 共通テスト対策との両立

高3・2月(直前期)

  • 過去問の総復習
  • 計算ミス対策
  • 頻出分野の最終確認

日本数学塾・数強塾で金沢大学合格を目指そう

ここまで金沢大学2018年度の数学を詳しく解説してきました。いかがでしたでしょうか?

金沢大学の数学は、標準的な問題を確実に解く力計算力が求められます。難問奇問は少ないですが、その分ケアレスミスが命取りになります。

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まとめ

金沢大学2018年度理系数学のポイントをまとめます。

各大問の振り返り

大問 テーマ キーポイント
第1問 確率(直線と格子点) 図形的考察と場合分け。交点の座標が整数になる条件を偶奇で判定
第2問 微分積分(回転体の体積) バームクーヘン積分と部分積分。極限計算では支配的な項を見極める
第3問 二次曲線(楕円と接線) 楕円の接線公式と面積比較。相加相乗平均の活用
第4問 空間ベクトル(四面体の体積) グラム行列式による体積計算。ねじれの位置の理解

合格のための3つの心得

  1. 計算力を鍛える:金沢大学は計算量が多い。日頃から手を動かす習慣を
  2. 時間配分を意識:120分で4問。難しい問題に固執しすぎない
  3. 典型問題を確実に:奇問は少ない。標準問題を落とさないことが合格への近道

金沢大学を目指す皆さん、応援しています!

質問や相談があれば、数強塾日本数学塾までお気軽にお問い合わせください。一緒に合格を勝ち取りましょう!

藤原進之介
数強塾・日本数学塾 講師

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