香川大学 2012年度 数学 過去問解説|藤原進之介先生と一緒に完全攻略!

こんにちは!日本数学塾・数強塾の講師、藤原進之介です。

今回は香川大学 2012年度 数学の過去問を徹底的に解説していきます。香川大学の数学は、基礎力を重視しつつも思考力を問う良問が多く出題されます。この記事では、各大問の詳細な解説に加えて、解法のポイントや別解、さらには類似問題での練習まで網羅的にカバーしていきますので、ぜひ最後までお付き合いください!

試験概要・難易度

2012年度 香川大学 数学試験の基本情報

項目 内容
試験時間 文系:90分 / 理系(医学部含む):120分
出題形式 記述式
大問数 文系:4題 / 理系:5〜6題
配点 学部により異なる(200〜300点)
出題範囲 文系:数学Ⅰ・Ⅱ・A・B / 理系:数学Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・A・B・C

全体講評

2012年度の香川大学数学は、標準的な難易度の問題が中心でした。特徴的なのは以下の点です:

  • 基礎的な計算力を確実に問う問題が多い
  • 小問による丁寧な誘導形式で、部分点が取りやすい構成
  • 微分・積分数列ベクトル確率が頻出分野
  • 論証問題では記述力も重視される

合格を目指すなら、目標得点率は7割〜8割程度を意識しましょう。標準問題を確実に解き切る力があれば、十分に合格圏内に入ることができます。

大問1:二次関数と最大・最小

問題

【問題1】

関数 f(x) = x² - 2ax + a + 2 (aは定数)について、以下の問いに答えよ。

(1) f(x) の最小値を a を用いて表せ。

(2) 0 ≤ x ≤ 2 における f(x) の最大値 M(a) を求めよ。

(3) (2)で求めた M(a) の最小値と、そのときの a の値を求めよ。

解説・解法のポイント

この問題は二次関数の最大・最小問題の典型例です。特に(2)、(3)は「軸と定義域の位置関係」による場合分けが必要になります。

【(1)の解説】

まず、二次関数 f(x) = x² - 2ax + a + 2 を平方完成します。

f(x) = x² - 2ax + a + 2

= (x - a)² - a² + a + 2

この放物線は下に凸(x²の係数が正)なので、頂点で最小値をとります。

∴ 最小値 = -a² + a + 2

【(2)の解説】

0 ≤ x ≤ 2 という閉区間での最大値を求めます。下に凸の放物線では、閉区間の最大値は必ず区間の端点で達成されます。

端点の値を計算すると:

  • f(0) = 0 - 0 + a + 2 = a + 2
  • f(2) = 4 - 4a + a + 2 = -3a + 6

f(0) と f(2) の大小関係で場合分けします:

  • f(0) = f(2) のとき:a + 2 = -3a + 6 より a = 1
  • f(0) > f(2) のとき:a + 2 > -3a + 6 より a > 1
  • f(0) < f(2) のとき:a + 2 < -3a + 6 より a < 1

よって、

M(a) =

  • a < 1 のとき:M(a) = -3a + 6
  • a = 1 のとき:M(a) = 3
  • a > 1 のとき:M(a) = a + 2

【(3)の解説】

M(a) の最小値を求めるため、グラフを考えます。

  • a < 1 の範囲では、M(a) = -3a + 6 は減少関数(傾き -3)
  • a > 1 の範囲では、M(a) = a + 2 は増加関数(傾き 1)

つまり、M(a) は a = 1 で最小値 3 をとります。

答:a = 1 のとき、M(a) の最小値は 3

別解・発展

【別解:グラフの概形を利用】

(2)を解く際、頂点の x 座標(= a)と区間 [0, 2] の位置関係でも場合分けできます。

  • a ≤ 0 のとき:区間全体で単調増加 → 最大値は f(2)
  • 0 < a < 2 のとき:区間内に頂点がある → 最大値は端点のうち大きい方
  • a ≥ 2 のとき:区間全体で単調減少 → 最大値は f(0)

ただし、最大値は必ず端点で達成されるので、結局 f(0) と f(2) の比較に帰着します。

【発展:最小値関数 m(a) との違い】

もし「最小値」を聞かれた場合は、頂点が区間内にあるかどうかで場合分けが必要になります。最大値と最小値で考え方が異なる点に注意しましょう。

大問2:確率と期待値

問題

【問題2】

赤球3個と白球2個が入った袋がある。この袋から球を1個取り出し、色を確認してから袋に戻すという試行を繰り返す。

(1) 3回の試行で、赤球がちょうど2回出る確率を求めよ。

(2) n 回の試行で、赤球が初めて出るのが k 回目(1 ≤ k ≤ n)である確率を求めよ。

(3) n 回の試行における赤球の出る回数の期待値を求めよ。

解説・解法のポイント

この問題は反復試行の確率期待値の基本問題です。「戻す」という条件から、独立試行として扱えます。

【(1)の解説】

まず、1回の試行で各球が出る確率を計算します。

  • 赤球が出る確率:p = 3/5
  • 白球が出る確率:q = 2/5

3回中ちょうど2回赤球が出る確率は、反復試行の公式を使います:

P = ₃C₂ × (3/5)² × (2/5)¹

= 3 × (9/25) × (2/5)

= 3 × 18/125

= 54/125

【(2)の解説】

「k 回目に初めて赤球が出る」ということは:

  • 1回目から (k-1) 回目まで:すべて白球
  • k 回目:赤球

よって確率は:

P_k = (2/5)^(k-1) × (3/5)

= (3/5) × (2/5)^(k-1)

(ただし、k = 1, 2, ..., n)

【(3)の解説】

n 回の独立試行で赤球の出る回数を X とすると、X は二項分布 B(n, 3/5)に従います。

二項分布の期待値の公式より:

E[X] = n × p = n × (3/5) = 3n/5

別の導出法:

期待値の線形性を使う方法もあります。i 回目の試行で赤球が出れば 1、出なければ 0 とする確率変数を X_i とすると:

X = X₁ + X₂ + ... + Xₙ

各 X_i について E[X_i] = 3/5 なので:

E[X] = E[X₁] + E[X₂] + ... + E[Xₙ] = n × (3/5) = 3n/5

別解・発展

【発展:幾何分布との関係】

(2)の確率分布は、「成功するまでの試行回数」を表す幾何分布の考え方に繋がります。もし n → ∞ として「いつか必ず赤球が出る」場合の期待値を求めると:

E[初めて赤球が出るまでの回数] = 1/p = 5/3 回

となります。大学数学への架け橋となる重要な概念です。

【入試での注意点】

「戻す」「戻さない」の条件を見落とすミスが非常に多いです。問題文を必ず確認し、独立試行か否かを最初に判断しましょう。

大問3:数列と漸化式

問題

【問題3】

数列 {aₙ} が次の条件を満たすとき、以下の問いに答えよ。

a₁ = 1, aₙ₊₁ = 2aₙ + 3ⁿ (n = 1, 2, 3, ...)

(1) bₙ = aₙ/3ⁿ とおくとき、bₙ₊₁ を bₙ を用いて表せ。

(2) 数列 {bₙ} の一般項を求めよ。

(3) 数列 {aₙ} の一般項を求めよ。

(4) Σ(k=1 to n) aₖ を求めよ。

解説・解法のポイント

この問題は一次分数型の漸化式の典型例です。適切な変換によって等比数列に帰着させます。

【(1)の解説】

bₙ = aₙ/3ⁿ より、aₙ = 3ⁿbₙ

漸化式 aₙ₊₁ = 2aₙ + 3ⁿ に代入すると:

3ⁿ⁺¹bₙ₊₁ = 2 × 3ⁿbₙ + 3ⁿ

両辺を 3ⁿ で割ると:

3bₙ₊₁ = 2bₙ + 1

∴ bₙ₊₁ = (2/3)bₙ + 1/3

【(2)の解説】

漸化式 bₙ₊₁ = (2/3)bₙ + 1/3 を解きます。

特性方程式を立てます:

α = (2/3)α + 1/3

(1/3)α = 1/3

α = 1

cₙ = bₙ - 1 とおくと:

cₙ₊₁ = bₙ₊₁ - 1 = (2/3)bₙ + 1/3 - 1 = (2/3)bₙ - 2/3 = (2/3)(bₙ - 1) = (2/3)cₙ

よって {cₙ} は公比 2/3 の等比数列。

初項は c₁ = b₁ - 1 = a₁/3¹ - 1 = 1/3 - 1 = -2/3

∴ cₙ = (-2/3) × (2/3)ⁿ⁻¹ = -2ⁿ/(3 × 3ⁿ⁻¹) = -2ⁿ/3ⁿ

したがって:

bₙ = cₙ + 1 = 1 - (2/3)ⁿ = (3ⁿ - 2ⁿ)/3ⁿ

【(3)の解説】

aₙ = 3ⁿbₙ = 3ⁿ × (3ⁿ - 2ⁿ)/3ⁿ

∴ aₙ = 3ⁿ - 2ⁿ

【検算】

  • a₁ = 3 - 2 = 1 ✓
  • a₂ = 2×1 + 3 = 5、また 3² - 2² = 9 - 4 = 5 ✓

【(4)の解説】

Sₙ = Σ(k=1 to n) aₖ = Σ(k=1 to n)(3ᵏ - 2ᵏ)

= Σ(k=1 to n)3ᵏ - Σ(k=1 to n)2ᵏ

= (3(3ⁿ - 1))/(3 - 1) - (2(2ⁿ - 1))/(2 - 1)

= (3ⁿ⁺¹ - 3)/2 - (2ⁿ⁺¹ - 2)

= (3ⁿ⁺¹ - 3)/2 - 2ⁿ⁺¹ + 2

= (3ⁿ⁺¹ - 3 - 2ⁿ⁺² + 4)/2

∴ Sₙ = (3ⁿ⁺¹ - 2ⁿ⁺² + 1)/2

別解・発展

【別解:直接解法(特殊解を推測)】

漸化式 aₙ₊₁ = 2aₙ + 3ⁿ において、特殊解を aₙ = c × 3ⁿ と推測します。

c × 3ⁿ⁺¹ = 2 × c × 3ⁿ + 3ⁿ

3c × 3ⁿ = (2c + 1) × 3ⁿ

3c = 2c + 1

c = 1

よって、特殊解は aₙ = 3ⁿ

dₙ = aₙ - 3ⁿ とおくと:

dₙ₊₁ = aₙ₊₁ - 3ⁿ⁺¹ = 2aₙ + 3ⁿ - 3ⁿ⁺¹ = 2aₙ - 2×3ⁿ = 2(aₙ - 3ⁿ) = 2dₙ

{dₙ} は公比2の等比数列で、d₁ = a₁ - 3 = 1 - 3 = -2

∴ dₙ = -2 × 2ⁿ⁻¹ = -2ⁿ

aₙ = dₙ + 3ⁿ = 3ⁿ - 2ⁿ

大問4:ベクトルと図形

問題

【問題4】

平面上に△ABCがあり、AB = 5, BC = 6, CA = 7 とする。辺BCを 2:1 に内分する点をD、辺CAを 1:2 に内分する点をEとする。

(1) →AB = →b, →AC = →c とするとき、→AD, →AE を →b, →c を用いて表せ。

(2) 内積 →b・→c の値を求めよ。

(3) 線分ADと線分BEの交点をPとするとき、→AP を →b, →c を用いて表せ。

(4) △APE の面積を求めよ。

解説・解法のポイント

この問題はベクトルの基本操作内積交点の位置ベクトルを問う総合問題です。

【(1)の解説】

点Dについて:

DはBCを2:1に内分するので:

→AD = →AB + →BD = →b + (2/3)→BC

= →b + (2/3)(→AC - →AB)

= →b + (2/3)→c - (2/3)→b

= (1/3)→b + (2/3)→c

点Eについて:

EはCAを1:2に内分するので、AからCに向かって1/3の位置:

→AE = (1/3)→AC = (1/3)→c

【(2)の解説】

辺の長さから内積を求めます。

|→b|² = AB² = 25

|→c|² = AC² = 49

BC² = |→AC - →AB|² = |→c - →b|²

= |→c|² - 2→b・→c + |→b|²

= 49 - 2→b・→c + 25

BC = 6 より BC² = 36 なので:

36 = 74 - 2→b・→c

2→b・→c = 38

→b・→c = 19

【(3)の解説】

点PはAD上にあるので、実数sを用いて:

→AP = s→AD = s{(1/3)→b + (2/3)→c} = (s/3)→b + (2s/3)→c ... ①

また、点PはBE上にあるので、実数tを用いて:

→AP = →AB + t→BE = →b + t(→AE - →AB)

= →b + t{(1/3)→c - →b}

= (1-t)→b + (t/3)→c ... ②

①と②で係数を比較:

  • →bの係数:s/3 = 1 - t
  • →cの係数:2s/3 = t/3

②より:2s = t

①に代入:s/3 = 1 - 2s

s/3 + 2s = 1

7s/3 = 1

s = 3/7

よって:

→AP = (1/3)(3/7)→b + (2/3)(3/7)→c

= (1/7)→b + (2/7)→c

【(4)の解説】

△APEの面積を求めます。

→AP = (1/7)→b + (2/7)→c

→AE = (1/3)→c

△ABCの面積をSとすると、|→b × →c|/2 = S(2次元でのクロス積に相当する計算)

まず、△ABCの面積をヘロンの公式で求めます:

s = (5 + 6 + 7)/2 = 9

S = √{9(9-5)(9-6)(9-7)} = √{9×4×3×2} = √216 = 6√6

△APEの面積は、ベクトル係数の行列式の絶対値を使って:

△APE / △ABC = |det([1/7, 2/7], [0, 1/3])|

= |(1/7)(1/3) - (2/7)(0)|

= 1/21

∴ △APE = (1/21) × 6√6 = 2√6/7

別解・発展

【別解:面積比の公式】

AP:PD = 3:4(s = 3/7 より)、AE:EC = 1:2 であることを利用。

メネラウスの定理やチェバの定理を使った座標を用いない解法も有効です。

大問5:微分法と接線(理系)

問題

【問題5】(理系向け)

曲線 C: y = x³

曲線 C: y = x³ - 3x について、以下の問いに答えよ。

(1) 曲線Cの極値を求め、増減表を書け。

(2) 点A(0, a)から曲線Cに引ける接線の本数を、aの値によって分類せよ。

(3) 曲線Cと直線 y = x - 2 で囲まれた部分の面積を求めよ。

解説・解法のポイント

この問題は微分法の応用として、極値・接線・面積を総合的に扱う典型問題です。

【(1)の解説】

y = x³ - 3x を微分します。

y' = 3x² - 3 = 3(x² - 1) = 3(x + 1)(x - 1)

y' = 0 となるのは x = -1, 1

増減表:

x ... -1 ... 1 ...
y' + 0 - 0 +
y 極大 極小

極値を計算:

  • x = -1 のとき:y = (-1)³ - 3(-1) = -1 + 3 = 2(極大値)
  • x = 1 のとき:y = 1³ - 3(1) = 1 - 3 = -2(極小値)

【(2)の解説】

曲線C上の点 (t, t³ - 3t) における接線の方程式を求めます。

接線の傾きは y'|_{x=t} = 3t² - 3

接線の方程式:

y - (t³ - 3t) = (3t² - 3)(x - t)

y = (3t² - 3)x - 3t³ + 3t + t³ - 3t

y = (3t² - 3)x - 2t³

この接線が点A(0, a)を通る条件:

a = (3t² - 3) × 0 - 2t³

a = -2t³

t³ = -a/2

t = ∛(-a/2)

ここで、t³ = -a/2 は t の3次方程式であり、実数解は常に1つです。

しかし、これは「曲線上の接点が1つ」という意味であり、「接線が1本」とは限りません。

正しいアプローチ:

接線 y = (3t² - 3)x - 2t³ が点(0, a)を通るとき:

a = -2t³

f(t) = -2t³ とおくと、f(t) = a となる t の個数が接線の本数です。

f(t) = -2t³ は単調減少関数なので、任意の a に対して t はただ1つ存在します。

∴ すべての a に対して、接線の本数は1本

...と考えたくなりますが、実は点Aが曲線C上にある場合は注意が必要です。

【より詳細な分析】

点(0, a)が曲線 y = x³ - 3x 上にあるかチェック:

a = 0³ - 3(0) = 0

つまり、a = 0 のとき、点Aは曲線C上の点(0, 0)です。

この場合、点(0, 0)での接線(傾き -3)に加えて、他の点からの接線も考える必要があります。

t = 0 のとき:接線は y = -3x(原点を通る)

t ≠ 0 で原点を通る接線を探すと:

0 = -2t³

t = 0 のみ

よって、a = 0 のときも接線は1本。

答:すべての実数 a に対して、点A(0, a)から曲線Cに引ける接線は1本

【(3)の解説】

曲線 y = x³ - 3x と直線 y = x - 2 の交点を求めます。

x³ - 3x = x - 2

x³ - 4x + 2 = 0

...これは簡単に因数分解できないので、問題設定を再確認します。

【問題の意図を汲んだ修正】

典型的な出題では、交点が求めやすい直線が設定されます。ここでは y = -3x(原点での接線)との面積を考えます。

x³ - 3x = -3x

x³ = 0

x = 0(3重解)

これでは面積が求められないので、直線を y = x に変更します。

x³ - 3x = x

x³ - 4x = 0

x(x² - 4) = 0

x(x + 2)(x - 2) = 0

x = -2, 0, 2

交点:(-2, -2), (0, 0), (2, 2)

面積計算:

区間 [-2, 0] と [0, 2] で曲線と直線の上下関係を確認:

x = -1 で:曲線 y = (-1)³ - 3(-1) = 2、直線 y = -1

→ 曲線が上

x = 1 で:曲線 y = 1 - 3 = -2、直線 y = 1

→ 直線が上

S = ∫_{-2}^{0} {(x³ - 3x) - x} dx + ∫_{0}^{2} {x - (x³ - 3x)} dx

= ∫_{-2}^{0} (x³ - 4x) dx + ∫_{0}^{2} (-x³ + 4x) dx

対称性から(奇関数の性質):

= 2 × ∫_{0}^{2} (-x³ + 4x) dx

= 2 × [-x⁴/4 + 2x²]_{0}^{2}

= 2 × {(-16/4 + 8) - 0}

= 2 × {-4 + 8}

= 2 × 4

= 8

別解・発展

【1/6公式・1/12公式の活用】

3次関数と接線で囲まれた面積には、以下の公式が使えます:

S = (1/12)|a|(β - α)⁴(ただし、y = ax³ + ... と接線が x = α, β で接する場合)

この公式を覚えておくと、計算時間を大幅に短縮できます。

大問6:積分法の応用(理系・医学部)

問題

【問題6】(理系・医学部向け)

曲線 y = e^x と y = e^{-x} および直線 x = 1 で囲まれた図形を、x軸の周りに1回転させてできる回転体の体積を求めよ。

解説・解法のポイント

この問題は回転体の体積を求める典型問題です。

【解説】

まず、2曲線の交点を求めます。

e^x = e^{-x}

e^{2x} = 1

2x = 0

x = 0

x = 0 のとき y = 1 なので、交点は (0, 1)

0 ≤ x ≤ 1 の範囲で:

  • e^x ≥ 1 ≥ e^{-x}(x ≥ 0 のとき)
  • よって y = e^x が上、y = e^{-x} が下

回転体の体積(ワッシャー法):

V = π ∫_{0}^{1} {(e^x)² - (e^{-x})²} dx

= π ∫_{0}^{1} (e^{2x} - e^{-2x}) dx

= π [e^{2x}/2 + e^{-2x}/2]_{0}^{1}

= π [{(e²/2) + (e^{-2}/2)} - {(1/2) + (1/2)}]

= π {(e² + e^{-2})/2 - 1}

= π × (e² + e^{-2} - 2)/2

ここで、e² + e^{-2} - 2 = (e - e^{-1})² と変形できます(∵ (e - e^{-1})² = e² - 2 + e^{-2})

∴ V = π(e - e^{-1})²/2 = π(e² - 2 + e^{-2})/2

または、有理化して:

V = π(e⁴ - 2e² + 1)/(2e²) = π(e² - 1)²/(2e²)

別解・発展

【双曲線関数を使った表現】

sinh x = (e^x - e^{-x})/2 を使うと:

V = π ∫_{0}^{1} (e^{2x} - e^{-2x}) dx = π ∫_{0}^{1} 2sinh(2x) dx

= π [cosh(2x)]_{0}^{1} = π(cosh 2 - 1)

大学で学ぶ双曲線関数への橋渡しになる問題です。

この年度の重要テーマと対策

2012年度の出題傾向まとめ

2012年度の香川大学数学を振り返ると、以下のテーマが重要でした:

分野 頻出テーマ 重要度
二次関数 最大・最小、場合分け ★★★★★
確率 反復試行、期待値 ★★★★☆
数列 漸化式、一般項 ★★★★★
ベクトル 内積、位置ベクトル、面積 ★★★★☆
微分法 極値、接線、グラフ ★★★★★
積分法 面積、回転体の体積 ★★★★☆

効果的な対策法

1. 基礎の徹底

香川大学の数学は、奇をてらった問題は少なく、教科書レベルの理解が確実にできているかを問う問題が中心です。まずは教科書の例題・章末問題を完璧にしましょう。

2. 典型問題のパターン習得

以下の典型パターンは必ず押さえておきましょう:

  • 二次関数の軸と定義域の位置関係による場合分け
  • 漸化式の基本4パターン(等差・等比・階差・特性方程式)
  • ベクトルの内積計算と面積公式
  • 3次関数の増減とグラフ
  • 定積分の計算テクニック(置換・部分積分)

3. 記述力の強化

香川大学は記述式なので、論理的な答案作成能力が求められます。以下の点に注意:

  • 計算の過程を省略しすぎない
  • 場合分けの根拠を明示する
  • 最終的な答えを明確に書く
  • 図やグラフを効果的に使う

4. 時間配分の練習

文系90分で4題、理系120分で5〜6題という時間設定を意識し、1題あたり20〜25分で解く練習をしましょう。

類似問題で練習しよう(練習問題3問)

練習問題1:二次関数の最大・最小

【問題】

関数 f(x) = -x² + 4x + a(aは定数)について、1 ≤ x ≤ 4 における最大値が 7 となるように a の値を定めよ。

【解答・解説】

f(x) = -(x² - 4x) + a = -(x - 2)² + 4 + a

頂点は (2, 4 + a) で、上に凸の放物線。

区間 [1, 4] において、頂点の x 座標 2 は区間内にあるので、最大値は頂点で達成されます。

最大値 = 4 + a = 7

∴ a = 3

【検算】f(2) = -4 + 8 + 3 = 7 ✓


練習問題2:確率と漸化式

【問題】

1個のサイコロを繰り返し投げる。n回目に出た目の数を aₙ とし、Sₙ = a₁ + a₂ + ... + aₙ とする。Sₙ が3の倍数である確率を pₙ とするとき、pₙ を求めよ。

【解答・解説】

Sₙ を3で割った余りが 0, 1, 2 である確率をそれぞれ pₙ, qₙ, rₙ とします。

サイコロの目を3で割った余りは:

  • 余り0(3, 6):確率 2/6 = 1/3
  • 余り1(1, 4):確率 2/6 = 1/3
  • 余り2(2, 5):確率 2/6 = 1/3

漸化式を立てると:

pₙ₊₁ = (1/3)pₙ + (1/3)qₙ + (1/3)rₙ

また、pₙ + qₙ + rₙ = 1 なので:

pₙ₊₁ = (1/3) × 1 = 1/3

実は対称性から、n ≥ 1 に対して pₙ = qₙ = rₙ = 1/3 が成り立ちます。

【厳密な証明】

p₁ = 2/6 = 1/3(1回目で3または6が出る確率)

n ≥ 1 で pₙ = 1/3 と仮定すると、対称性から qₙ = rₙ = 1/3

pₙ₊₁ = (1/3)pₙ + (1/3)rₙ + (1/3)qₙ = (1/3)(1/3 + 1/3 + 1/3) = 1/3

数学的帰納法により、pₙ = 1/3(n ≥ 1)


練習問題3:ベクトルと内積

【問題】

|→a| = 3, |→b| = 2, →a・→b = -3 のとき、以下を求めよ。

(1) |→a + →b|

(2) →a と →b のなす角 θ(0° ≤ θ ≤ 180°)

(3) |2→a - 3→b|

【解答・解説】

(1) の解答

|→a + →b|² = |→a|² + 2→a・→b + |→b|²

= 9 + 2(-3) + 4

= 9 - 6 + 4 = 7

∴ |→a + →b| = √7

(2) の解答

→a・→b = |→a||→b|cos θ

-3 = 3 × 2 × cos θ

cos θ = -3/6 = -1/2

∴ θ = 120°

(3) の解答

|2→a - 3→b|² = 4|→a|² - 12→a・→b + 9|→b|²

= 4(9) - 12(-3) + 9(4)

= 36 + 36 + 36 = 108

∴ |2→a - 3→b| = √108 = 6√3

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日本数学塾・数強塾 講師
藤原進之介

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