防衛大学校 2008年度 数学 過去問解説|藤原進之介先生と一緒に完全攻略!
こんにちは!日本数学塾・数強塾で講師を務める藤原進之介です。
今回は、防衛大学校 2008年度(平成20年度)の数学入試問題を徹底解説していきます。防衛大学校は、将来の自衛隊幹部を育成する国の機関であり、その入試は全国の優秀な受験生が挑戦する難関試験です。
この記事では、2008年度の数学問題を大問ごとに詳しく解説し、解法のポイントや別解、さらには類似問題での練習まで網羅しています。8000字以上の詳細解説で、防衛大学校合格を目指す皆さんを全力でサポートします!
試験概要・難易度
2008年度(平成20年度)防衛大学校 一般採用試験 数学
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 試験日 | 2007年11月実施(2008年4月入校生向け) |
| 試験時間 | 120分 |
| 出題形式 | 大問5問構成(記述式) |
| 出題範囲 | 【文系】数学Ⅰ・A・Ⅱ・B 【理系】数学Ⅰ・A・Ⅱ・B・Ⅲ |
| 難易度 | 標準〜やや難(国公立大学中堅レベル) |
全体講評
2008年度の防衛大学校数学は、例年通りの傾向を踏襲した出題でした。大問1は小問集合で基礎力を問い、大問2以降では数列、ベクトル、微分積分といった頻出分野から標準的な問題が出題されています。
防衛大学校の数学の特徴として、以下の点が挙げられます:
- 基本〜標準レベルの問題が中心:奇抜な発想を要する問題は少なく、教科書レベルの内容をしっかり理解していれば対応可能
- 計算量がやや多い:120分で5問を解くため、計算ミスなく正確に処理する力が求められる
- 頻出分野が明確:数列(漸化式・群数列)、ベクトル(内分・外分)、微積分が毎年のように出題される
- 記述式で部分点が狙える:解答過程をしっかり書くことで、完答できなくても得点できる
2008年度は特に、漸化式の応用と空間ベクトル、定積分の計算に重点が置かれた出題でした。これらの分野は防衛大学校の「定番」であり、過去問演習を通じて十分に対策しておくことが合格への近道です。
大問1:小問集合(基礎力確認)
問題
大問1は、様々な分野から出題される小問集合です。2008年度は以下のような問題が出題されました。
問1. 次の式を因数分解せよ。
x³ + y³ + z³ − 3xyz
問2. 方程式 log₂(x−1) + log₂(x−3) = 3 を解け。
問3. 0 ≤ θ < 2π のとき、不等式 2sin²θ − 3sinθ + 1 ≤ 0 を満たす θ の範囲を求めよ。
問4. 等差数列 {aₙ} において、a₃ = 7、a₇ = 19 のとき、初項 a₁ と公差 d を求めよ。
解説・解法のポイント
【問1の解説】3次式の因数分解
x³ + y³ + z³ − 3xyz は、対称式の因数分解として非常に有名な公式です。
公式:
x³ + y³ + z³ − 3xyz = (x + y + z)(x² + y² + z² − xy − yz − zx)
導出方法:
x + y + z = 0 のとき、x³ + y³ + z³ = 3xyz が成り立つことから、(x + y + z) が因数であることがわかります。
因数定理より x = −(y + z) を代入すると 0 になることを確認し、割り算を実行することで残りの因数 x² + y² + z² − xy − yz − zx が得られます。
答え:(x + y + z)(x² + y² + z² − xy − yz − zx)
【問2の解説】対数方程式
解法の流れ:
- 真数条件を確認する
- 対数の性質を用いて式を変形する
- 得られた解が真数条件を満たすか確認する
真数条件: x − 1 > 0 かつ x − 3 > 0 より、x > 3
式の変形:
log₂(x−1) + log₂(x−3) = 3
log₂{(x−1)(x−3)} = 3
(x−1)(x−3) = 2³ = 8
x² − 4x + 3 = 8
x² − 4x − 5 = 0
(x−5)(x+1) = 0
x = 5, −1
真数条件 x > 3 を満たすのは x = 5 のみ。
答え:x = 5
【問3の解説】三角不等式
解法の流れ:
- sinθ = t とおいて2次不等式に帰着させる
- t の範囲を求める
- 単位円を用いて θ の範囲に戻す
sinθ = t とおくと、−1 ≤ t ≤ 1 で
2t² − 3t + 1 ≤ 0
(2t − 1)(t − 1) ≤ 0
1/2 ≤ t ≤ 1
よって、1/2 ≤ sinθ ≤ 1
0 ≤ θ < 2π において sinθ ≥ 1/2 となる範囲は
π/6 ≤ θ ≤ 5π/6
答え:π/6 ≤ θ ≤ 5π/6
【問4の解説】等差数列の基本
等差数列の一般項:aₙ = a₁ + (n−1)d
条件より:
a₃ = a₁ + 2d = 7 ……①
a₇ = a₁ + 6d = 19 ……②
②−① より:4d = 12、よって d = 3
①に代入:a₁ + 6 = 7、よって a₁ = 1
答え:a₁ = 1、d = 3
別解・発展
問1の別解(展開による確認):
答えを展開して元の式に戻ることを確認する方法も有効です。試験本番では、因数分解の結果を展開して検算することをお勧めします。
問2の発展:
対数方程式では、底の変換公式を使う問題も頻出です。
log_a b = (log_c b) / (log_c a) を使いこなせるようにしておきましょう。
大問2:数列(漸化式の応用)
問題
数列 {aₙ} が次の条件を満たすとする。
a₁ = 2、aₙ₊₁ = 2aₙ + 3ⁿ (n = 1, 2, 3, …)
(1) bₙ = aₙ / 3ⁿ とおくとき、bₙ₊₁ を bₙ を用いて表せ。
(2) 一般項 aₙ を求めよ。
(3) Σₖ₌₁ⁿ aₖ を求めよ。
解説・解法のポイント
【(1)の解説】置換による漸化式の変形
この問題のポイントは、aₙ₊₁ = paₙ + qⁿ 型の漸化式の解き方を知っているかどうかです。
bₙ = aₙ / 3ⁿ より、aₙ = 3ⁿ · bₙ
漸化式 aₙ₊₁ = 2aₙ + 3ⁿ に代入すると:
3ⁿ⁺¹ · bₙ₊₁ = 2 · 3ⁿ · bₙ + 3ⁿ
両辺を 3ⁿ で割ると:
3 · bₙ₊₁ = 2bₙ + 1
bₙ₊₁ = (2/3)bₙ + 1/3
【(2)の解説】一般項の導出
bₙ₊₁ = (2/3)bₙ + 1/3 は、aₙ₊₁ = paₙ + q 型の漸化式です。
特性方程式: α = (2/3)α + 1/3 を解くと α = 1
よって、bₙ₊₁ − 1 = (2/3)(bₙ − 1)
{bₙ − 1} は初項 b₁ − 1、公比 2/3 の等比数列
b₁ = a₁ / 3¹ = 2/3 より、b₁ − 1 = −1/3
bₙ − 1 = (−1/3) · (2/3)ⁿ⁻¹
bₙ = 1 − (1/3) · (2/3)ⁿ⁻¹ = 1 − (2ⁿ⁻¹ / 3ⁿ)
aₙ = 3ⁿ · bₙ = 3ⁿ − 2ⁿ⁻¹ · 3ⁿ / 3ⁿ = 3ⁿ − 2ⁿ⁻¹
答え:aₙ = 3ⁿ − 2ⁿ⁻¹
(または aₙ = 3ⁿ − (1/2) · 2ⁿ = 3ⁿ − 2ⁿ⁻¹)
【(3)の解説】和の計算
Σₖ₌₁ⁿ aₖ = Σₖ₌₁ⁿ (3ᵏ − 2ᵏ⁻¹)
= Σₖ₌₁ⁿ 3ᵏ − Σₖ₌₁ⁿ 2ᵏ⁻¹
= (3 + 3² + … + 3ⁿ) − (1 + 2 + … + 2ⁿ⁻¹)
等比数列の和の公式を適用:
= 3(3ⁿ − 1)/(3 − 1) − (2ⁿ − 1)/(2 − 1)
= (3ⁿ⁺¹ − 3)/2 − (2ⁿ − 1)
= (3ⁿ⁺¹ − 3)/2 − 2ⁿ + 1
= (3ⁿ⁺¹ − 3 − 2ⁿ⁺¹ + 2)/2
答え:Σₖ₌₁ⁿ aₖ = (3ⁿ⁺¹ − 2ⁿ⁺¹ − 1)/2
別解・発展
別解(直接解法):
漸化式 aₙ₊₁ = 2aₙ + 3ⁿ を直接解く方法として、aₙ = A · 2ⁿ + B · 3ⁿ の形を仮定して係数を決定する方法もあります。
漸化式に代入して恒等式として解くと、特殊解として −3ⁿ が得られ、一般解と合わせて同じ結果が得られます。
発展:
この漸化式は「線形漸化式」と呼ばれるタイプで、微分方程式の解法と類似しています。大学数学への橋渡しとしても重要な題材です。
大問3:平面ベクトル(内分・外分と面積)
問題
△ABCにおいて、辺BCを2:1に内分する点をD、辺CAを3:2に内分する点をEとし、線分ADと線分BEの交点をPとする。
→AB = →b、→AC = →c とするとき、次の問いに答えよ。
(1) →AD、→BE を →b、→c を用いて表せ。
(2) →AP を →b、→c を用いて表せ。
(3) △ABPと△ABCの面積比を求めよ。
解説・解法のポイント
【(1)の解説】内分点の位置ベクトル
内分点の公式: 点Pが線分ABを m:n に内分するとき
→OP = (n · →OA + m · →OB) / (m + n)
点Dの位置ベクトル:
DはBCを2:1に内分するので
→AD = →AB + →BD = →AB + (2/3)→BC
= →b + (2/3)(→c − →b)
= →b + (2/3)→c − (2/3)→b
→AD = (1/3)→b + (2/3)→c
点Eの位置ベクトル:
EはCAを3:2に内分するので(CからAに向かって3:2)
→AE = (3/5)→AC = (3/5)→c
→BE = →AE − →AB = (3/5)→c − →b
→BE = −→b + (3/5)→c
【(2)の解説】交点の位置ベクトル
PはAD上にあるので、→AP = s · →AD (0 < s < 1)
PはBE上にあるので、→AP = →AB + t · →BE (0 < t < 1)
→AP = s{(1/3)→b + (2/3)→c} = (s/3)→b + (2s/3)→c ……①
→AP = →b + t{−→b + (3/5)→c} = (1−t)→b + (3t/5)→c ……②
→b と →c は一次独立なので、係数比較:
s/3 = 1 − t ……③
2s/3 = 3t/5 ……④
④より:10s = 9t、よって s = 9t/10
③に代入:(9t/10)/3 = 1 − t
3t/10 = 1 − t
3t = 10 − 10t
13t = 10
t = 10/13
s = 9(10/13)/10 = 9/13
①に代入:
→AP = (3/13)→b + (6/13)→c
【(3)の解説】面積比の計算
△ABP と △ABC の面積比は、高さの比に等しい(底辺ABは共通)。
または、→AP = (3/13)→b + (6/13)→c より、Pから辺ABへの距離と、Cから辺ABへの距離の比を考えます。
Cに対応する係数は1(→AC = →c)、Pの →c の係数は 6/13
よって、△ABP : △ABC = 6/13 : 1 = 6 : 13
答え:6 : 13
別解・発展
メネラウスの定理による別解:
メネラウスの定理を用いて、AP:PD や BP:PE を直接求める方法もあります。
△ABDにおいて、直線BEがAD、DB(延長)、BA(延長)と交わる点を考えると:
(AP/PD) · (DC/CB) · (BE'/EA') = 1
(ただし、この場合は直接適用が複雑になるため、ベクトルの方が見通しが良い)
チェバの定理との関連:
3本の線分が1点で交わる条件を考える際、チェバの定理
(BD/DC) · (CE/EA) · (AF/FB) = 1
も重要です。防衛大学校では、これらの定理を組み合わせた問題が出題されることもあります。
大問4:空間ベクトル(平面と直線)
問題
空間内に3点 A(1, 0, 0)、B(0, 2, 0)、C(0, 0, 3) がある。
(1) 3点A、B、Cを通る平面の方程式を求めよ。
(2) 原点Oから平面ABCに下ろした垂線の足をHとするとき、点Hの座標を求めよ。
(3) 四面体OABCの体積を求めよ。
解説・解法のポイント
【(1)の解説】平面の方程式
方法1:切片形を利用
平面がx軸、y軸、z軸とそれぞれ点(a, 0, 0)、(0, b, 0)、(0, 0, c)で交わるとき、平面の方程式は
x/a + y/b + z/c = 1
A(1, 0, 0)、B(0, 2, 0)、C(0, 0, 3) より、a = 1、b = 2、c = 3
答え:x/1 + y/2 + z/3 = 1、すなわち 6x + 3y + 2z = 6
方法2:法線ベクトルを利用
→AB = (−1, 2, 0)、→AC = (−1, 0, 3)
法線ベクトル →n = →AB × →AC
= (2·3 − 0·0, 0·(−1) − (−1)·3, (−1)·0 − 2·(−1))
= (6, 3, 2)
平面の方程式:6(x−1) + 3(y−0) + 2(z−0) = 0
6x + 3y + 2z = 6
【(2)の解説】垂線の足の座標
原点O(0, 0, 0)から平面 6x + 3y + 2z = 6 への垂線は、法線ベクトル(6, 3, 2)の方向に進みます。
直線OHの媒介変数表示:(x, y, z) = t(6, 3, 2) = (6t, 3t, 2t)
これが平面上にあるとき:
6(6t) + 3(3t) + 2(2t) = 6
36t + 9t + 4t = 6
49t = 6
t = 6/49
H = (36/49, 18/49, 12/49)
【(3)の解説】四面体の体積
方法1:公式を利用
V = (1/6)|→OA · (→OB × →OC)|
→OA = (1, 0, 0)、→OB = (0, 2, 0)、→OC = (0, 0, 3)
→OB × →OC = (2·3 − 0·0, 0·0 − 0·3, 0·0 − 2·0) = (6, 0, 0)
→OA · (→OB × →OC) = 1·6 + 0·0 + 0·0 = 6
V = (1/6)|6| = 1
方法2:底面積×高さ÷3
△ABCの面積 S と、Oから平面ABCまでの距離 h を求める。
h = OH = √{(36/49)² + (18/49)² + (12/49)²}
= (1/49)√(1296 + 324 + 144)
= (1/49)√1764 = 42/49 = 6/7
△ABCの面積:(1/2)|→AB × →AC| = (1/2)|(6, 3, 2)| = (1/
△ABCの面積:(1/2)|→AB × →AC| = (1/2)|(6, 3, 2)| = (1/2)√(36 + 9 + 4) = (1/2)√49 = 7/2
V = (1/3) × S × h = (1/3) × (7/2) × (6/7) = (1/3) × 3 = 1
答え:体積 = 1
別解・発展
別解(行列式による体積計算):
四面体OABCの体積は、3つのベクトル→OA、→OB、→OCが作る平行六面体の体積の1/6です。
平行六面体の体積 = |det[→OA, →OB, →OC]|
det = |1 0 0|
|0 2 0| = 1 × 2 × 3 = 6
|0 0 3|
V = 6/6 = 1
発展:点と平面の距離の公式
点(x₀, y₀, z₀)から平面 ax + by + cz + d = 0 までの距離は
d = |ax₀ + by₀ + cz₀ + d| / √(a² + b² + c²)
この公式を用いると、原点から平面 6x + 3y + 2z − 6 = 0 までの距離は
d = |0 + 0 + 0 − 6| / √(36 + 9 + 4) = 6/7
となり、先ほどの結果と一致します。
大問5:微分積分(定積分と面積・体積)
問題
関数 f(x) = x³ − 3x について、次の問いに答えよ。
(1) f(x) の極値を求めよ。
(2) 曲線 y = f(x) と x 軸で囲まれた部分の面積 S を求めよ。
(3) (2)で求めた部分を x 軸のまわりに1回転させてできる回転体の体積 V を求めよ。
解説・解法のポイント
【(1)の解説】極値の計算
f(x) = x³ − 3x を微分すると
f'(x) = 3x² − 3 = 3(x² − 1) = 3(x + 1)(x − 1)
f'(x) = 0 となるのは x = −1, 1
増減表:
| x | … −1 … | 1 … |
|---|---|---|
| f'(x) | + 0 − | 0 + |
| f(x) | ↗ 極大 ↘ | 極小 ↗ |
f(−1) = (−1)³ − 3(−1) = −1 + 3 = 2(極大値)
f(1) = 1³ − 3(1) = 1 − 3 = −2(極小値)
答え:x = −1 で極大値 2、x = 1 で極小値 −2
【(2)の解説】面積の計算
まず、f(x) = 0 となる x を求めます。
x³ − 3x = x(x² − 3) = x(x + √3)(x − √3) = 0
x = −√3, 0, √3
曲線は原点に関して点対称なので、x = 0 から x = √3 の部分の面積を2倍します。
0 ≤ x ≤ √3 では f(x) ≤ 0 なので
S = 2∫₀^√3 |f(x)| dx = 2∫₀^√3 (−x³ + 3x) dx
= 2[−x⁴/4 + 3x²/2]₀^√3
= 2{(−9/4 + 9/2) − 0}
= 2{−9/4 + 18/4}
= 2 × 9/4 = 9/2
答え:S = 9/2
【(3)の解説】回転体の体積
x 軸まわりの回転体の体積は
V = π∫ {f(x)}² dx
対称性を利用して
V = 2π∫₀^√3 (x³ − 3x)² dx
= 2π∫₀^√3 (x⁶ − 6x⁴ + 9x²) dx
= 2π[x⁷/7 − 6x⁵/5 + 9x³/3]₀^√3
= 2π[x⁷/7 − 6x⁵/5 + 3x³]₀^√3
x = √3 を代入:
・x⁷ = (√3)⁷ = 3³√3 = 27√3
・x⁵ = (√3)⁵ = 3²√3 = 9√3
・x³ = (√3)³ = 3√3
= 2π{27√3/7 − 54√3/5 + 9√3}
= 2π√3{27/7 − 54/5 + 9}
= 2π√3{(27×5 − 54×7 + 9×35)/35}
= 2π√3{(135 − 378 + 315)/35}
= 2π√3{72/35}
= 144π√3/35
答え:V = 144√3π/35
別解・発展
面積計算の別解(1/6公式の応用):
3次関数 y = a(x − α)(x − β)(x − γ) と x 軸で囲まれた部分の面積には、便利な公式があります。ただし、本問では標準的な積分計算で十分対応できます。
発展(バウムクーヘン積分):
y 軸まわりの回転体を求める場合は、「バウムクーヘン積分」
V = 2π∫ x|f(x)| dx
を用いることもあります。防衛大学校では両方の回転軸について問われることがあるので、両方の公式を使いこなせるようにしておきましょう。
この年度の重要テーマと対策
2008年度の出題傾向まとめ
2008年度の防衛大学校数学では、以下の分野が重点的に出題されました:
| 大問 | 出題分野 | 重要度 | 難易度 |
|---|---|---|---|
| 大問1 | 小問集合(因数分解・対数・三角・数列) | ★★★★★ | 基礎〜標準 |
| 大問2 | 漸化式の解法・等比数列への帰着 | ★★★★★ | 標準 |
| 大問3 | 平面ベクトル・内分点・面積比 | ★★★★☆ | 標準 |
| 大問4 | 空間ベクトル・平面の方程式・体積 | ★★★★★ | 標準〜やや難 |
| 大問5 | 微分積分・極値・面積・回転体 | ★★★★★ | 標準 |
合格に向けた対策ポイント
1. 漸化式のパターンを完全マスター
防衛大学校では、漸化式の問題がほぼ毎年出題されます。以下のパターンは必ず解けるようにしておきましょう:
- aₙ₊₁ = paₙ + q(等差・等比型)
- aₙ₊₁ = paₙ + f(n)(特殊解を見つける型)
- aₙ₊₁ = paₙ + qⁿ(置換で処理する型)
- 分数型漸化式(逆数を取る型)
- 隣接3項間漸化式(特性方程式を用いる型)
2. ベクトルの計算力を鍛える
平面・空間ベクトルともに、以下の内容は即座に対応できるようにしましょう:
- 内分・外分点の位置ベクトル
- 2直線の交点の求め方(係数比較法)
- 内積の計算と垂直条件
- 外積の計算と法線ベクトル
- 点と平面の距離
3. 微積分の計算を正確・迅速に
微積分では計算量が多くなりがちです。以下の点に注意しましょう:
- 極値の判定は増減表を必ず書く
- 面積計算では符号に注意(絶対値の処理)
- 回転体の公式を正確に覚える
- 部分積分・置換積分のテクニック
4. 計算ミスを防ぐ習慣づけ
120分で5問を解く試験では、1問あたり約24分しかありません。計算ミスによる失点は致命的です:
- 途中計算を丁寧に書く
- 検算の習慣をつける
- 答えを別の方法で確認する(例:具体的な数値を代入)
類似問題で練習しよう(練習問題3問)
ここでは、2008年度の出題傾向に合わせた練習問題を3問用意しました。実際に手を動かして解いてみてください。
【練習問題1】漸化式
問題:
数列 {aₙ} が a₁ = 1、aₙ₊₁ = 3aₙ + 2ⁿ を満たすとき、一般項 aₙ を求めよ。
【解答・解説】
Step 1:置換による変形
bₙ = aₙ / 2ⁿ とおくと、aₙ = 2ⁿ · bₙ
漸化式に代入:
2ⁿ⁺¹ · bₙ₊₁ = 3 · 2ⁿ · bₙ + 2ⁿ
2bₙ₊₁ = 3bₙ + 1
bₙ₊₁ = (3/2)bₙ + 1/2
Step 2:特性方程式
α = (3/2)α + 1/2 を解くと α = −1
bₙ₊₁ + 1 = (3/2)(bₙ + 1)
{bₙ + 1} は公比 3/2 の等比数列
Step 3:一般項の導出
b₁ = a₁/2 = 1/2 より、b₁ + 1 = 3/2
bₙ + 1 = (3/2) · (3/2)ⁿ⁻¹ = (3/2)ⁿ
bₙ = (3/2)ⁿ − 1 = (3ⁿ − 2ⁿ)/2ⁿ
aₙ = 2ⁿ · bₙ = 3ⁿ − 2ⁿ
【練習問題2】ベクトルと面積
問題:
△OABにおいて、→OA = →a、→OB = →b とする。辺OAを1:2に内分する点をP、辺OBを2:1に内分する点をQとし、線分AQと線分BPの交点をRとする。
(1) →OR を →a、→b を用いて表せ。
(2) △OPR と △OAB の面積比を求めよ。
【解答・解説】
(1) の解答
P は OA を 1:2 に内分するので →OP = (1/3)→a
Q は OB を 2:1 に内分するので →OQ = (2/3)→b
R は AQ 上にあるので:
→OR = (1−s)→OA + s→OQ = (1−s)→a + (2s/3)→b ……①
R は BP 上にあるので:
→OR = (1−t)→OB + t→OP = (t/3)→a + (1−t)→b ……②
係数比較:
1 − s = t/3 ……③
2s/3 = 1 − t ……④
③より t = 3(1−s) = 3 − 3s
④に代入:2s/3 = 1 − (3 − 3s) = 3s − 2
2s = 9s − 6
7s = 6、s = 6/7
t = 3 − 18/7 = 3/7
①に代入:
→OR = (1 − 6/7)→a + (12/21)→b = (1/7)→a + (4/7)→b
(2) の解答
→OP = (1/3)→a、→OR = (1/7)→a + (4/7)→b
△OPR の面積 = (1/2)|→OP × →OR|
= (1/2)|(1/3)→a × {(1/7)→a + (4/7)→b}|
= (1/2)|(1/3)(4/7)(→a × →b)|
= (1/2)(4/21)|→a × →b|
= (2/21)|→a × →b|
△OAB の面積 = (1/2)|→a × →b|
面積比 = (2/21) ÷ (1/2) = 4/21
答え:△OPR : △OAB = 4 : 21
【練習問題3】微分積分と回転体
問題:
曲線 y = x² − 4x + 3 と x 軸で囲まれた部分について:
(1) 囲まれた部分の面積 S を求めよ。
(2) この部分を x 軸のまわりに1回転させてできる回転体の体積 V を求めよ。
【解答・解説】
(1) の解答
y = x² − 4x + 3 = (x−1)(x−3)
x 軸との交点:x = 1, 3
1 ≤ x ≤ 3 で y ≤ 0 なので
S = ∫₁³ |y| dx = −∫₁³ (x² − 4x + 3) dx
= −[x³/3 − 2x² + 3x]₁³
= −{(9 − 18 + 9) − (1/3 − 2 + 3)}
= −{0 − 4/3}
= 4/3
(別解:1/6公式)
放物線と x 軸で囲まれた面積 = (1/6)|a|(β − α)³
= (1/6) × 1 × (3−1)³ = (1/6) × 8 = 4/3 ✓
(2) の解答
V = π∫₁³ y² dx = π∫₁³ (x² − 4x + 3)² dx
= π∫₁³ (x⁴ − 8x³ + 22x² − 24x + 9) dx
= π[x⁵/5 − 2x⁴ + (22/3)x³ − 12x² + 9x]₁³
x = 3 のとき:243/5 − 162 + 198 − 108 + 27 = 243/5 − 45 = (243 − 225)/5 = 18/5
x = 1 のとき:1/5 − 2 + 22/3 − 12 + 9 = 1/5 + 22/3 − 5 = (3 + 110 − 75)/15 = 38/15
V = π(18/5 − 38/15) = π(54/15 − 38/15) = 16π/15
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最後に ― 防衛大学校を目指す皆さんへ
防衛大学校の入試は、他の国公立大学と同等以上の実力が求められます。しかし、出題傾向は比較的安定しており、正しい対策を積み重ねれば必ず合格できる試験でもあります。
この記事で解説した2008年度の問題は、今でも対策の参考になる良問ばかりです。ぜひ繰り返し解いて、解法パターンを身につけてください。
皆さんの防衛大学校合格を、心より応援しています!
日本数学塾・数強塾 講師
藤原進之介
※本記事の問題は、防衛大学校2008年度入試問題の傾向をもとに作成・再構成したものです。実際の入試問題とは異なる場合があります。
※最新の入試情報は、防衛大学校公式サイトをご確認ください。
