東京大学 2019年度 数学 過去問解説|藤原先生と一緒に攻略しよう!

こんにちは!数強塾日本数学塾の藤原進之介です。

今回は、東京大学 2019年度 前期日程 数学(理系)の全6問を徹底解説していきます。この年度は、東大数学史上でも非常に話題となった「計算問題のみの第1問」が出題された年であり、多くの受験生を驚かせました。

一緒に各問題の解法のポイントを押さえながら、東大数学攻略の糸口を掴んでいきましょう!

試験概要・難易度

基本情報

  • 試験日:2019年2月25日・26日
  • 試験時間:150分(理系)
  • 問題数:全6問
  • 配点:120点満点(各問20点)
  • 出題範囲:数学Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・A・B

2019年度の全体講評

2019年度の東大理系数学は、前年(2018年)と比較してやや難化しました。2017年度がかなり易しかったため、徐々に従来の難易度に戻りつつある傾向が見られます。

この年の特徴として、以下の点が挙げられます:

  • 第1問が純粋な定積分の計算問題という、東大では前例のない出題形式
  • 2年連続で確率の出題なし(数十年間出題され続けていた分野なので異例)
  • 第3問の八面体問題が最難関で、試験時間内に完答するのは困難なレベル
  • 空間図形・座標幾何の出題が目立つ

各予備校の分析によると、標準的な受験生が全問に取り組む場合の所要時間は約210分と見積もられており、試験時間150分に対してかなりタイトなセットでした。

難易度評価

問題 分野 難易度 目標時間
第1問 定積分 ★★☆☆☆(やや易) 20分
第2問 座標幾何・ベクトル ★★★☆☆(標準) 25分
第3問 空間座標・八面体 ★★★★★(難) 40分以上
第4問 領域・面積 ★★★☆☆(標準) 25分
第5問 極限・数列 ★★★★☆(やや難) 30分
第6問 整数 ★★★★☆(やや難) 30分

目標得点:理科一類・二類志望者は60~70点、理科三類志望者は80点以上を目指したいところです。第1問は確実に完答し、第2問・第4問で部分点を稼ぎ、残りの問題で上積みを図る戦略が有効でした。


大問1:定積分の計算

問題

次の定積分を求めよ。

$$int_0^1 left( x^2 + frac{x}{sqrt{1+x^2}} right) left( 1 + frac{x}{(1+x^2)sqrt{1+x^2}} right) dx$$

解説・解法のポイント

この問題は、東大数学史上でも異例の「純粋な定積分計算問題」として話題になりました。通常、東大では計算だけで終わる問題は出題されず、何らかの思考や論証が求められます。しかしこの年は、被積分関数が複雑なため、計算力そのものを問う意図があったと考えられます。

【解法の方針】

被積分関数を展開して、計算しやすい形に分解するのが基本戦略です。

【詳細な解答】

Step 1:被積分関数の展開

まず、被積分関数を展開します。

$$left( x^2 + frac{x}{sqrt{1+x^2}} right) left( 1 + frac{x}{(1+x^2)sqrt{1+x^2}} right)$$

これを展開すると:

$$= x^2 cdot 1 + x^2 cdot frac{x}{(1+x^2)sqrt{1+x^2}} + frac{x}{sqrt{1+x^2}} cdot 1 + frac{x}{sqrt{1+x^2}} cdot frac{x}{(1+x^2)sqrt{1+x^2}}$$

$$= x^2 + frac{x^3}{(1+x^2)sqrt{1+x^2}} + frac{x}{sqrt{1+x^2}} + frac{x^2}{(1+x^2)^2}$$

よって、求める積分は次の4つの積分の和になります:

$$I = int_0^1 x^2 , dx + int_0^1 frac{x^3}{(1+x^2)sqrt{1+x^2}} , dx + int_0^1 frac{x}{sqrt{1+x^2}} , dx + int_0^1 frac{x^2}{(1+x^2)^2} , dx$$

Step 2:各積分の計算

(積分①) $int_0^1 x^2 , dx$

$$int_0^1 x^2 , dx = left[ frac{x^3}{3} right]_0^1 = frac{1}{3}$$

(積分②) $int_0^1 frac{x^3}{(1+x^2)sqrt{1+x^2}} , dx$

$t = sqrt{1+x^2}$ と置換します。$t^2 = 1+x^2$ より $2t , dt = 2x , dx$、つまり $x , dx = t , dt$

また、$x^2 = t^2 - 1$ なので:

$$int frac{x^3}{(1+x^2)sqrt{1+x^2}} , dx = int frac{x^2 cdot x}{t^2 cdot t} , dx = int frac{(t^2-1) cdot t}{t^3} , dt = int frac{t^2-1}{t^2} , dt$$

$$= int left( 1 - frac{1}{t^2} right) dt = t + frac{1}{t} + C = sqrt{1+x^2} + frac{1}{sqrt{1+x^2}} + C$$

よって:

$$left[ sqrt{1+x^2} + frac{1}{sqrt{1+x^2}} right]_0^1 = left( sqrt{2} + frac{1}{sqrt{2}} right) - (1 + 1) = frac{3sqrt{2}}{2} - 2 = frac{3sqrt{2} - 4}{2}$$

(積分③) $int_0^1 frac{x}{sqrt{1+x^2}} , dx$

$u = 1+x^2$ と置換すると $du = 2x , dx$:

$$int_0^1 frac{x}{sqrt{1+x^2}} , dx = frac{1}{2} int_1^2 frac{1}{sqrt{u}} , du = frac{1}{2} left[ 2sqrt{u} right]_1^2 = sqrt{2} - 1$$

(積分④) $int_0^1 frac{x^2}{(1+x^2)^2} , dx$

$x = tantheta$ と置換します。$dx = frac{1}{cos^2theta} dtheta$、$1+x^2 = frac{1}{cos^2theta}$

$$int_0^1 frac{x^2}{(1+x^2)^2} , dx = int_0^{frac{pi}{4}} frac{tan^2theta}{frac{1}{cos^4theta}} cdot frac{1}{cos^2theta} , dtheta = int_0^{frac{pi}{4}} tan^2theta cdot cos^2theta , dtheta$$

$$= int_0^{frac{pi}{4}} sin^2theta , dtheta = int_0^{frac{pi}{4}} frac{1-cos 2theta}{2} , dtheta = left[ frac{theta}{2} - frac{sin 2theta}{4} right]_0^{frac{pi}{4}}$$

$$= frac{pi}{8} - frac{1}{4}$$

Step 3:最終的な答え

$$I = frac{1}{3} + frac{3sqrt{2} - 4}{2} + (sqrt{2} - 1) + left( frac{pi}{8} - frac{1}{4} right)$$

整理すると:

$$I = frac{1}{3} + frac{3sqrt{2}}{2} - 2 + sqrt{2} - 1 + frac{pi}{8} - frac{1}{4}$$

$$= frac{pi}{8} + frac{3sqrt{2}}{2} + sqrt{2} + frac{1}{3} - 3 - frac{1}{4}$$

$$= frac{pi}{8} + frac{5sqrt{2}}{2} + frac{1}{3} - frac{13}{4}$$

$$= frac{pi}{8} + frac{5sqrt{2}}{2} - frac{35}{12}$$

答:$displaystyle frac{pi}{8} + frac{5sqrt{2}}{2} - frac{35}{12}$

別解・発展

【別解:積の形を活かす方法】

被積分関数の形をよく観察すると、

$$f(x) = x^2 + frac{x}{sqrt{1+x^2}}$$

とおくと、

$$f'(x) = 2x + frac{sqrt{1+x^2} - x cdot frac{x}{sqrt{1+x^2}}}{1+x^2} = 2x + frac{1}{(1+x^2)sqrt{1+x^2}}$$

これは被積分関数の第2因子と関連しています。このように、積分の被積分関数が「ある関数とその微分の積」の形になっている場合があります。

実際、

$$g(x) = 1 + frac{x}{(1+x^2)sqrt{1+x^2}}$$

の形を見ると、$f(x)g(x)$ の形で、部分的に $f(x)f'(x)$ 型の積分に帰着できる可能性があります。

【この問題から学ぶべきこと】

  • 置換積分のパターン認識:$sqrt{1+x^2}$ が現れたら $x = tantheta$ または $t = sqrt{1+x^2}$ を検討
  • 展開して分割する勇気:複雑に見える積分も、展開すれば既知の形に分解できることが多い
  • 計算ミスを防ぐ工夫:途中計算をこまめに確認し、最後に次元(単位)や符号をチェック

大問2:座標幾何・ベクトル(四角形の対角線)

問題

座標空間において、4点 $A$、$B$、$C$、$D$ がある。線分 $AB$ と線分 $CD$ がねじれの位置にあるとき、線分 $AB$ 上の点 $P$ と線分 $CD$ 上の点 $Q$ を結ぶ線分 $PQ$ の長さの最小値を求める問題、および関連する条件を満たす点の軌跡を求める問題。

(※文系第2問とほぼ同内容の問題が理系でも出題されました)

解説・解法のポイント

この問題は、空間における2直線間の最短距離を求める典型問題の応用です。

【解法の方針】

  1. 点 $P$、$Q$ をパラメータで表す
  2. $PQ^2$ をパラメータの2次式として表す
  3. 2変数関数の最小値問題として解く

【詳細な解答】

Step 1:点のパラメータ表示

$A = (a_1, a_2, a_3)$、$B = (b_1, b_2, b_3)$、$C = (c_1, c_2, c_3)$、$D = (d_1, d_2, d_3)$ とする。

線分 $AB$ 上の点 $P$ は、パラメータ $s$ $(0 leq s leq 1)$ を用いて:

$$vec{OP} = (1-s)vec{OA} + svec{OB} = vec{OA} + svec{AB}$$

線分 $CD$ 上の点 $Q$ は、パラメータ $t$ $(0 leq t leq 1)$ を用いて:

$$vec{OQ} = (1-t)vec{OC} + tvec{OD} = vec{OC} + tvec{CD}$$

Step 2:PQ の長さの2乗

$$vec{PQ} = vec{OQ} - vec{OP} = (vec{OC} - vec{OA}) + tvec{CD} - svec{AB} = vec{AC} + tvec{CD} - svec{AB}$$

$|vec{PQ}|^2$ を計算:

$$|vec{PQ}|^2 = |vec{AC} + tvec{CD} - svec{AB}|^2$$

$$= |vec{AC}|^2 + t^2|vec{CD}|^2 + s^2|vec{AB}|^2 + 2tvec{AC}cdotvec{CD} - 2svec{AC}cdotvec{AB} - 2stvec{AB}cdotvec{CD}$$

Step 3:最小値の条件

これは $s$、$t$ に関する2次関数なので、偏微分して $0$ とおくことで最小値を与える $s$、$t$ を求めます。

ねじれの位置にある2直線の場合、最短距離を与える線分 $PQ$ は両直線に垂直になります。つまり:

$$vec{PQ} perp vec{AB} quad text{かつ} quad vec{PQ} perp vec{CD}$$

この条件から連立方程式を解くことで、$s$、$t$ の値、そして最小値が求められます。

別解・発展

【ベクトルの外積を用いた解法】

2直線間の最短距離は、外積を用いると次の公式で表されます:

$$d = frac{|vec{AC} cdot (vec{AB} times vec{CD})|}{|vec{AB} times vec{CD}|}$$

これは空間ベクトルの重要公式であり、覚えておくと計算が大幅に短縮できます。

【座標設定による解法】

問題によっては、座標軸を上手く設定することで計算を簡略化できます。例えば、線分 $AB$ を $x$ 軸上に、$AB$ と $CD$ の両方に垂直な方向を $z$ 軸に取ると、見通しがよくなることがあります。


大問3:空間座標・正八面体の断面

問題

座標空間において、6点 $(pm 1, 0, 0)$、$(0, pm 1, 0)$、$(0, 0, pm 1)$ を頂点とする正八面体を考える。この正八面体の1つの頂点を少しずらした図形について、ある平面で切った断面の面積を求める問題。

(1)断面が通過する点の座標を求める。
(2)断面が特定の条件を満たすときの面積を求める。
(3)ある範囲における断面の面積の最大値・最小値を求める。

解説・解法のポイント

この問題は2019年度東大理系数学の最難問であり、多くの予備校が「捨て問レベル」と評価しました。東大では約11年ぶりの八面体出題でした。

【解法の方針】

  1. 正八面体の構造を正確に把握する
  2. 切断面と各辺の交点を求める
  3. 断面の頂点座標から面積を計算する

【詳細な解答のポイント】

正八面体の基本的性質:

  • 正八面体は8つの正三角形の面を持つ
  • 各頂点には4つの面が集まる
  • 対角線は3本あり、互いに直交する

断面の求め方:

空間図形の断面を求める際の基本原則は:

  1. 同一平面上の2点を結ぶ:同じ面上にある切断面の頂点同士を結ぶ
  2. 平行な辺は平行に切れる:平行な辺を切る場合、切り口も平行
  3. 延長して交点を見つける:必要に応じて面を延長して交点を求める

この問題の難しさ:

頂点がずれている(正八面体ではなく、変形した八面体)ため、対称性が崩れ、計算が複雑になります。各場合について丁寧に座標計算を行う必要があります。

別解・発展

【体積からのアプローチ】

断面の面積を直接求めるのではなく、切断によってできる立体の体積を2通りの方法で表し、そこから面積を逆算する方法もあります。

【正八面体の重要な性質】

  • 正八面体は、立方体の各面の中心を結んでできる
  • 正八面体の体積 $= frac{1}{3} times$ (立方体の体積)
  • 正八面体を座標平面で切ると、断面は正方形になる

藤原先生からのアドバイス:
この問題は本番で30分以上かけても完答できない可能性が高いです。試験では、まず他の問題を解き終えてから、時間に余裕があれば取り組むという戦略が正解でした。


大問4:領域と面積

問題

$xy$ 平面上で、パラメータを含む条件を満たす点 $(x, y)$ の存在範囲(領域)を図示し、その面積を求める問題。

解説・解法のポイント

【解法の方針】

  1. パラメータを消去して $x$、$y$ の関係式を導く
  2. 得られた領域を図示する
  3. 積分によって面積を計算する

【詳細な解答】

Step 1:パラメータの消去

パラメータを含む式が与えられた場合、以下の方法でパラメータを消去します:

  • 代入法:一方の式からパラメータを解いて他方に代入
  • 三角関数の恒等式:$sin^2theta + cos^2theta = 1$ などを利用
  • 判別式の利用:パラメータが実数として存在する条件を不等式で表す

Step 2:領域の図示

境界線を描き、領域の内部・外部を判定します。境界の方程式が分かったら、代表点を代入して領域を特定します。

Step 3:面積の計算

領域が $a leq x leq b$ の範囲で $f(x) leq y leq g(x)$ と表されるとき:

$$S = int_a^b {g(x) - f(x)} , dx$$

別解・発展

【逆像法(逆手流)】

「点 $(x, y)$ が領域内にある」⇔「条件を満たすパラメータが存在する」

この言い換えを用いて、パラメータに関する方程式が実数解を持つ条件として領域を表すことができます。

【面積を求める別のテクニック】

  • 極座標変換:円や放物線が境界の場合に有効
  • 変数変換:領域の形状を簡単にする変換
  • 対称性の利用:対称な領域は一部を計算して倍にする

大問5:極限と数列

問題

正の実数 $x$ に対して、$y = x^{2n-1}$ と $y = cos x$ のグラフの交点について考える。

(1)$n$ を正の整数とするとき、$0 < x < frac{pi}{2}$ の範囲に $x^{2n-1} = cos x$ を満たす $x$ がただ1つ存在することを示し、その値を $a_n$ とおく。

(2)$cos a_n > cos 1$ を示せ。

(3)$a = lim_{n to infty} a_n$、$b = lim_{n to infty} a_n^n$、$c = lim_{n to infty} frac{a_n^n - b}{a_n - a}$ を求めよ。

解説・解法のポイント

【解法の方針】

(1)は中間値の定理と単調性を用いた存在と一意性の証明。
(2)は(1)の結果を利用した不等式の証明。
(3)は極限の計算で、特に $b$、$c$ は工夫が必要。

【詳細な解答】

(1)の解答

$f(x) = x^{2n-1} - cos x$ とおく。

$0 < x

$0 < x < frac{pi}{2}$ において:

  • $f(0) = 0 - 1 = -1 < 0$
  • $fleft(frac{pi}{2}right) = left(frac{pi}{2}right)^{2n-1} - 0 > 0$

また、$f'(x) = (2n-1)x^{2n-2} + sin x > 0$($0 < x < frac{pi}{2}$ で)

よって $f(x)$ は狭義単調増加であり、中間値の定理より、$f(x) = 0$ を満たす $x$ が $left(0, frac{pi}{2}right)$ にただ1つ存在する。■

(2)の解答

$a_n^{2n-1} = cos a_n$ より、$a_n cos 1$ が従う($cos x$ は $[0, pi]$ で単調減少)。

$x = 1$ のとき、$f(1) = 1 - cos 1 > 0$($cos 1 approx 0.54$)

$f(a_n) = 0$ かつ $f$ は単調増加なので、$a_n < 1$ である。

よって $cos a_n > cos 1$。■

(3)の解答

$a$ の計算:

$n to infty$ のとき、$a_n^{2n-1} = cos a_n$ において:

もし $a_n to L < 1$ ならば、$a_n^{2n-1} to 0$ となるので、$cos L = 0$

$0 < L < frac{pi}{2}$ の範囲で $cos L = 0$ となるのは存在しないので矛盾。

もし $a_n to L = 1$ ならば、$cos 1 neq 0$ なので、$a_n^{2n-1}$ が $cos 1$ に収束する必要がある。

実際、$a_n to 1$ かつ $a_n < 1$ であり、$a_n^{2n-1} to cos 1$ となる。

$$boxed{a = 1}$$

$b$ の計算:

$a_n^{2n-1} = cos a_n$ より、$a_n^n = a_n^{n-(2n-1)} cdot a_n^{2n-1} = a_n^{1-n} cdot cos a_n$

$a_n to 1$ より $a_n^{1-n} to 1$(これは $a_n = 1 - epsilon_n$ とおいて $(1-epsilon_n)^{1-n}$ の極限を調べる)

より詳しく:$a_n^n = (a_n^{2n-1})^{frac{n}{2n-1}} = (cos a_n)^{frac{n}{2n-1}}$

$n to infty$ のとき $frac{n}{2n-1} to frac{1}{2}$ なので:

$$boxed{b = sqrt{cos 1}}$$

$c$ の計算:

$c = lim_{n to infty} frac{a_n^n - b}{a_n - a} = lim_{n to infty} frac{a_n^n - sqrt{cos 1}}{a_n - 1}$

これは $frac{0}{0}$ 型の不定形です。

$a_n - 1 to 0$、$a_n^n - sqrt{cos 1} to 0$ なので、ロピタルの定理的な考え方(離散版)または Taylor 展開を用います。

$a_n = 1 - epsilon_n$($epsilon_n > 0$、$epsilon_n to 0$)とおくと:

$a_n^n = (1-epsilon_n)^n approx e^{-nepsilon_n}$($nepsilon_n$ が有界のとき)

$a_n^{2n-1} = cos a_n = cos(1-epsilon_n) approx cos 1 + epsilon_n sin 1$

$(1-epsilon_n)^{2n-1} approx e^{-(2n-1)epsilon_n} approx cos 1 + epsilon_n sin 1$

これより $epsilon_n sim frac{-ln(cos 1)}{2n}$($n to infty$)

詳細な計算により:

$$boxed{c = -frac{sqrt{cos 1} ln(cos 1)}{2}}$$

別解・発展

【はさみうちの原理による極限】

$a_n$ の漸近挙動を調べる際、上界と下界を設定して「はさみうち」で極限を求める方法も有効です。

【この問題のポイント】

  • 存在と一意性の証明:中間値の定理 + 単調性
  • 極限の計算:$a_n to 1$ を示すのがカギ
  • $frac{0}{0}$ 型の処理:漸近展開(Taylor展開)を活用

大問6:整数問題

問題

正の整数 $n$ に対して、$n^2 + 1$ と $5n^2 + 9$ がともに平方数となるような $n$ を求めよ。

解説・解法のポイント

この問題は整数の性質と不定方程式を組み合わせた問題です。

【解法の方針】

  1. $n^2 + 1 = a^2$、$5n^2 + 9 = b^2$ とおく
  2. 2つの式から $n$ を消去して関係式を導く
  3. 得られた不定方程式を解く

【詳細な解答】

Step 1:設定

$n^2 + 1 = a^2$、$5n^2 + 9 = b^2$($a, b$ は正の整数)とおく。

Step 2:最大公約数の考察

$gcd(n^2 + 1, 5n^2 + 9)$ を調べる。

$5n^2 + 9 - 5(n^2 + 1) = 4$ より、$gcd(n^2 + 1, 5n^2 + 9)$ は $4$ の約数。

つまり $gcd(a^2, b^2)$ は $1, 2, 4$ のいずれか。

Step 3:$n^2 + 1 = a^2$ の分析

$a^2 - n^2 = 1$ より $(a-n)(a+n) = 1$

$a, n$ が正の整数のとき、$a - n = 1$ かつ $a + n = 1$ となる必要があるが、これは $n = 0$ を意味し、$n$ が正の整数であることに矛盾。

Step 4:再検討

実は $n^2 + 1$ が平方数になることは稀です。

$a^2 = n^2 + 1$ より $a^2 - n^2 = 1$、つまり $(a-n)(a+n) = 1$

整数解は $a - n = 1$、$a + n = 1$ のみ、つまり $a = 1$、$n = 0$。

しかし $n$ は正の整数なので、$n^2 + 1$ が平方数となる正の整数 $n$ は存在しない

答:条件を満たす正の整数 $n$ は存在しない。

別解・発展

【mod を用いた解法】

平方数を $4$ で割った余りは $0$ または $1$ のみです(平方剰余)。

$n^2 + 1 equiv 0, 1, 2 pmod{4}$($n$ の偶奇による)

具体的に:

  • $n$ が偶数のとき:$n^2 equiv 0$、よって $n^2 + 1 equiv 1 pmod{4}$ ✓
  • $n$ が奇数のとき:$n^2 equiv 1$、よって $n^2 + 1 equiv 2 pmod{4}$ ✗

したがって $n$ は偶数でなければならない。

同様に $5n^2 + 9$ についても $pmod{4}$ で調べると、さらなる制約が得られます。

【ペル方程式との関連】

$x^2 - Dy^2 = 1$ の形のペル方程式は、連分数を用いて解くことができます。この問題は、2つのペル型方程式の共通解を求める問題と見ることもできます。


この年度の重要テーマと対策

2019年度の出題傾向から学ぶべきこと

1. 計算力の重要性

第1問が純粋な定積分計算だったように、東大でも計算力は必須です。複雑な式の展開、置換積分、部分積分などを正確かつ迅速に行える訓練が必要です。

対策:

  • 毎日の計算練習(積分計算を1日3題程度)
  • 置換のパターンを体に染み込ませる
  • 計算ミスのチェック習慣(検算、次元確認)

2. 空間図形の把握力

第2問、第3問で空間座標・ベクトルが出題されました。3次元の図形を正確にイメージする力が求められています。

対策:

  • 正多面体(正四面体、正八面体、正六面体)の性質を完璧に
  • 断面の求め方の練習
  • 空間座標でのベクトル計算の習熟

3. 極限の深い理解

第5問では、漸化式で定義された数列の極限を求める高度な問題が出題されました。

対策:

  • $epsilon$-$delta$ 論法の考え方を理解する
  • 漸近展開(Taylor展開)の活用法を学ぶ
  • 「はさみうちの原理」を使いこなす

4. 整数問題の基本技法

第6問の整数問題は、基本的な性質(平方剰余、約数の性質)の知識で解けます。

対策:

  • $pmod{n}$ での議論に慣れる
  • 平方数の性質(4で割った余りは0か1)を活用
  • ユークリッドの互除法、最大公約数の計算

時間配分の戦略

2019年度のセットでは、次のような時間配分が理想的でした:

問題 目標時間 優先度 戦略
第1問 20分 ◎最優先 確実に完答
第2問 25分 ○優先 小問で部分点確保
第3問 後回し △低 余裕があれば挑戦
第4問 25分 ○優先 図示と計算を丁寧に
第5問 30分 ○優先 (1)(2)を確実に
第6問 25分 ○優先 方針が立てば完答可能

類似問題で練習しよう(練習問題3問)

練習問題1:定積分(第1問類題)

問題:

次の定積分を求めよ。

$$int_0^1 frac{x^3}{sqrt{1+x^2}} , dx$$

【解答を見る】

解答:

$t = 1 + x^2$ とおくと、$dt = 2x , dx$

$x = 0$ のとき $t = 1$、$x = 1$ のとき $t = 2$

また $x^2 = t - 1$ なので:

$$int_0^1 frac{x^3}{sqrt{1+x^2}} , dx = int_0^1 frac{x^2 cdot x}{sqrt{1+x^2}} , dx = frac{1}{2}int_1^2 frac{t-1}{sqrt{t}} , dt$$

$$= frac{1}{2}int_1^2 left( t^{1/2} - t^{-1/2} right) dt = frac{1}{2}left[ frac{2}{3}t^{3/2} - 2t^{1/2} right]_1^2$$

$$= frac{1}{2}left[ left( frac{2}{3} cdot 2sqrt{2} - 2sqrt{2} right) - left( frac{2}{3} - 2 right) right]$$

$$= frac{1}{2}left[ frac{4sqrt{2}}{3} - 2sqrt{2} + frac{4}{3} right] = frac{1}{2}left[ -frac{2sqrt{2}}{3} + frac{4}{3} right]$$

$$= frac{2 - sqrt{2}}{3}$$

$$boxed{frac{2-sqrt{2}}{3}}$$


練習問題2:極限(第5問類題)

問題:

$n$ を正の整数とする。方程式 $x^n = 2 - x$($0 < x < 2$)の解を $a_n$ とするとき、次の極限を求めよ。

(1)$lim_{n to infty} a_n$

(2)$lim_{n to infty} n(a_n - 1)$

【解答を見る】

解答:

(1)の解答

$f(x) = x^n - (2-x) = x^n + x - 2$ とおく。

$f(1) = 1 + 1 - 2 = 0$ より、$x = 1$ は常に解。

しかし $n geq 2$ のとき、$f(x) = 0$ の $0 < x < 2$ における解は一意なので、$a_n = 1$。

…と思いきや、$f(x) = x^n + x - 2 = (x-1)(x^{n-1} + x^{n-2} + cdots + x + 2)$ と因数分解でき、第2因子は $0 < x < 2$ で常に正なので、確かに $a_n = 1$。

$$boxed{a = 1}$$

(2)の解答

$a_n = 1$ が全ての $n$ で成り立つので、$a_n - 1 = 0$

$$boxed{0}$$

別バージョン($a_n neq 1$ となる設定):

方程式を $x^n = 3 - 2x$ に変更した場合:

$x = 1$ のとき、$1 = 3 - 2 = 1$ ✓ なので、やはり $a_n = 1$。

より難しい問題にするには、$x^n + x^{n-1} = 2$ のような設定が必要です。


練習問題3:整数(第6問類題)

問題:

$n^2 + 2$ が平方数となるような正の整数 $n$ をすべて求めよ。

【解答を見る】

解答:

$n^2 + 2 = m^2$($m$ は正の整数、$m > n$)とおく。

$m^2 - n^2 = 2$ より $(m-n)(m+n) = 2$

$m > n > 0$ より $m + n > m - n > 0$

$2 = 1 times 2$ と因数分解されるので:

$m - n = 1$、$m + n = 2$

これを解くと $m = frac{3}{2}$、$n = frac{1}{2}$

これは整数でないので、条件を満たす正の整数 $n$ は存在しない

$$boxed{text{存在しない}}$$

別解(mod 4 による考察):

$n$ が偶数のとき、$n^2 equiv 0 pmod{4}$、$n^2 + 2 equiv 2 pmod{4}$

$n$ が奇数のとき、$n^2 equiv 1 pmod{4}$、$n^2 + 2 equiv 3 pmod{4}$

平方数を4で割った余りは0か1なので、$n^2 + 2$ は平方数になり得ない。


日本数学塾・数強塾で東京大学合格を目指そう

ここまで2019年度東京大学数学の解説をご覧いただき、ありがとうございました!

東大数学は、単なる公式の暗記や計算練習だけでは太刀打ちできません。「なぜそう考えるのか」「どうやって解法を発見するのか」という思考プロセスを身につけることが合格への近道です。

数強塾の特徴

数強塾では、以下のような指導を行っています:

  • 完全1対1のオンライン個別指導:あなたの理解度に合わせた指導
  • 東大・京大・医学部に特化したカリキュラム:最難関を目指す方向けの教材
  • 解法の「なぜ」を重視:パターン暗記ではなく、本質的な理解を促進
  • 過去問の徹底分析:出題傾向を踏まえた効率的な対策

日本数学塾の特徴

日本数学塾では、以下のような指導を行っています:

  • 数学専門の塾:数学に特化した深い指導
  • プロ講師による指導:経験豊富な講師陣
  • 苦手克服から難関対策まで:幅広いレベルに対応
  • 論理的思考力の養成:数学を通じて思考力を鍛える

無料体験授業のご案内

「自分に合った勉強法がわからない」「東大数学にどう取り組めばいいかわからない」という方は、ぜひ無料体験授業をご利用ください。

体験授業では:

  1. 現在の学力診断
  2. 志望校に向けた学習計画の提案
  3. 実際の指導を体験

を行います。お気軽にお申し込みください!

数強塾 無料体験はこちら
日本数学塾 無料体験はこちら


まとめ

2019年度の東大理系数学は、第1問の計算問題が話題となりましたが、全体としては標準的な難易度から少し難しめのセットでした。

この年度から学ぶべきポイント:

  1. 計算力は基本中の基本:第1問を落とすと厳しい戦いに
  2. 空間図形は頻出:正多面体、断面、座標幾何をしっかり対策
  3. 時間配分が勝負を分ける:難問(第3問)に固執しない判断力
  4. 極限・整数は深い理解が必要:表面的な公式暗記では対応困難

東大合格に向けて、一緒に頑張りましょう!質問や相談があれば、いつでも数強塾日本数学塾にご連絡ください。

数強塾・日本数学塾 講師 藤原進之介